スマイルプリキュア!~新たなるプリキュア、その名はキュアアギト!?~   作:ユウキ003

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今回はスマプリ第4話です。


第4話 緑の風と紅の炎

~~前回までのあらすじ~~

アギトのとしての力を自覚してしまった黄金は自分が

化け物になってしまったと思い、情緒不安定な状態になってしまった。

そんな中で、ウルフルンに変わる新しい怪人『アカオーニ』が

現れ、苦戦してしまうハッピーとサニー。

しかし、そんな中でみゆき、あかねと絆を結んでいたやよいが

3人目のプリキュア、『キュアピース』として覚醒。

彼女の力で、アカンベェを撃退する事が出来た。

だが、一方で黄金は自分自身がプリキュアとも人とも違う、

ただ敵を倒す、いずれ死にゆく化け物だと、歪んだ決意を

宿してしまった。

 

 

やよいちゃんの覚醒からすでに数日が経ったある日。

あの日以降、私は人間と怪物の両方を演じることにした。

普段はいつもの優しいって思われてる私。でも、戦いになれば、

私は敵を倒すだけの怪物。

お昼休みの今だって、私はみゆきちゃん達と一緒に中庭のベンチで

一緒にお昼を食べていた。そんな時だった。

 

みゆき「へ~!やよいちゃんのお弁当って、キャンディ!」

やよい「えへへ、作ってみたくって」

黄金「あ、私知ってるよ。そういうの、キャラ弁とかって言うんでしょ?」

あかね「ほえ~。んじゃ、味見味見っと。ん!うま~!」

と、和気あいあいとしていた時、4人の前に3年の生徒が近づいてきた。

 

A「ちょっとあなた達。悪いけど、移動してくれない?」

B「ここは私たちの場所なの」

 

あぁ、屑が来た。

偉そうに、何が私たちの場所よ。そんなに言うなら張り紙とか

張っておきなさいっての。

 

心の中で先輩に向かって悪態をつく黄金。

 

みゆき「え?」

A「私たち、いつもここで食べてるの!」

あかね「そんなん、早い者勝ち違うんですか?」

立ち上がって抗議するあかねちゃん。

 

そうだ。一体いつここがこんな奴らの物になったのか、教えてほしいくらいだ。

A「ここはいつも私たちが使ってるの!」

B「あなた達2年でしょ!」

年齢が何よ。

あかね「な、なんですかそれ。そんなんに2年も3年も関係ないと違います?」

B「良いから退きなさいよ!」

あぁ、うるさい。うるさい。

 

黄金「偉そうに。ただ一年生まれた年が早いからって」

 

今まで黙っていた黄金が声を上げ、注目を集めた。

A「何よ、先輩に口答えする気!?」

黄金「私たちは正しい事を主張しただけです。

   公共の場所を専用の場所と勘違いして偉そうに

   先輩面してる先輩の何処が正しいって言うんですか!」

B「何ですって!?」

先輩の片方が掴みかかって来ようとしたその時……。

 

なお「先輩方。それまでです」

みゆき「緑川さん!」

なお「黄金も言い過ぎなのはありますが、後から来て

   場所を横取りするなんて、おかしいと思います!」

B「横取りだなんて!」

なお「中庭はみんなの場所です。先輩達の言う事は、

   少し筋が通っていないと思います!」

 

流石に、これには反論できない二人。

みゆき『ほわ~!勇気ある~!かっこいい~!』

黄金『一直線なのは、相変わらず、か』

それぞれ、なおについての事を心の中で漏らすみゆきと黄金

 

と、片方が反論しようとした時。

???「アッハッハ。確かにその通りだね」

唐突に、先輩達の後ろから声がした。そこに居たのは……

A・B「「入江生徒会長!」」

入江「確かに、君の言うとおりだ。ここは学校のみんなの場所だもんね。

   ね?」

会長が先輩方に同意を求めると、先輩達は顔を赤くして同意した。

 

うざい。白々しい。イライラする。

さっきとは打って変わって、女子に人気のある会長に嫌われたくないとか、

良い目で見られたいばかりに、体裁を繕い、上辺だけの謝罪を述べる。

こんなのが人間かと思うと、イライラする。

……。闘いになっても、あんな奴らなら、護る価値もない、か。

 

と、去って行く先輩を私は睨みつけていた。

 

その一方で、みゆき達と話をしていたなおちゃんだけど……

 

