スマイルプリキュア!~新たなるプリキュア、その名はキュアアギト!?~ 作:ユウキ003
そして最後の方ではプリキュアらしさから離れて色々
シリアスぶっ込んでます。
~~前編のあらすじ~~
ある日、プリキュアと似て非なる戦士に変身する力を
持った少女、津神黄金は邪な力を感じて横浜へと向かう。
そこで黄金は自らの力、アギトの力を使って敵、
『フュージョン』と戦いつつも共に戦うプリキュアの、
更に先輩達に当たるプリキュアの存在を知る。何とか
フュージョンを退けたプリキュア達。しかしフュージョンは
肉体がバラバラになっただけでまだ生きている事を知る黄金と、
彼女と一緒に戦うスマイルプリキュアの面々。
黄金やスマプリの面々も横浜に向かい、先輩プリキュアの
一チームであるスイートプリキュアと出会い共闘する。
しかし一方で、横浜に越して来たばかりの少女は道端で
出会ったフュージョンの欠片をフーちゃんと名付け、
親しくなっていくのだった。
埠頭での戦いの翌日。
あの後私はやよいちゃんやあかねちゃん達と無事合流し、
事情を説明してからもう一度フュージョン探しをしたけど、
結局見つける事は出来なかった。
そして一度はふしぎ図書館経由でそれぞれ帰宅。
翌日も休日だったので、今日も私達はフュージョンを探す
ために横浜を訪れていた。
そんな中で、私達は5人でまとまって歩いていた。その道中、
昨日の事をみんなに話す私。
なお「それで、先輩たちと一緒に戦ったんだね」
黄金「うん、偶々だったけど、一緒だったし。成り行き
みたいなものでね」
やよい「へ~」
と、そんな事を話しつつ歩いていると、私達はどこかの
公園みたいな所に到着した。
あかね「公園?黄金、なんでこないな所に来たん?」
そう言って、振り返って私の方を向くあかねちゃん。
黄金「昨日の戦いで、フュージョンの波形って言うのかな?
固有のパターン?みたいなものが大体わかったの。
で、この公園から微弱だけどフュージョンの力を
感じたんだけど……」
みゆき「つまり、この辺にフュージョンが居るってわけ
だね!よ~し!探すぞ~!」
そう言って、一人駆け出すみゆきちゃんってちょっと~~!
黄金「またはぐれちゃうでしょうが~!」
そう叫んで私やあかねちゃん達は全速力で走るみゆきちゃんの
後を追った。
そして、追いついた時、みゆきちゃんは誰かと一緒に居た。
ん?あの子ってもしかして……。
あゆみ「あ、あなたは……」
黄金「昨日ぶり、で良いのかな?」
あゆみ「は、はい。えっと……」
って、そう言えば名前名乗ってなかったか。
黄金「私は津神黄金。改めてよろしく」
そう言って、私は右手を差し出す。
あゆみ「あ、えっと、坂上あゆみ、です」
対する女の子、あゆみちゃんもゆっくりとした動きで右手を
差し出し私と握手をする。
その近くでは、みゆきちゃんが何やらあかねちゃん達に注意
されていた。それに苦笑している私。
だけど……。
「何でかな?」
黄金「ん?あゆみちゃん何か――」
フー「あゆみ、悲しませた」
不意に、私の耳に憎悪を募らせたような声が聞こえてくる。
そして、その声を聞いた瞬間私の中のセンサーが
アラートを発する。
『キィィィィィィィンッ』
私の頭の中にあの金属音が響く。この感じ。近い。
そう思ってみゆきちゃん達に声をかけようとしたとき、
私のそばにいたあゆみちゃんが駆け出した。
黄金「待って!今私たちから離れるのは危な、ッ!!」
その時、私はあゆみちゃんが背中に濁った金色の何かを
背負っているのに気づいた。そして、それを見た瞬間
頭の中のアラームがさらに強く鳴り響く。
まさかっ!?
5人「「「「「あぁっ!?」」」」
更にみゆきちゃん達があゆみちゃんの後ろのそれに、
フュージョンに気づいた。
その時。
『ドバァッ!』
フー「あゆみ悲しませた」
不意に、フュージョンがあゆみちゃんから離れ、触手状に体を
変えた。
「敵ッ!」
あゆみ「フーちゃん!?」
フー「敵ィィィィィィィッ!!」
その時、触手が一直線にみゆきちゃんに向かっていく。
黄金「させるかぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
でも、咄嗟に触手とみゆきちゃんの間に滑り込んだ私が
超能力の一つ、念力で受け止める。でも、そのパワーで
念力ごと私やみゆきちゃん目がけてそれを押し込んでくる。
「ぐっ!?あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
『ドガァァァァンッ!』
それでも何とか触手を逸らせた。それによって、触手が私たちの
近くの地面に突き刺さる。
「ハァ、ハァ、ふ、防いだ」
肩で息をしつつ、後退する触手を睨み付ける私。
やよい「な、何あれ!?」
黄金「みんな気をつけて!そいつの波動、間違いなく
フュージョンの欠片だよ!」
なお「何だって!?」
れいか「ではこれが!?」
驚くなお達。そんな中で、黄金の声はあゆみにも
届いていた。
あゆみ「フーちゃんが、フュージョン……?」
突然の事で理解が追いつかないあゆみ。
みゆき「みんな!変身だよ!」
5人「「「「「うん!」」」」」
そしてそんな彼女を尻目に、黄金やみゆき達は変身を始める。
『バッ!ババッ!』
ポーズを決め、オルタリングを召喚する黄金。
『レディ!』
5人「「「「プリキュア!スマイルチャージ!」」」」
『ゴー!ゴーゴー!レッツゴー!』
『QUOON……QUOON』
黄金「はぁぁぁぁ……。変身!」
『カチッ!』
『VUUUUUN!』
私の体を光が包み、みんなは光のパフで変身していく。
ハッピー「キラキラ輝く未来の光!キュアハッピー!」
サニー「太陽サンサン熱血パワー!キュアサニー!」
ピース「ピカピカぴかりじゃんけんポン♪キュアピース!」
マーチ「勇気リンリン直球勝負!キュアマーチ!」
ビューティ「しんしんと降り積もる清き心!キュアビューティ!」
アギト「神が生みし悪を絶つ戦姫!キュアアギト!」
6人「「「「「「6つの光が導く未来!輝け!
スマイルプリキュア!」」」」」」
私たちは変身し、名乗りを上げる。
そして、私たちは驚くあゆみちゃんを後目に逃げていく
フュージョンの欠片を追った。
攻撃してくるフュージョンを防いだサニー。そして。
サニー「プリキュア!サニーファイヤー!」
必殺技を放つサニー。だけど……
『ゴクンッ!』
フュージョンの欠片は、それを飲み込んでしまった。
アギト「必殺技を、食べた!?」
更に、技のエネルギーを吸収したからか、奴は
色を濁った金からオレンジに変え、姿を細身の人型に
変化させた。
ビューティ「パワーを吸収したっ!?」
アギト「くっ!こうなったら……!みんな!
あいつに下手に技を使うとエネルギーを
吸われて不利になる!何とか打撃で
弱らせるよ!」
5人「「「「「うん!」」」」」
そう叫びながら、私はベルトの左側のスイッチを
叩き、ストームフォームへと変身。オルタリングから
ストームハルバードを取り出す。
『バッ!』
こちらへと向かってくるフュージョン。サニー以外が
回避し、攻撃を受け取るサニー。
サニー「ぐっ!」
アギト「おぉぉぉぉぉっ!!!」
『ボボボボボッ!』
サニーが攻撃を受け止めた瞬間を狙って、私が
ハルバードを使って槍のように連続で突きを繰り出す。
しかしフュージョンは瞬時に刀のようになった腕でそれを
全て弾いた。
再び腕を普通に戻したフュージョンに、全員で、連続で
攻撃を仕掛ける。
マーチ「ハァッ!」
そして一瞬の隙を突いたマーチの蹴りがフュージョンを
大きく弾き飛ばした。
アギト「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
倒れた所に飛びかかり、ハルバードを振り下ろすが、
フュージョンはそれを、腕をクロスさせて防いだ。
「おぉぉぉぉっ!」
私は防御の上からたたき切ろうと思った。けど……。
『ガッ!』
「ぐくっ!?」
強烈な蹴りが腹部に決まり、一瞬意識が揺らぐ。
『ドガッ!』
「ぐぅぅっ!」
更に側頭部を殴り飛ばされ、吹っ飛ばされてしまう。
何とか地面に手をついて体勢を戻す。
「気をつけて!昨日私とハッピーが
戦った個体とは、別物みたいに強く
なってる!技を吸収されるともっと強く
なるから、そこも気をつけて!」
ビューティ「了解っ!!」
私の叫びに応じるように、駆け出すビューティ。
「はぁぁぁぁぁぁッ!」
そしてそのままラッシュに突入するが……。
マーチ「隙有り!」
側面から突進したマーチがフュージョンの脇腹を
蹴り飛ばす。
奴が完全に倒れた!今なら!
