スマイルプリキュア!~新たなるプリキュア、その名はキュアアギト!?~   作:ユウキ003

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本当は一気に全部書き上げるつもりだったのですが、序盤の時点で
一万五千字に届く勢いだったので、分割しました。
もしかしたら中編、後編と3話に分けるかもしれません。


みらいのともだち編 前編

——異世界から持たされた力は、その世界において異質な力となる——

 

——だが同時に、その異質な力は時に不条理な未来をぶち壊す——

 

 

そして、その異質な力を持った少女がこの世界にいた。

 

その日、一人の少女が趣味のローラースケートで町中を滑っていた。

と、その時。

   『キィィィィィィン!』

唐突に少女、『津神黄金』の頭の中に金属音が響いてきた。

 

ッ!この感覚は……。

彼女は、訳あって力を手にしていたのだ。そして、その力は

敵の存在をキャッチするレーダーのようにもなっていた。

が、彼女は今、普段とは異なるその波動に驚きつつ、

困惑していた。

 

この感じ、マジョリーナやウルフルンじゃない。

でも嫌な感じがする。

  「………。行かなきゃ」

静かに呟いた私は、足早に近くにあった図書館の中に移動した。

そして、図書館の奥の方の本棚を使って『本の扉』を開き、

自分の第六感が指し示す方向へと向かった。

やがて私は本の扉を通ってどこかの書店の中に飛び出した。

すぐに周囲を見回すけど、暗い書店内に人影がない。

 

よかった。誰にも見られてない。ん?でもまって、

今は確か昼間。なんでここ、こんなに暗いの?

 

それによって、見られていない事を安堵する黄金だったが、

すぐに書店の中が暗い事に疑問を抱いた。

 

どうして?今は昼間なのに。……人もいない。

と、その時だった。

   『ドォォォンッ!』

  「なっ!?爆発!?」

建物の外で爆発音が聞こえ、書店の中もグラグラと揺れて

無数の本が本棚から落ちた。

慌ててドアを探して外に出た私は、そのまま爆発音の

した方に目を向け、驚いた。

今、私の視界に、巨大な某怪獣王みたいな姿をした怪物が居たから。

黄金「何、あれ?」

アカンベェ?って、そんなわけない。あんな大きいのは

見たことないしピエロっぽくない。

と、その時私はその怪物が何かと戦っている事に気付いて、

私の力、アギトの力で強化された視覚で戦っている相手に

注視した。そして……。

なっ!?あれって……。

  「プリ、キュア?」

 

彼女はその目に映った者たちを見て驚き、呟いた。

それもそうだろう。何故ならその者達、というのが黄金が

共に戦っている仲間、スマイルプリキュアと同じように

様々な色を基調とした服装と人間離れした力で怪物と

戦っているからだ。

 

まさか、みゆきちゃん達以外にもプリキュアが?

と、私が考えていたその時。

ブラック「ハァっ!」

視界の中で、戦っていたプリキュアと思う女の子が

怪物の放った赤黒いエネルギーの塊を避けた。

でも、その先には……。

 

市民「きゃぁぁぁぁぁっ!」

  「に、逃げろぉぉぉぉぉっ!」

 

突如として怪物が出現したために理解が追い付かず逃げ遅れた

横浜の市民が居た。

ブラック「ッ!しまった!」

それに気づいたプリキュアの一人、『キュアブラック』を

始め数人のプリキュアが向かうが、間に合うか微妙な所だ。

女の子「うぅぅっ!」

迫りくる光に怯え、傍にいる母にしがみつく女の子。

と、その時。

   『ダダダッ!』

不意に誰かが彼女の傍を駆け抜けた。

   「え?」

視線を駆け抜けた人物に向ける少女。それは着ていたパーカーの

フードを目深にかぶった黄金だった。そして……。

 

黄金「変身っ!!」

   『VUUUUUNN!!』

バイクのエンジン音のような音と共に瞬く間にアギトの力を

解放し変身する黄金。

  「はっ!!」

そして走る速度を緩めずに、足元にアギトの紋章を出現させ

それを足裏の一点に集めつつ跳躍。そして……。

  「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

必殺のライダーキックをエネルギーの玉にぶつけ、更に……。

  「こんのぉぉぉぉぉぉっ!!!」

アギトの力を混ぜ合わせ、威力その物を増した上でエネルギー弾を

『蹴り返した』。

そして、彼女のキックで蹴り返された塊は、一直線に怪物、

フュージョンの顔面に向かって良き……。

   『ドォォォォォンッ!』

盛大に爆発した。

フュー「グォォォォッ!」

同時にフュージョンが呻きながら倒れた。

   『シュタッ!』

エネルギーを蹴った反動で女の子や逃げ遅れた市民の前に

着地するアギト。

女の子「プリ、キュア?」

 

 

私の後ろに居た女の子が呟く。……私はプリキュアじゃないん

だけどな~。

そう思っていると私の前に、他のプリキュア達もやってきた。

ブラック「もしかして、あなたは新しいプリキュアなの?」

 

