スマイルプリキュア!~新たなるプリキュア、その名はキュアアギト!?~ 作:ユウキ003
~~前回までのあらすじ~~
プリキュアとなったみゆきは、キュアハッピーとして戦いに
身を投じて行くこととなった。一方、黄金は身に覚えのない
肉体の疲労や謎の頭痛に悩まされていた上、ある日喋ってもいない
友人、やよいの声が聞こえたりと、自分自身の体に恐怖にも似た
感情を持っていた。
そんな矢先、再び現れたウルフルンとそれを追うように現れた
金色の謎の少女。やがて戦いの中で≪日野あかね≫が新たなるプリキュア、
≪キュアサニー≫へと覚醒。自らの口で、≪アギト≫と名乗った少女
との協力で事なきを得た。
しかし、戦いの終了後、アギトは自分自身に恐怖するそぶりを見せて
ハッピーとサニーの前から逃走。校舎の陰で変身を解き現れたのは、
津神黄金だった。
サニーが覚醒した翌日。その昼休み。
みゆきとあかね、キャンディが学校の屋上のベンチで集まって
食事やら昨日回収したデコルの能力を確かめている一方。
黄金は一人、学校の隅の誰も使わないようなトイレの中で、
顔を洗っていた。
あの後、またフラフラになりながら帰った私はベッドに飛び込むようにして
眠った。
そして見た。全てを。
私が湖の前で気絶したあの後、何が起こっていたのかも。
あの時、40分ほど気絶していた私は、私じゃない、あの力に
≪動かされていた≫んだ。まるで、ロボットみたいに操られて……。
そして、星空さんが変身した、確かキュアハッピーと言ってたあの姿
と一緒に戦って、レンガの化け物を倒して。
昨日もそう。頭が割れそうな頭痛に襲われて、私の中の力が起きて、
敵と戦った。そして、その後、私が目覚めた。
今ならわかる。頭痛は私自身の力に対する副作用か抵抗なんだと思う。
体があちこち痛いのは、知らないうちに私が戦っていたから。
あの時、ノイズまみれのビジョンが見えたのは、私自身が
その光景を見ていたから。私の人格ではなくても、私が見ていたから
その記憶が頭の中に残っていたんだ。
そして、あの時やよいちゃんの声が聞こえたのも、多分この力のせい。
……。私の体、どんどん人じゃなくなっていく。
そう思いながら、私が顔を上げた時、目の前に鏡に紅い目と金髪の、
あの時の私が写ったように見えた
黄金「ひっ!」
咄嗟に悲鳴を上げて視線を逸らし、再び視線を戻す黄金。
鏡には、ちゃんと黄金自身の姿が映っていた。
それを確認すると、黄金は壁に寄りかかって、静かに、
そして一人で涙を流し始めたのだった。
その後、私は気分をすっきりさせるために、屋上に向かった。
あの事をこれ以上考えてもしかたない。と言うより考えたくない。
だから、別の事を考えるために私は屋上に向かった。
と、その時、階段の上からやよいちゃんが降りてきて私とすれ違った。
何だろうと思いつつ、階段を上がっていくが、屋上ではなぜか
みゆきちゃんとあかねちゃん。そして、あの謎の妖精みたいなのが
一緒に居て話をしていた。
それを見て、昨日の戦いの事を思い出してしまった私は踵を返して
下に戻っていった。
あの二人には悪いけど、みゆきちゃんやあかねちゃんと顔を合わせるたびに、
変身した時の顔と今の二人の顔がダブって見える。
それが、私の中の恐怖と不快感を煽ってしまうんだ。
……私は、普通の人間で居たかったよ。
そう思う彼女の頬を、また一つ、涙が伝った。
その翌日、私達の学校では今、美化週間と言う事でクラス別に
ポスターを作る事になった。しかし、その作る、もとい描く人が
また決まって居なくて、今はその人を決める話し合いになっていた。
そんな時、私の近くに居たみゆきちゃんやあかねちゃんがやよいちゃんを
推薦して、見事にそれが通っちゃった。
