スマイルプリキュア!~新たなるプリキュア、その名はキュアアギト!?~   作:ユウキ003

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今回は第9話、転校の嘘の話です。
内容はほぼ、やよいと黄金の絡みです。
タグにもある通り、百合展開のための布石、みたいな感じです。



第9話 嘘と想い

~~前回までのあらすじ~~

マジョリーナが作り出した、身に着けた人物の魂を入れ替える

指輪、イレカワールによって魂が入れ替わってしまった

みゆきと黄金。そんな中でみゆきは黄金の苦しみを知り、黄金は

自らが怪物であると認識してしまう。イレカワールを取り戻しに

襲って来たマジョリーナ。しかし肉体と魂が離れてしまったが

故にみゆきと黄金は変身不能になってしまった。それでも大切な

仲間を守る為に戦う黄金。そして彼女は新たなる力、ギルスを

発動させるが、その代償は決して小さい物ではなかった。

 

 

イレカワールの騒動から数日後。朝の津神宅。

その黄金の私室で時計のアラームが鳴り、布団の中から伸びた

手が時計を叩くようにしてアラームを止めた。

しばらくして、モソモソと布団が動いて中から黄金が姿を現した。

一度大きな欠伸をしてから目元を擦る黄金。しかし、次の瞬間

彼女は何かに気付いたような素振りをするとマジマジと

自信の右手を見つめるのだった。

彼女の気づいた懸念、それはギルスの事だった。

 

 

あの日、私の中にアギトとも違う、もう一つの力が覚醒した。

ギルス。それが多分あの姿の名前。そのギルスを使ってみて

分かった事がある。まず第1に、ギルスは今の私が変身できる

アギトのどのフォームよりも、パワーに優れている事。

純粋な腕力だけなら、フレイムフォームやアイアンフォーム

をも超えていると思う。

第2に、ギルスには闘争心?の様な物を刺激する作用がある。

あの時の私は、唯々敵を倒す事しか考えていなかった。

だからかもしれないけど、あんな風に苛烈な戦い方をしたんだと思う。

 

そして、第3に。これが1番の問題なんだ。

ギルスの力を使ったあの日、私は極度に疲れた。ううん。

疲れたなんて物じゃなかった。まるで、体力を全部抜き取られて

体がボロボロになったみたいだった。

部屋に戻ってしばらくはまともに動けなかったし、皮膚もまるで

おばあちゃんみたいに皺だらけになって……。

ギルスは確かに強い。けど、その代償として大きなダメージを負う。

それが1番の問題。

 

……今後、出来ればギルスは使わないようにしないと。

なんて思っていた時。

幸子(さちこ)「黄金~。ごはんよ~」

黄金「は~~い」

部屋の外からお母さんの声が聞こえて来て、私は咄嗟に返事をした。

とにかく、ギルスは危険だと言う事を再確認した私は、制服に着替えてから

部屋を出て2階のリビングに向かった。

 

ちなみに私の家は3階建てで、1階がお店。2階がキッチンやお風呂、

リビングがある。3階が私やお母さんたちの寝室。

  「おはよう、お父さんお母さん」

忠(ただし)「あぁ、おはよう黄金」

私がリビングに入ると、お父さん達がテーブルに料理を並べていた。

 

その後、テーブルに着いた私はお母さんたちと一緒に軽めの朝食を

取ってから少しして家を出て自転車で学校に向かった。

駐輪場に自転車を止め、一人教室に向かっていた時だった。

 

み・あ「「黄金(黄金~~~!)ちゃ~~~ん!」」

黄金「ん?」

不意に声がしたので振り返ると、何やら慌てた様子の

みゆきちゃんとあかねちゃんが走って来た。

  「二人とも、どうしたのそんなに慌てて。

   後、廊下走ると先生に怒られるよ?」

あかね「それどころや無いねん!ちょっとこっち来てや!」

黄金「あ!ちょっ?!」

と、あかねちゃんは私を引っ張って人通りの少ない廊下の角に

私を連れて行った。

  「な、何々?一体どうしたって言うの?」

あかね「ええか黄金!落ち着いて聞くんや!やよいが、やよいが、

    転校するんやて!!」

 

 

………。え?転、校?やよいちゃんが?

