スマイルプリキュア!~新たなるプリキュア、その名はキュアアギト!?~ 作:ユウキ003
また、次回は劇場版、みらいのともだち編を投稿したいと思います。
加えて、最初はG3が参加しない方向だったのですが、読者様からの
アドバイスを頂き、この度G3とG4の両方を参加させる形に
なりました。
早くとも13、4話辺りではチラッとでも出したいと思っています。
~~前回までのあらすじ~~
新たな力、ギルスの力に不安を覚えつつも日常を
過ごす黄金。そんな彼女の耳に、やよいの
転校の話が入って来た。驚き放心する黄金。しかし逆に
それがきっかけで、やよいの転校がエイプリルフールの
嘘である事に気付いたのだった。
その事を知り、やよいと話をしつつも彼女の味方であろうと
する黄金。その後もアカオーニが襲来したり、アギト第4の
力が覚醒したりしつつも嘘をみゆき達に、クラスメイト達にも
打ち明け事無きを得たやよい。そして彼女はそんな中で
黄金に対する気持ちを募らせるのだった。
やよいちゃんの転校騒動から少ししたある日。
みゆき「あかね!」
やよい「ちゃんが!」
な・れ「「店長ぉっ!?」」
黄金「ほえ~~~」
と、登校して朝のHRが始まるまでの間に、あかねちゃんから
そんな話を聞かされた私達。
何でも数日前、あかねちゃんのお店で店の片づけをしていた
お父さんがギックリ腰を患って病院に搬送されてしまったらしく、
週末に町内会の会長さんがお店のお好み焼きを食べにくるん
だとか。それで一時はキャンセルって話になったみたいなん
だけど、何でもあかねちゃんがやるって言い出したんだとか。
あかね「でぃひひひ♪まぁ店長ってゆうても父ちゃんが
良くなるまでの手伝いやねんけどな」
と、言っているあかねちゃんの傍で目を輝かせるみゆきちゃん。
すると……。
みゆき「あかねちゃん!偉い!」
やよい「あかねちゃんすご~い!」
あかね「え?いやぁそれ程でも、あるでぇ!」
『ズコッ!』
まさかのそっち!?思わずずっこける私。
黄金「いやいや、あかねちゃん」
なお「それを言うなら、それほどでもない、でしょ?」
れいか「うふふ」
と、そんなやり取りをする私達6人。
なのだけど……。
あかね「タダな、最大の難関は日曜日やねん」
黄金「日曜日?」
みゆき「どうかしたの?」
と、疑問符を浮かべる私とみゆきちゃん。
あかね「町内会長さんらが、ウチで食事会する事に
なってんねん」
れいか「あ、確か町内会長さんは美食家だと伺った
事があります」
みゆき「び、美しょ……」
なお「グルメって事だよね」
みゆき「あぁ!」
なおちゃんの説明にポンと手を叩くみゆきちゃん。
しかしグルメな人となると……。
黄金「生半可な物は出せないよね。料理人としては」
あかね「そや。黄金の言う通りやねん」
やよい「どういう事?」
あかね「実はその町内会長さん、ウチでお好み焼き食べるの
初めてや無いねん。前に来た時は、今まで食べた中で
一番美味いって父ちゃんのお好み焼き褒めてくれたんや。
だから今度もがっかりさせへんようにやるっきゃないねん」
やよい「あかねちゃんちのお好み焼き、ホント美味しいもんね~。
家で食べるのとは一味も二味も違うね、ってママと
話してたんだ~」
黄金「私も何度か行った事あるけど、やっぱり市販の物とは
違うかな~。あれ食べちゃうとスーパーのとかじゃ
もう満足できないよね」
やよい「そうそう!」
と、語る私達を見て、何やらみゆきちゃんが食べたそうな
表情を……。ってみゆきちゃん涎垂れてるよ。
みゆき「へ~!聞いてたらお腹空いてきちゃった~!」
キャンディ「キャンディも食べたいクル!」
と、二人そろってそんな事を言うもんだから……。
あかね「よっしゃぁっ!じゃあみんな一回家に帰って、
それからウチのお店に集合や!」
みゆき「やった~~!」
と、言う事で私達は放課後、あかねちゃんのお店に
お邪魔する事になった。