なお「それより黄金。あれは言い過ぎだよ?黄金が怒ると止まらないの

   は知ってるけど、最近特に怒りっぽくなってない?」

あかね「そういや、最近黄金の笑った顔、あんまり見てへんな」

やよい「何か、あったんですか?」

黄金「………」

なお「私に相談できることがあれば相談に乗るからさ。だから――」

黄金「…話したって、どうにもならないよ」

 

そう言うと、私は食べかけのお弁当をもって、中庭の屋根付きベンチから

離れて行った。

 

数日後、私は屋上でお弁当を食べようと一人で向かっていたけど、

先客がいた。みゆきちゃん達3人が屋上のベンチに座ってお弁当を

食べていたんだ。私は、開きかけたドアの陰に隠れた。

 

あかね「それにしても、気になるな~」

みゆき「何が?」

あかね「ほら、やよいが初めて変身した時あのアギトがゆうてたやろ?

    ≪私は、あなた達とは違うの≫って。あれがどうも気になってな~」

やよい「違う、と言えば、確かに私たちとは違うよね」

みゆき「え~っと、どこが?」

やよい「まずは、あの人、アギトはスマイルパクトを持ってない事と、

    私たちみたいに名乗りを上げない事と、後は……。

    あ、技を使うのにパクトを使わずに、こう、角を開く事とか?」

あかね「後はベルトのスイッチを押して姿を変える事もそうやな。

    今は金色になったり青になったり。青の時はベルトから武器を

    取り出してたな」

やよい「そもそも、私たちが変身するにはこのスマイルパクトを使うわけだけど、

    キュアアギトがそれを持ってないなら、どうやって変身してるんだろう?」

キャンディ「確かにそうクル」

あかね「う~~ん。謎は深まるばかりやな~」

 

謎、か。

それでいい。私は謎だらけの化け物。ただ戦うだけの戦闘マシーン。

それが私の運命なんだ。

 

そう思いながら、黄金は静かにその場を離れた。

しかし、もし黄金がこの後のみゆき達の話を聞いていたら、

その心は少しは癒えたかもしれない。なぜなら……。

 

あかね「そういや、あのアギトが最初に現れたのは何時なんや?」

みゆき「えっとね。一番最初に私があの子を見たのは私が初めて変身した時

    なんだ」

やよい「それって、転校していた日の事だよね?」

みゆき「うん。…帰り道、キャンディを追いかけてきた悪い狼さんから

    襲われた時、助けてくれたのが最初だった」

やよい「狼、さん?」

あかね「昨日のは赤鬼やったけど、あれとは別に狼男みたいなのが

    おるんや」

みゆき「それで、私とキャンディの事を守ってくれて、一緒に戦って。

    後は、技を使った後ってすっごく疲れるでしょ?私も

    初めてハッピーシャワーをしたとき、バテバテになっちゃって。

    アハハ。それで、倒れそうになった私をお姫様抱っこして

    近くの公園のベンチまで運んでくれたの。

    あの時はカッコよかったんだよ~!私をお姫様抱っこして、

    顔はキリッとしてて~~。王子様みたいでかっこよかったんだよ!」

やよい「あ、それ。私の何となくわかる。私のあの時お姫様抱っこされたから」

と、顔を赤くしてみゆきに同意するやよい。

あかね「なんや、まるで恋するお姫様やな~二人とも」

と、みゆき達の事を茶化すあかね。それに対して、みゆきは……。

みゆき「そそ、そんな恋だなんて!そこまでじゃないよ~!」

やよい「そうだよ~!ただ感謝してるとか、そういうので、ベベ、

    別に恋だなんて~」

と、二人して顔を赤くしながらパタパタと手を振って否定していたのだった。

あかね「お?なんや、脈あり、って感じやな~」

と、話しながら3人は心を閉ざし始めた黄金と対象的に、笑っていたのだった。

みゆき『でも、本当にキュアアギトって、誰が変身してるんだろ?』

そう思いながら、青い空を見上げるみゆきだった。

 

数日後の休日。

 

その日、私はローラーシューズを履いて町中を散歩していた。

これは私の趣味の一つで、よくこうやってローラーシューズを履いて

町中を滑っている。自転車とも違う風を切って進むのが好きなんだよね。

 

もっとも、今はただ、アギトの事を忘れたいから滑っているだけなんだけど……。

 