アギト「ピース!」
ピース「うん!」
私の叫びを聞いて、咄嗟に頷いたピースが技を
発動させる。
『プリキュア!うぁっ!ピースサンダー!』
発射された雷状のエネルギーが倒れたフュージョンに
向かっていく。だけど……。
『バッ!』
『スゥゥゥゥゥッ!』
命中するよりも先に奴が起き上がって、技を吸ってしまった。
そして、細身だった体が黄色く色づくのと同時に、体が
よりマッシブになるフュージョン。
これでもダメなの!?だったら!
アギト「私が奴の動きを止める!」
そう叫びながら、私は右腰のスイッチを二回叩いて
ウィンディフォームへと変化する。
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
飛行能力を生かして突進する。そこに奴の拳が飛んでくる。
でも……。
『ゴォォォッ!』
凄まじい拳圧が、ギリギリで体を右にひねって回避した私の
そばを掠める。でも!
「おりゃぁぁぁぁっ!!」
『ガッ!』
体を回転させた勢いのまま、側面からの蹴りが奴の側頭部に
決まる。
『グラッ!』
そして一瞬だけ奴の意識が飛んだ。今だ!
そう考えた私は奴の頭部に飛びつき……。
「これでぇぇぇぇぇっ!」
奴の首元に両手を回して思いっきり首を締め上げる。
「今よ!私ごとこいつにプリキュアの技を!
私に浄化技は効かないから!早く!」
マーチ「ッ!……行くよ!」
私の言葉に従い、フュージョンの背面に回ったマーチが
技を発動させる。
「プリキュア!マーチシュート!」
これで決まる!そう私が考えた時。
『ニュルンッ!』
アギト「ッ!?」
私の腕に拘束されていた頭部がスライムのように変化、
柔らかくなって拘束を抜け出した!
更に……。
『スゥゥゥゥゥッ!』
マーチ「なっ!?」
あと少しで命中する、と言う所でフュージョンの背中に
顔が洗われ、技を吸収してしまった。
アギト「そんなっ!?」
驚く私。その時。
『ボンッ!』
「ぐあっ!?」
私は奴の体が大きくなる反動で弾かれた。
体色が緑になり、もはや巨人とさえ呼べるような体躯へと
巨大化するフュージョン。
それを前に私たち6人が集まるけど……。
「まさか、あの体勢から技を吸収するなんて」
マーチ「完全に決まったと思ったんだけど……」
これじゃ、昨日の比なんて物じゃない。
みんな、技は一回の変身で一発が限界。後技を
使えるのは、ビューティとハッピーだけ。
私のキックだって、通用する保証は……。
……いや、もしかしたら、ギルスなら……。
ギルスの切断系の武器と攻撃なら、もしかしたら
行けるかもしれない。
……でも、ギルスへの変身は体にかかる負荷が
半端じゃない。
しばらくは戦えなくなるかもだけど、背に腹は
変えられない!こいつは、危険過ぎる!
私たちがフュージョンとにらみ合い、そんな考えが
頭をよぎる。そして、私がギルスの力を覚醒させようと
目を閉じたその時。
メロディ「ハッピー!アギト!お待たせ!」
どこからか声が聞こえてきた。そして、その
聞き覚えのある声に、私は目を開いた。
アギト「ッ!この声、まさか!」
そしてその言葉に応えるように私たちの前に
4人の人影、メロディ先輩達が現れた。
ハッピー「メロディ!」
マーチ「じゃあ、この方達が……!」
アギト「そう。ハッピー達の大先輩だよ」
ピース「あ、あの初めまして!私たちこの間――」
ミューズ「挨拶は後!」
メロディ「力を合わせて、こいつを倒すよ!」
6人「「「「「「はいっ!」」」」」」
メロディ先輩達が来てくれたのは、こっちとしては
ありがたい。戦力的にも、士気的にも。
よし、このまま……。
そして全員で攻撃しようとしたその時。
あゆみ「やめてっ!!」
ッ!
不意に声が聞こえたからか、私たちは想わず足を
止めてしまった。
ハッピー「うわわっ!」
『ドンッ!』
メロディ「おわっ!?」
そして止まりきれなかったハッピーがメロディ先輩の
背中にぶつかってしまった、が……。
『パシッパシッ』
咄嗟に二人の腕を掴んで止める。
アギト「ふ、二人とも大丈夫?」
ハ・メ「「な、何とかぁ」」
そこから更に手を引っ張って二人を立たせた時、
あのフュージョンの前にあゆみちゃんが走ってきた。
あゆみ「もうやめて!フーちゃんをいじめないで!お願い!」
そう叫ぶあゆみちゃん。これには後ろのフュージョンも
戸惑っているように見える。
その様子に戸惑う周囲のみんなや先輩達。その時。
アギト「あなた、自分の後ろに居る存在が何か
分かっているの?それが普通じゃない
ってのは、分かってるんだよね?」
私が一歩前に出て呟く。
あゆみ「確かにフーちゃんは普通じゃない!