そして放課後、私達は私服に着替えてあかねちゃんの家に
集まった。
私達5人の前で調理をするあかねちゃん。
今、鉄板の上でお好み焼きを焼いてる所。みゆきちゃん達は
それに興味津々。そんな時。
れいか「あら?」
黄金「ん?れいかちゃんどうかしたの?」
何かに気付いたのか、明後日の方を向いているれいかちゃん。
私もそっちに視線を向けると、そこにはお店の暖簾が
掛かっていた。あれ?でもあれって……。
れいか「あかねさん」
あかね「ん?」
れいか「お店の名前、もしかして」
と、呟きながらみんながれいかちゃんの視線を追ってお店の中に
ある暖簾に目を向けた。そこには、こっちから見ると逆さま
だけど、ちゃんと「あかね」って書いてある事が分かった。
あかね「あぁうん。ウチの名前から取ったんやて。
ウチが生まれた年に店ぇ始めたらしくって、
娘のように大事にしようって意味なんやてぇ」
と、恥ずかしそうに語るあかねちゃん。
れいか「素晴らしい由来ですね」
黄金「うん、私もそう思う」
あかね「え、えへへ、おおきに」
私とれいかちゃんが褒めると、あかねちゃんは顔を赤く
しながらそう言った。
そんな中、お好み焼きの良い匂いが立ち込めて来た。
みゆき「うわ~~♪待ちきれな~~い♪」
と、そう言っているみゆきちゃんと、同じように表情を
ほころばせているキャンディ。
そんな二人に私が苦笑したりしていると、あかねちゃんが
手にしたてこを使って器用に6枚のお好み焼きをひっくり返した。
5人「「「「「お~~~!」」」」」
その手際に私達5人は驚いた。
その後、みんなしてお好み焼きを食べ始めた。
黄金「う~ん、美味しい~。やっぱり一度ここのを
食べちゃうと、他のじゃ満足できないよ~」
みんなも私も、笑みを浮かべながらお好み焼きを
食べていた。そこへ。
???「ただいま~」
何処からか男の子の声がした。
あかね「げんき」
げんき「なに~?」
何やら男の子が一人返ってきたけど、あれって私達の学校の
制服じゃ……。
なんて思っていると、厨房の方に男の子を連れてくるあかねちゃん。
あかね「弟のげんき」
げんき「ど~も」
あかね「ん?ちゃんと挨拶しぃ」
って、いやいやあかねちゃん。さっきの『弟のげんき』って
紹介も結構雑なんじゃ……。
そう思いつつ私は苦笑していた。で……。
げんき「いや~お調子者の姉がいつも迷惑かけてすんません」
め、迷惑って。
私やみゆきちゃん達はげんき君の言葉に苦笑を浮かべた。
そんな中、げんき君は残っていたお好み焼きの食べたの
だけど……。
「まぁまぁ美味いやん。父ちゃんのとはちょっと味
ちゃうけど」
え?味が、違う?
そう聞いた私は、自分のお好み焼きに視線を落としてから、
もう一度あかねちゃんのお好み焼きを食べた。
ゆっくり、しっかり咀嚼してから飲み込む。
…………。あ、確かに。
自惚れる訳じゃないけど、私だって一家でレストランを
営むシェフの娘。舌には自信があるし、知識だってそこそこある。
だからかもしれないけど、分かる。確かに私が両親と来た時に
食べているいつものお好み焼きと、『何か』が違う。
そして私がその事を考えている間に、あかねちゃんは
日曜日の食事会に向けて、げんき君の言っていた隠し味を
見つけるって言い出していた。
みゆき「私も手伝うよ!」
と、みゆきちゃん達4人が頷く。で、当然私も……。
黄金「洋食の知識くらいしか無いけど、手伝うよ。
私に出来る事があったら何でも言って」
と、参加する事にした。
あかね「みんな、ありがとう!」
そして、その後、あかねちゃんから渡された三角巾で
頭を覆い、エプロンをかけた私達は早速隠し味探しを
始めた。
私とあかねちゃん、れいかちゃん、なおちゃんが厨房で。
みゆきちゃん、やよいちゃん、キャンディはテーブル席で、
それぞれ集まっていた。
「いつもの材料はこんな感じや」
私達4人の前に、材料一そろいが置かれている。