そして、私がスーパーの近くを通りかかった時だった。

なお「あ、黄金!」

黄金「え?」

なおちゃんの声が聞こえたので、私は足を止め、振り返った。

そこでは大荷物を持ったなおちゃんが私服姿で立っていた。

  「ど、どうしたのその大荷物!?」

なお「え?あぁこれ?実はお父さん達が町内会の集まりで出かけててさ。

   私が妹たちのごはん作らないといけないんだ。それで、悪いんだけど……」

黄金「何?」

なお「黄金、手伝ってくれないかな~?ほら、料理得意でしょ?お願い!」

と言って手を合わせるなおちゃん。仕方ないな~

 

黄金「良いよ。手伝ってあげる。ほら、荷物持つから」

私はなおちゃんのビニール袋をもって一緒に歩き出した。

 

それから数分後。なおちゃんの家に向かっていたんだけど……。

 

なお「あれ?あれって……星空さん?」

 

―――ゾクッ!―――

 

その名前を聞いて、私はみゆきちゃんに関する記憶。つまり

戦いの記憶を思い出してしまった。

 

―――戦え!―――

 

なおがみゆきに駆け寄って話をしている近くで、黄金は頭痛と

ノイズまみれの不可解な声に襲われていた。

不安定な彼女の精神が彼女自身の歪な決意のせいでさらに不安定に

なってしまったのだ。

 

なお「あ、そうだ。黄金、行くよ、って!黄金!大丈夫!?」

後ろに振り返ったなおが黄金が頭を押さえているのに気付いて駆け寄った。

黄金「う、うん。大丈夫。ちょっと立ちくらみがしただけだから。

   それより、早くなおちゃんの家に戻らないと。

   私がお昼作ってあげるからさ」

なお「う、うん」

 

何とか納得したなおちゃんに案内されて、私とみゆきちゃんは

なおちゃんの家に向かい、数分後には到着した。

 

みゆき「ここが、緑川さんのお家?」

なお「そうだよ」

みゆき「へ~。って、あ!そうだった!私ね、緑川さんに話が合って

    会いに来たの!」

なお「話?」

 

まさか。……もしかして、なおちゃんもプリキュアに?

と、思っていた時、そのみゆきちゃんの話は中から飛び出してきた

大勢のなおちゃんの妹ちゃんや弟君によって阻止された。

なお「ただいま。それじゃ、お姉ちゃんの友達に紹介するから、

   はい、整列」

というと、横一列に並ぶなおの妹と弟たち

  「上から、けいた、はる、ひな、ゆうた、こうた。」

5人「「「「「こんにちは~~!」」」」」

みゆき「わぁ!あ、こ、こんにちは!」

なお「お姉ちゃんの友達の星空みゆきちゃんだよ。

   黄金はよく世話を手伝ってもらってるから知ってるでしょ?」

みゆき「え?黄金ちゃん、お世話って?」

黄金「私となおちゃんは小学校からの幼馴染なの。なおちゃんの家は

   ごらんのとおりの大家族だし、私は料理は得意だから。

   よくなおちゃんのご両親が忙しい時とかにこの子達の

   お世話の手伝いをしているの。さぁ、今日はこの黄金お姉ちゃんが

   ごはんを作ってあげるからね~」

5人「「「「「は~~い!」」」」」

 

と、言う事で黄金はなおと協力してお昼ご飯を作ったのだった。

 

ちなみに、その間にみゆきは5人に遊ばれ、玩具と思われたキャンディは

遊ばれ、フラフラになりながらもあかねとやよいを呼びに行ったのだった。

 

お昼の後、近くの河川敷でサッカーをするけいた達5人を土手の上から

見つめるなお、みゆき、黄金。

 

しかし、なおとみゆきが話をしている横で黄金はボーっと河川敷から見える

川を見つめていた。

 

あぁ、落ち着く。何も考えないで、このまま、時間が過ぎて行けばいいのに。

 

そう思いながら体育座りの姿勢でゆっくりと瞳を閉じて行く黄金。だが……

 

あかね「お~~い!」

キャンディが呼んできたあかねとやよいが合流してきた。

 

私は、その声で現実世界に呼び戻されてしまった。

なお「あかね!やよいちゃん!」

みゆき「えへへ、私が呼んだんだ。みんなで遊んだほうが良いかなって…」

なお「そうだったんだ」

あかね「お?なんや、黄金もおるんか。…って、黄金、大丈夫か?顔、真っ青やで?」

みゆき「え?」

その言葉を聞いて、自分の後ろに居る黄金に振り返るみゆき。

 