そ、それでも、私の大切な友達を、これ以上
傷つけないで!」
そう言うと、あゆみちゃんは縮んで最初の小さなに
戻ったフュージョンを抱きしめる。
アギト「……そいつが、数日前横浜の町中で
大量破壊をしでかそうとした、フュージョンの
欠片だとしても?」
あゆみ「っ!!」
彼女の言葉に目を見開き、あゆみは静かにフーちゃんを
見つめる。
ミューズ「それはとても危険な存在なの。だから
こっちに渡して」
何とかミューズが説得しようとするが……。
あゆみ「フーちゃんは私の友達なの!絶対に
渡さない!」
そう言って駆け出すあゆみ。
ハッピー「待って!」
咄嗟に追いかけ、肩を掴もうとするが、ハッピーは
フーちゃんの打撃で弾き飛ばされ、そしてあゆみ達を
見失ってしまった。
ビューティ「……逃げられて、しまったと言うべき
なのでしょうか?」
周囲を見回していたビューティ、れいかちゃんが
呟くと、みんな互いの顔を見合わせ、頷いてから
変身を解除した。
そんな中で……。
黄金「友達、か」
みゆき「黄金ちゃん?どうかしたの?」
不意に私が呟いて、みんなの視線が私に集まった。
黄金「うん、ちょっとね。……あゆみちゃんの友達を
守りたいって言う考え、共感出来る部分も
あるから。……私だって、このアギトの力
だって、フュージョンと同じ、本質は『力』」
そう言いながら私は右手を見つめ、ギュッと握りこぶしを
作る。
「使い方次第で、悪魔にも正義の味方にもなれる。
……私はみゆきちゃん達と出会えたから、
こうしてプリキュアの助っ人として戦えている。
でも、もしそうで無かったら……。
そう考えると、あのフーって言う欠片が
あの巨大なフュージョンと同じなのかなって
思っちゃって」
あかね「えっと、どういうこっちゃ?」
黄金「最初、あれは何らかの形で私たちがあゆみちゃんを
悲しませた。だから敵だと判断し、そう叫んで
襲いかかってきた。あれがフュージョンだという
のなら、あゆみちゃんを守る理由は何?」
アコ「た、確かに」
エレン「最初あいつは、世界を闇に染めるって言ってた」
黄金「もしそうなら、あゆみちゃんも例外じゃない。
でもあの個体は彼女を守ろうと戦って、
更にあゆみちゃんが割り込んできた途端戦闘を
止めた。……これは私の推測だけど、今の
あの個体、フーちゃんにフュージョンと違う
意識、言うなれば自我みたいなものが
あるんじゃないかな?」
そうして、私は遠回しに、あの欠片、フーちゃんが
決して悪い奴では無いと主張してみた。
でも……。
アコ「それでも、フュージョンは危険よ。
あれはプリキュア一チームでどうにか出来る
相手じゃない。私たちが力を合わせて立ち向か
わなきゃ行けない程の強敵なの」
それも、確かにそうだ。奴は強い。少なくとも、
私が今まで戦ってきたアカンベェやあの幹部達
なんかよりも、ずっと……。
だったら……。
黄金「もしもの時は、私がフーちゃんを倒します」
みゆき「黄金ちゃん」
私の言葉に、みゆきちゃんや他のみんなが心配そうに
こちらを見ている。でも大丈夫。
黄金「アギトの力は、破壊の力。だから大丈夫だよ。
奴は、私が倒す」
そうだ。みゆきちゃん達に十字架は背負わせない。
例え、あゆみちゃんからどれだけ恨まれたとしても。
その役目は、私一人で十分なのだから。
その後、私たちはもう一度変身してすぐに街の
中心地へと向かった。
みゆきちゃんの話では、あゆみちゃんは横浜に
引っ越してきたばかりらしいけど……。
とにかくまずはあゆみちゃんとフーちゃんを
探す事になった。
だけど、私たちが建物の屋上の一つに着地した時。
『リセット』
不意にどこからか、あのフュージョンと似た声が
響いてきた。かと思うと、街のあちこちから銀色の
ドロドロした物が溢れ出した。
ハッピー「何これ!?」
アギト「まさか、これが全部フュージョン!?」
驚く私たち。そして、フュージョンがタワーの
ような建物に集合したかと思った次の瞬間、
再び街のあちこちへと散らばっていった。
そして……。
「ッ!建物がッ!」
飛来した欠片に触れた街の建物が、次の瞬間には
消滅して行く。
ミューズ「このままじゃ街が!」
メロディ「戦おう!とにかく今は、街のみんなが
逃げられるように私たちでフュージョンの
相手を!」
アギト「了解っ!」
そして、私たちはそれぞれのチームに分かれて
フュージョンと戦う事にした。
アギト「はぁぁぁぁぁっ!!!」
『ドゴォッ!!!』
跳び蹴りがフュージョンを弾き飛ばす。けれど吹き飛ばされた
個体はすぐに体制を戻し、不気味にうごめきながら増殖
していく。
「くっ!?」
『やっぱりダメ!?こうなったら、
ギルスで行くしか!倒しきれるまで
私の体が保つかは、分からないけど!』
その時。
サニー「あ~!あんたフュージョンと一緒に居た子
やんか!」
不意にサニーの叫びが聞こえたのでそちらに視線を
移すと、いつの間にかあゆみちゃんが居て、そのそばに
ハッピー達が集まっていた。
とりあえず私は周囲の個体と戦いながら、ハッピー達と
あゆみちゃんの会話に耳を傾けていた。
何やら聞いていると、あゆみちゃんの何気ない一言と
そこから生まれた誤解がこの状況を引き起こしている
みたい。
そして、ハッピー達の提案でフーちゃんの所まで
行こうと言う話になったけど、肝心のあゆみちゃんが
どこか否定的だった。
でもメロディ先輩達の言葉を聞いて、あゆみちゃんは
吹っ切れた様子だった。
アギト「だったら、急いで行かないと」
頃合いかな?と思い、相手にしていた個体を大きく
殴り飛ばした私は、ハッピーやメロディ先輩、
あゆみちゃんのそばに着地する。
「急がないと、街が大変な事になる」
ハッピー「うん!行こう!フーちゃんのところへ!」
フーちゃんがいると思われるタワーに向かって
移動する私たち。
『ワァァァァァァッ!』
しかし、そこにフュージョンが現れ立ち塞がる。
何とか現れた個体を先輩達が相手するが……。
焼け石に水で、どんどん出てくる!
更に前から一匹向かってくる!
アギト「おぉぉぉぉぉっ!!」
『ドゴォォォッ!』
それを私が蹴りで粉砕する。何とか後ろに
着地した時。
あゆみ「フーちゃん。もう私の事忘れちゃったのかなぁ」
そう言って、あゆみちゃんが泣いている。
ハッピー「そんな事ないよ!」
ビューティ「まだ離れているから、あなたの姿が見えて
居ないだけだと思います。近くまで行けば、
きっとあなただって分かるはずです!」
あゆみ「私、行けるかな?」
ピース「不安になる気持ち、すごく分かるな。
私も怖くてよく泣いちゃうし」
と言いつつ触手にさらわれるピースッてぇぇっ!
アギト「こらぁぁぁぁっ!ピース返せぇぇぇっ!
おりゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
ピースで遊んでるフュージョンを殴って蹴っ飛ばして、
何とか助けた。ちなみにその時、サニーとマーチが
女の子やオカンがどうのと言い合っていた。
……みんなお願いだからもう少し緊張感持ってよも~。
何て事を考える私。
その後、私たちはメロディ先輩たちと別れて、
スマイルプリキュアの6人だけであゆみちゃんを
護衛しながら、タワーを目指す。
そこに再び、フュージョンが襲いかかってきた。
ハッピー「ここは私たちが!アギトはあゆみちゃんを!」
アギト「わかった!」
みんながあの個体と戦う中、私があゆみちゃんを
守っていた。
『ゾクッ!』
不意に背後から近づく何かの気配を感じて振り返ると、
そこには犬の姿をしたフュージョンが二頭居た。
「くっ!?おぉぉぉぉぉっ!!」
咄嗟に駆け出した私は、一頭目の頭を掴んで止め、
もう一頭に向かって手を伸ばした、が……。
『ガブッ!』
「ぐっ!!?」
思いっきりかみつかれてしまった。そこに……。
『グォォォォッ!』
更にもう1体の犬型フュージョンが
向かってきた。
まずい!このままじゃ!
あゆみ「アギト!」
後ろであゆみちゃんが叫んでる。どうする!
私がそう思った時。
『スッ!』
何かが私の眼前に突然現れ、黄色いドーム状の
エネルギーシールドを張って三頭目を弾き飛ばした。
すごいっ!って、見とれてる場合じゃなかった!
アギト「うぉぉぉぉぉぉぉっ!」
一頭目を海の方へ投げ飛ばし……。
「るぁぁぁぁぁぁぁっ!」
もう一頭を地面に倒し、その首元に肘を押し当てながら、
喉元を押しつぶす。
それで何とかあいつらは消えた。けど……。
『ズキンッ!』
「ぐ、うぅ」
二頭目に噛まれた右腕の傷跡から僅かに血が
溢れ出している。
あゆみ「アギト、大丈夫!?」
アギト「大丈夫。って、それより……」
痛みから地面に膝をついた私の所に、咄嗟に駆け寄って
くれるあゆみちゃんにそう言いながら、
さっきの何かに目を向けようとした時……。
えりか「お待たせっ!真打ち登場でしゅっ!」
そう言って、林の中から4人の人影が現れた。
そして再び、その4人の面影に私は既視感を
覚えた。
アギト「あ、あなたたちってまさか!?」
???「遅くなってごめんなさい。でもここからは
私たちも協力するわ!変身よ!」
私の言葉に、めがねの人が答え、叫び、残りの
3人もそれに答えて何かを取り出した。
そして……。
4人「「「「プリキュア!オープン・マイハート!」」」」
4人が異口同音の叫びと共に、光に包まれ変身する。
ブロッサム「大地に咲く一輪の花!キュアブロッサム!」
マリン「海風に揺れる一輪の花!キュアマリン!」
サンシャイン「陽の光浴びる一輪の花!キュアサンシャイン!」
ムーン「月光に冴える一輪の花!キュアムーンライト!」
4人「「「「ハートキャッチプリキュア!」」」」
アギト「新しい、プリキュアの先輩」
これで新しく4人が来てくれた。そう思った時。
タルト「それだけじゃあらへんで!」
不意にどこからか声が聞こえてきた時、森林の中から
更に4人の人影が現れた。そして……。
4人「「「「チェインジプリキュア!ビートアップ!」」」」
彼女たちも異口同音を口にしながら体を光りに包んでいく。
そして……。
ピーチ「ピンクのハートは愛あるしるし!もぎたてフレッシュ、
キュアピーチ!」
ベリー「ブルーのハートは希望のしるし!つみたてフレッシュ、
キュアベリー!」
パイン「イエローハートは祈りのしるし!とれたてフレッシュ、
キュアパイン!」
パッション「真っ赤なハートは幸せの証!熟れたてフレッシュ、
キュアパッション!」
ピーチ「レッツ!」
4人「「「「プリキュア!」」」」
こうして、私たちの前に更に4人の先輩が
現れた。けどなんだかこの人達も緊張感が薄い。
正直、心配になるが……。
私は傷の方に視線を向けた。アギトの力のおかげか、
治癒能力が上がっている。おかげで出血だけは
止まった。
良し、これなら……。
そう考えながら腕の感触を確かめていた時、
先輩達が敢えて技を発動し、フュージョンの注意を
引いてくれた。
このまま……!