なお「う~ん、黄金はどう思う?」
と、私に話題を振るなおちゃん。
黄金「ウチは洋食屋だし、和食に関しては素人の域を出ないから
言える事は少ないけど……。隠し味、かぁ。付け加える
としたら、生地かソースのどっちか、或いは何かの
調味料を少々、或いはここにはない食材がある、って
所かな~」
なお「って、言ってもねぇ」
う~ん、と唸りながら食材を見る私となおちゃん。
れいか「隠し味ですから、スイカに塩をかける要領でしょうか?」
あかね「スイカに塩ぉ?」
れいか「えぇ。甘い物には辛い物、辛い物には甘い物などを
程よく加えると味が引き立つとおじい様が」
なお「ウチじゃぁ、カレーにすりおろしたリンゴを入れるよ」
黄金「他にも、カレーにならコーヒーの粉末やチョコなんかも
あるね。私も料理で何度か試した事があるんだ。
アイスに醤油を一滴、何てのもあるよ」
あかね「ほえ~。そんなんあるんか~」
黄金「これは、全く違う味を同時に舌で味わう事で、逆に
一つの味をより引き立てる事、対比効果って
言うらしいよ。まぁ、お父さんからの受け売り
なんだけどね」
あかね「ほうほう。しかし、お好み焼きに合う甘いもんか~」
黄金「いや、そこは塩味の方じゃないかな?お好み焼きの
ソース、ウスターソースはどちらかと言うと
甘い方だから、塩味を追加している可能性もあるよ。
唯……」
あかね「ただ?なんや?」
黄金「仮に手を加えるにしても、ソースと生地のどちらかに
手を加えたのかも分からないし……。ごめん、
言っておいてあれだけど、私には隠し味の方は
ちょっと……」
なお「そっか。あ、ゴマ油は?ちょっと入れると風味が出て
香ばしくなるよ」
と、私達で話をしていると……。
『ジュゥゥゥゥゥゥッ!』
み・や・キャ「「「わぁぁぁぁぁぁっ!」」」
何やら盛大な音と悲鳴が聞こえて来て、そっちを見ると……。
あかね「何してんの?」
巨大プリンを鉄板の上で焼いているみゆきちゃん達。
みゆき「これがホントの焼きプリン!」
そんなプリンを見ながら苦笑する私とあかねちゃん達。
その後、私達は各々アイデアを出したりあかねちゃんから
アドバイスを貰ったりしながらお好み焼きを作り、みんなで
味見したのだけど……。
あかね「あむっ」
残っていた最後の一切れを食べるあかねちゃん。
黄金「どう?」
と、私が聞くと、あかねちゃんは目を瞑って静かに首を横に振った。
あかね「これじゃアカン」
みゆき「そっか~。十分美味しいけどな~」
れいか「やっぱり、秘伝の隠し味ですから」
なお「そう簡単には見つけられない、か」
みんな、そう呟きながらあかねちゃんの方を見る。
すると、あかねちゃんが少しだけ俯いてから……。
あかね「やっぱ父ちゃんはすごいなぁ!」
不意に笑みを浮かべながら呟いた。
黄金「え?」
あかね「照れくさくってゆうた事無いけど、ウチな、父ちゃんの事
尊敬してんねん」
そう言って、あかねちゃんはお父さんの事を語りだした。
尊敬できるお父さん、か。
その時の私は、あかねちゃんの言葉の意味が分かる気がした。
その後、あかねちゃん曰く『意地張ってもしゃあない』って事で
病院に入院しているあかねちゃんのお父さんの元へと
向かった。
ロビーであかねちゃんを待っている私達。
そんな時だった。
みゆき「あ、そう言えば」
黄金「ん?どしたの?」
みゆき「今思い出したんだけど、黄金ちゃんのお家も
お店やってるんだよね?」
黄金「うん、洋食レストラン『TUGAMI』。苗字の
津神をローマ字で表してるんだ」
みゆき「へ~。どんな料理なの?」
黄金「料理としては、パスタやサラダ、ハンバーグに
リゾットなんかを扱ってるよ。お店としては、
私が生まれる少し前から始めてるみたいだから、
もう15年はやってるのかな?」
みゆき「へ~!すご~~い!」
黄金「えっと、この中だと、なおちゃん達は来た事あったっけ?
