ストライク・ザ・ブラッド the Garden of sinners 作:蒼穹の命
あれから昼食を兼ねた休憩を取りながら課題を取り組んで数時間かけて、なんとか終わらせることが出来た。
「よっしゃああ! 終わったぜー‼︎」
大輔の叫びを聞いた織は持参していた小説に栞を挟んで閉じ、大輔の方へ視線を向ける。 本音を言ってしまうと、終わるまでもう少し時間がかかると踏んでいたが如何やら自分が思っていた以上に大輔の学力は上がっていたみたいだ。
「お疲れさん。これで課題はもうないか?」
「ああ、今度こそバッチリ終わったぜ! 付き合ってくれてありがとな織‼︎」
「今更だろ。 ……そういや最近
「ああ、あの日以来ちゃんと制御出来てっから大丈夫だぜ」
唐突だが、大輔は
「今日はマジで助かったわ! 本当にありがとな‼︎」
「そんな何度も言わなくてもいい……。次はこうならないようしとけよ」
「おう! そんじゃ、俺この後用事あっから行くわ。また学校でな‼︎」
そう言って大輔はご機嫌に逆月から出て行った(お茶と昼のお代はちゃんと支払い済みである)。
そんな大輔を見送り、ジャケットの裏ポケットに持ってきた小説をしまうと織も店から出て行こうとした。その時、
「ちょっとストップ少年」
ユキノに呼び止められ、織は振り返る。
「なんだよユキノ、言っとくが店の手伝いやら仕事やらする気は……」
「そんなつもりはないわよ。 今日の手伝いは間に合ってるし、仕事はあの4人組に任せてるし」
ユキノの言葉を聞いて、織は改めて店内を見渡しながら言う。
「なるほどな。だからおっさん達の姿が見えないのか」
「そういうこと。 呼び止めたのはさっき入ってきた情報を伝えておこうと思ってね」
「情報?」
「そうよ、今日この島にちょっとした新参者が来てるわ」
「新参者? どんな奴だよ」
「那月の商売敵って言えばわかるでしょ?」
その一言で織の纏う気配が一気に変わった。
「……それは確かなのか?」
「ええ、さっき届いたばかりの新鮮な情報よ。 保証するわ」
「……ここに来た目的は分かるか?」
「……考えられるとしたら、例の坊やの監視、又は抹殺って所かしらね? まだ外を出歩くのなら気をつけなさい。少年はあの機関からは危険人物として目をつけられてるんだから」
「……情報提供どーも。 だが、一体どんな風の吹き回しだ?」
「あら、それはどういう事かしら?」
何処か惚けているような喋りをするユキノに織は理由を述べる。
「あんたが対価を要求せず、無償で情報教えてくれるなんてあり得ない。 何企んでんだ?」
「人聞きの悪い事言うわね。そんな警戒しなくてもいいわよ、久々にウチの常連さんが来てくれたからそのサービスよ」
「……分かった、そうゆう事にしとく。遭遇しないよう散歩は早めに切り上げておく。じゃあなユキノ、また来る」
織はそう言って、今度こそ『逆月』から出て行った。
誰もいなくなった店内で、ユキノはポツリと呟く。
「そんな事言って、坊やの事が心配なのは見え見えよ。 相変わらず素直じゃないわねぇ……まぁ那月が育てたから当然か……。 あれじゃあ周りも色々と苦労するわね……」
『逆月』から出た後、織はファミレスがある方へ足を運んでいた。 目的は勿論、ユキノが言っていた人物を捜すためである。ここ最近はファミレスで同級生の友人と、溜まってしまっている夏休みの宿題を処理していると、この間先輩達と話している時に聞いていたのでまずはそこから当たる事にした。
トラブルに慣れてる自分なら兎も角、彼女から受け継いでしまった力を制御出来ていない素人で危なっかしいあの先輩を今1人にするのは危険すぎる。 とは言え幾らあの機関の人間でも、流石に白昼堂々と標的を手にかけるような暴挙には出ないとは思うが、世の中何が起こるかわからないので、警戒は怠らないようにする。 いつ面倒ごとに巻き込まれてもすぐ対応出来るように、常時持ち歩いているナイフを袖の裏に忍ばせてあるのを確認してすぐに取り出せるようにし、念の為相手の拘束や足止めなどが出来るように鎖を召喚するための魔術も事前にスタンバイしておく。 一旦立ち止まって武装とコンディションなどを確認し終えた織は再び足を動かす。