 

一瞬の事で、黄金は頭が追い付かずにいた。

あかね「ウチもさっきみゆきから聞いたんやけどな、

    急とは思うんよ。そんで黄金、って黄金?」

語り掛けていたあかねだが、不意に黄金が無反応な事に気付いた。

   「お~い、黄金~?どないした~?」

と、黄金の眼前で手を上下させるあかね。しかし黄金は

反応せず……。

黄金「………。あぁぁぁ」

   『フラッ』

あかね「ちょっ!?ちょちょちょっ!?」

不意に後ろに倒れそうになる黄金を支えるあかね。

   「黄金~!大丈夫か~!しっかりしいや~~!」

黄金「はっ!?私は……」

 

一瞬の事で私は頭が追い付かなくて、気づくとあかねちゃんに

支えられていた。今起きた事を説明してくれるみゆきちゃん達。

あかね「大丈夫か黄金?保健室行っとくか?」

黄金「あぁ、うん、大丈夫。流石にそこまでじゃないから。

   私、ちょっと先に教室行ってるね」

みゆき「気を付けてね」

黄金「う、うん」

そう言うと、私は先に教室へと向かった。

 

歩いて行く黄金を見送るみゆきとあかね。

みゆき「黄金ちゃん、すっごい戸惑ってる感じだったね」

あかね「しゃあないっちゃあしゃあないんやろうな~。

    黄金は特に、その、な。……アギトの事があるんやし」

そういって、不意に周囲を見回してから小さくアギトの単語を

漏らすあかね。その単語に、少しばかり驚くみゆき。

   「アギトの事を知っとんのはウチらとキャンディ、ポップだけや。

    ましてやこの前までの黄金の事を思い出すと、なぁ?」

みゆき「そっか」

   『黄金ちゃんは、自分がアギトだって知られるのを

    怖がってる。それを知ってでも黄金ちゃんを友達だって

    言った私達の誰か一人とでも別れるのが、それだけ

    辛い事なんだ』

そう思いながら、みゆきは黄金の歩いて行った廊下を見つめるの

だった。

 

ちなみに、その後やよいはみゆきに嘘の事を言おうとしたが

(主にあかねが)無意識の言葉の圧力によって真実を妨げて

しまった。

その後さらに、あかねとみゆきを通して、やよいの預かり知らぬ

所でなおとれいかにその情報が広まってしまった。

その後、色々質問するなおやれいかだったが、主にあかねの

発言によってやよいは本当の事が言えないままだった。

そして音楽の授業後も、周り、みゆき達の結構な思い過ごし

によって真実が言えないままのやよい。

 

そして、そんな中で一人意気消沈としていた黄金。

 

やよいちゃんが、転校。

その時、私は音楽室の隅で呆然としながらみゆきちゃん達のやり取りを

見ていた。

けど、その言葉の殆どは私の頭の中に入ってこなかった。

プリキュアを続けられないとか、責任とか。分からなくでもないけど、

それ以上に怖いのは、友達が減ってしまう事。私を受け入れて

くれる友達なんて、多分みゆきちゃん達くらいだと思う。そんな

友達が一人減ってしまうなんて、私には悲しくて仕方が無かった。

守ると誓った約束も、ちゃんと守れるかどうか心配でもある。

……けど、それはやよいちゃんや私達みたいな子供にどうこう

出来る訳無いし。

せめて、最後くらいはしっかり送り出してあげよう。

 

その時の私は、静かにそう決意していたけど、今にして思えば

転校の事で少しでも心のバランスを崩していたのかもしれない。

   『はぁ、日直メンドイな~』

   『あれ、教科書が無い?』

不意にいくつかの声が聞こえて来た。

恐らく、ショックのせいで少しだけ能力を制御できなくなったみたい。

すぐに意識を集中しないと。

そう、今の私でも精神的にショックを受けるたりすると

超能力が制御できなくなることがあるんだ。

さっさと嫌な声が聞こえる前に戻さないと。

 

そう思って深呼吸した時だった。ちょうどみんながやよいちゃんを

抱きしめていた時。

   『どうしよ~~~』

 

え?今の、やよいちゃんの声?

不意に、私の中に困惑したみたいなやよいちゃんの声が聞こえて来た。

何でと思い、少し躊躇ったけど能力をやよいちゃんの方向に

集中させた。

   『これじゃ嘘って言い出せないよ~!』

するとやよいちゃんの心の声が聞こえて来た。

……って、嘘?