やはり、この人たちから見ても私はプリキュアに似てるらしい。

アギト「私はプリキュアに似てるだけです。勘違いしないで

    下さい」

私は少しばかりそっけない態度でそう言い放った。

その言葉にそのプリキュアだと思う人たちが戸惑っていた、その時。

後ろから無数の細いレーザーが向かってきていた。

   「はっ!!」

私はプリキュアの人たちを飛び越えその後ろに着地するとすぐさま

ベルト左のスイッチを叩き、風を纏いながらストームフォームに

変身。ストームハルバードを取り出して盾のように高速回転させ

風の力もプラス。巨大な風の盾を作り出してレーザーの軌道を逸らした。

そして、どうやらみゆきちゃん達の先輩らしき皆さんは私の

姿を見るなり驚いている。

ホワイト「姿が、変わった」

 

どうやら、金色から青くなった上着と左腕に驚いているみたいだ。

その時。

フュー「小癪なぁぁぁぁぁぁっ!!」

あの化け物の体から触手みたいなものが現れ突進してくる。

それを見た私はハルバードに風を纏わせ、砲弾か投げ槍の

ように投擲した。けど、ハルバードはいくつかの触手を破壊

しただけで弾かれてしまった。

最も、それくらい分かってた。

ドリーム「危ないっ!」

後ろで叫ぶ人たちを無視しながら、私は右のスイッチを叩き、

体を炎に包みながらフレイムフォームに姿を変え、

ベルトからフレイムセイバーを引き抜く。

ルミナス「っ!?また姿が!」

 

そして……。

アギト「ハァっ!」

超感覚で触手の動きを捉え、気合と共に迫りくる触手を次々と切り裂く。

けどキリがない。

そう思った私は前に出て触手を交わし、セイバーに炎を纏わせ、

フレイムフォームの研ぎ澄まされた感覚を使って、

一瞬の隙を突き……。

   「ふんっ!!」

さっきのハルバードのように、弾丸のように怪物の額目掛けて

セイバーを投げつけた。

投げられたセイバーは一直線に飛んでいき、奴の額に突き刺さり

その皮下に炎を流し込んだ。

フュー「ぐぉぉぉぉぉぉっ!!!」

体の中に7000℃の炎を流し込まれ、悶える化け物。

倒し切れてはいないけど、時間稼ぎには十分だ。

 

そう思うと私は再びグランドフォームへと変化し、一歩足を

前に出すのと同時に、もう一度足元にアギトの紋章を描く。

更に、頭部の角、クロスホーンを展開。

メロディ「あ、あれって角?!」

アギト「はぁぁぁぁぁぁ……」

それをポーズと共に、足裏へと吸収し、駆け出す。そして…。

   「はっ!!」

勢いよく跳躍。念力の力で自分自身を砲弾のように打ち出す。

   「だぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

   『ドゴォォォォォッ!』

フュー「ぬぉぉぉぉぉぉぉっ!?!?」

奴の腹に必殺の蹴りが命中し、奴は盛大に倒れたけど倒し切るまで

には行かなかった。

奴の体を蹴って先輩プリキュアの近くに戻る私。正直、奴は

アカンベェ以上に固い。

今の私の力じゃ、あいつを完全に消滅させる事は出来ない。

しかし、ここにはみゆきちゃん達の先輩もいる。

私の物理攻撃は無理でも、この先輩たちならもしかしたら……。

その事を思った私は少し無責任かもしれないけど、

踵を返して先輩たちの隣を通り過ぎようとした時。

アギト「すみませんが、あれの後始末、お任せしても良いですか?」

ブラック「え?」

アギト「言いましたよね。私、プリキュアじゃないって。だから私

    浄化技使えないんです。なので、あれ、任せても良いですか?」

ブラック「う、うん」

私は黒いプリキュアの人が頷くのを確認すると一人プリキュアや

フュージョンに背を向け歩き去った。

 

そして、遠くからフュージョンが浄化されるのを目にしつつ、私は

本の扉を使って七色ヶ丘へと戻ったのだった。

黄金「ふぅ」

変身を解除しつつ、人気のない図書館の中に着地する私。

それにしても、まさかみゆきちゃん達以外にプリキュアが居た

なんて。ちょっと驚いたな~。

 

と、一人そう思いながら黄金は図書館を後にした。

それが、始まりの一戦に過ぎないと知らないまま。

 

 

その翌日。その日は休日だったので私は家でのんびりしていた

のだけど、突然みゆきちゃんから電話が来てすぐにふしぎ図書館に

来て欲しいと言われた私は、すぐに図書館に向かった。

そこで……。

 

みゆき「黄金ちゃん!これってどういう事!?」

たどり着いて早々、切り株のログハウスに入ると私に新聞を

突き付けるみゆきちゃん。

私は驚きつつもその新聞を受け取り、一面に描かれている事を

声に出して読み始めた。

 

黄金「え~っと?『昨日正午過ぎ、横浜みなとみらいに謎の巨大

   生物が出現。フュージョンと名乗った生物は周囲に対し

   攻撃を開始するも、突如として出現した戦士、プリキュアの

   活躍により怪物は討伐。奇跡的に死傷者は無かった』、か。

   あ、この写真私だ」

と、文章を読んでいた時、私の目が新聞の端に載せられていた

私自身、つまりアギトの写真を見つけた。

でのんきにも呟いていると……。

 

れいか「黄金さん。これは一体どういう事でしょうか?」

にっこりと、(怖い)笑みを浮かべるれいかちゃん。

怖い怖い!ホントそれは怖いよれいかちゃん!何!?私

怒られるようなことしたかな!?