そして、どうやらみゆきちゃんとあかねちゃんがやよいちゃんに協力して
ポスターを描くことになった。そして私は、影からそれを見ていた。
そして、数日後。
私は張り出されたポスターを見ていた。しかし、やよいちゃんの
ポスターは努力賞となってしまった。でも、この数日間
こっそりとだけど、やよいちゃんやみゆきちゃん達が頑張っているのを
私は見ていた。だけど……
唐突に現れた男子たちがやよいちゃんの努力賞。そして、
3人の努力を≪負け惜しみ≫とけなし始めた。
もしこの時、黄金の心が平常を保っていたなら、彼女が怒りに身を任せる事は
なかったかもしれない。だが、今の彼女は自分自身の事で
情緒不安定となっていたのだ。その不安定さが、彼女の怒りを
爆発させてしまったのだ。
―――許せない―――
その時、私の中で、箍が外れた。
次の瞬間、私は美術部の部長、蘇我の取り巻きに近寄り、その顔面を
思い切り殴り飛ばした。
余りの事にみゆきちゃん達3人と周囲の生徒が呆然となった。
「な、なにすんだ!」
唐突な事で非難の声を上げながら突っ込んでくるもう一人の男子。
だが、次の瞬間、その男子の側頭部に黄金の回し蹴りが炸裂し、倒れた。
倒れた男子生徒の背を踏みつける黄金
黄金「負け惜しみ?芸術?笑える。そういうあなた達ポスターこそ、
ただの醜い化け物じゃない。環境美化と化け物がどうつながるのか、
ぜひ教えてほしいですね」
そう言って、色を失いかけている瞳で蘇我を睨みつける黄金
「私に言わせれば、才能やらなんやらに物を言わせてそうやって
他人の努力をバカにする奴らが一番大っ嫌いなのよ!」
そう言って眼下の男子生徒を足蹴にする黄金。
「自分の力でやよいちゃんに勝ったわけでもないのに、
偉そうにほざくなぁぁぁっ!!」
そう言って、倒れている男子生徒を立たせて再び殴り飛ばすを
繰り返す黄金。
仕舞には男子が泣きだそうが喚こうが殴り蹴る事をやめない黄金。
みゆき「こ、黄金ちゃん?」
あかね「アカン、始まってしもうた」
みゆき「どういう事なの、あかねちゃん」
あかね「…あれは、ウチが転校してきたばかりの頃の事や。
ある女子生徒が男子に告白したんやけど、男子はそれを
面白がって女子生徒を笑いもんにしてしもうたんや。
それで、それを知ったその女子の友達だった黄金が……」
みゆき「黄金ちゃんが、どうしたの?」
あかね「…その男子生徒をボコボコにのしてしまったんや」
みゆき「え?」
あかね「黄金は普段はめっちゃ優しいんやけど、怒ると誰も手が付けられない
くらい狂暴になってしまうんや。最近はその『スイッチ』が
入った姿は見た事なかったんやけど……」
その後、話を聞いてやってきた先生たちによって、黄金は別室に
連れていかれてしまった。その去り際、黄金は……
『ビリリリリッ!』
蘇我の作品をびりびりに破いてしまった。
その後、黄金は応接室で佐々木と話をしていた。
佐々木「津神さん。あなたは何をしたか分かっているんですか?」
黄金「……やよいちゃん達の努力を笑った男子をぶっ飛ばしました」
佐々木「暴力を振るったんですよ!わかってるんですか!」
黄金「……あんな奴ら、殴りでもしなきゃすっきりしないんです。
ろくな絵も描けないくせに他人を上から目線で語る奴らなんて。
芸術家気取りの馬鹿にはいい薬です」
アギトの件で情緒不安定な事もあり、未だにスイッチが『入った』状態から
戻らない黄金。
佐々木「……津神さん、最近おかしいですよ?授業中もぼーっとしたり。
何かあるなら、先生に相談してください。ね?」
相談?……そんな事できるわけない!どうせ、話したって私の事を
化け物呼ばわりするだけだ!何が先生だ!どうせ上辺だけのくせに!