どういう、事?嘘って?まさか、転校するって話は

やよいちゃんの作り話?でも、なんで……。

 

と、思っていた時、どうやら私はまた取り乱して

しまったみたいで……。

   『なぁなぁ、お前この前のテストの点数悪かった

    みたいだぜ?先生言ってたぞ』

    『え~!?嘘!?』

   『ウッソ~!エイプリルフールだよ~!』

エイプリール、フール?

……あぁ!そっか今日は四月一日!

と、私は頭の中で手を叩いた。あ~~。私達すっかり

騙されてた訳、か。

なんて思っていると一瞬私の中に過去の事が思い起こされた。

 

 

そして、お昼休み。みゆき達4人は中庭の屋根付きベンチに

集まっていたのだが……。

なお「あれ?やよいちゃんと黄金は?」

遅れて来たなおが、二人が居ない事を指摘する。

みゆき「やよいちゃんは何か用事があるんだって。

    黄金ちゃんもそうって……」

あかね「……黄金はアギトの事もあってウチ等よりも

    複雑やからな~。何や思う所でもあるんと

    ちゃうか?」

と、深読みしてしまうあかね。

そして、そんな中れいかがある提案をしてしまうのだが……。

 

そうとは知らずに、一人屋上に居るやよい。

彼女は得意な絵を使って他の面々に嘘の事を話そうとした

のだが……。

完成し喜んだのもつかの間。風に乗って絵が飛ばされてしまった。

咄嗟に腕を伸ばすやよいだが、絵はすでに天高く舞い上がって

しまっていた。

 

がっくりと肩を落とすやよい。

と、そこへ……。

黄金「やよいちゃん」

やよい「ふぁい!?」

唐突に後ろから声を掛けられた事で驚き素っ頓狂な返事と共に

振り返るやよい。

そこには微笑みを浮かべた黄金が立っていた。

 

 

   「な、何黄金ちゃん?何か用?」

黄金「うん、ちょっとね。隣、良い?」

やよい「あ、うん」

私が聞くと、やよいちゃんが座って、私もその隣に腰を下ろした。

数秒だけ黙っていると、やよいちゃんがしきりにこっちを

チラ見している。……この動揺っぷり、やっぱり……。

黄金「ねぇやよいちゃん」

やよい「な、何?」

私が声をかけると、少し上ずった声で返事をするやよいちゃん。

それがますます、私の中の予想を確証に変えていった。

黄金「単刀直入に聞くけど、転校の件、嘘、なんでしょ?」

やよい「ど、どうしてそれを!?はっ!?」

驚き立ち上がったやよいちゃんは、すぐにハッとなって口を

両手で覆った。

それから、恐る恐ると言った感じで両手を離すやよいちゃん。

けど、まだ少し躊躇っているようだったから、それに気づいた

私が先に喋りだした。

 

黄金「エイプリルフールの嘘、って所で合ってるのかな?」

   『コクコク』

無言で頷くやよいちゃん。

  「それで、他の皆が色々言ったりするから、嘘だって

   教えるのが遅れて、話が大きくなっちゃった。

   そんな所で合ってる?」

   『コクコクコクッ!』

更に勢いよく、と言うかもうブンブンと頭を縦に振っている

やよいちゃん。

その後……。

 

やよい「あ、あの、黄金ちゃんは、どうして、その、嘘を?」

少しして恐る恐るって感じで聞いてくるやよいちゃん。

黄金「……私の超能力、忘れた?」

やよい「あ」

そう言って右手でこめかみを指さす私とそれを見て少し

呆けた声を漏らしちゃうやよいちゃん。

黄金「勝手なのは分かっていたんだけど、知りたかったから。

   ……ごめんね」

やよい「う、ううん。元はと言えば私のせいだし……。

    ……あの、あのね黄金ちゃん。黄金ちゃんは、

    その、怒ってる?」

恐る恐る、と言った感じの質問に、私は視線を落とした。

 

黄金「怒ってるとかそれ以前に、私は嘘って分かってホッとした。

   それに……。私にはやよいちゃんを怒る資格なんて

   無いよ」

やよい「え?」

黄金「私も、嘘つきだったから。みんなに嘘をついて、

   だまして、酷い事言って。……私には、やよいちゃんを

   責める資格なんて無いよ」

私は、そう言いながら苦笑を浮かべた。

やよい「で、でも、それはアギトの事で、その……」

黄金「ありがと。そう言ってくれると嬉しいよ。  

   けど、だからこそ私にはやよいちゃんにどうこう言う

   事なんて出来ないよ」

やよい「黄金、ちゃん」

 