黄金「え、えっと。アギトの力でヤバそうな気配を感じたから

   追ってって、それで横浜に」

みゆき「ど~して私達を呼ばなかったの~?」

ぷく~っと頬を膨らませているみゆきちゃん。うんごめん。

みゆきちゃんのそれ、全然怖くない。むしろ可愛いよ。

って、そうじゃなくて……。

 

黄金「あ、あの時は偶々外に居たし、携帯とか電話が近くに

   無かったから」

と、咄嗟に言い訳というか、理由を説明する私。

あかね「そうやったんか。けどな黄金。今度からは

    一人で無理したらアカンよ」

黄金「うん。分かってる。……と言っても、向こうじゃ

   みゆきちゃん達の先輩と一緒に戦ったんだけどね」

そう言うと、私はテーブルの上に新聞を置き、みんなは

新聞の一面に載せられたプリキュアの写真を覗き込んだ。

 

やよい「まさか他にもプリキュアが居たなんてね」

なお「今朝テレビで姿を見た時は驚いたよ。黄金は

   先輩たちと会って話したの?」

黄金「ううん。そんなには。アギトの姿の時に2、3言葉を

   交わしただけだよ」

それにしても、まさか先輩が居たなんてね~。って、あれ?

な~んか誰かを忘れてるような。……あ。

  「ねぇねぇ、そう言えばキャンディは?見かけないけど……」

周りを見回した私はキャンディが居ない事に気付いてみんなの方に

声を掛けた。

みゆき「あ、そうそう。言い忘れてたけど、キャンディは

    妖精の集まりがあるとかで居ないよ」

黄金「え?妖精の、集まり?」

と、私は首を傾げながら言葉を繰り返すのだった。

 

 

場所は変わってとある場所。

そこではプリキュアのパートナー妖精たちが集まって

戦勝会、まぁつまりはパーティーをしていた。

そして、集合していない他の妖精メンバーを待っていた時だった。

タルト「しっかし、あの金ぴかのプリキュアにはホンマに

    驚いたな~」

と、みんなに紅茶を配りながらもそう呟いたのは

フレッシュプリキュアのパートナー妖精の『タルト』。

シプレ「姿を色々変えててびっくりしたですぅ」

コフレ「剣や槍、いろんな武器を使ってたですっ」

と、相槌を打つのはハートキャッチプリキュアの

パートナー妖精である『シプレ』と『コフレ』。

キャンディ「クル?みんな、何の話をしてるクル?」

しかし、唯一あの現場に居なかったキャンディは疑問符を

浮かべる。

 

タルト「あぁ実はな。横浜の戦いんときに正体不明の

    プリキュアが現れたんや」

キャンディ「正体不明のプリキュア?どんなプリキュアクル?」

シプレ「え~っと。髪は金色で~、ポニーテールにしてたですぅ」

ポプリ「後は金色の上着を着てたでしゅ」

と、付け加えたのはシプレ達と同じハートキャッチプリキュアの

パートナー妖精でシプレ達から見て後輩とも言える『ポプリ』だった。

   「それにベルトみたいなので変身したり、姿を変えたり

    してたでしゅ」

キャンディ「ベルト、姿を変える、金色の、ポニーテール。

      ……あ」

と、教えられた事をイメージしていくと、キャンディの脳内で

アギトの、黄金の変身シーンが再生された。

     「もしかして、そのプリキュアって赤くなったり

      青くなったりしたクル?」

タルト「え?そういやぁ、確かにベルト叩いて姿を変えてたな」

ハミィ「キャンディは何でそんな事知ってるニャ?」

と、問い返したのはスイートプリキュアのパートナー妖精

である『ハミィ』だった。

 

キャンディ「その子の名前はキュアアギト!キャンディたち

      スマイルプリキュアと一緒に戦う、プリキュアじゃ

無いけどとっても強い仲間クル!」

タルト「プリキュアやない、ってどういうこっちゃ?その

    キュアアギトはんはプリキュアとちゃうん?」

キャンディ「キャンディもよく知らないけど、アギトに変身する

      黄金が自分でそう言ってるクル。似てるけど

      違うって」

ハミィ「そう言えば、あの時もそんな事言ってたニャ」

顎に手を当て、あの戦いの時のアギトのプリキュアじゃない発言を

思い出すハミィ達。

 

ちなみにその後、パーティー会場に実は撃破されていなかった

フュージョンの欠片が現れひと悶着あったのだった。

 

 