確かに、今の黄金の顔は真っ青な状態になっていた。

なお「黄金、大丈夫?」

黄金「う、うん。大丈夫。ごめん、私、ちょっと帰るね。体の、調子が

   いまいちだから」

やよい「そうなんですか。気を付けて帰ってね」

黄金「う、うん。それじゃ……」

 

私は、やよいちゃん達が来た道をとぼとぼと歩き出した。

 

みゆきちゃんや、やよいちゃん、あかねちゃんが傍に居ることが、

私自身に戦いを思い出させて、その度に頭痛や声が聞こえる。

あぁ、これが、私の、運命なんだ。

 

もはや、PTSD、或いは砲弾神経症、シェルショックのような、

戦闘によるストレスが彼女の体を蝕んでいるのだった。

そのストレスが、彼女に特定の相手を認識、或いは記憶を思い出すだけで

苦痛となるのだ。

 

歩く事をやめ、立ち止まり、空を仰ぐ黄金。

 

と、その時、周囲一帯にバッドエンド空間が広がり、黄金は敵が

現れた事を『感知』した。感じる方へと走り、ローラーシューズで

急ぐ黄金。

 

数秒もすれば、元居た河川敷に戻った。

 

そこでは、アカオーニが黒い闇の絵本と絵の具を使ってバッドエンド空間を

作り出し、なおと家族のけいた達がそれに巻き込まれていた。

 

 

見つけた。…あの時、『殺し損ねた』私の敵!

 

アカオーニを確認した黄金は、両手を左腰の部分でクロスさせてから、

右手を右側にスライドさせた。

   ≪QUUUUUN!≫

光りと共に、腹部にオルタリングが出現した。

黄金「…変身」

リングの両方のスイッチを叩き、歩き出す黄金

   ≪QUOON……QUOON……QUOON……≫

 

いつもと同じように、鼓動を繰り返すベルトから大量の光を発し、

相手から素顔を隠しながらゆっくりと階段を下りて、近づいて行く黄金。

 

そして、その光にみゆき達3人。そして、アカオーニが気付いた。

みゆき「あ!あれは!」

あかね「ひょっとしてアギトなんか!?」

やよい「あれが、アギト」

アカオーニ「出たオニね!キュアアギト!」

黄金「………」

 

その言葉を無視しながら、ゆっくりと歩く黄金。そして……

   ≪VUUUUUUUN!≫

ベルトからより一層強い光が発せられ、その姿がアギトへと変化した。

 

アギト「はっ!」

階段の上からジャンプし、アカオーニとみゆき達の間に着地するアギト。

みゆき「キュアアギト!来てくれたんだ!」

アギト「………」

喜び声を上げるみゆき。だが、アギトはその声を無視して前方のアカオーニを

睨みつけていた。

キャンディ「って、喜んでる場合じゃないクル!みゆき達も変身するクル!」

みゆき「わかった!あかねちゃん!やよいちゃん!私たち4人で、

    みんなの笑顔を守ろう!」

あかね「よっしゃぁ!」

やよい「やっぱり、怖いけど…うん!わかった!」

 

戦う決意を固めた3人は、スマイルパクトを取り出した。

 

パクトの中にデコルをセットする3人

   『レディ!』

み・あ・や「「「プリキュア!スマイルチャージ!」」」

   『ゴー!ゴーゴー!レッツゴー!』

3人は光のパフを使ってそれぞれ変身をしていった。

 

ハッピー「キラキラ輝く未来の光!キュアハッピー!」

サニー「太陽サンサン!熱血パワー!キュアサニー!」

ピース「ピカピカぴかりん!じゃんけんポン♪キュアピース!」

着地と同時にそれぞれの名乗りを上げるハッピー、サニー、ピース。

 

で……。

 

ピースは名乗りの際に手をパーで出していたのだが……

 

アカオーニ「ぴかぴかぴかりん、じゃんけんぽん?

      前はチョキだったのに今回はパーオニ!?