黄金「大丈夫。嘘の事、私も色々フォローするから」

やよい「黄金ちゃん。……うん、ありがとう。

    でも、どうして、その、そこまでしてくれるの?」

黄金「……どうして、か~。ただ、アギトである事を受け入れて

   くれた友達を失いたくないから、かな。みんなが、

   私にとって大切な存在だから」

そう言って、黄金は笑みを浮かべながらやよいを見つめた。

   『ドキッ!』

対して、その笑みに心臓を高鳴らせるやよい。

やよい『わ、私ってば今、心臓がドキッてなって……。

    ってぇ!何考えてるの私ィ!今はそれどころじゃぁ!』

と、一瞬の胸の高鳴りに疑問を覚えつつも、意識を現在の

最大の問題に向けるやよい。

そんな時だった。

 

みゆき「あ!居た居た!やよいちゃん、黄金ちゃん」

黄金「あ、みゆきちゃん」

屋上のドアを潜ってみゆきがやって来た。

みゆき「も~探したよ~。こんな所で何してるの?」

やよい「え!?え~っと、それは、その……」

と、悩んでいるみたいなやよいちゃん。仕方ない。ここは

私が……。

そう思っていたんだけど……。

みゆき「ま良いや。行こう二人とも。実は二人に見せたいものが

    あるんだ」

黄・や「「見せたい物?」」

と、私とやよいちゃんは揃って疑問符を浮かべたんだけど……。

何だろう。すっごいヤな予感が……。

 

そして私の予想は的中し、何とみゆきちゃん達がお別れ会まで

開いていた。しかもクラスのみんなまで巻き込んで!?

嘘でしょ~!何でここまで話が大きく……。

 

私がぽか~んと呆けていると、更に花束やみんなのお別れの言葉を

綴った色紙まで贈呈されちゃって。

あ~もう!事態がどんどん言い出しずらい方向にシフトして

行ってる~~!

心の中で、頭を抱える私。不味いってこのままじゃ。

 

そして何と、そうこうしている内にやよいちゃんが泣きだして

しまった。

しかもそれを転校するから、と勘違いしているみゆきちゃん達。

実際は、嘘だとバレた際の恐怖故の涙なんだけど……。

と、その時、とうとうやよいちゃんは泣きながら教室を

飛び出してしまった。

黄金「やよいちゃん!」

それを咄嗟に追う私。

 

そして、私は校庭の隅にある小屋の影で泣いているやよいちゃんを

見つけると、その隣にそっと近づき、腰を下ろした。

今、私の隣でやよいちゃんが両手で顔を覆ったまま泣いていた。

そんなやよいちゃんを見て、私はそっとやよいちゃんの肩に

手を置いた。

やよい「この、ままじゃ、私、みんなに、嫌われて、うぅ」

黄金「……例え、そうだとしても、私は最後までやよいちゃんの

   味方だから。だから、大丈夫。いざって時は、

   私が助けるから」

やよい「え?」

私の言葉に、涙を流しながらもやよいちゃんがこっちを

向いてくれた。

   「どう、して」

黄金「さっき、言ったじゃない。みゆきちゃん達の事が、

   やよいちゃんの事が、好きだから。大切な、友達

   だから。だから……」

そう言って、私は指先でやよいちゃんの涙を拭った。

  「大切な人には、笑顔で居て欲しいから」

そして、私はやよいちゃんを安心させようと精一杯笑みを

浮かべた。

 

 

逆にやよいはと言うと……。

 

  「笑顔で居て欲しいから」

   『ドキッ!』

黄金ちゃんのその言葉で、私の心臓がドキッてなった。

さっきと同じくらい?ううん、それ以上かも。良く分からないけど、

触れられた所も、ほっぺも熱い。

今は、そんな事考えてる場合じゃないのに……。

でも、なんだか黄金ちゃんから目が離せない。

そう思っていた時。

 

 