前あかねちゃんが家族の人と一緒に来た事
あったけど、やよいちゃんもこの前お母さんと
来てたよね?」
やよい「うん。私はあそこのカルボナーラが大好き
なんだ~。お母さんはボロネーゼがお気に入りだよ」
みゆき「へ~!」
なお「私とれいかは、中学に上がる前とかちょくちょく
行ってたよね」
れいか「はい。二人してよくお昼を頂きました」
みゆき「みんな良いな~。お話聞いてたら私お腹
空いてきちゃったよ~!」
キャンディ「キャンディもクル!」
黄金「ふふ。それじゃあ、ご来店お待ちしております。なんて」
と、そんなやり取りをしていると……。
「あ。あかねちゃんが戻って、って、あれ?」
その時、私が一番にあかねちゃんに気付いたんだけど、肝心の
あかねちゃんは何やら沈んだ表情をしていた。
何でも話を聞くと、隠し味を教えてもらえなかった上に
色々と言われてしまったらしい。
で、更に啖呵切ってしまったらしく、引くに引けない
状態になってしまったあかねちゃん。
食事会までは後3日。それまでにやるしかない。
黄金「ともかく、まずは隠し味になりそうなものの
調達。後はそれを使って作ってみるしかないね」
あかね「そやな。さて、そうと決まれば、まずは
買い出しや!」
み・や・キャ「「「おお~~~!」」」
こうして、再び私達のチャレンジが始まった。
スーパーで香辛料や調味料、野菜を買った私達は、早速
お店に戻って試作と味見を繰り返した。
学校の図書館でも使えそうな本を探し、学校が終われば
みんなでお店に集まって試作、弟のげんき君にも
試食してもらってはいるけど、一向に完成の目途は
立たなかった。
そんなある日。
『キュッ、キュッ』
その日の夕方、私はあかねちゃんと二人で皿洗いをしていた。
他の皆は用事があるとかで先に帰っちゃったけど、せめて
後片付けくらい、と思って手伝っていた。
そんな時だった。
あかね「なぁ黄金」
黄金「ん?」
あかね「ウチ、出来るやろか。父ちゃんの味の再現」
皿を洗っていた時、不意にあかねちゃんの手が止まって、
俯いたまま話しかけて来た。
その表情と声色に不安が混じっているのは、超能力を
使わなくても分かった。
お店の看板をしょって立つ。
そのプレッシャーがのしかかっているんだと思う。
それは多分、私の想像を絶するくらい、中学生のあかねちゃんには
重い重圧なのかもしれない。
だったら、私は私に出来る事、言える事を言うだけ。
黄金「それは……。私には分からないかな」
あかね「え?」
黄金「それに、多分その疑問には誰だって答えられないよ。
未来なんて、誰にも分からない。だから、成功
するか失敗するか。それは誰にも分からない。
私はそう考えてる」
あかね「黄金」
黄金「けど、それは可能性の話。きっと、あかねちゃんが
頑張った分だけ、可能性は少しずつでも上がって行く。
最初からあきらめるのは簡単だと思う。私も最初は
アギトの事で、みんなと友達になんてなれない、
正体がバレたらそれまで。最初っからそう思って、
みんなの事を頭から否定してた。そんな事、必要
無かったのに」
あかね「……」
黄金「……だから思うの。諦めるのは簡単だけど、そこで
立ち止まったら、本当にそれまで。だから自分に
出来る事で立ち向かう事が大切なんだ。って、私はそう思う」
あかね「そっか。……そやな!やれるやれないや無い!