ギリギリと奥歯を噛みしめ、怒りが収まらない黄金。
今の彼女は怒りと猜疑心が全面に出た状態になってしまっていたのだ。
と、その時、黄金の脳裏に『敵』の存在を感知する波動が伝わってきた。
それと同時に周囲をバッドエンド空間が包み、黄金の目の前の
佐々木を無力化してしまった。
それを見た黄金は、応接室を出て、一人『敵』に向かって歩き出した。
そんな中で、彼女は考えていた。自分自身の事を。
……あぁ、そうか。やっとわかった。
ただ一人、ゆっくりと『敵』の居る方へと歩みを進め、無気力な生徒達
であふれる廊下を歩いて行く黄金
私の力は、『敵を倒す』ための物なんだ。
やがてたどり着いた昇降口から外を見ると、そこではあかねちゃんと
みゆきちゃんが赤い鬼みたいな怪人と向かい合っていた。その傍には、
無気力化したやよいちゃんの姿もあった。
あれが……私の敵。
そう思い、自分の『殺すべき』相手を、赤い鬼『アカオーニ』だと
判断する黄金。
私のやるべきこと。それは………
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
……殺し続けて、最後に私が死ぬ。きっとそうなんだ。
そう、自分に言い聞かせながら私は両手を左腰の所で交差させてから、
右手を戻して縦に構えた。
≪QUUUUUN!≫
すると、私のお腹に光を放ちながら金色のベルト≪オルタリング≫が現れた。
黄金「………変、身」
静かに呟きながら、ベルトの両サイドのスイッチを叩く黄金
≪QUOON……QUOON……QUOON≫
スイッチを押すと、ベルトの中央から強烈な光が放たれ始めた。
≪カツーン……カツーン……カツーン……≫
ゆっくりと歩みを進めながら校舎の外に出た黄金。
そして、その音に気づいて変身しようとしていたみゆきとあかねが振り返り、
アカオーニもそちらに視線を向けた。
みゆき「あの光!もしかして!」
アカオーニ「オニ?お前は誰オニ!」
あれを、殺せばいいんだ。
≪VUUUUUUUN!≫
そう思った時、私の体を光が包み、私はアギトの力を呼び出した。
みゆき「やっぱり!キュアアギト!」
あかね「って、あれがホンマにあの時のプリキュアなん!?ウチらと
全然違うやん!」
と、私を見て驚くあかねちゃんと私をキュアアギトと言うみゆきちゃん。
でも、私はなんだっていい。どうせ、やる事は変わらないのだから。
あの鬼モドキを、叩き潰す!
私はみゆきちゃん達に一度だけ視線を送ってから、赤い鬼に向かって歩き出した。
アカオーニ「そうか。お前がウルフルンの言ってた一番強いプリキュアオニか!」
アギト「………」
アカオーニ「だったらちょうどいいオニ!オレさまのアカンベェで――」
と言って、赤い球体、赤っ鼻を取り出そうとするアカオーニ。だが、次の瞬間、
アギトがアカオーニの眼前に急接近していた。
「オニッ!?」
一瞬の事で驚いて数歩後ずさるアカオーニ。
だが、次の瞬間、アカオーニの顔面にアギトの飛び膝蹴りが命中した。
「オニ~~~!」
吹っ飛ばされて背後の壁に激突するアカオーニ。
と、今度はそこにアギトが突っ込んできて、ショルダータックルの要領で
アカオーニをさらに壁の中に押し込んだ。
壁に激突した衝撃で出来た砂煙の中から、アギトがジャンプして出て来て、
みゆき達の前に着地した。
他愛ない。これが私の敵なんだ。……後一撃、頭に入れれば倒せるだろう。
そう言ってアカオーニの居る場所に歩みを進めたアギト。
と、その時、彼女めがけて煙の中から瓦礫が飛んできた。
しかし、それを無表情のままの裏拳の一撃で粉砕するアギト。
煙の中から、お腹を押さえつつアカオーニがゆっくりと出て来た。
アカオーニ「よくもやりやがったオニ!もう許さないオニ!」
すると、アカオーニは再びアカンベェを呼び出そうとした。
みゆき「っ!あかねちゃん!」
あかね「合点!行くで、みゆき!」
みゆきの言葉の意味を理解したあかね。二人は、スマイルパクトを取り出し、
プリキュアへの変身を始めた
『レディ!』
み・あ「「プリキュア!スマイルチャージ!!」」
『ゴー!ゴーゴー!レッツゴー!』