みゆき「やよいちゃん」

不意に声がして、私とやよいちゃんが振り返った。そこには

みゆきちゃん達とキャンディの姿があった。

れいか「ごめんなさい、私のお節介のせいで……」

なお「余計に悲しい思いをさせてしまったみたいだね……」

あかね「ごめんな」

やよい「ううん、違うの。違うの」

そう言って涙声のやよいちゃん。仕方ない。ここは……。

 

黄金「あのねみんな、聞いてほしい事があるの。転校の

   件なんだけど……」

最悪、私がやよいちゃんを守る盾になればいい。あの時は

一人でも戦うって決めてたんだ。だから、私がみんなに

話をしておこう。最悪、私に矛先が向くように嘘を

つけばいい。

 

そう考えていた時、不意に空が暗くなった。

  「ッ!?これって……」

れいか「まさか敵が!?」

みゆき「早くみんなを助けないと!」

そう思っていた時。

   『ガシャンッ!』

アカ「うっはっはっはっは!」

なお「ッ!?あんたは!」

近くのバックネットの上に敵、アカオーニが高笑いを上げながら

降りて来た。

キャンディ「みんな急いで変身クル!」

みゆき「やよいちゃん大丈夫?!」

黄金「こんな時だけど、やれる?」

やよい「う、うん」

私とみゆきちゃんの声に、涙を拭って頷くやよいちゃん。

 

そして、私達はそれぞれのアイテムを取り出す。

いつもの手の動きで、オルタリングを召喚する私。

黄金「はぁぁぁぁぁ」

息を吐き出しながら、右手を前に伸ばす。そして……。

  「変身!!」

   『VUUUUUUN!!!!』

スイッチを叩くのに合わせてエンジン音にも似た音が響く。

 

   『レディー!』

みんなもパクトを取り出して変身用のデコルをセットする。

5人「「「「「プリキュア!スマイルチャージ!」」」」」

   『ゴー!ゴーゴー!レッツゴー!』

光のパフを使って、変身していくみゆきちゃん達。

私の体も、光が包み込んで瞬く間にアギトになっていく。

アギトの、私の右隣りに立つみゆきちゃん、ハッピーと

その周囲に立つあかねちゃん、サニー達。

ハッピー「キラキラ輝く未来の光!キュアハッピー!」

サニー「太陽サンサン熱血パワー!キュアサニー!」

ピース「ピカピカぴかりん!じゃんけんポン♪キュアピース!」

マーチ「勇気リンリン直球勝負!キュアマーチ!」

ビューティ「しんしんと降り積もる清き心!キュアビューティ!」

アギト「神が生みし悪を立つ戦姫!キュアアギト!」

6人「「「「「「6つの光が導く未来!輝け!スマイルプリキュア!」」」」」」

うぅ、一応今ではポーカーフェイスでこのセリフ言えるけど、

内心まだ恥ずい!!

 

アカ「出たなプリキュア。今日こそは、倒してやるオニ!」

その言葉に構える私達6人。そして……。

  「出でよ!アカンベェ!」

奴は近くにあったグラウンドを整地するローラーを使って

アカンベェを作り出した。

  「行け!アカンベェ!」

   『アカンベェ!』

ローラーアカンベェは、下半身にあるローラーを使ってこちらに

急接近してくる。

アギト「来るよ!」

アカ「アカンベェ!パンチオニ!」

後ろから奴の命令が飛んでくる。私達の眼前で停止したアカンベェが

右手を振りかぶる。

   『アカン……!』

咄嗟に私達はアカンベェを見上げる形で防御の態勢を取ったが……。

 

  「ウッソ~~!」

   『ベェッ!』

5人「きゃあぁぁぁぁぁっ!!」

アギト「ぐっ!?このっ!」

言葉とは裏腹に右足の蹴りが私達を薙ぎ払った。

吹き飛ばされ、倒れるみんな。私は地面に手をついて体を

浮かせて何とか態勢を立て直す。

アカ「次はローラー攻撃オニ!」

   『アカンベェ!』

そこに、倒れたみんなを狙ってローラーを使ったアカンベェが

突進してきた。

咄嗟にジャンプするみんな。

アギト「ッ!?違う!それは罠だ!」

私は咄嗟に叫びながら左腰のスイッチを2度叩きつつ、

皆の前に跳躍した。

アカ「ウッソ~~~!」

   『ベェッ!』

今度は右ストレートがみんなに襲い掛かるが……。

アギト「させるかぁぁぁぁぁっ!」

   『バゴォォォォンッ!』

拳とみんなの間に割り込んだ私の右ストレートがぶつかり合う。

その隙に着地するみんな。

しかし咄嗟だったので空中に足場を生成せずにいた私は……。

   『ベェッ!』

アギト「ぐがっ!?」

   『ドゴォォォンッ!』

踏ん張りが聞くアカンベェに地面に叩きつけられた。

   「げほっ!がはっ!」

ハッピー「アギト!大丈夫!?」

倒れた私に駆け寄るみんな。

アギト「大丈夫、まだ、やれる」

そう言いながら頬に着いた汚れを拭う私。その時。

 