      じゃんけん負けたオニ!!」

と、ピースのじゃんけんに付き合って負けたアカオーニ。

そして、キャンディはチョキで勝ったと言うが、どこがチョキなのか

突っ込むサニー。だが………。

 

アギト『遊びで戦いをしてるなら、退いてよ。邪魔だから。

    あっちも無駄に付き合ってるんじゃないわよ。

    さっさとあのピエロを呼び出しなさいよ』

心の中でピースやアカオーニに対して悪態をついていた。

 

優しいはずの黄金の心が、戦いの中でどんどんと荒んでいくのだった。

 

アカオーニ「面白くないオニ!出でよ!アカンベェ!」

赤っ鼻を使って、ゴールポストと闇の力を融合させたアカンベェを

作り出すアカオーニ。

 

作り出されたアカンベェは柱を基点として、左右の腕の部分に

ゴールネットの翼を持った蝙蝠のような姿となって、飛び立った。

そして、空中で旋回してから頭の部分が開き、そこから無数のサッカー

ボールを撃ち出してきた。

 

だが、そのボールは、ハッピー達の後ろに居る動けないなおやけいた達の

方へと向かって行った。

ハッピー「っ!危ない!」

だが、この時、ハッピー達よりも早く動く者がいた。アギトだ。

 

アギトは無言でなお達を背に立つと、今度は左ではなく、右側のスイッチを

叩いた。

 

無数のボールが迫りくる中で、ベルトの中から剣の持ち手部分が現れ、

それを引き抜くアギト。

現れたその紅い剣こそ、アギトの第3の力を象徴する物。

風の槍斧、ストームハルバードと対を成す物。

 

―――灼熱の炎を纏いし刀剣、≪フレイムセイバー≫―――

 

そしてさらに、ベルトから赤い光が発せられ、ストームフォーム

とは対照的な赤い体と赤い右腕を持つ、フレイムフォームへと

進化したアギト。

 

ハッピー「姿が、変わった!」

サニー「でも、青やない。今度は赤や!」

 

そして、フレイムフォームとなったアギトはフレイムセイバーを居合いの

ように左腰に構えて、持ち手を握りしめた。そして……

アギト「はぁっ!!」

裂ぱくの気合と共に振りぬかれたセイバーから赤い炎の

斬撃波が繰り出され、向かっていたボールを全て切り裂き、爆発させた。

 

   『アカンベェ!』

と、爆発で出来た煙を突き破って、アカンベェが突進してきた。

その腕の下のあるネットがアギトを絡めとろうとするアカンベェ。だが……。

   「ふんっ!!」

炎を纏ったフレイムセイバーの斬撃がアカンベェの左部分の

ネットをすれ違いざまに切り裂き、ボロボロにしてしまった。

バランスを失ったアカンベェがフラフラになりながら近くの橋の

欄干に突っ込んだ。

 

それを肩越しに振り返って確認するアギト。

 

……他愛ない。この程度か。

心の中でアカンベェの弱さを確認するアギト。と、その時……。

 

アカオーニ「ふん!なかなかやるオニ!なら、アカンベェ!

      そっちのピンクとオレンジとイエローの弱そうな

      奴らを狙うオニ!」

 

その命令を聞いて立ち上がったアカンベェは橋の上に移動し、ハッピー達

3人の方に頭を向けてボールを連射した。

ボールがいくつも彼女たちの足元で炸裂するが、アギトは助けようと

しなかった。

 

この程度でやられるなら、あの子達はただの役立たず。

さぁ、あなた達は本当に戦えるのか、見せてもらうよ。

 

そう思いながらアカンベェにだけ視線を送るアギト

 

そして、ボールの嵐が止むころには、ボロボロとまではいかないが、

傷ついたプリキュアが現れた。

 

アカオーニ「ウハハ!間抜けオニ!弱いんだから他人なんか放っておいて

      逃げればいいオニ!」

サニー「うるさいわ!うち等の絆は、そんなに、強くないけど……

    で、でも!だからってそう簡単に逃げるほど弱い絆じゃないんや!」

前半は頼りなさげだが、後半は確かに言い切るサニー

 

そして、また、目覚めた者がいた。

 

なお「……絆。……あ」

ハッピー「緑川さん!」

絶望のオーラから解き放たれたなおと、それに気づく3人

 

そして、こんな状況だが、正体やらなんやらの事で話をして

笑っているいるハッピー達。しかし……

 

なおちゃんも絶望を乗り越えた。なら、4人目は、なおちゃんで

決まり、か。

 

と、冷静に状況を見ていたアギト。その時……。

 

アカオーニ「下らんオニ!絆?仲間?家族?そんなもん!最期は全部

      バラバラになるオニ!だからこそ、ここでオレさまが

      バラバラにしてやるオニ!行け、アカンベェ!」

   『アカンベェ!』

すると、頭のてっぺんをハッピー達に向け、再びボールを

連射し、ハッピー達を足止めした。

そして、橋の上から動けないけいた達5人めがけてダイブした。

 