パクトから光と共に飛び出したパフを使って変身するみゆきとあかね
ハッピー「キラキラ輝く未来の光!キュアハッピー!」
サニー「太陽サンサン!熱血パワー!キュアサニー!」
名乗りを上げる二人。そして……
アカオーニ「出たオニね、忌々しいプリキュア!オレさまのアカンベェで
捻りつぶしてくれるオニ!出でよ!アカンベェ!」
すると、アカオーニの持っていた赤っ鼻から溢れたエネルギーが
アカオーニがくしゃくしゃにしたやよいの絵と融合して、
やよいが描いていたヒーロー、クリーンピースマンとピエロが
融合したようなアカンベェが誕生してしまった。
「行け!アカンベェ!」
『アカンベェ!』
アカオーニの命令に合わせて、塵取りと箒を武器にしたアカンベェが
襲い掛かってきた。
ハッピーとサニーはその箒による攻撃を回避し、ダブルキックを
叩き込もうとするが、塵取りに弾かれてしまった。
今度はアギトがアカンベェに向かって走り出した。
「アカンベェ!そいつを突き飛ばすオニ!」
『アカン、ベェ!』
命令に合わせ、左手に持っていた箒を槍のように突き出してくるアカンベェ。
だが、アギトはそれをジャンプで回避し、箒の柄の部分に着地し、
もう一度跳躍。アカンベェの顔面にキックを喰らわせて体勢を崩させた。
ハッピー「あ!サニー!今だよ!」
サニー「成程!よっしゃ!一緒に行くで!」
今が必殺技の好機と判断したハッピーとサニー。
ハッピー「う~~!気合いだ気合いだ~~!」
サニー「よっしゃぁぁぁぁぁぁ!」
スマイルパクトにエネルギーをチャージした二人。そして……
ハッピー「プリキュア!ハッピーシャワー!」
浄化の力を使うハッピー。だが、それは起き上がったアカンベェによって
回避されてしまった。……もっとも、回避以前のその眼前で
消滅していたため、技としては命中したとしても不発だった可能性が高いが…。
サニー「外れた!?こうなったらウチが!」
今度はサニーが浄化の技を繰り出した。
「プリキュア!サニーファイヤー!」
先日の戦闘の時と同じようにバレーの要領で火球をアカンベェに向けて
レシーブするサニー。
しかし、彼女の技もアカンベェの眼前で消滅してしまい、不発となった。
「な、なんでや~」
キャンディ「ちゃんと力を込めてないからクル~!」
そして、パワー切れでハッピーとサニーはその場にへたり込んでしまった。
その様子を見て、アギト…黄金は……。
やっぱり。…みゆきちゃん達は戦いには向いていない。それに、
あの技は一発が限界。これ以上は使えない。しかも、あの技は使う人の
体力を力に変えている技だから、一度使えば体力がなくなって動けなくなる。
……となると、浄化は無理。だったら、私が倒す。
『アカンベェ!』
アカンベェが二人めがけてビームを発射してきた。
キャンディ「ハッピー!サニー!逃げるクル~!」
と、その時、ビームと二人の間にアギトが割って入り、
そのビームを右手一つで受け止めた。
ビームの照射が終わると、アギトに庇われ、無傷の二人と右手から
煙を上げるアギトの姿があった。
「キュアアギト!すごいクル~~!」
アカオーニ「はっ!プリキュアが何だオニ!所詮その金ぴか以外は
ただの役立たずオニ!そんな役立たずが頑張っても
無駄オニ!」
その言葉に、ハッピーとサニーは手を握りしめながら立ち上がった。
ハッピー「無駄かどうか……」
アカオーニ「ん?」
ハッピー「私にはまだわかんないけど……一生懸命描いた黄瀬さんの努力を
バカにするのは、許せないっ!」
その叫びが周囲に木霊した時、絶望から抜け出した者の姿があった。
―――やよいだった―――
やよい「え?なに、これ?一体何が……」
ハッピー「あ!黄瀬さん!」
やよい「え?その声、もしかして、星空さん?」
ハッピー「あ、うわあああっ!ごめ~ん!それは秘密なの~!」
サニー「だからそんなんゆうたらバレバレやろ!」
ハッピー「あ、そっか!」
やよい「えぇぇ?」
余りの事に混乱するやよい。と、その時、アカンベェが目標を
やよいに変更して突進してきた。
『アカンベェ!』
ハッピー「黄瀬さん!危ない!」