一方、ふしぎ図書館のログハウスに居るみゆきと黄金たち。

みゆき「ねぇねぇ黄金ちゃん。黄金ちゃんは私達の先輩と

    会ったんだよね。どんな感じだった?」

黄金「え?う~ん、どんなって言われても……。私が

   駆けつけた時はもう変身してたし、数は全員で……。

   2、30人くらい、だったかな?後はまぁ、モチーフの

   色がやっぱりみゆきちゃん達と似てた」

れいか「似ていた、とは?」

黄金「何て言うのかな。服の色?それが大体ピンクだったり

   黄色、白や黒にオレンジ、青。スカートを穿いてたり

   髪の色がどこか特徴的だったり、まぁ雰囲気、って

   言えば良いのかな。そこがみんなに似てた感じ」

と、少しあやふやではあるけど、とりあえず説明する私。

やよい「へ~」

あかね「まぁ確かに似てるっちゃぁ似てるな」

新聞の写真を覗き込み、頷くあかねちゃん。

そしてそのまま、6人で談笑していた時だった。

 

   『バンッ!』

キャンディ「クル~~!」

不意にハウスの扉が開いてキャンディが飛び込んできた。

     「大変クル~~~!」

そう言いながら机の上に飛び乗りアワアワと慌てるキャンディ。

え?何々?どうしたの?

黄金「お、落ち着いてキャンディ。どうしたの?」

未だに慌てるキャンディを抱き上げ、落ち着かせる私。

キャンディ「そりが、実はバラバラになったフュージョンが

      まだ生きてて横浜のあちこちに居るクル~!」

みゆき「えっ!?」

あかね「フュージョンってこの化け物の事かいな!?」

驚くみゆきちゃんと、新聞の写真をキャンディに見せる

あかねちゃん。

キャンディ「そうクル~!また集まる前に倒さないと大変な

      事になるクル~!」

そう言って慌てているキャンディを見てから、私達6人は

互いの顔を見て頷いた。

 

みゆき「行こう!横浜へ!」

5人「「「「「うんっ!」」」」」

 

こうして、私達はフュージョンが残っているとされる横浜へと

急いで向かった。

 

 

一方、そのころ、横浜に引っ越して来たばかりの一人の少女が

居た。彼女の名は『坂上あゆみ』。

彼女はつい最近横浜に越して来たばかりで、学校でも

友人が出来ずにいた。そのため、ここ最近はどこか

憂鬱な日々を過ごしていた。

 

そんな学校の帰り道。

 

あゆみ『やだ。毛虫?』

ふと、帰り道を歩いていたあゆみは、道端で小枝についた

葉っぱの裏で何かが動いている事に気付いた。

最初はそれを避けて通るあゆみだったが、振り返ると

驚きながらもそれが毛虫で無い事に気付き、モゾモゾと

動く『何か』の方へ近づき、恐る恐ると言った感じで

枝を退かした。

 

すると、葉っぱの下から現れたのは黄色いスライムの

ような不定形の生物だった。

そしてあゆみは、その生物が自分に懐いた事から

「ふーちゃん」と名前を付けて家に連れ帰るのだった。

 

 

それが、壮絶な戦いの始まりの一幕である事など、

露知らず。

 

一方、本の扉の力で横浜へとやってきたみゆき達6人と

キャンディ。

そして今、7人は赤レンガ倉庫の辺りに集まっていたのだが……。

 

みゆき「お~~~い!フュ――」

黄金「ストォォォォォォォップ!!!!!」

私は、咄嗟の事だったけどバカ丸出しとも取れる恰好で

叫ぼうとしていたみゆきちゃんを止めて、姿勢を正させる。

みゆき「も~!なんで止めるの黄金ちゃん!」

黄金「ダメ!あれはダメ!女の子としても人としても

   アウトッ!」

加えて、そんなみゆきちゃんの傍に居る所を見られでも

したら……!

完全に私の羞恥心がデッドヒートしちゃうから!

とにかく、みゆきちゃんを落ち着ける私。

  「ハァ。あのねみゆきちゃん。私達はフュージョン

   ってのを探してる訳だけど、仮に呼んだとしても

   は~いなんて言って出てくるわけないでしょ?」

キャンディ「黄金の言う通りクル!」

あかね「けど、じゃあどうやって探すん?」

黄金「う~ん。……この前の時は私のアギトレーダーが

   反応したから、それを試してみるしか

無いかな~?ただ……」

なお「ただ?どうしたの?」

黄金「分裂して小さくなってるって事は向こうの力も

   落ちてるだろうから、レーダーにもキャッチ

   出来ない程小さくなってるかもしれない。

   そこはまぁ、探してみないと分からないんだけど」

れいか「そうですか。……それでは皆さん、別れて探す

    というのはどうでしょう?」

やよい「別れてって、どんな風に?」

れいか「私達は丁度6人いる訳ですから、私となお。

    やよいさんとあかねさん。みゆきさんと

黄金さんの、3組に分かれて辺りを探して

見ましょう」

黄金「わかった。じゃあ集合はどうする?」

 

れいか「それでしたら、2時間後にこの赤レンガ倉庫前に

    集合と言う事で」

黄金「うん。……あ、じゃあ迷ってみんなと合流出来ない

   時は、仕方ないから5時に、図書館のログハウスで

   落ち合おう」

なお「そうだね。じゃあ2時間後に出来ればここで。

   それでも合流出来なかったら、5時にログハウスで」

やよい「わ、わかった!」

あかね「おっしゃぁ!探すで~!」

 

と、言うわけで私達は3組のチームに分かれ、フュージョン

探しに出発した。

 

私はみゆきちゃんと一緒になって歩きつつ、出来るだけ

アギトレーダーを広範囲に広げる。

何とかレーダーの力を操作して、弱い力でも感知できる

ようにしたのだけど……。

黄金「……。ハァ。ダメだぁ」

私は大きくため息をついた。

レーダーの感知できる設定は出来たけど、そしたら今度は

街に居る人たちの存在まで感知しちゃって……。

例えるのなら、レーダー画面が赤い光点で真っ赤に埋め尽くされて

いるような感じ。これじゃ感知できても人か

フュージョンか判別できないよ~。

……ハァ。ここは地道に足で探すしか、って、あれ?