アカ「騙されたオニ!間抜けオニ!」

そう言って奴が腹を抱えて笑っている。

くっ!あんの赤ダルマぁ!

そう私が思っていた時……。

 

ハッピー「さっきから嘘ばっかりついて!」

不意に、ハッピー達がアカオーニを糾弾し始める。けど、

それを聞くたびに私の隣に居たピースの表情が曇って行く。

……そうか。転校の嘘の件、まだみんなに言えてないんだ。

それなのに、みんなが嘘についてを糾弾している。こんなんじゃ

仮に戦いが終わったって、言い出しずらいし……。

と、私がそう思っていた時。

 

アカ「バ~カめ!嘘は最高オニ!そうだよなぁ?

   キュアピース」

4人「「「「え?」」」」

ッ!?なんでそこでピースに話題を振るんだあいつ!?

嘘の事を知ってる?いや、そんなはず!

と、私が頭の中で否定しようとしていた時。

 

アカ「これを読んだオニ!」

そう言ってあいつが取り出したのは、キュアピースが

他のみんなに嘘の事を打ち明けている絵だった。

あれって!?私が屋上でやよいちゃんと話す直前に

書いていた絵!?まさかあいつが拾っていたなんて!

ピース「あ!私の描いた漫画!」

4人「「「「え?」」」」

その言葉に、絵を見ていたハッピー達4人がピースの

方に振り返る。その感じからして嘘の事をまだ理解出来て

無いみたい。

アカ「何でお前嘘をついた事を謝るオニ?嘘はどんどん  

   ついて良いオニ!騙された方が悪いオニ!」

ピース「やめて!」

あいつの言葉に、耳を塞ぐピース。

サニー「ピース?嘘って何の事や?」

 

アカ「お前の嘘に騙された仲間を笑ってやるオニ!

   うっはっはっはっはっは!」

ピース「ッ!私の大切な友達を笑わないで!」

ビューティ「アカオーニは何を言っているんですか?」

マーチ「ピース、何かあるなら正直に言って?」

その言葉に、ピースが俯く。多分、今のピースの中で

色々な不安が渦巻いているんだ。

 

そう思った私は、ピースの左手を握った。

ピース「アギ、ト?」

アギト「大丈夫、私は、ピースの味方だから」

そう言って、私は笑みを浮かべた。同じように、ハッピーが

自分の事を、転校初日に声を掛けてくれた事を話して、

ピースの背中を押した。

そして、ピースは私の手を離すと静かに頭を下げた。

 

ピース「ごめんなさい、私、みんなに嘘をついていたんです」

そう言ってみんなに真相を打ち明けたピース。その言葉に、

4人が納得したりしている。そして、正直に言ってくれた事を

受け入れ、怒っていない事をハッピー達は口にした。

そして、泣き出すピース。

アギト「良かったね、ピース」

ピース「う、うん!良かったよ~~~!」

内心、ホッとしていた時。

 

アカ「お~い、終わったオニか?高が嘘でうるさい奴らオニ!」

 

そう言って伸びをしているアカオーニとアカンベェ。

あいつの言葉にピースが怒ったような表情を浮かべた時、私は

ピースの肩に手を置いた。

ピース「あ、アギト?」

アギト「……大丈夫」

 

そう言うと、みんなより一歩前に出る私。

   「人間界には、こんな諺があるわ」

アカ「オニ?」

アギト「『嘘も方便』。必ずしも嘘が悪い訳ではない、とする

    意味の言葉よ。……けど、じゃああんたの嘘は

    何だって言うのよ」

アカ「オニ~?嘘が何だって?そんなの決まってるオニ!