やよい「うわあぁぁぁぁっ!!!」
咄嗟に両腕で頭を庇うやよい。だが、この時、アカンベェを追い越し、
やよいを抱き上げて飛び、近くのオブジェクトの上に着地した者がいた。
アギトだった。
「う、う~~~。…あ、あれ?私、どこも、怪我してない?」
と、その時、やよいが周囲を見回して、アギトと視線が交差した。
「え、あ。あ、あなたは?」
アギト「………」
無言でやよいを見つめるアギト。そして、やよいはその目を見て………
やよい『うわ~この人の目、赤くてキレ~~。
……って、私、今、お姫様抱っこされてるの!』
初めて自分がアギトにお姫様抱っこされている事に気づいたやよいは
顔を真っ赤にしてしまった。
一方で………。
……。傷つくには、化け物の私一人で十分。どうせ、戦いが終われば死ぬんだ。
だからせめて、一人でも多くの人を助けて、戦って、死のう。
それが、きっと化け物になった私の運命なんだから。
そう思いながらアギトはハッピー達の近くに着地し、やよいを下した。
アギト「……ハッピー、サニー」
ハッピー「は、はい!って、今喋ったの!?」
サニー「初めて喋ったんとちゃうん!?」
アギト「………この子を、お願い」
そう言うと、アギトはアカンベェの方に視線を向け、歩き出した。
そして、そのまま流れで自身のベルトの左側のスイッチを叩いた。
すると、ベルトの中心から現れたストームハルバードを掴んで引き抜き、
刀身の展開と共に風の能力を備えた『ストームフォーム』へと
姿を変えるアギト。
アカオーニ「姿を変えたからってなんだオニ!アカンベェ!まずは
そいつから倒すオニ!」
『アカンベェ!』
命令に従ってアギトに襲い掛かるアカンベェ。
まずは、箒の先端で突き攻撃を繰り出してきた。
アギト「はっ!」
それをハルバードの切っ先で逸らして、最小限の動きで回避したアギト
続けて繰り出された塵取りの振り下ろし攻撃はサイドステップで
回避し、二度目の突きはハルバードの柄部分で受け止め、それを
上に逸らし、その腹部を蹴って吹き飛ばした。
ハッピー「すごい!やっぱり強いよキュアアギト!」
サニー「ウチらだって、負けへんで!」
アギトの戦いぶりに触発されて力が回復してきたハッピーとサニー。
だがこの時、その背後にアカオーニが迫っていて、凶悪な笑みを浮かべながら
こん棒をハッピーめがけて振りかざしていた。
アギト「ッ!危ない!」
真っ先にアカオーニの存在に気づいたアギトが警告を発し…
ハッピー「え?」
呆けた声を上げながら振り返るハッピー。
アカオーニ「死ねぇ!プリキュアァ!」
ハッピー眼前にはすでにアカオーニのこん棒が迫っていた。
アギト「ッ!はあぁぁぁぁぁっ!」
その時、アギトの頭部のクロスホーンが展開し、その肉体の力を
限界まで引き上げた。本来、この展開は必殺技の際だけなのだが、
進化するその力の可能性は無限大なのだ。
そして、いま必要なのは、『速さ』だ。
フォームの中でも一番速度に特化したストームの俊敏性を限界まで
引き上げたアギトの速度はマッハ1。或いは、それ以上の速度で
走り、彼女はハッピーを抱きかかえ、飛んだ。
次の瞬間、アギトの後頭部にアカオーニのこん棒が振り下ろされた。
アギト「っあ!」
アカオーニ「やったオニ!」
ハッピー「キュアアギト!!」
サニー「こんのぉ!どりゃあ!」
『ドガッ!』
アカオーニ「オニィ!」
ハッピーを抱えたまま吹き飛ぶアギト。そしてサニーはアカオーニを
後ろから蹴っ飛ばした。
ゴロゴロと地面を転がってからハッピーを放すアギト。
同時に、ストームフォームへの変身も解除され、金色の
グランドフォームへと戻ってしまった。
ハッピー「キュアアギト!しっかりして!」
アギト「っ。……」
頭を押さえながらも立ち上がったアギト。
頭を打たれた事でフラフラになりながらも立ち上がったが、
すぐに体勢を崩してしまったアギト。
ハッピー「アギト!」
サニー「うわああっ!」
と、そこにアカンベェの攻撃でサニーがハッピーとアギトの近くに
飛ばされてきた。
アカオーニ「はっはっは!これで終わりオニプリキュア!