ここまで来たら、やらなアカンねん!ウチが
父ちゃんのお好み焼き作って、町内会長さんを
幸せにしたる!」
私の言葉に、吹っ切れたのかガッツポーズをするあかねちゃん。
それを見ていた私はクスッと笑みを漏らした。
黄金「ふふっ」
あかね「な、なんや黄金、笑わんといて。恥ずいって」
黄金「あ、あぁごめんごめん。ちょっと昔にあった事を
思い出しちゃって」
あかね「昔にあった事?」
と、聞き返しながら食器洗いに戻るあかねちゃんの隣で、
私は少しだけ昔話をしようと思った。
黄金「あれは、私がまだ幼稚園生の頃の話なんだ。
ある日の朝、私は玩具片手に調理場に走って行ったの。
お母さんの止める声も聴かずに。そしたら走って来た
私を見た途端、お父さんが『何やってんだっ!』って
スゴイ剣幕で怒り出してさ。それが凄い怖くて、
それからしばらくはお父さんを避けるようになったんだ」
あかね「そんな事があったんやな」
黄金「うん。普段は優しいお父さんがどうしてあそこまで
怒るのか、あの時の私には殆ど分からなかった。
でも、中学に上がる少し前から、分かるように
なったんだ。厨房に立つお父さんの表情は真剣
その物。お母さんだってそう。その時初めて、私を
あの時怒ったのが家族としての父じゃない。
一人の料理人の父なんだって、思い知った。
そしてそれを知った時、お父さん達が仕事に、
レストランの事にどれだけ真剣なのかが分かって、
二人の背中がとても大きく見えるようになった」
あかね「大きな背中、かぁ」
黄金「うん。……この前のあかねちゃんの、お父さんをスゴイ
褒めてる姿を思い出して、私もきっと、お父さん達の
背中が大きく見えるようになったあの日は、きっと
あの時のあかねちゃんみたいなキラキラした目で、
二人を見てたんだろうな~って思ってさ」
そう言って話を振ると、あかねちゃんは顔を赤くした。
あかね「そ、そんな事言わんといて。めっちゃ恥ずいやん」
黄金「ふふ、ごめんごめん」
そう笑みを浮かべつつ私は食器洗いに戻った。
そんな時。
あかね「ありがとうな、黄金」
恥ずかしいのか少しだけ顔を赤くしたあかねちゃんの言葉が
聞こえた。それを聞いた私は……。
黄金「友達だもん。当然だよ」
そう言って笑みを浮かべるのだった。
その後、私達は街の地域振興のイベントでお好み焼きの
屋台を出店。
みゆきちゃん、やよいちゃんがげんき君、あかねちゃんの
お母さんと一緒に屋台の当番を。私となおちゃん、れいかちゃん
はあかねちゃんと一緒にお店で会食用のお好み焼きを
試作していた。
その後、私達は試食用のお好み焼きを手にイベント会場へと
向かった。でも……。
『ブワッ!』
突如として空が夜になり、私達の傍を歩いていた人たちが
項垂れ黒いオーラに包まれた。
まさかこれって!
『キィィィィンッ!』
その時、私の頭の中で金切音が成り響き、奴らの出現を
伝える。
黄金「こっち!付いて来て!」
慌てて気配がする方へと走る私達。
そして、たどり着いたのはイベントが行われている広場
だった。
そこでは……。
ウル「バットエナジーとお好み焼き、両方いっただきま~す!」
あの狼男、ウルフルンが居た。
黄金「ッ!あいつ!」
キャンディ「ウルフルンクル!みんな!変身クル!」
その声と共に、私はお好み焼きの入ったビニール袋を置くと、
いつものポーズでオルタリングを召喚する。
みんなも、スマイルパクトを取り出している。
『レディ!』
黄金「はぁぁぁぁ………!」
息を吐きながら、私は右手を前に突き出す。
み・あ・や・な・れ「「「「「プリキュア!スマイルチャージ!」」」」」
『ゴー!ゴーゴー!レッツゴー!』
黄金「変身!」
『カチッ!』
『VUUUUUN!!!』
みんなが光のパフで変身する中、私の体をオルタリングの光が
包み込んで、アギトへと変身する。
ハッピー「キラキラ輝く未来の光!キュアハッピー!」
サニー「太陽サンサン熱血パワー!キュアサニー!」
ピース「ピカピカぴかりじゃんけんポン♪キュアピース!」
マーチ「勇気リンリン直球勝負!キュアマーチ!」
ビューティ「しんしんと降り積もる清き心!キュアビューティ!」
アギト「神が生みし悪を絶つ戦姫!キュアアギト!」
6人「「「「「「6つの光が導く未来!輝け!
