ーバジルsideー
「ギンガ殿、動けますか?」
「ごめん、なさい・・・・身体が、言う事を聞かないの・・・・バジルくん、ここをお願い・・・・!」
「承知したでござる。アルフィン、ギンガ殿を安全な場に」
『キュルルルル!』
「我流、スバルも離れさせてくれ」
『ガァ』
「ご、ゴメンね、我流・・・・」
ギンガを乗せたアルフィンが宙を泳いで離れようとすると、了平はスバルを我流に渡すと、我流も続いた。
「ティアナ! テメェ! 俺と芝生頭を置いて行きやがって!」
「アンタ達が気絶したのが悪いんでしょう! ていうか、もっと早く来なさいよ!」
「芝生が勢い任せにアッチだ! コッチだ! って適当な路を走りやがったせいだよ!」
「なにぃ! そのお陰でガジェットと交戦していたバジルと再会できたではないか!」
「結果論だろうが! ちっとは考えて行動しやがれ! 手入れのいき届いてねぇ芝生頭は中身の手入れも必要だな!」
「なんだと! 向こうにいるタコよりも足の多いタコ頭!」
「貴様ら! 貴様ら!! 貴様らぁっ!!! この私を放って! 勝手に盛り上がるなぁっ!!!」
グロ・キシニアが馬上ムチをバシンっと弾くと、雨巨大イカと大雨タコが水柱の槍の触手を伸ばして攻撃してくる。
「はぁっ!」
「ふっ」
「きゃッ」
「よっと!」
「極限!」
「うわっ」
「あっ」
バジルが跳んで回避し、獄寺がホバリングでティアナについて抱えて回避し、山本がエリオを、了平がキャロとフリードを抱えて回避する。
少女も、黒い異形にお姫様抱っこされて回避する。
「ーーーー何であの野郎が、グロ・キシニアここにいやがる!?」
「/////」
獄寺がグロ・キシニアを見て舌打ち交じりに毒づき、抱えられたティアナが頬を赤くする。
「おっ、獄寺。アイツの事知ってんのか?」
「何言ってやがる! 『未来での戦い』で、“クロームに半殺しにされたヤツだろうが”!」
「「「えっ・・・・?」」」
「キュル?」
山本の疑問に怒鳴るように声を上げる獄寺の言葉に、ティアナとエリオとキャロが思わず目を丸くした。
『未来での戦い』というのは分からないが、目の前の男を、あの! おとなしめな性格をしたクロームが半殺しにしたと言うのだ。
クロームの名誉の為に補足するが、実際にグロ・キシニアを半殺しにしたのは『十年後の六道骸』である。
ティアナ達が唖然としていると。
「ちょうだい・・・・」
「えっ? あぁ!」
背後から声をかけられたキャロが後ろを振り向くと、そこにはケースを奪おうとする少女の姿があった。
「だ、ダメだよ!」
キャロはケースを渡すまいと、少女から離れようとする。
「・・・・邪魔」
「っ・・・・!」
が、少女はキャロに向かって砲撃を放った。キャロはそれをバリアで防ごうとするが、威力が大きくて防ぎきれず、後ろに吹き飛ばされてしまった。
「きゃぁぁぁああ!!」
「キャロ! うわぁぁぁっ!!」
その後ろに居たエリオも巻き込まれ、二人は壁に叩きつけられた。
『エリオ! キャロ!』
獄寺達が駆け寄ろうとするが、雨巨大イカと大雨タコによって阻まれる。
「ガリュー・・・・」
少女に『ガリュー』と呼ばれた異形は、吹き飛ばされた拍子にキャロが落としたケースを持ってきた。
「お嬢さん、お嬢さん、お嬢〜さん♪ それとも、ル〜♪ ル〜♪ ルーテシア♪ さっさとそのケースを持って消えるのだな。私はまだコイツらに用がある!」
グロ・キシニアは自分に向かって飛んできたブーメランを馬上ムチで弾き飛ばすが、空中でブーメランをキャッチしたバジルが、グロ・キシニアを鋭く見据えていた。
「・・・・・・・・・・・・(コクン)」
グロ・キシニアの言葉に少女、ルーテシアは頷き、ガリューからケースを受け取りその場を去ろうとするが、突然その動きが止まった。
何故なら、幻術で姿を消していたティアナがルーテシアの背後に回り、首元にダガーモードにしたクロスミラージュを突きつけていた。
「ゴメンね、乱暴で。これは危ないモノなんだよ」
「っ・・・・」
無表情であるルーテシアが僅かに顔をしかめる。
『っ!』
「動くな」
ガリューが助けに行こうとするが、山本が時雨金時の刃を顎に当てて動きを封じた。
「我流! エリオとキャロを治療してくれ!」
『ガァァ!!』
大雨タコと交戦している了平が叫ぶと、ギンガとスバルをアルフィンに任せ、我流が倒れたエリオとキャロに駆け寄り、『晴れの死ぬ気の炎』による治療を行い、二人の傷が癒え、意識が戻った。
ールーテシアsideー
劣勢に立てられるルーテシア。
《ルー・・・・1、2、3で目ぇ瞑れ》
すると、誰かからの念話が入る。
《1、3・・・・》
「・・・・っ」
ルーテシアは念話に従って目を閉じる。そして・・・・。
「『スターレンゲホイル』!」
ーーーードゴォォォォォォォォン!