   騙して慌ててる奴を見て、笑うオニ!それの何処が

   いけないオニ!」

アギト「……あっそ。……かつて私も、嘘をついたわ」

 

その言葉に、ピースがハッとなる。

その意味を知っているからだ。

 

   「自らの正体を隠し、みんなに嘘をついた。

    ……方便などと言い訳をするのには、程遠い嘘をね。

    けど、あんたの他人を傷つけるだけを楽しむ嘘と、

    それを謝りたい気持ちを持つやよいちゃんの嘘を

    一緒にするな!」

アカ「お、オニ!?」

私の裂帛の叫びにあいつが一瞬怯む。

アギト「嘘は嘘でも、あんたのとは違うのよ!」

ピース「アギト……」

アギト「そして、私は戦う!かつての嘘の贖罪!かつて嘘で

    隠したこの肉体で!アギトの力で!友達を

    守る為に!」

私が叫んだ、次の瞬間。

 

   『カァァァァァァッ!』

オルタリングの中央で緑色の光が溢れ出した。

これって、また新しい力が?

……良いわよ!やってやるわ!

そう思った私は、右腰のスイッチを2回、叩いた。

 

すると、私の足が緑色の光に包まれた。

そして、その光が止んだとき、私の足は、正確にはその足に

履いたブーツとロングスカートが変化していた。

 

見た目は普通だったブーツが、今はメカニカルになって

私の脛を全体的に、膝の僅か下辺りまでを覆っていた。

そして、そのメカニカルなブーツの上を緑色のエネルギーラインが

走っていた。ロングスカートも変化に合わせ、金色だった色合いが

緑色に変化している。

 

それこそ、アギト第4の覚醒。これまでのフォームよりも、

速度と、もう一つの事に特化したフォームだ。

 

アギト「これって……」

ハッピー「もしかして、アギトの新しい力?」

後ろで見ていたみんなを代表するようにハッピーが呟く。

アカ「一体何なんだオニ!アカンベェ!まずはアギトから

   踏みつぶすオニ!」

   『アカンベェ!』

そこに、ローラーを使ってアカンベェが突進してきた。

アギト「ッ!」

   『バッ!』

咄嗟に上に跳躍する私。

アカ「逃がすなアカンベェ!」

   『アカン……!』

そこに、急停止したアカンベェが私の真ん前で拳を振りかぶる。

やられる!!

そう思った時、私は後ろに飛ぶことをイメージした。

そして、次の瞬間不思議な動きを感じた。と、次の瞬間。

   『ブォォンッ!』

私の目の前をアカンベェの拳が空ぶった。

なっ?どうして?

疑問符が頭をよぎる。と、その時私は自分の足首が

光っているのに気づいて視線を下に向けた。そして、気づいた。

メカニカルなブーツの足首外側に、小さな緑色のエネルギーで

出来た翼が左右合わせて3対展開されていた。

これって、エネルギーで出来た翼?

 

その時、私は初めて滞空している事に、宙に浮いている事に

気づいた。

ハッピー「あ、アギトが……」

ピース「飛んでる」

そうか。このフォームは、空中を移動するためのフォーム。

だったら!!

 

そう思った私は一度大きく旋回してから加速してアカンベェに

突撃した。

アカ「アカンベェ!迎え撃つオニ!」

   『アカン……!』

再び奴が右腕を振りかぶる。あのアカンベェの体つきなら、

上に攻撃出来るのは両手だけ!だったら!

   『ベェ!』

拳が繰り出される。けど私は攻撃に対し体を捻って回避。

そのまま更に前へと進んで……。

アギト「はぁっ!」

   『ドゴォッ!』

アカンベェの顔面に、思いっきり両足飛び蹴りを叩き込んだ。

   『アカンベェ~!』

ズズンと音を立てながら倒れるアカンベェ。

これが、私の新しい力。

 

 

それこそ、アギトの新たな力だ。

速度ならば、ストームフォームと言う存在がある。しかし

その力は更なる速度と力を持って、アギトを重力の縛りから

解放する。それこそ、アギト第4の力。

 

―――天を駆ける風の俊足、≪ウィンディレッグ≫―――

 

それを備えた、ウィンディフォームだ。

 

私はウィンディレッグを見つめながらも、すぐにピースの方に

視線を向けた。

アギト「ピース!私にピースサンダーを!」

ピース「え!?」

驚くピース。けど、私は真剣だ。そして、その事が伝わったのか

ピースは力強く頷いてくれた。

 