スマイルプリキュア!」」」」」」
ウル「出やがったなプリキュア。俺の食事の邪魔はさせねぇぜ!」
そう言うと、奴はいつもの赤い球体を取り出した。
「出でよアカンベェ!」
すると、ソースのカップとハケに融合したアカンベェが
誕生してしまった。
『アカンベェ!』
こちらにプレス攻撃を仕掛けてくるアカンベェ。私達は
咄嗟に周囲へと散って攻撃を回避する。
そして、アカンベェは狙いをサニーに定めるとそのハケを
振るった。
アギト「サニー!」
動けなかったサニーをお姫様抱っこで抱えて飛ぶ私。次の瞬間、
私の背中のあちこちに謎の液体が付着する。
何とかサニーを守りつつ着地したんだけど、私の背中や
サニーがガードでクロスした腕にくっついた
液体が見る間に変色していき……。
「なにこれ!?体にくっついて……はがれない!」
サニー「ソースやない!これは、接着剤!?」
ビューティ「ッ!皆さん気を付けて!」
『アカンベェ!』
ハッピー「うわわわわっ!?」
今度は、ハッピーとピースを狙って接着剤を飛ばすアカンベェ。
驚き動けない二人の前に、パラソルを盾にしたビューティが
飛び込んで攻撃を防いだ。
私の方は、動けるけど体が普段より重い。どうすれば……。
そう思っていると、ウルフルンは私達が持って来たお好み焼きを
がっつくように食い始めた。
サニー「あぁ!ウチの焼いたお好み焼き!」
止める暇もなく、奴の胃袋の中に消えていくお好み焼き。
と、その時、アカンベェからの攻撃が止んだ。
不審に思いパラソルから顔を出すハッピーとピース。
すると……。
ハッピー「あれ?うわぁぁぁぁぁっ!」
顔を出し、すぐさま驚くハッピーとピース。なぜなら、
アカンベェの肉体が徐々に大きくなっていっているから。
明らかに、奴の体が太くなっている。
パワーアップ?!でも何でこのタイミングで!
キャンディ「きっとウルフルンがお好み焼きを食べた
せいクル!」
ハッピー「そうなの!?」
くっ!?そんな情報初耳なんですけど!
でもやるしかない。
そう思った時。
『アカンベェッ!』
アカンベェが3人の近くにハケを叩きつけ、爆風で吹き飛ばされた
3人に接着剤が付着。そのまま3人をビルの壁にくっつけてしまった。
アギト「ハッピー!ピース!マーチ!」
ビューティ「皆さんっ!」
これでまともに戦えるのは、私とサニーとビューティだけ。
その時。
ウル「ウルッフッフ。人間の喰いもんも中々だったぜ」
サニー「え?!ホンマ!おおきに!」
敵の言葉を誉め言葉と受け取り、感謝するサニーに私は
一瞬だけずっこけた。
アギト「サ~ニ~?」
サニー「はっ!?おおきにちゃうわ!」
ウル「あぁ?何でお前が礼を言うんだよ?」
サニー「それ作ったん、ウチやからな」
ウル「は~。ま、こんなもん誰が作っても同じだけどな」
サニー「同じちゃう!どんなに頑張っても、父ちゃんと同じ
味にならへんから悩んでんのに!」
ウル「そんなしょ~も無い事で悩むなんざ、下らねえなぁ」
何だと?!
マーチ「下らない!?」
ピース「あかねちゃんの一生懸命さをバカにしないで!」
ウル「一生懸命とかどうでも良いんだよ。腹ん中に入ったら
全部一緒じゃねえか。大体これ、失敗作なんだろ?」
サニー「クッ!?」
ウル「偉そうな事言ってんじゃねえよ」
その言葉に、サニーが泣きそうになる。その時。
アギト「失敗?いいえ違うわね」
私はサニーの肩に手を置き、彼女の前に出る。
「ある人が言っていたわ。失敗は成功の母。
何事にも完璧などありはしない。料理もそう。
人によって、スパイスの量、焼き加減、一工夫。
全てが異なる。……ウルフルン、一つ教えて
上げるわ」
そして、私はゆっくりとウルフルンを指さす。
「確かに食事は腹を満たすための物。だけど、
舌で料理を味わうのもまた食事!
あなたにはそれが分かってない!」
ウル「何だと?」
アギト「何度失敗しても、常に上を目指す事。それは
誰にだって出来る事じゃない。頭の中で囁く、
諦めと言う名の悪魔。苦しいから、これくらいなら、
ここまで来れば。そうやって囁きに負けて
諦めることは簡単。でも、人は常にその先を
目指す事だって出来る!あかねちゃんのように!
……料理も心も、諦めなければそれこそが進歩の証!
誰かをお好み焼きで幸せにしたいって言うあかねちゃんの
思いが詰まった料理。料理のりの字も知らないお前に、
笑う資格なんて無い!」
サニー「ッ!」
その時、サニーは頭の中で思い出す。父の言葉、そして、
母の言葉を。
「そうか。……そうか!そうかぁっ!!