ハッピー「あぁ!……やめてぇぇぇぇぇぇっ!!!」

彼女の声が木霊し、サニーとピースが駆けだそうとするが、

間に合いそうにない。

寸での所でアギトが5人の前に立ち、フレイムセイバーを構える。

 

その時、アギトの後ろから蹴りだされたサッカーボールがアカンベェの

額に命中した。

 

バランスを崩したアカンベェが地面に激突する中、振り返るアギトと

ボールを蹴ったなおに視線を向けるハッピー達。

そして、なおは未だ動けないけいた達の前に立ち、アカンベェの

前に立ちふさがった。

なお「家族はバラバラになんかならない!

   私たち家族の絆は、永遠に消えない!」

と、力説するなおの横でフレイムセイバーを下ろすアギト。

 

 

それは、人間だけの話。私はもう、人間じゃない。

こんなのが私だって知ったら、みんなきっと離れて行く。

私、何やってるんだろ。……人間じゃないのに、人間を

護るなんて……。

 

奇しくも、なおの語る絆、家族と言う単語に懐疑的な考えを持つアギト。

 

と、その時。

  「あんた達がどこの誰だかは知らないけど。それでも私たち家族の

   断ち切ろうって言うのなら、あたしが戦う!!」

彼女が叫びをあげた次の瞬間、なおを緑色の光が包んだ。

 

ハッピー「緑川さん!もしかして!」

アギト「……≪第4≫の、目覚め」

 

緑色の空間を漂うなお

なお「え、えぇ?」

キャンディ「君が≪5番目≫の、最後のプリキュアクル!」

宙を漂い戸惑うなおの元にキャンディが現れた。

なお「プリキュア?って、タヌキのぬいぐるみが喋ってる!?」

キャンディ「何でタヌキクル!?」

と、その時、なおの元に4つめのスマイルパクトが現れた。

なお「うわっ!なにこれ!?」

キャンディ「スマイルパクトクル!キュアデコルをセットして、

      プリキュアスマイルチャージって叫ぶクル!」

なお「えぇ?何だかよくわかんないけど……やってみるよ!」

 

決意を固めたなおは、パクトを開き、彼女専用のライトグリーンの

キュアデコルをセットした。

   『レディ!』

なお「プリキュア!スマイルチャージ!」

   『ゴー!ゴーゴー!レッツゴー、マーチ!』

彼女の叫びに呼応して現れた光のパフを使い、変身していくなお。

そして……。

 

マーチ「勇気リンリン!直球勝負!キュアマーチ!」

変身を終え、新たなる存在となったなお、もといマーチが名乗り上げた。

 

   「…って、なにこれ?どうなってるの?それに、

キュアマーチって」

ハッピー「キュアマーチ!やっぱり最後の一人は緑川さんだったんだ~!」

キャンディ「これで全員そろったクル~!」

 

 

……。あの二人は、何時になったら私がプリキュアじゃないと

気づくのだろう。プリキュアは5人。つまり、なおちゃんの他に

あと一人、メンバーが居る事になる。

 

アカオーニ「また新しいプリキュアが出て来たオニ!

      アカンベェ!そいつらを倒すオニ!」

   『アカンベェ!』

すると、近くにあったもう一個のゴールポストのネットを

使って、自分のネットを補修したアカンベェが飛び立ち、

こちらに向かってきた。

 

マーチ「家族の絆、護って見せる!」

そう言うと、走り出したマーチ。

彼女はアギトも、ハッピー達も追い越して、突風を起こすほどの

速度で走った。だが……

マーチ「なにこれ!こんなに早く走れるなんて!…うわっ!!」

 

自分でも制御できないほどの脚力で走ってしまい、アカンベェも

すれ違いざまの突風で吹き飛ばしてしまった。

   「ちょっと待って~~!」

地面を足で削りながら止まろうとするが、その速度は落ちずに……。

   「え?うわあぁぁぁぁぁぁっ!!」

   『ズドォォォォォン!』

勢いあまって橋の欄干に激突してしまった。

 

さらに、その衝撃で橋の手すりの上に立っていたアカオーニが後ろに倒れた。

 