アカンベェ!トドメオニ!」
命令に合わせ、アカンベェは箒と塵取りの柄を接続して薙刀形態へと
変化させ、それを回転させながら倒れているハッピー達の方に向かってきた。
しかし、3人とアカンベェの間に立ちふさがる者がいた。やよいだった。
ハッピー「黄瀬さん!?」
アカオーニ「何だお前は?弱虫はひっこんでろオニ」
やよい「私は泣き虫だけど、すぐ泣いちゃうけど、二人は私が勇気を出す
きっかけをくれた大切な友達だもん!」
ハッピー「黄瀬さん!」
サニー「やよい!」
やよい「二人を傷つけるのだけは……絶対許さないんだからぁっ!」
周囲のやよいの言葉が響いた次の瞬間、黄色い光がやよいを包んだ。
ハッピー「嘘!?これって……」
アギト「…目覚めの、時」
やよい「ふぇぇっ!?!」
黄色い光の空間に浮かぶやよい。と、その時、彼女の前に
第3のスマイルパクトが現れた。
「何これ!」
と、その時、やよいの頭の上にキャンディが現れた。
キャンディ「スマイルパクトクル!」
やよい「あ、キャンディ!って、おもちゃじゃなかったの!?」
キャンディ「そんな事はいいクル!早くスマイルパクトにキュアデコルを
セットして、プリキュアスマイルチャージって叫ぶクル!」
やよい「よくわかんないけど、やってみる!」
スマイルパクトを開き、みゆきのピンク、あかねのオレンジのように、
イエローカラーの専用デコルをセットするやよい
『レディ!』
「プリキュア!スマイルチャージ!」
『ゴー!ゴーゴー!レッツゴー、ピース!』
飛び出したパクトをタンバリンのように叩いて変身していくやよい。
そして、≪第3≫のプリキュア、≪キュアピース≫が覚醒した。
ピース「ピカピカぴかりん!じゃんけんポン♪キュアピース!」
と、ピースサインを決めながら名乗りを上げるキュアピース。
ハッピー「キュアピースかわいい~~!」
サニー「『じゃんけんポン♪』?なんやそれ?」
アカオーニ「≪4人目≫のプリキュアだとっ!?」
ピース「これが、私?……すご~い!本物のスーパーヒーローみたい!」
と、自分の体を見回してはしゃいでいるピース。
『アカンベェ!』
と、その時、ピースの目の前にいたアカンベェが薙刀状の武器を
ヘリのローターのように回転させ始めた。
アカンベェと睨みあい、咄嗟に構えるピース。
ハッピーとサニーはそれを心強そうに見つめるが……。
ピース「…………。うぅ、いやあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
アカンベェに恐れをなして泣きながら逃げ出してしまったピースと
それを追うハッピー、サニー。
キャンディ「逃げちゃダメ~クル!プリキュアは、伝説の戦士クル!」
逃げようとするピースにそういうキャンディだが……。
ピース「そんな事言われたって、怖いんだも~ん!」
そう言って、涙を浮かべながら逃げるキュアピース。
しかし、運悪く地面の段差に足を取られてこけてしまった。
そこに、武器を振り回しながらアカンベェが追いかけてきた。
アカンベェを見て、今にも泣きだしそうなキュアピース。
と、その時……。
アギト「はあぁぁぁぁぁっ!!」
アカンベェの後頭部を後ろから思い切り蹴りつけ、その後頭部を蹴って
ハッピー達の前に着地するアギト。
ピース「え、あ。あなたは……」
その時、キュアアギトの額から一筋の血が流れた。
ハッピー「血が!!」
サニー「ひょっとして、あの時の!」
だが、それを気にするアギトではなかった。
アギト「……私には、戦う事しか、できない」
ピース「え?」
ただ一言、それだけ言うとアギトはクロスホーンを展開しながら両手を
左右に開き、左足を後ろに引いた。
すると、彼女の足元に金色の紋章が現れた。
そして、手の動きと足の動きに合わせて、紋章がアギトの
靴裏に吸収されていった。
アカオーニ「立つオニアカンベェ!先のその金ぴかを倒すオニ!」
『アカンベェ!』
命令に従って起き上がったアカンベェは武器を振り上げた。
だが、逆にその隙を狙っていたアギトが駆けだした。