分かったで~~!父ちゃんの隠し味~!」
その時、天を仰ぐサニーの声に、私達5人とウルフルンが呆けた
声を漏らす。
「食べた人に元気になってもらいたい。その気持ちを
ギュウギュウ詰めに籠める!それが父ちゃんの、
お好み焼き『あかね』の隠し味や!」
その言葉に、私は一瞬呆けた表情をしてから、笑みを浮かべた。
アギト「……料理は愛情、か」
そして、私も両親の姿を思い起こした。
ウル「何言ってんだ。アカンベェ!さっさと片付けろ!」
その言葉に、構えるビューティ。だけど……。
『カチッ!』
私は右側のスイッチを叩き瞬く間にフレイムフォームへと
姿を変えた。だけど、それだけじゃない。
アギト「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
『ゴォォォォォォォッ!』
変身と同時に、私を基点に炎の火柱が上がった。
ウル「あっつ!?テメェ!何してやがる!」
アギト「ふっ!簡単よ!接着剤が取れないのなら、
ボロボロになるまで熱波で乾燥させるだけよ!」
『ボォォォォォォォォォッ!』
更に火力を上げる。更に……。
サニー「よっしゃぁ!ウチも、やったるで~~~~!」
隣に居たサニーも体から炎を噴出させる。
ア・サ「「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」
私とサニーの炎が一つになり、それは極大な炎の渦となって
舞い上がる。
炎の柱と化した私達に、流石のアカンベェも手出しができない。
そして……。
『ピシッ!ピシピシッ!』
私達の体に付着していた接着剤が見る間に乾燥し、固まり、
更に罅割れて行く。最後には……。
『ビシシッ!バリィィィィンッ!』
音を立てながら接着剤だった物は砕け散った。
『ア、アカン!?』
ウル「そ、そんな馬鹿な!?」
驚く奴らを後目に、私とサニーは視線を合わせ……。
アギト「行きますか」
サニー「おう!」
互いに笑みを浮かべながら言葉を交わした私達は飛び出した。
地面を、炎を吹き出しながら滑るサニー。
そして……。
「はぁっ!」
炎を纏ったアッパーがアカンベェを天に打ち上げる。
そして、私は……。
アギト「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
気合と共に、グランドフォームの時と同じキックの型を
描く。すると足元に、真っ赤に燃えた炎のアギトの紋章が
現れ、それが私の足先に集中する。そして……。
「だぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
飛び上がって更に体全体を炎で覆い、さしづめ炎の弾丸と
なってアカンベェを真下から更に蹴り上げた。
『ドゴォォォォォッ!』
体全体を焦がしながら、アカンベェは更に上へと打ち上げられた。
その時。
サニー「アギト!」
下からサニーが大きくジャンプし、私に向かって来た。サニーの
表情を見た私は、大きく手を伸ばす。
サニーも私に向かって手を伸ばした。
そして、私がサニーの手を掴んだ次の瞬間。
アギト「行っけ~~~~~~!」
『ブォォォンッ!』
アギトの腕力を持ってサニーをアカンベェの居る場所まで
投げた。
アカンベェの眼前に相対するサニー。そして……。
サニー「プリキュア!サニーファイヤー!」
炎のボールをアカンベェに叩きつけた。
それによって、アカンベェは無事浄化されたんだけど……。
デコルはキャンディがキャッチしたけど……。
あわわわ!サニーが落っこちてくる~~~!
アギト「ととととっ!」
慌ててキャッチの姿勢を作り、私は何とかサニーを
お姫様抱っこでキャッチした。
「だ、大丈夫サニー?」
サニー「平気や平気。……その、ありがとな」
アギト「え?」
サニー「さっき、ウルフルンにビシッて言うてくれたやん。
だからその、ありがとう」
顔を赤くしながら呟くサニー。そんな彼女を
その腕に抱きながら、私は……。
アギト「どういたしまして」
笑みを浮かべながら呟くのだった。
その後、会食の日がやってきた。
結果は……。
会長「これは……。美味しい!」
文句なしのハナマル。町内会長さんからも褒められた。
みんなと喜んでいるあかねちゃん。
黄金「あかねちゃん」
私は声を掛けながら手を上げる。それに気づいてあかねちゃんが。
あかね「へへ、おおきに!」
『パァンッ』
そう言って私とハイタッチをするのだった。
第10話 END
次回は劇場版です。お楽しみに!