私たちは先輩達と別れて再び駆け出した。
けど、しばらく走っていた時、不意にフュージョン達が
港にあった船を持ち上げ、更に町中に道路のような物を
自分たちの体で作ってしまった。
ビューティ「まさか!?」
アギト「船を市街地に!?そんなことしたら!」
そうこうしている内に、ロックが外れて道の上を滑走
し始める船。
「止めないと!」
ハッピー「ピースはここであゆみちゃんを守ってて!」
私たちはすぐさま動き出し、道の上に立つメロディ先輩
達と合流する。
メロディ「ハッピー!アギト!」
ハッピー「私たちも手伝います!」
アギト「パワーと防御力なら!」
そう叫びながら、左腰のスイッチを二回叩いて、
アイアンフォームに変身する私。そのまま幾重もの
シールドを道の上に連ねるけど……
『バリバリバリィィィンッ!』
全て悉く破壊されてしまう。
アギト「ダメだ!質量が大きすぎて、あの程度の
シールドじゃ足止めにもならない!」
ハッピー「来るよ!」
『ドォォォォォンッ!!!』
船体が突進してきた所を何とか受け止める私たち
9人。
ハッピー「うぅぅぅっ!」
メロディ「ぐ、うぅぅぅぅっ!」
アギト「うぅぅぅ、止まれぇぇぇぇぇぇっ!!」
必死に力を込めた私たち。それで何とか船を止める
事が出来たけど、今は船を止めるだけで精一杯だった。
その時。
『ズキンッ!!!』
「うぐっ!?」
『き、傷が。さっき噛まれた傷が、開いて……』
アイアンフィストの中で、血が溢れ出しているのが
分かる。このままじゃ不味い!
なんか遠くで光ってる物が見えるけど、それを気にしてる
時間は無い!
と、その時、道になっていたフュージョンがこちらに
体を伸ばして突進してきた。
アギト「しまっ!!」
『ドォォォォォンッ!!!』
「うわぁっ!」 「キャァッ!」
動くことも反撃する事も出来ない私たちは全員一斉に
弾き飛ばされてしまった。
すぐに動き出す船。まずい!このままじゃ!
咄嗟に建物の上に着地した私たち。そして私が
一人ででも止めようとした時、何かの気配を感じた。
そして船があと少しで落ちるという所で……。
『ドォォォォォンッ!!!』
誰かが船を受け止めた。
メロディ「ブラック!ホワイト!ルミナス!」
アギト「あ、あれは。まさか、あの人達も」
そう思いながら、いつものグランドフォームに
戻りつつ、私は密かに痛む右腕を押さえていた。
そこへ更に、二人、6人と残りのプリキュアの人たちが
駆けつける。
これで、あの時みたいにプリキュアが全員
そろった事になる。
そして私たちは先輩達にフュージョンを任せつつ、
メロディ先輩達と一緒にあゆみちゃんをつれて
タワーへと向かった。
あゆみ「あの、アギト。あなた腕の傷が……」
走っていた時、横に居たあゆみちゃんが私の右腕を
見ながら呟く。さっきの犬型に噛まれた数個の傷跡
からは、今も少しずつ、けれど絶えず血が溢れている。
アギト「大丈夫。これくらいの傷どうって事無いよ。
……友達を失い痛みに比べたら、これくらい。
ただのかすり傷だから心配しないで」
あゆみ「アギト」
そう伝えながら走っていた。
ハッピー「もう少しだから、頑張ってねあゆみちゃん!」
と、その時。
『バァッ!』
あゆみ「っ!?」
走っていた時、前からフュージョンが濁流のようになって
襲いかかってきた。
それに飲まれそうになるハッピー。
『ドンッ!』
しかしそれをあゆみちゃんが突き飛ばして、逆に
あゆみちゃんが飲み込まれてしまった!
アギト「あゆみちゃん!」
叫ぶアギト。しかし、その中では………。
あゆみ「私、ずっとひとりぼっちだと思ってた。
私の気持ちなんて、誰も分かってくれないって。
でも違った。私は一人じゃない。
ちゃんと言えば、気持ちは伝わる!必ず!
フーちゃん!私の本当の想いを知ってほしい!
絶対、絶対伝えるんだ!」
それは覚悟。決意。そして、戦う理由になる。
そして、奇跡は生まれる。
「フーちゃんのところに、行きたい!」
そう決意した次の瞬間。彼女の体が光に包まれた。
その光が、彼女を覆っていたフュージョンを弾き飛ばす。
誰もが、その光の方を向いていた。
そして、その光の中から現れたのが………。
エコー「思いよ届け!『キュアエコー』!」
白い服を身に纏った彼女こそ、29人目のプリキュア、
キュアエコーだった。
静かに私たちの前に降り立つあゆみちゃん改めキュアエコー。
エコー「私、どうしてプリキュアに?」
ビート「あなたにも、私たちと同じ熱いハートが
あるからよ」
ミューズ「友達を守りたい。そんな優しい心があれば、
女の子は誰だってプリキュアになれるのよ」
その言葉に、表情をほころばせるエコー。
そして私が……。
アギト「行こう。この戦いを、終わらせるために」
ハッピー「うん!あそこへ、フーちゃんの所へ!」
ハッピーの言葉に頷きながら、11人がフーちゃんの
居るタワーを見る。
そして、駆け出したは良い物の、私たちを闇の波動が
押し返そうと、嵐のように吹き荒れていた。
そんな中で私は……。
一人走り続けていたエコー。しかし彼女は他の面々と
はぐれてしまい、自分がどこに居るかも分からなく
なってしまった。
エコー『ダメ、何も見えない。どうすれば……』
アギト「大丈夫」
エコー「え?」
不意に後ろから声がしたので、振り返るエコー。
そこにはアギトが一人立っていた。
アギト「私たちがそばに居るから」
そう言って、私は微笑む。
エコー「アギト」
そうエコーが呟いた時。
不意に、闇の中に光が生まれ始めた。光が闇を払っていく。
やがて、光が虹の道となる。そして、その道の先に……。
アギト「エコー。行ってあげて」
エコー「ッ、うん!みんな、ありがとう!」
私の言葉に頷くと、エコーは虹の道を進んでいき、フーちゃんの
前までたどり着いた。
フーちゃんとエコーの話を、私はただ、黙ってみていた。
そして、エコーがフーちゃんを抱きしめた時。
『パァァァァァッ!』
二人を中心に光の柱が産まれ、それが横浜の街を
覆っていた闇を払う。
そして、完全に街を覆っていた闇は除去された。
終わった。私は一人そう思っていた。
でも、違った。
『リセット、リセットォ』
なっ!?まだ居たの!?
残っていたと思われるフュージョンが狂ったように
リセットと呟いている。
そして……。
『リセットォォォ!』
フュージョンが変身の解除されたあゆみちゃんと
フーちゃん目がけて突進する!