そして、でかい図体の真下をスライディングで通過したアギトは
すぐに体勢を立て直してジャンプした。
アカンベェが振り返る頃にはアギトはアカンベェに向けて足先を伸ばしていた。
アギト「はあぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
彼女の放つ必殺技、『ライダーキック』がアカンベェの胴体に炸裂した。
しかし、頭部への打撃を受けた事で狙いが若干逸れてしまい、撃破までには
至らなかった。ゴロゴロと転がってから壁に激突するアカンベェと、
着地してから地面に膝をつき、頭を押さえるアギト。
ハッピー「アギト!」
サニー「アカン。あの傷のせいでもうまともに戦えないんや」
ハッピー「でも、私達はもう技が使えないし……」
ピース「技?って何?」
キャンディ「そうクル!キュアピースの力を使うクル!」
ピース「え、あ、わ、私?」
キャンディ「そうクル!キュアピースの雷の浄化の力で、アカンベェを
倒すクル!」
ピース「で、でも、どうやって?」
キャンディ「スマイルパクトに力を籠めるクル!」
ピース「それって、これの事?」
そう言われ、腰に下げていたスマイルパクトを手に取りハッピー達に見せるピース
ハッピー「うん!そう、それ!」
ピース「わ、わかった。やってみる!」
そう言うと、スマイルパクトをもって前に掲げるピース
「はあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
気合いのエネルギーを充填していくピース。そして、それが臨界となり、
プリキュアの必殺技が発動した。
「プリキュア!」
右手でピースサインを作り、上に掲げるピース。
すると、その指に落雷が落ちた。
「うわぁっ!?……ピースサンダー!」
雷に驚き、涙目になりながらも、技を発動させるピース。
発射された雷は一直線にアカンベェに向かい、直撃。
その闇の力を浄化させることに成功した。同時に、アカンベェの元に
なっていたやよいの絵も、くしゃくしゃな状態ながら戻ってきた。
キャンディ「やったクル~!!」
アカオーニ「むぅ、プリキュア!次は容赦しないオニ!」
そう言うと、撤退していくアカオーニ。
それを見て、変身を解除するみゆき、あかね、やよい。
だが、アギトだけは姿を保ったまま、3人を見つめてから、
遠ざかるように歩き出した。
みゆき「あ!待って!」
咄嗟にアギトを呼び止めるみゆき
「私たち、同じプリキュアなんだよね!」
しかし、この言葉はアギトの、黄金の心を抉る結果となってしまった。
同じ?私が、みゆきちゃん達と?……違う!私は人間じゃない!
プリキュアなんかじゃない!
「だから、一緒に戦おうよ!」
アギト「………私は…」
みゆき「?」
アギト「私は、あなた達とは違うの」
みゆき「?」
アギト「だから一緒には戦えない」
みゆき「あ!待って!」
そう言うと、アギトは制止を聞かずに3人に背を向け、どこかへと行ってしまった。
その後、仲を深めていたみゆき、あかね、やよい。一方で黄金は
応接室に戻り、佐々木の復活を待っている間、ずっと考え事を
していた。
そう、私はもう人間じゃない。みゆきちゃん達のようなプリキュアでもない。
ただ、戦い続けるだけの化け物、アギト。
相手を浄化するのではなく、倒す、殺すための力。私はもう、
戻れない。戦って戦って、誰にも知られることなく死ぬ。
きっと、それが私の運命。
だったら私は戦い続ける。人の皮を被った怪物として。
そう、静かに、だが、歪んだ決意を持ってしまった黄金。
新たなる戦士の覚醒と、壊れ始める少女の心。
アギトとなった少女は、このまま暗い運命の中を進むしかないのか?
第3話 END
作中の中で黄金は精神的に追い込まれました。
しばらくはこんな状態が続きます。
自分的には年頃の女の子がアギトに、異形になったら
流石に翔一や凉みたいに居られるはずがないと
想い、こうしました。
自分ではビューティ加入後にオリジナルの第6話、
つまり6.5話を作って投稿するつもりです。