街中から離れて海沿いの道を歩いている為、潮風の匂いと音が聞こえていて気持ちが良い。 島に訪れた時は、この世界に来る前の環境が田舎だったせいかあまり馴染めなかったが、今ではすっかり慣れてしまった。 普段ならもう少し楽しみながら歩いているのに、今はやるべき事があるせいでそれが出来なくて残念だと思いながら織は歩き続ける。
散歩に関してはこちらに来てから出来た趣味だ。
この眼で視ている色のある世界は自身にとっては錯覚に過ぎないと感じ、いつみてもツギハギだらけで、今でも崩れてしまいそうな伽藍堂の世界こそが織の本当の世界。ジッとしていると足元が崩れて奈落の底に落ちてしまいそうな予感がして、それが怖くて用事がない時には大抵は散歩をするようになった。 要するに直死の魔眼で視た世界に恐怖を感じたのがキッカケで散歩という趣味が生まれたということである。
ともかく今は自分の事よりも先輩の方が優先だ。歩きから走りに変えて、ファミレス近くに着いた時、この炎天下の中でパーカーを羽織り、フードを被っている人物が視界に入ってきた。 島でそんな格好をしているのは恐らく1人しかいない。
「よお先輩」
「うお⁉︎って織か……脅かすなよ……」
暁古城。 彩海学園高等部一年の織の先輩であり、都市伝説の類いだと言われ、存在しない筈だったもう1人の真祖──第四真祖
「悪い悪い、その様子だとまだ接触してないみたいだな」
「接触? どういう事だ?」
「それはな……ちっ、一足遅かったか」
既に何者かが自分達を見ている。 さりげなく周囲を見回すと簡単に見つけられた。 待ち構えているような姿勢でこちらの様子を窺っている1人の彩海学園の制服を着た少女の姿を。襟元がリボンで結ばれている為、自分と同じ中等部だろう。 だが、あの少女の顔には見覚えはないし、何より、ベースギターのギグケースなんてものを見慣れない人が持ち歩くのを目撃したら、すぐ学園で目立ち、噂になっている筈だ。そして、制服を着慣れてないのか、体の動きが若干戸惑っているような節も感じる。
間違いない。 あの少女が恐らくユキノが言っていた新参者だろう。
「先輩、向こう見てみろ」
「向こうに何があるんだよ」
「良いから早く! 気づかれない様にさりげなく見ろよ」
織の言葉に渋々従い、言われた方へ視線を向けて、少女の姿を捉えた。少女の存在を確認した古城は気づかれないように視線をずらしてから織に話しかける。
「なんだあいつ? 見たことない顔なんだが……織、お前の知り合いか?」
「あんな奴知らねえよ。 あんな目立つモン背負ってたら噂になるだろ? 先輩も知らないって事は、こいつは確定だな」
「確定ってなんの話だよ?」
「場所変えてから説明する。 こっちだ、先輩」
「おいちょっと待て織!」
古城の手を掴み、移動する織。 掴まれてる古城は何か言っているが、今はそれに耳を傾けている暇はない。
まずは視界に入ったショッピングモールに向かう。 散歩している時にゲームセンターをみつけたのを覚えていたので、一旦そこに入って、少女の様子を窺うことにする。 店の中に入れば、何かしらのアクションを取る筈だ。自分達が動き始めたのをキッカケに、後ろから少女がついてくる気配を感じた。 それを確認した織はそのまま古城と共にショッピングモールの中へと入って行った……。
次回はヒロインとの邂逅&会話回の予定です。
今年のfgoの夏ガチャの収穫 イバラギン、ジュナ、ホームズ、槍玉藻、弓エレナ、暗ニトクリス でした。 無課金にしてはまぁまぁな収穫。
シンフォギアのss執筆とアプリのXDのイベントも進めないと……!
後、散々待たせておいてあれだが…感想を…下さい…。