不意に私は近くにみゆきちゃんが居ない事に気付いて

周囲を見回した。

そしてすぐに屈んだ姿勢のまま歩くみゆきちゃんを

見つけたんだけど、って!!

  「みゆきちゃん!前前!」

みゆき「ぶっ!」

???「わぁっ!?」

私の警告も遅く、みゆきちゃんが学生服姿の女の子の

背中にぶつかった。

あ~も~。何やってるのみゆきちゃん。

 

慌てて私が駆け寄ろうとしていると、制服姿の女の子が

謝ってすぐに行ってしまった。

って、そこは悪いのみゆきちゃんじゃ……。

そう私が思っていた時。

 

みゆき「待って~~~~!」

ちょぉっ!?みゆきちゃん急に駆け出した!?しかも

何かすんごい形相でさっきの子追いかけ始めたし!

   「待って~~~~~!」

黄金「いやそれ以前にみゆきちゃんが止まりなさ~~い!」

慌てて私もみゆきちゃんの後を追った。

 

途中、制服の子が誰かにぶつかってしまったみたいだけど、

構わずに逃げてる。

みゆき「待って~~~~!」

黄金「だからまずみゆきちゃんが止まりなさ~~い!!」

ぶつかった人たちの集団を躱して走るみゆきちゃんと

それを追う私。そして、更になぜか……。

  

???「待って~~~!」

黄金「えぇぇぇっ!?あなた誰?!」

あゆみ『ふ、増えてる!何で~~!?』

その事態に黄金とあゆみは困惑するのだった。

 

女子中学生を追う二人の女子。その一方を追う女子。

……もはやある種のカオスである。

そして、とうとう4人は海辺からどこかの市街地まで

走っていた。

泣きながら走るあゆみ。それを追うみゆきともう一人の

少女。更に二人を追う黄金。

 

あ~もう!

何だかんだでカオスだよ状況!何これ!?

理解不能な状況に困惑と苛立ちを覚える黄金。

???「ちょっと待った~~~~!」

その時、みゆきちゃんじゃない、もう一人の人が

制服の子を追い越して通せんぼをした。それに

驚いて制服の子と私はブレーキをかけたけど……。

みゆき「あ~~~!止めて~~~~!」

 

あ~!みゆきちゃんの方は止まれずに……。

   『ドタ~~~~ンッ!!』

盛大にもう一人の人に突っ込んで倒れてしまった。

黄金「お、お~いみゆきちゃ~ん?

   大丈夫ですか~?」

恐る恐ると言う感じで砂埃の方に近づくと……。

 

み・?「「だぁぁぁぁぁぁぁっ!」」

うわぁっ!?何か砂埃吹き飛ばして二人が出て来た!

しかも私の隣の制服の子、今悲鳴上げてたよ!?

大丈夫!私もちょっと怖かったから!

 

そして、みゆきちゃん達が怯える制服の子の方に

歩み寄るんだけど、そこは私が……。

 

   『ゴンッ!』

みゆき「はうっ!?」

   『ガンッ!』

???「えぇっ!?」

まず私が制服の子の前に立って、二人をぶっ叩いて止めた。そして……。

 

みゆき「な、何するの!黄金、ちゃ、ん?」

視線を上げるみゆきちゃん。だけど私を見るなり段々

言葉が尻すぼみになって行く。

それはそうかもしれない。だって……。

黄金「何をしているのかは、私が聞きたいな~?

   二人とも、町中で女の子をあんなに追いかけ

   回すなんて、ちゃんとした理由があるんだよね?