ーティアナsideー
その瞬間、辺りには赤い閃光と凄まじい爆発音が響いた。余りの轟音にルーテシア以外の全員が耳を塞ぐ。
そしてその隙に立ち去ろうとするルーテシアとガリュー。すると、いち早く復活したティアナがルーテシアに向かってクロスミラージュを構える。しかし・・・・。
「バカめ、バカめ、バ〜カめっ〜! 私を忘れたかぁ?」
グロ・キシニアがニンマリと笑みを濃くし、大雨タコの水柱の触手がティアナを襲う。
「おっと!」
が、獄寺がSISTEMA C.A.Iの盾で塞いでいく。
「油断すんじゃねぇティアナ! 何がいるぞ!」
ーーーーたくもぉ~。あたし達に黙って勝手に出かけちゃったりするからだぞ。ルールー!
『っっ!!』
その時、突然聞き慣れない声が響き、全員の視線がそちらに向く。そこには、『赤い髪の少女』がいた。
しかしその少女の身長は余りに小さく、リィンと同じ位である。
「むぅ? リィンとそんな変わらんのがいるぞ!」
「もしや、リィン殿と同じ融合騎なのでしょうか?」
リィンとも面識があるバジルが、目を鋭くしてその少女を見ると、ルーテシアと呼ばれた少女が、赤い髪の少女の名を呼ぶ。
「・・・・『アギト』」
『(ピクッ)・・・・『アギト』)』
ルーテシアが発した名に、一瞬反応を示す獄寺と山本と了平とバジル。
「おう! ソコの気持ち悪そうなお前!」
「誰が、誰が、だ〜れが! 気持ち悪いのだぁ!?」
アギトと呼ばれた少女はグロ・キシニアを指差し、そんな少女にグロ・キシニアは馬上ムチを振って怒鳴る。
「さっきルールーを守ってくれたみたいだが、何モンだ?」
アギトは警戒している目でグロ・キシニアを睨む。
が、グロ・キシニアはそんなアギトを見下したような目で薄く笑みを浮かべて応える。
「愚か、愚か、お〜ろか! この状況を見れば、貴様らの一応の味方だと察せんのかぁ?」
グロ・キシニアの態度に、アギトはムッとしたように目を細めるが、フゥと、落ち着くように息を吐くと、ルーテシアに向き直った。
「まぁ、もう大丈夫だぞ。何しろこのアタシ、『烈火の~剣精』! アギト様が来たからな!」
「・・・・・・・・」
「(・・・・ヴィータ副隊長とリィン曹長を足して二で割ったようなヤツね)」
『(融合騎って、ああいうタイプばかりか?)』
アギトがそう言うと、彼女の背後に小さな花火が咲き誇る。それをルーテシアは無表情、ティアナと獄寺達は呆れた表情で見ていた。
「アギト、帰ろう」
「ありゃ!?ーーーー何でだよルールー!」
が、ルーテシアが発した言葉に、アギトは空中でコケてそのまま落下するが、すぐにルーテシアの眼前に戻ると、アギトに聞こえる声量で話しかける。
「ゼストもドクターも言ってた。六課の魔導師はともかく、あの人達とは戦わず、逃げる事を優先しろーーーーって」
ルーテシアの視線の先には、雨巨大イカと大雨タコと雨クラゲの攻撃を回避している獄寺達に向けられていた。
「ーーーーそりゃ、旦那が言ったけどよ」
「ケースはゲットした。逃げよう」
「〜〜〜〜! わーったよ!」
ケースは抱えるルーテシアをガリューがお姫様抱っこし、さらにその肩にアギトが座り、その場を去ろうとする。
「おいティアナ。逃げられちまうぞ」
「任務はあくまでケースの確保よ。あのグロ・キシニア‹変質者›は獄寺と了平と他の奴に任せて、私達は追うわよ! すぐ近くまで来ているヴィータ副隊長とリィン曹長が来るまで、逃げられないようにするわよ!」
しかしその時、FW陣にヴィータからの念話が送られる。
《よし。中々悪くない判断だぞ、ティアナ》
《ヴィータ副隊長!?》