咄嗟にジャンプしようとした私だけど、一瞬の
立ちくらみのせいで反応が遅れてしまう。
危ないっ!そう思った時、ハッピー達が何とか
二人の前に立ち塞がり、フュージョンを防ぐ。
その時、私は一瞬だけ、未来が見えた。
それは、あゆみちゃんの前から消滅する、フーちゃんの
姿だった。
それを見た次の瞬間、私は全てを理解して上に飛んだ。
そしてタワーの屋上が見えた時、フーちゃんは何かを
決心したかのような表情をしていた。
それを見た瞬間。
アギト「フーちゃん!君が『それ』をやる必要は無い!」
フー「アギト……」
アギト「あなたたちの間に生まれた友情は、私たちが
守る!だから、あなたは自分の命を!
生きることを諦めないで!!」
そう叫んだ次の瞬間、私はグランドフォームに変身し、
空中で一回転すると、キックの体勢を取る。
「ぜやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
そして、足にエネルギーを集め、クロスホーンを
開いき、フュージョンの横合いからキックを繰り出して
奴を横へと弾き飛ばした。
屋上に着地する私。だけど……。
『ガクンッ!』
アギト「ハァ、ハァ、ハァ!」
既に息も絶え絶えで、他の5人も息を荒らげながら床に
座り込んでいる。
でも……。
『リセット、リセットォ』
残存フュージョンが、私たちの前に人型となって現れた。
ハッピー「く、うぅ」
何とか立ち上がろうとするが、みんな既に限界だ。
いや、それでも、やるしかない。
アギト「ハッピー、みんなも。みんなはあゆみちゃんと、
フーちゃんを守って、それから、体力を、回復、
させて」
ハッピー「あ、アギト。何を」
アギト「ハハ、大丈夫だよ。先輩達が来るまでなら、
持たせて、見せる!」
そう叫んだ次の瞬間、私は震える体に鞭打ちながら
駆け出した。
「おぉぉぉぉぉっ!!」
限界を超えた体で、できる限りのラッシュを繰り出す。
しかし、フュージョンはそれを体をくねらせて避ける。
「まだまだぁぁぁぁぁっ!」
ラッシュを止め、足技に切り替える。上段蹴り、
回し蹴りの連続。コマのように回転しながら連続で
蹴りを繰り出すが、それを悉く防ぐフュージョン。
まだだ!まだ倒れる訳には!
そう思い出しながら足を繰り出す。でも………。
『ガシッ!!!』
「ッ!しまっ!」
『ブォォォンッ!ドガァァァァンッ!』
足を掴まれた次の瞬間、私はタワーの屋上の屋根に
叩き付けられた。
「かはっ!!」
その衝撃で、肺から空気が逃げる。それでも!
「くっ!おぉぉぉぉぉっ!!」
その体勢から、腕の力だけで奴の腹部に蹴りを入れ、
更に奴の体を蹴って後ろへ飛び、何とか体勢を
立て直す。
「まだ、まだ倒れる訳には行かない!
二人は、まだ友達になったばかりなんだ!
それをこんな所で終わらせるかぁぁぁぁっ!」
私は震える体と、若干かすむ視界のまま立ち上がって
フュージョンへと突撃した。
だから、気づかなかった。奴が腕を、刀剣のように
鋭くしていることに。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
ビューティ「ッ!!!ダメですアギト!今無謀に突進
しては!」
アギト「らぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
私はビューティの声も殆ど無視する形で突撃した。
そして、私の拳が届くと思った、次の瞬間。
『ザシュッ!』『ドガッ!』
何かが切り裂く音と、打撃音が聞こえた次の瞬間。
私はお腹を蹴られて吹き飛ばされた。
ズザザッと床の上を滑った私は、違和感を
覚えた。右手の感覚が無い。
そして、そちらに目を向け、気づいた。
『右腕の、二の腕から先が無くなっている』事と、
そこから、ドバドバと『赤い粘度のある液体』が
溢れている事に。
アギト「え、な」
最初、彼女は理解が追いつかなかった。
そして、初めて右腕を失ったと、理解したその時。
「ッ!!!!!!!!!!!!!
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
激痛が彼女の体の中を駆け巡った。
痛い!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!
腕が、腕がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
「あぁぁぁっ!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
彼女は右腕の残った部分を左手で押さえながら、
のたうち回る事しか出来なかった。
そして、ハッピー達はそれを唯、呆然と見ている
事しか出来なかった。
中学2年の女子に、それはあまりにも残酷な
状況だったのだ。
そして、真っ先に我に返ったビューティが何とか
アギトの元におぼつかない足取りで駆け寄る。
ビューティ「黄金さん!黄金さん!!!!」
彼女の元にたどり着いたビューティは、アギトを
抱き起こす。しかしアギトは痛みと恐怖で
パニックを起こし、彼女の腕の中で
暴れている。腕の切断面から溢れ出した血が
二人の服を濡らす。
そこへ。
『リセットォ、リセットォ』
おぼつかない足取りでフュージョンが近づいてくる。
と、その時。
メロディ「てやぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
遅れて到着したメロディ達がフュージョンを
蹴り飛ばした。
更に、ワンテンポ遅れて残りのプリキュア達も
集まってきた。
その時、それに気づいたビューティが……。
ビューティ「誰か!誰か傷を治せる人は居ませんか!
誰か黄金さんの腕を!!」
メロディ「え!?アギトがどうしたってアギト!?」
ビート「そ、そんな!?腕が……!?」
半分パニック状態のビューティが叫び、アギトの
現状に気づいた他のプリキュア達も各々驚愕の
表情を浮かべる。
如何に先輩プリキュアとはいえ、彼女たちもこれほど
血なまぐさい経験は無いのだ。
その時。
ムーン「急いで脇の下を押さえて!血流を止めて血が
これ以上あふれ出るのを防いで!出ないと
出血多量で死ぬわよ!!それと誰か布を!
急いで!!!」
流石に最年長だけあって的確梨地を飛ばすムーンライト。
そこに。
『リセットォッ!』
再びフュージョンが向かってきた。だが……。
『ドゴォッ!!!』
ドリーム「ここは私たちに任せて!」
ブラック「みんなはアギトの治療を!」
そう言って、ブラック達やブルーム達、ドリーム達が
フュージョンと戦い始めた。
さらにタワーの中からカーテンか何かの布を
大量に持ってくるマリンやブロッサム。
マリン「布取ってきたぞ~!」
ムーン「こっちへ!アギト、まずはこれを噛んで!」
そう言って、ムーンライトが布きれを彼女に噛ませた。
「これから力一杯、腕を締めるわよ!
痛いだろうけど我慢してね!行くわよ!」
『ギュッ!!!』
アギト「んんんんんんんっ!!!」
彼女の悲痛な悲鳴が周囲に響く。
そして、それによって衝撃から何とか抜け出して
ハッとなったハッピー達やあゆみ、フーちゃんが
アギトの所へ駆け寄る。
ハッピー「黄金ちゃん!黄金ちゃん!」
駆け寄り、彼女のそばに膝をついて必死に呼びかける
ハッピー。そのすぐそばで彼女をのぞき込むサニーや
あゆみ達。
アギトはギュッと目を閉じ、鼻息も荒い。そして
何より、今も右腕の切断面から僅かに血が流れ出し
続けている。
ムーン「このままだと危険よ!急いで病院に運ばないと!」
その時。
『ドガガガッ!!!』
ブラック「あぐっ!?」
フュージョンと戦っていたブラック達が弾き飛ばされてきた。
『リセットォ!!』
こちらに向かってくるフュージョン。
ムーン「くっ!?あなた達は彼女を!行くわよ!」
ブロッサム「はいっ!」
向かってくるフュージョンを迎撃するためにかけ出す
ハートキャッチの4人。
プリキュア達が戦う中、黄金、アギトは……。
うぅ、痛い。腕、が……。
痛みに馴れたのか?それともアドレナリンのせいか、痛みが
少しずつ和らいで、体が冷えていく。
そんな感覚のまま、私はもうグラグラに揺れる視界の中で、
戦いが続く方に目を向ける。
先輩達が、戦ってる。でも、押されてる。
もう殆ど働かない頭でも、それだけは分かった。
寒い。体が冷えていく。手足の感覚が、遠くなっていく
ように感じる。
………そうか、これが、死の恐怖なんだ。
いやだ、死にたくない。それに、私は、みんなを
守るって、決めたんだ。友達を、みゆきちゃん達を。
それに、あの、二人を……。
そうだ。私は、友達を、友達を守るために……!