   無いなら、もう一発、だよ?」

そう、今の私は怒りモードに入っていました。

キッと二人には私の背中に『ゴゴゴゴゴッ』と言う

擬音と炎、鬼の面が見えているはず。

み・??「「ひぃぃぃぃぃぃっ!?」」

ガクガクと震える二人を見つつ、私は息をついて怒りを

収めてから後ろの制服の子の方に振り返った。

黄金「ごめんね、友達が迷惑かけちゃったみたいで」

あゆみ「あ、えっと、その……」

黄金「とりあえず、話だけでも聞いてあげて。流石に

   変な理由であなたを追いかける程バ、変な子

   じゃないから」

あ、危ない。危うくバカと言いかけてしまった。

あゆみ「う、うん」

で、相手の子が頷いてくれたので私は二人の方に

振り返った。

黄金「それで、二人は何でこの人を追いかけたの?」

みゆき「あ、えっと。私、ちょっとよそ見してて。

    さっきはぶつかちゃってごめんなさい」

???「私の方も、さっきぶつかった時手があなたの

    ブレスレットに当たっちゃって。

    壊れなかった?」

あぁ、何だそう言う事か。

あゆみ「だ、大丈夫!」

???「ホント?」

みゆき「痛くなかった?」

と、私が制服の子の隣で息をついている間に色々

聞いたりしているみゆきちゃんともう一人の人。

あゆみ「全然。私もブレスレットもホントに大丈夫だから」

その事を聞くと、二人は……。

み・?「「良かった~~~」」

と、揃って安堵した様子だった。そんな姿に笑みを浮かべる

私と、何やらキョトンとしてる制服の子。

あゆみ「それを言う為にわざわざ追いかけて来たの?」

うん、そうだよね~。そんな予想普通は出来ないよね~。

……しかも真顔で追って来るんだもん。そりゃぁ、

怖いよね~。

み・?「「うん」」

私が色々考えてる中、制服の子の言葉に二人が頷く。

 

その後、私達3人は制服の子を見送った。

のだけど……。

みゆき「あの~、ちょっと聞きたい事があるんだけど……」

???「あ、私も」

 

み・?「「ここ、どこ?」」

黄金「ハァ」

二人の言葉に私はため息をついた。

一難去ってまた一難。問題が解決すると、また新たな問題が

発生しました。

 

 

その後、私達は互いの友達を探したけど、見つからずに今は

公園のベンチに座っていた。

 

ベンチに座るみゆきともう一人の少女、『北条響』。

響「どうみゆきちゃん?」

みゆき「う~んいない」

と、響の言葉に、半ば落ち込み気味に答えるみゆき。

黄金「結局、殆ど周囲なんて見ないまま走ってたからね~」

そこへ近くの自販機で飲み物を買った黄金が戻って来た。

 

  「はい。みゆきちゃん。響さんも」

響「あ。ありがとう」

自販機で買って来た飲み物を二人に渡した後、私はベンチの

手を置くところに腰を預けるようにして立つ。

 

黄金「手がかりはなし、みたいだね」

みゆき「うん。ハァ~~。どうしよ~」

パタパタと足を振るみゆきちゃん。

まぁ、合流出来なかったら5時にログハウス集合って

言ってあるし、大丈夫だとは思うけど……。

そう思いながら、缶のプルタブを開けてジュースを飲む私。

響「どうする?他の場所も探してみる?」

みゆき「どうしよっかな~。……でも、響ちゃんも友達と

    一緒に来たんでしょ?探さなくて良いの?」

響「う~ん。多分会えるから」

黄金「多分って」

その言い分に、私は苦笑を浮かべた。何とも根拠のない

事を……。

みゆき「どうして?」

響「あ~。それは~……」

 

と、話をしていた時。

ハミィ「お一つどうぞニャ。奏のカップケーキニャ」

キャンディ「そりはどうもクル」

あ、何かキャンディが響さんの鞄の喋る猫から

カップケーキ貰ってる。

……良いなぁ。……ん?あれ、何か違う?喋る猫。

喋る、猫?……猫ぉっ!?!?

 

   『ッ~~~~!!!!』

黄金「げほっ!げほっ!げはっ!!!!」

突然の事で、私は飲もうとしていたジュースが気管支に

入って盛大にむせてしまった。

そして私が驚いている脇で……。

 

みゆき「猫がっ!?」

響「子豚が!?」

み・響「「喋ったぁぁっ!?」」

 

ちょ、これ、ホントにどうなって……。

何とか咳を収めつつ、涙目でみゆきちゃん達の方を

向く私。

キャンディ「キャンディは子豚じゃないクル!」

ハミィ「ハミィとキャンディはお友達ニャ!」

と、友達?妖精仲間とか、そう言う事?

ん?待ってよ。って事はまさか……。

 

友達、という単語に勘付いたのか、みゆきちゃんと向き合う

響さん。二人の顔を交互に見ていた私。

と、その時。

 

   『シャッ!!!』

不意に私達の眼前に緑色のスライムの様な物が通り過ぎて行った。

みゆき「今のは!?」

キャ・ハ「「フュージョンクル!(ニャ!)」」

ッ!?あれが!?

みゆき「あれが!?ど、どうしよ~!」

慌てだすみゆきちゃん。その時。

響「ハミィ!行くよ!」

ハミィ「合点ニャ!」

響さんが相棒(?)のハミィを連れて駆け出した。それを見た

私は……。

 

黄金「私もっ!」

みゆき「えぇっ!?待ってよ~!」

咄嗟に駆け出し、それに遅れてみゆきちゃんがキャンディを

抱えてついてきた。

 

緑スライムみたいなフュージョンは横浜中華街へと移動し、

それを追う響さんとハミィ。それをさらに追う私達3人。

そこへ、更に街のあちこちから緑色のスライム、

フュージョンの欠片たちが集まってくる。

みゆき「ふ、増えた!?」

黄金「ッ!?」

  『まさか、融合合体して元に戻る気じゃ』

と、そんな事を考えていた時、私とみゆきちゃんの横を

3人の人影が追い越す。

 

って、今の人たち、どこかで見たような……。

一瞬、その3人に既視感を覚えた私だったけど、3人は響さんに

追いつくと何やら会話をし出した。

響さんの知り合い?それも、会話からしてかなりの仲のように

思える。まさか……。

 

と、私が考えていると響さん達4人は路地裏に入って行って

しまった。それを路地の方から見る私とみゆきちゃん。

そこで見たのは……。

 

響・奏・エ・ア「「「「レッツプレイ!プリキュア!