《リィンも一緒ですぅ! ティアナさん、状況をちゃんと良く見てナイス判断ですよ!》
《副隊長、リィン曹長。今どちらに?》
起き上がったエリオがそう尋ねると、逃げようとしていたアギトが何かに気がついたようだ。
「っ・・・・ルールー、何か近付いて来てる。魔力反応・・・・でけぇ!」
アギトがそう言った瞬間、天井が大きな轟音を立てて崩れ落ち、そこからヴィータとリィンが姿を現した。
そしてリィンはすぐにルーテシア達に向けて手を翳し、魔法陣を展開させた。
「捕らえよ、凍てつく足枷! 『フリール・フェッセルン』!!」
『「「っ!?」」』
その瞬間、ルーテシアとガリューとアギトの周囲に風が巻き起こり、一瞬で三人を氷の中に閉じ込めた。
「なぁにぃ〜!?」
この事態に獄寺達と戦っていたグロ・キシニアも、辺りを見回す。
すると、グロ・キシニアの懐にアイゼンを構えたヴィータが現れーーーー。
ーヴィータsideー
「ブッ飛べえぇぇぇぇぇぇぇッッ!!!」
ヴィータは思いっきりアイゼンを振るい、グロ・キシニアを吹き飛ばそうとした。しかし・・・・。
ーーーーボニュゥゥゥゥゥゥゥゥゥンン・・・・。
「あ?」
まるでウォーターサンドバッグを叩いたような感触に、ヴィータは訝しそうな顔をしたその瞬間、
「っっ!!」
突然身体に戦慄に走り、ヴィータはアイゼンを引っ込めると同時に、後方に飛び退いたその時、
ーーーーブクブクブクブクブク!
ヴィータが今し方までいた地点が、無数のクラゲに覆われていた。ここ最近、ツナにエンマ、獄寺に山本に了平にクローム・・・・後ときたまに雲雀とのリミッター抜きでの本気の模擬戦をしてきたおかげか、十年も錆び付かせていた『戦いの記憶』が、僅かに蘇ったので退けたのだ。
さもなくば今頃、あの無数のクラゲの針に刺されていただろう。敗北の数々も無駄ではなかったようだ。ーーーー少々情けないが。
「んだありゃぁ!?」
「ヴィータ殿! リィン殿!」
「ん?ーーーーおぉっ! お前、バジルか!?」
「あぁっ! バジルさんですぅ!」
かつての『夜天の書』の主にして、初代雲の守護者・アラウディが創設した〈CEDEF‹チェデフ›〉のメンバーであるバジルは、当然なのかヴォルケンリッターとも顔見知りなのだ。
「バジル! 何でお前ここに!」
「話は後でござる! 今はコヤツらを!」
「ーーーーふっ」
ーーーーパチンッ・・・・。
バジルがブーメランを構えるが、グロ・キシニアはニヤリと笑みを浮かべ指を鳴らすと、雨巨大イカと大雨タコが触手を激しく動かして水面を叩き、水飛沫をあげる。
「くっ! 目眩ましでござるか!?」
水飛沫の向こうから、グロ・キシニアの声が響いてくる。
ーーーー今日はここまでにしておこう! しかし、しかし、しかぁし! ボンゴレ共よ! 覚えておけ! 『我々』は必ず! あの『未来での戦い』での屈辱を晴らしてくれるっ!!
その声が響くのと同時に、水飛沫が収まると、雨巨大イカや大雨タコだけでなく、グロ・キシニアに雨クラゲ、さらにルーテシアにガリューとアギトも、その姿を消していた。
ーツナsideー
「・・・・・・・・・・・・!!」
そして少し先の話、超‹ハイパー›モードのツナは驚愕に目を見開いていた。
視線の先には、”ツナにやられて気を失った二人の少女"とーーーーその二人を足元に置いて自分を見据えてくる”一人の剣士”に・・・・。
「何故だ・・・・! 何故お前が、この次元世界にいるーーーー『幻騎士』っ!!」
「ーーーー久しぶり、否、初めましてになるな、沢田綱吉」
かつて死闘を繰り広げた強敵が、ソコに立っていた。