次第に、私の視界がはっきりしてくる。ベルトの
賢者の石が光を増していく。
どうしてか、分からないけど痛みが引いていく。
体がしびれていて、感覚も朧気だけど、動く。
右腕の切断面は、いつの間にか僅かに光が包み込んでいて
出血が完全に止まっている。
アギト「ぐ、ぅぅっ!」
そして、私は左手で口に噛んでいた布を投げ捨てると、
左腕に力を込めて立ち上がろうとする。
ハッピー「ッ!?アギト!動いちゃダメ!ダメだよ!」
そう言って、私を抑えようとするハッピー。でも、逆に
私がその腕を掴む。
アギト「ハァ、ハァ。大丈夫。出血は、止まった。
ベルトの、賢者の石が、私、を。生かそうと
してるから」
そう言って、立ち上がろうとする。その時。
あゆみ「ダメだよ!無理しないで!」
そばに居てくれたあゆみちゃんの声が聞こえる。
「どうして、そこまでして戦うの!?
そんな大けがまでして!」
アギト「……嫌なんだ」
あゆみ「え?」
アギト「私ね、望んでアギトになった訳じゃないんだ。
ある日、突然力が覚醒して。……私はプリキュア
じゃない。似てるだけ。だから違う。この体
そのものがアギト。つまり、私はもう人間じゃ
無い」
あゆみ「そ、そんな……!?」
アギト「だから、怖かった。周囲に怪物と呼ばれるのが、
だから、最初みゆきちゃん達を拒絶して、
ひとりぼっちになって……。寂しかった。
怖かった。辛かった。それでも私を私として、
みゆきちゃん達は迎え入れてくれた。
……。だから、分かるんだよ。友達が
居ない事が、どれだけ、辛い、事なのか!」
自らの経験を語りながらも、左腕に力を込めて
立ち上がるアギト。
「それを失う悲しみ、痛み、苦しみ!
その痛みに比べたら、これ位ぃぃぃぃぃっ!!
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
アギトは左手で右腕を押さえながら立ち上がり、
天に向かって大きく吠える。
その咆哮にフュージョンやプリキュア達が動きを止め、
彼女の方を向く。
そして、アギトはギンッとフュージョンを睨み付ける。
「友達を失う痛みが私には分かる!痛いほどに!
だから、同じ過ちが繰り返されようとしている
今を、見過ごせないから!」
叫んだアギト。その時、彼女は無いはずの右手がそこに
あるかのような感覚、幻肢痛、ファントムペインを覚える。
だが、彼女の内に宿る決意の炎と力は、幻影などでは無い。
「例え、この腕が千切れようとも、足が砕けようと、
この命燃え尽きる、その時までっ!!!」
ゆっくりとした動きで歩き出し、徐々に加速するアギト。
「私は私の大切な人たちの!誰かの笑顔を守るっ!」
己が覚悟を叫びながら、彼女は無いはずの右腕を
振りかぶる。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
そして、それを突き出した次の瞬間。
『ボシュッ!!!』
『ドゴォォッ!』
傷口を覆っていたはずの光が消えた次の瞬間、傷口から
新たな腕が、『生えた』。
そして、その腕がフュージョンの顔面を捉え、殴り飛ばした。
ムーン「ち、千切れたはずの腕が、再生、した?」
そのことに、ムーンライトを初めとした大勢のプリキュア
達が驚愕していた。
だが、それだけではなかった。
アギト「ハァ、ハァ、ハァ。……ッ!」
息を荒らげながらも自分の右腕を見るアギト。
しかし次の瞬間、彼女は息をのみ、そして他の面々も
更に驚愕した。
なぜなら、アギトの、いや、黄金の腕が人間のそれでは
無くなっていたからだ。
メロディ「ア、アギト。それ……」
驚き指さすメロディ達。
爪のように鋭利な指先。
手首部分を覆う、生物的な緑の皮膚。
それ以外の皮膚も、人間とはかけ離れた黒い、
生物感の溢れる皮膚に変貌していたのだ。
まさしく、異形の右腕だった。
ワナワナと右手を震わせるアギト。だが……。
「上等よ……」
やがて静かに呟くアギト。
「私は、アギト。プリキュアでも人間でも無い、
人間の皮を被った怪物。……それでも!」
異形と化した右腕で拳を構えるアギト。
「この腕で!拳で!二人の友情を!友達を
守れるのならぁぁぁぁぁぁっ!
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
猛然とフュージョン目がけて駆け出すアギト。
そして、そんな風に駆け出すアギトの背中を、
あゆみは熱をこもった目で見つめるのだった。
それこそまさに、ヒーローの背中に憧れる子供のように。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
フラフラと立ち上がりつつあったフュージョンに突進し、
右と左の両方からラッシュを繰り出すアギト。
フュージョンもそれに応戦するかのようにラッシュを
繰り出す。二人のラッシュが互いにぶつかり合い、互いの
体を掠め、せめぎ合う。
競り合いにかったのは……。
『ドゴォッ!』
アギト「ぐっ!」
フュージョンだった。顔面に一撃を貰うアギト。だが……。
「こんのぉぉぉぉぉぉぉっ!」
『シャッ!ズバァァッ!』
次の瞬間、右腕の手首部分から黄金の爪、ギルスクロウが
展開されてフュージョンの腹部を斬り付けた。
しかし、反撃のキックを繰り出すフュージョン。
『ドゴッ!』
アギト「ぐっ!?ごふっ!!」
『ビシャッ』
蹴られ、吹っ飛ばされたアギトが口から血反吐を
吐き出し、血が床を汚す。
しかし、それでもクロウを杖代わりにして立ち上がる
アギト。
「まだ、だ。まだ、足りない」
『こんなんじゃ、奴には勝てない!まだ、
まだ足りない!足りないんだ力が!』
『ドクンッ』
叫ぶ彼女の中で、何かが脈動する。
『奴を倒すためには、もっと、もっと!』
『ドクンッ、ドクンッ……』
次第に早くなる鼓動。
『奴を倒すために、この町を、守るために!
二人の、二人の未来を守るために!』
『ドクンッ、ドクンッ……!』
『まだ、倒れる訳には、行かないんだ!