          モジュレーション!」」」」

 

みゆきちゃん達以外の、プリキュアの変身する姿だった。

そして、その時になって私はさっきの既視感の意味を

理解した。

そっか。さっきの3人に響さん。この前の戦いのとき

チラッとでも姿を見ていたから。

なんて思っていると、皆さん変身を終えて名乗りに入ろうと

していた。

 

メロディ「爪弾くは荒ぶる調べ!キュアメロディ!」

リズム「爪弾くはたおやかな調べ!キュアリズム!」

ビート「爪弾くは魂の調べ!キュアビート!」

ミューズ「爪弾くは女神の調べ!キュアミューズ!」

4人「「「「届け!4人の組曲!スイートプリキュア!」」」」

 

スイート、プリキュア。みゆきちゃん達スマイルプリキュア

とも違う、別のプリキュア。

って、そんな事を考えているとみゆきちゃんが……。

みゆき「うぉぉぉぉっ!プリキュアだぁぁぁっ!」

リズム「ッ!?見られちゃった!?」

あ、そっか。先輩たちは私やみゆきちゃんの事知る訳無いか。

と、私が先輩たちの驚きの理由に納得していると……。

メロディ「大丈夫だよ」

みゆき「よ~し!私も!」

そう言ってパクトを取り出すみゆきちゃん。

 

   『レディ!』

   「プリキュア!スマイルチャージ!」

   『ゴー!ゴーゴー!レッツゴーハッピー!』

瞬く間にプリキュアに変身するみゆきちゃん。

ハッピー「キラキラ輝く未来の光!キュアハッピー!」

 

こうして、みゆきちゃんは先輩たちの前で変身した。

リズム「う、嘘!?プリキュアだったの!?」

ハッピー「はい!キュアハッピーって言います!

     って、黄金ちゃん!黄金ちゃんも早く~!」

と、私をせかすみゆきちゃん。それによって先輩たちの

視線が私に集まる。

っと、そうだった。それじゃ次は私も。

 

   『バッ!ババッ!』

左腰元で両手首をクロスさせてから、右手を一度前に突き出し

肩の辺りまで引き戻す。

   『KYUUUUN!!』

すると、光と共に私の腹部にベルト、オルタリングが現れる。

ミューズ「ッ!?あのベルト、まさか!」

   『QUOON……QUOON……』

黄金「はぁぁぁぁ……」

息を吐き出しながら右手を前に押し出すのに合わせ、オルタリングが

胎動する。

そして……。

  「変身ッ!!」

   『カチッ!』

   『VUUUUUN!!!』 

気合と共に叫び、ベルトの両スイッチを叩く。そして

エンジン音のような音と共に私の体が一瞬歪み、

私はキュアアギトへと変身した。

 

メロディ「あ~~~~!!あなたは!」

そして、私の姿を見るなり私を指さして驚くメロディ先輩。

アギト「昨日ぶり、というのは変ですかね?」

そう言って私はお辞儀をした。

   「それより、早くフュージョンを追いましょう。

    あいつら、港の倉庫街の方へ向かってます」

メロディ「っと、そうだった!」

 

そして、私達は建物の上を跳躍する形でフュージョンの

後を追った。

ビート「あなたもプリキュアで、そっちのあなたはこの前の

    子だったのね」

アギト「あの時はすみません、この前は任せるような形に

    なっちゃって。けど、今回は最後まで手伝いますから。

    っと、まだ名乗ってませんでしたけど、私は

    アギトです。よろしく」

ミューズ「えぇ。よろしくアギト」

    『見た所プリキュアに似てるけど……。ううん、

     でもやっぱり、何かが違う』

 

密にそう考えるミューズ。しかし彼女は頭を振って意識を

フュージョンに戻し、深くは考えなかった。

そして、6人は埠頭のコンテナ置き場までフュージョンを

追いかけた。

 

   『ケケケッ!』

そして、緑色の火の玉みたいになったフュージョンが私達

に向かって襲い掛かって来た。

4人「「「「はぁぁぁぁぁぁっ!!!」」」」

それを先輩たちが迎え撃ち、吹き飛ばす。そこに吹き飛ばされた

後ろから一回り大きい個体が出て来た。でも……。

 

アギト「おぉぉぉぉぉぉっ!」

先輩たちを飛び越えた私の飛び蹴りがそいつを吹っ飛ばす。

再び敵とぶつかり合った先輩たちは四方に散っていく。

 

その時ハッピーは戸惑いつつもコンテナの上から戦いを

見守っていたけど、メロディ先輩の相手していた個体が

真っ直ぐハッピーに向かって行った。

危ないっ!