しかし、激突で出来た砂煙の中からは傷一つないマーチが姿を現した。

   「ふぅ。びっくりした~」

サニー「は~。タフやな~」

驚き関心するハッピー達。と、その時、マーチめがけて上空から

アカンベェがボール攻撃を仕掛けてきた。

 

マーチはそれを走りながら回避し、ある程度の距離でUターンし、

橋の欄干を垂直に駆け上がった。

そして、アカンベェの頭上に接近し、その頭を真上から地面に

向かって蹴りつけた。

 

地面に激突するアカンベェと、自分自身に驚くマーチ。

キャンディ「最後にマーチシュート!アカンベェを浄化するクル!」

マーチ「マーチシュート?」

と、彼女が疑問に思っていると、アカンベェが立ち上がってきた。

   「うわわ!来た!」

と、驚く彼女の横にフレイムフォームのアギトが現れた。

   「え、あ、あなたは?」

アギト「……私があいつの足を止める。トドメはよろしく」

 

とだけ伝えると、フレイムセイバーを持ちながら走り出すアギト。

   『アカン、ベェ!』

そのアギトめがけて、アカンベェから三度、ボールの

嵐が襲い掛かってきた。だが……

   「ふ!は!てゃ!」

そのボールの全てを避けたり、セイバーで切り裂くアギト。

 

そして、その距離が縮まったその時、セイバーの鍔部分の、

アギトのクロスホーンに似た部分が展開され、その刀身が

炎を帯びた。

 

ハッピー「すごい!キュアアギトって風だけじゃなくて炎も  

     使えるんだ!」

サニー「ってぇ!それじゃウチと被ってるやん!」

驚くハッピー達を無視して、アギトはアカンベェの懐に

飛び込み、その四肢を一瞬で切り裂いた。

 

『ア、 アカンベェ』

痛みに負け、地面に伏すアカンベェ。

キャンディ「今クル!スマイルパクトに力を籠めるクル!」

マーチ「なんだかわかんないけど、やってみる!」

 

そして、スマイルパクトに込められた力が臨界を迎えた。

 

   「プリキュア!」

マーチの眼前に、彼女の風の力を濃縮した緑色の球体が現れた。

   「マーチシュート!」

それをサッカーボールのように蹴りだすマーチ。

 

繰り出された球体は、一直線にアカンベェへと向かっていき、命中。

その闇の力を浄化したのだった。

 

 

ハ・サ・ピ「「「「やったぁ!」」」」

マーチ「ハァ…ハァ…ハァ…。なにこれ、パワー、全部使い果たしちゃった感じ?」

喜ぶハッピー達と、肩で息をしているマーチ。

アギトは、次なる目標としてアカオーニを倒そうと視線を巡らせたが、

アカオーニはすぐに退散してしまった。

 

それを見たアギトはフレイムフォームをやめ、グランドフォームへと

戻り、一人歩き出した。

 

ハッピー「あ、あの!」

そんなアギトを呼び止めるハッピー

アギト「……何?」

ハッピー「この前は断られちゃったけど、やっぱり一緒に戦おうよ!

     同じプリキュアとして、私たち5人で!」

マーチ「えっと、どういう事?」

キャンディ「プリキュアは全部で5人いるクル!つまり、今日マーチが

      生まれて全員が揃った事になるクル!」

しかし……。

 

アギト「……以前、ピースが目覚めた時、私は言ったはずだよ。

    私は、あなた達とは違うって」

ハッピー「え?」

アギト「何を勘違いしているか知らないけど、私はプリキュアじゃない。

    だからそのマーチが最後の一人じゃない。最後のメンバーは、

    まだあなた達の近くに居るはずよ」

それだけ言うと、アギトは踵を返して、ハッピー達の元から離れて行った。

 

それに……。

と、去り際、彼女たちに思いをはせるアギト。

 

彼女たちの言う、護りたい絆と言うのは、私には関係ない。

私はただ、戦うだけ。彼女たちは結果的に私と同じ敵の相手を

しているだけ。彼女たちは、仲間なんかじゃない。

 

 

第4の少女、キュアマーチの覚醒と仲間入り、そして護るだけの戦いに

疑問を感じ、プリキュアの存在をただ目的が同じだけだと、

思ってしまうアギト。

 

アギトが、本当の意味でプリキュアの仲間に、≪キュアアギト≫に

なれる日は、来るのだろうか?

 

     第4話 END

 

 




アギトがみゆき達のちゃんとした仲間になるのは
5話の後に投稿する5.5話後です。
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