だから!!』
「目覚めろ!私の、アギトの力ぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
『ドクンッドクンッドクンッ!!!』
彼女の叫びに応じるように鼓動が大きくなる。
そして、次の瞬間。
『カァァァァァァァッ!』
賢者の石から緑色の光が溢れ出す。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
天を仰ぎ、咆哮を上げるアギト。そして、緑色の光に
包まれたベルトが、オルタリングからメタファクターへ
と変化する。
そして……。
『スゥゥゥ………』
不意に、アギトの隣に異形の姿が現れた。
リズム「あ、あれは、何?」
その姿を目にしたプリキュア達が、瞼をこする。
やがて、二人の体が朧気になる。
そしてアギトが消えるようにして、異形がアギトの
立っていた場所に立つ。
いや、そう見えるようにアギトが異形に変わったのだった。
その異形の体は、上半身と肩の部分が緑。それ以外が
黒色である事。足首などには金色のリングをはめていた。
顔は、真っ赤な虫を思わせる複眼。額からは緑色の角が
生え、角の中央には黄色いクリスタルがはめ込まれていた。
今、黄金は、ある意味本来の姿を取り戻していた。
アギトの力は、元をたどれば異世界の力。異世界転移に
よって異質に変性していたそれが、今この場で戻ったのだ。
その緑色の姿こそ、アギトの力が不完全な進化を果たした存在。
『仮面ライダーギルス』だった。
ギルス「ウゥゥゥ……ウォォォォォォォォォォォォォッ!!!」
次の瞬間、口元のパーツ、デモンズファングクラッシャーを
開きながら、大地を揺るがす程の咆哮が周囲に響き渡る。
そして、天を仰いでいたギルスの視線が下がり、フュージョンを
捉える。と、次の瞬間。
「オォォォォォォォォォォッ!!!」
獣のような野太い声と共にギルスが駆け出す。
それを見たフュージョンが体から幾重もの触手を伸ばすが……。
『ザシュザシュッ!!!』
ギルスは両腕から展開したギルスクロウでそれを切り裂き
更に突進する。そして……。
「ウワゥ!!」
フュージョン目がけて跳躍し、そのまま取り付いた。
ゴロゴロと転がるギルスとフュージョン。
そして、ある程度転がると、ギルスはフュージョンを
またぐようにしてマウントを取った。
「ウワァァァァァァァァ!!!」
そして、咆哮を上げるのと同時に……。
『ドガッ!ドガッ!!』
何発も拳をフュージョンの顔面目がけて振り下ろす。
そのたびにギルスの豪腕が空を切る音が響き、拳が当たる度に
フュージョンの体の輪郭がゆがむ。
衝撃がタワーの天井に伝わり、拳を打ち込む度に地面にひび割れが走る。
だが……。
『ドゴォッ!』
「ガァァァァッ!?」
フュージョンの腹部が隆起したかと思うと、丸太のように
変形しギルスを弾き飛ばした。
ハッピー「アギト!?」
それを見ていたハッピーが叫ぶが……。
『ガリガリガリッ!』
展開したクロウをアンカーのように床に突き刺して衝撃を
殺し体を止めるギルス。
ギルス「ウゥゥゥゥ……!ガァァァァァァァッ!!」
そして、彼女は、いや、ギルスは再び咆哮を上げると、
右腕をフュージョンに向けた。刹那……。
『ギャリリリリリッ!!』
右腕のクロウが変化し、ギルスフィーラーが
鞭のように、蛇のようにしなりながらフュージョンに
向かっていき、その首元に巻き付いた。
そして……。
「ウォォォォォォォッ!!」
『ブォォンッ!ドガァァンッ!』
身動きの取れないフュージョンを床にたたきつける
ギルス。何度も何度も。
そして、その様子を先ほどから呆然と眺めていた
プリキュアやあゆみ、フーちゃん。更に遠くから
もそれを見ているキャンディやタルトと言った
妖精達。
皆、言葉など出なかった。
それくらい、ギルスの戦いに見入り、そして戦慄を
覚えていたのだ。
今の彼女、仮面ライダーギルスの戦い方は、良く言えば
ワイルド。悪く言えば暴力的だった。
まるで野生の獣のように襲いかかるギルス。
その戦い方は、まるで狩りをする動物のようだった。
獰猛で、執拗で、残忍で、そして、冷酷なまでに
相手をズタズタに引き裂く、野獣のような戦い方だった。
そして、更に……。
「ウワゥッ!」
『ドゴォォンッ!!!』
床にたたきつけ、伸ばした触手、ギルスフィーラーを
回収するとギルスは倒れているフュージョンに飛びかかった。
そして……。
「ウゥゥッ!ワァァァァァァァッ!」
『ガブッ!!!』
咆哮と共にファングクラッシャーが開き、フュージョンの
肩に『噛みついた』。
マリン「か、噛みついた!!!??」
これに驚くマリン。他の面々も、プリキュアの戦いとは
無縁になりつつギルスのラフファイトに驚き、唯見ていた。
そして、そのまま……。
『ブチブチッ!!!』
マリン「そして食いちぎった!?!?!?」
体を起こし、灰色の体表を食いちぎるギルス。
だが、それだけでは無かった。
『ゴクンッ』
マリン「んでもって飲み込んだぁぁぁぁぁっ!?!?!」
なんと、ギルスがフュージョンの欠片を飲み込んで
しまったのだ。
ギルス「グ、ガァァ……!」
僅かにもだえ苦しむギルス。
ムーン「吐き出しなさい!今すぐ!」
これには流石に驚くプリキュア達。
ギルス「ウゥ……」
その体から黒いオーラのような物が放出される。だが……。
「ウォォォォォォッ!!!」
咆哮と共にオーラを霧散、いや、逆に体内に取り込んで
しまうギルス。
メロディ「や、闇の力を……」
ビート「逆に取り込んだ!?」
本来なら相反する光と闇。しかし今のギルスは、それすらも
凌駕して闇さえも取り込んだのだ。
ギルス「ウォォォォォォォォォッ!!!」
その体から、圧倒的なパワーと殺気を放出するギルス。
そして……。
『ドガッ!ドガッ!』
再びマウントを取ったフュージョンを殴り続ける。
しかし、今度は首元を掴まれ投げ飛ばされてしまった。
すぐに体勢を立て直すギルスと、同じく立ち上がった
フュージョンが睨み合う。
『グチャグチャッ』
そして、ギルスに食いちぎられた肩の部分が再生しようと
したかに見えたが……。
『ボロッ』
再生した部分が、黒い炭のようになって崩れ落ちた。
ギルス「?!」
これには、声こそ出していないが驚いているギルス。
そして、それを見ていたミューズが……。
ミューズ「ッ!?そうか!」
メロディ「え?何がそうかなのミューズ?」
ミューズ「アギト!みんなも聞いて!フュージョンと
いえど、活動にはエネルギーが必要なの!
そして、エネルギーが無くなればフュージョンは
自分の体さえ維持出来なくなるはず!」
と、推論を述べるミューズ。
それを聞いたギルスは……。
ギルス「ウォォォォォォォォォォォッ!!!」
まるで、決着を付けると言わんばかりにクラッシャーを
開きながら咆哮を上げ、突進していった。
両腕からクロウを展開し、斬りかかるギルス。
『ズバッ!ズシャァッ!』
クロウが煌めく度に、フュージョンの体を。
何度も何度も何度も。
ギルス「ウオォォォォォォォォォォォッ!!!」
『倒せ!倒せ!倒せ倒セ!倒セ!倒セ!
タオセ!タオセ!タオセ!
コイツヲォォォォォォォォォッ!!!』
明確な殺意を持って、フュージョンを切り刻むギルス。
そして……。
「ウガァァァァァァァァッ!」
『ズシャァァァァッ!』
一撃がフュージョンの胴体を横薙ぎになぎ払い、
胴体が上下に分かれる。
何とかそれをくっつけて再生するフュージョンだが、
もはや誰の目にも、人型を維持するのがやっただと
言うことが分かった。
そして……。
「ウォォォォォォォォォォォッ!」
咆哮を上げるギルス。と、その時、彼女の踵部分にあった
パーツが伸張する。そして……。
「ウォォォォォォォォォォッ!!」
再び咆えたギルスが上空へとジャンプし、右足を大きく
振り上げる。
『ドガァァァァァッ!』
そして、踵落としの要領でフュージョンの左肩部分に
必殺技、ギルスヒールクロウを見舞った。
踵部分から生えた刃が、フュージョンの肉体を貫き
背中側から、人間で言う心臓のある辺りをぶち抜く。
「ウワァァァァァァァァッ!!!!」
そして、ギルスは咆哮を上げると左足でフュージョンの
肉体を蹴ってその場から離れた。
『シュタッ』
「ウゥゥ……」
離脱し、距離を取ってからうめき声を上げつつ、ヨロヨロと
前に歩き出そうとするフュージョンを睨み付けるギルス。
だが……。
『リ、セッ、トォ、ォ……』
そう言い残すと、フュージョンだった物は、ドロドロに
溶けて消滅してしまった。
ハッピー「フュ、フュージョンが、消えた?」
ミューズ「きっと、生命維持に必要なエネルギーさえ、
使い果たしてしまったのね」
この光景に、内心驚きながらも、ギルスの方へと歩み寄る
プリキュア達。
と、その時。
「ウゥ、ウォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
突然の咆哮にびっくりするプリキュア達。
ギルスは、勝利の歓喜から今日最大の咆哮を
上げるのだった。
数秒後。
叫び終えたギルスが、ゆっくりと腕の力を抜き、ダランと
腕を垂らす。
そして……。
『パァァァァァッ』
ギルスの体が緑色の光に包まれ、黄金のそれに戻った。
それを見たハッピー達も、互いを見てうなずき合い、
変身を解除した。
と、その時。
『フラッ』
不意に、黄金の体がグラつく。そしてそのまま……。
『バタァァンッ!』
みゆき「ッ!?黄金ちゃん!?」
床に倒れてしまった。咄嗟に黄金の元に歩み寄る
プリキュア達。
そして、ゆりが黄金の現状を確認すると……。
ゆり「大丈夫よ。眠っているだけみたい」
その言葉に安堵するプリキュア(特にみゆき達)と
あゆみ、フーちゃん。
みゆき「良かった~。でも、これでウルトラハッピー
エンドだね!」
響「そうだね。みんなが助かった訳だし」
そう言って、戦いが終わった事で気が抜けたのか、
互いに談笑するプリキュア達、なのだが……。
ゆり『それにしても。彼女の持つ力。確かにプリキュア
とは別物だわ。一体、彼女の力はどこから?