   「私、みんなからいっぱい優しさを貰った!その優しさが、

    私に本当の事を言う勇気をくれた!だからこそ、私

    わかった!みんなを悲しませる嘘なんて、

    絶対ついちゃダメなんだって!」

そう叫び、スマイルパクトを取り出し構えるやよい。

   「はぁぁぁぁぁっ!」

そして、気合が集まり技が発動する。

   「プリキュア!うわぁっ!ピースサンダー!」

 

キュアピースの放った技が空を飛ぶ私に向かって来る。そして、

それが私の体に命中する。

アギト「あぐっ!!!ぐ、うぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」

アカ「はっ!味方の攻撃を喰らうなんて馬鹿な奴オニ!」

アギト「バカか、どうか!それを試してやるさぁぁぁぁぁっ!」

 

咆哮と共に、私は天高く舞い上がると、今度はアカンベェに

錐揉み回転を加えながら加速していった。

   「喰らえぇぇぇぇぇぇっ!!!ユニゾン、

    インパクトォォォォォォォッ!!!!!」

アカ「ッ!?アカンベェ!避けるオニ!」

回転し、雷撃を纏ったままの私はそのままアカンベェに

突進した。そして……。

あいつの言葉が命令が届くよりも先に、私の蹴りが

アカンベェに届いた。そして……。

   『ボォォォォォォンッ!』

   『アカンベェ………』

 

無事に中心核を浄化する事が出来たのだった。

 

   『シュタッ。ガクンッ』

ピース「アギト!」

アカオーニが撤退するのを見ながら着地した私は、

地面に膝をついた。そんな私に駆け寄るピース。

その時、私は……。

アギト「やったよ、ピース」

そう言って息を切らせながらもサムズアップをして見せた。

対して、ピースは……。

ピース「うん!……ありがとう、アギト」

そう言ってほほ笑んでくれるのだった。

 

ちなみに、今回手に入ったのはプリンデコルだった。

 

 

その後、クラスに戻ってみんなに嘘の事を説明する

やよいちゃん。結局、エイプリルフールの事を説明すると

みんな納得してくれたみたいで、一安心だった。

ちなみにその後、みゆきちゃん達からやよいちゃんに反撃があって、

私は苦笑する事しか出来ないのだった。

 

 

そんな帰り道。私はやよいちゃんと一緒に歩いていた。

今は自転車を押して歩いている。

やよい「あの、ね。黄金ちゃん。今日はありがとう。

    色々後押ししてくれて」

黄金「ううん。良いんだよ気にしなくて。それが私の

   やりたい事だったから」

やよい「そっか。……あ、所で黄金ちゃん。最後のあれって

    何?ユニゾン・インパクトって?」

黄金「あ、あ~あれ?いや~、それがその、急に思いついた

   合わせ技だったから、適当な事口走っただけだったん

   だけど……。迷惑、だったかな?」

やよい「ううん。そんな事無いよ。とってもかっこよかったよ」

黄金「そっか。……ありがとうやよいちゃん」

 

その後、T字路に差し掛かった私達。

  「それじゃあ、私こっちだから」

やよい「うん」

そう言って、私は自転車に跨った時だった。

   「あ、あの。黄金ちゃん」

黄金「うん?何?」

後ろから声を掛けられ、振り返る私。みるとやよいちゃんが

何やらモジモジしていた。

やよい「えっと、その。また、明日!学校でね!」

その言葉に、私は。

黄金「うん!そうだね!また明日!学校でね!」

そう言って特に理由も無いので、笑みを浮かべながら返事をして、

バイバイ、とだけ言って自転車を漕ぎ出した。

 

 

その時の黄金は、頬を僅かに赤くしながらも自らを見送る

やよいに、気づいていないのだった。

 

     第9話 END

 




ここで、読者の皆さんにお願いなのですが……。
『みらいのともだい』の戦いを第10話の後に投稿しようと
考えています。
しかし、最終局面でキュアライダー化されていない
仮面ライダーアギト本編の『ギルス(エクシードギルス)』か『アナザーアギト』の
どちらを出すか予定です。しかし私はギルス、アナザーアギトの
双方が好きすぎて悩んでいます。こっちが良いと言う意見が
ありましたら、コメントの程、よろしくお願いいたします。

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