そう思った私はすぐさま右腰のスイッチを二回たたく。

 

緑色のスカートとメカニカルなブーツ、ウィンディレッグ

が展開され、私はレッグの力で飛翔した。そして……。

   「させないっ!」

ハッピー「アギト!」

驚き動けないハッピーの前に滑り込んだ私は、右足に力を

籠める。そして……。

アギト「はぁっ!」

体を捻り、向かって来るフュージョンに回し蹴りを

叩き込んだ。

   『キンッキンッ!ガゴォォォォンッ!』

吹っ飛ばされ、ピンポン玉みたいに跳ねてからコンテナに

めり込むフュージョン。

   「ハッピー!フィニッシュ!」

ハッピー「あ、うん!」

私の叫びを聞いて、ハッピーが技を放つ。

 

    「プリキュア!ハッピーシャワー!」

桃色のエネルギーを放ち、浄化消滅させるハッピー。

そこに、今度は私が相手していた個体が背後から向かって来た。

アギト「ッ!ハァッ!」

   『ドゴッ!』

でもそれに気づいた私が振り返って殴り飛ばす。

そして、グランドフォームに姿を戻してキックの態勢を

作る。

角が6本に開き、足元にアギトの紋章が現れる。

   「はぁぁぁぁぁ……!」

開いた手を動かしながら、突き出した左足を引き、

力を溜める。そして……。

   「はぁっ!」

一気に飛び上がり、空中でキックの態勢を作る。

   「だぁぁぁぁぁぁっ!」

   『ドゴォッ!バゴォォォンッ!』

キックが決まり、吹っ飛ばされたフュージョンの欠片は

コンテナに突っ込むのと同時に爆散した。

 

   「ふぅ」

それを見て、息をつく私。と、そこへ先輩たちが

集まって来た。

リズム「二人とも大丈夫?」

ハッピー「は、はい。何とか」

アギト「……ッ!来ます!」

不意に、残っていた3体が近づいてきたのに気づいて私が

叫ぶ。すると、残っていた3体が融合して紫色の

巨体へと変化してしまった!

 

ハッピー「が、合体して大きくなった!?」

アギト「くっ!?」

   『あのサイズ、私のキックで消滅させられるかな!?

    いや、やるしか!』

ファイティングポーズを取る私。けど、そんな私の前に

メロディ先輩が手を出して制止した。

メロディ「ここは私達に任せて。みんな、一気に決めよう!」

リ・ビ・ミュ「「「うん!」」」

 

そう言うと、先輩たちは必殺技の構えを作った。

メ・リ・ビ「「「駆け巡れ!トーンのリング!」」」

ミューズ「シの音符のシャイニングメロディ!」

 

メロディ「プリキュア!ミュージックロンド!」

リズム「プリキュア!ミュージックロンド!」

ビート「プリキュア!ハートフルビートロック!」

ミューズ「プリキュア!スパークリングシャワー!」

 

先輩たちの放った技は、三つのリング、音符型のエネルギーの

群れとなって紫フュージョンに向かって行く。

そして、大きなエネルギーの球体がフュージョンを覆い、更に

その上から3つのリングが覆いかぶさる。そして……。

 

メ・リ・ビ・ミュ「「「「三拍子!1、2、3!

           フィナーレ!」」」」

 

先輩たちが持っていた武器を振って三角形を描き、

そして掛け声とともに、爆発と共にフュージョンを消滅

させてしまった。

 

すごい。これが先輩たちの力、か。

隣にいるハッピーと同じように、私も声こそ出していないけど、

先輩たちの力に驚いていた。

ビート「フュージョンが、あれだけとは限らないわ」

アギト「ッ。……そうですね。奴らはまだこの街に、

    横浜に散っているだけ」

ミューズ「えぇ。あれは文字通り氷山の一角。

     早く残りを見つけて倒さないと」

と、そんな話をしていた時。

 

れいか「何だったのかしら?今の爆発」

ん?この声ってもしかして。

私やハッピー、先輩たちは声がする方に振り返った。

やよい「こっちの方から聞こえて来たよ」

すると、コンテナの影からあかねちゃん達4人が

現れた。

なお「あ!居た!」

あかね「何やっとんねん!こんな所で!」

ハッピー「あかねちゃん!みんな!」

まさか合流できたなんて。まぁ、フュージョンの欠片処理も

出来たし、一石二鳥かな?って、あれ?先輩たちが……。

 

隣にいた先輩プリキュア達が居ない事に気付いて、私と

ハッピーは周囲を見回す。そして、気づいた時には先輩達は

少し離れたコンテナの上に居た。

ハッピー「あれ!?行っちゃうの!?」

リズム「私達、他のフュージョンを探してくる!」

メロディ「ハッピー!アギト!まったね~!」

 

そう言うと、先輩達はどこかへと行ってしまった。

ハッピー「かっこいい~♪」

それを、どこかキラキラした目で見送るハッピー。

私はそんなハッピーを横目に少しだけ笑みを漏らした。

 

 

だが、少女達は、プリキュア達はまだ知らない。

 

この局地的ともいえる戦いは、単なる前哨戦の一つ

でしかない事を。

 

本当の戦いは、これからだった。

 

   みらいのともだち編 前編 END

 




描き上げられたら、次回で最後まで行きたいと思います。

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