それに、さっきのフュージョンを吸収した事と
良い。……彼女の身に何も起こらないと良いけど』
そう、一人彼女は眠っている黄金を見ながらそう考えるの
だった。
一方、横浜のタワーから少し離れたビルの屋上。
そこに、道化師のような格好をした男(?)が立っていた。
???「どうやらあの怪物は、無事処理されたよう
ですねぇ」
タワーの方を見つめながら、薄気味悪い笑みを浮かべる
道化師。
「世界を闇に染めるだなんて、大層な事を
言っていましたが、この程度ですか。
まぁ、邪魔者を消してくれたプリキュアには、
今回ばかりは感謝しておきましょう。
素敵な『お土産』も手に入った事ですし」
そう呟く道化師の手には、あの戦いで切断された
黄金の右腕があった。
「それでは、スマイルプリキュアの皆さん。
近いうちに会えることを、楽しみにして
居ますよぉ?」
そう言うと、道化師はタワーの方に背を向け、一瞬で
どこかへと消えてしまった。
そして、それから数時間後。
黄金「ん、んん。……ここ、は?」
ようやくの事で黄金が目を覚ました。
周囲に目を向ける黄金。
みゆき「あ、黄金ちゃん。目が覚めたんだね」
あかね「心配したで~黄金」
そして、黄金の視界にみゆき達の顔が映り込んだ。
黄金「みゆきちゃん。ここ、は?」
みゆき「タワーの近くの公園のベンチだよ。黄金ちゃん、
フュージョンを倒してすぐ自分も
倒れちゃったんだよ?覚えてる?」
そう言われ、私は手首を額の上に乗せ思い出す。
黄金「……。あぁ、うん。うっすらとだけど、
覚えてる。力が足りないって思って、叫んで、
ベルトが変わって、ギルスになって……」
やよい「ぎ、ギルス?それって、あの姿の事?」
黄金「うん。……アギトの、不完全な力の姿。
そして多分、私の本当の姿」
そう。アレこそが、おそらくギルス本来の姿なんだと思う。
だったら、多分アギトも同じような姿をしていて、そっちが
アギト本来の姿なんだ。きっと。
やがて、私はゆっくりと体を起こした。
なお「もう起きても大丈夫なの?」
黄金「平気だよ。戦って疲れただけだから」
そう言いながら、私は右手を振ったが……。
不意に、その右手を注視してしまう。
れいか「黄金さん?」
黄金「……私の右腕、一回は千切れたんだよね」
プリキュア「「「「「………」」」」」
私の言葉に、みんな黙ってしまう。そして私は、右手を
太陽へとかざす。
黄金「はは、千切れた腕が、元通りか~。ホント、
私って化け物だな~。……まぁ、今更だけど」
つぼみ「そ、それはどういう……」
自虐的な笑みを浮かべる私に、先輩の一人が問う。
黄金「私、プリキュアでも無ければ人間でも無い
んですよ。ある日、アギトの力が覚醒して。
後はもう人外です。超能力使えるわ、身体能力も
上がるわ。……私は、アギトの力が覚醒した
あの日から、一匹の化け物なんですよ。
先輩達も見たはずですよ。あの異形の姿に
なった私を」
プリキュア「「「「「………」」」」」
黄金の言葉に、あの時の、ギルスの姿を思い浮かべる各々。
黄金「今の私は、人間の道から外れた化け物。
この、第二の右腕は、その証」
今、彼女はナイーブになっていたのだ。
改めて自分が異形である事を、否が応でも突き付け
られる結果となったからだ。
「あの日、理解したはずだったんだけどな~。
もう、人間じゃないって」
そう言い、うつむきながらも右手に力を込める黄金。
しかし……。
あゆみ「そんな事ないよ」
不意に、私の右手を両手で握ってくれるあゆみちゃん。
「黄金ちゃんのこの腕は、私とフーちゃんの
未来を守るために、きっと神様がくれたんだよ。
だから、私は感謝してる。黄金ちゃんに。
アギトの力に」
そう言って、あゆみちゃんは私に笑みを向けてくれた。
響「そうだよ!例え、黄金ちゃんが人間じゃないとしても、
黄金ちゃんは黄金ちゃんだよ!その腕は、誰かを
守るためにあるんだよ!だからもっと、自分を
信じて!」
その言葉に、私は一瞬目を見開き、すぐに笑みを
浮かべた。
黄金「ありがとう二人とも。正直、救われるよ。
おかげで、また立ち上がれそうだよ」
そう言って、私は笑みを浮かべながら足腰に力を
入れて、立ち上がった。
そうだ。私は戦う。みゆきちゃん達を、みんなを、
友達を守るために。
その後、時間は過ぎて夕暮れ時。
私達はみんなと別れた。そして、夕暮れの公園で
私とみゆきちゃん達の6人が、あゆみちゃんとフーちゃんの
二人と向かい合っていた。
みゆき「それじゃあ、私達はそろそろ帰るね」
あゆみ「うん。みんな、ありがとう」
フー「プリキュア、ありがとう」
みゆき「うん。これで良いんだよ!これこそ正に
ウルトラハッピーエンドだよ!」
黄金「また、何かが力が必要な時は、呼んでね。
私は、友達を守るために戦う」
そう言って、私は右手を差し出す。
あゆみ「うん。でも、それは同じ。私に出来る事が
あったら連絡して」
黄金「ありがとう」
あゆみも右手を差し出し、二人は握手を交わした。
そして、私達は夕暮れの公園で別れた。楽しそうに
フーちゃんと談笑しながら帰って行くあゆみちゃんを
見送った私達も、ふしぎ図書館経由で帰る事にした。
んだけど……。
『ズキンッ』
うっ!?
唐突に、胸の辺りが痛み出した。それに、何かが
こみ上げて来る。ここじゃ、不味い。
黄金「あ、ごめんみんな。私ちょっとトイレ」
みゆき「うん。分かった。じゃあここで待ってるよ」
そう言って、足早にみんなの所から離れる私。
そして、私は人の居ないトイレに駆け込むと……。
黄金「うっ!?げほっ、がふっ!!」
『ビシャッ!』
こみ上げて来るそれを抑えきれず、入り口近くの
洗面台にもたれかかるようにして、口の中に
溢れたそれを、『血』を吐き出した。
「ハァ、ハァ、ハァ。うっ!?げほっげほっ!!」
更に咳がこみ上げ来て、手で口元を覆う。そして、手元を
見ると、そこにも血が付いていた。
やっぱり、ギルスの力は、反動が強すぎる。ましてや
今回の変身は、プリキュアに似ている普段のアギトや
ギルスからかけ離れた変身。ダメージも、かなりの物。
そしてうっすらとだけど覚えてる。私は、フュージョンを
喰った。それがどんな風に体に作用するか、分からない。
正直、この戦いで寿命が縮まったかもしれない。
けれど、それでも良い。
私は洗面台に吐き出した血と、手のひらの血を
水で洗い流す。
「みゆきちゃん達は、私が守る。
この、命に代えても」
そう言って、私は鏡越しに自分自身を見つめるのだった。
でも、このとき私はまだ、知らなかった。
れいか「……黄金さん」
トイレの入り口近くで、れいかちゃんが私の言う事を、
聞いていたなんて。
戦いはまだまだ終わらない。私達の戦いはまだ、
始まったばかりなのだから。
みらいのともだち編 後編 END
と言うわけで次回からまた本編に戻ります。
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