ーなのはsideー
なのは達は、クラナガンでの戦闘の事後処理を終えた後、ツナ達から『幻騎士』と『グロ・キシニア』について詳しく聞いていた。
ちなみにバジルはギンガと共に戻り、その際ーーーー。
【後で必ずソチラに合流します】
と、言付けをした。
しかし、その内容は、なのは達隊長陣だけでなく、FW陣も驚く内容であった。
「・・・・ツ、ツナさん達が十年前に、『十年バズーカ』で、こことは違う『十年後の未来の世界』で戦った敵なんですか!?」
「エンマは、知らないの?」
「ツナくん達がその『未来の世界』に行ったのは、ボンゴレリング争奪戦の後で、僕達シモンファミリーとはその『未来での戦い』の後に出会ったんだ」
「因みに俺達が行った未来は、『俺達となのは達が出会わなかった未来』だぞ」
リボーンの言葉に、はやては思案する。
「ーーーーそして、ティアナ達が遭遇したグロ・キシニアに、ツナさんが交戦した幻騎士が、このミッドチルダにやって来た。しかも、新型ガジェットと共にいた事から、彼等もジェイル・スカリエッティに協力している」
「あの未来での戦いは、奴等も知っている筈。俺達に挑む理由が思い浮かびませんね」
獄寺の言葉に、ツナ達も首を傾げるが、スカリエッティに協力しているならば、いずれまた遭遇する可能性があるので、その時に彼らから聞き出す事に決まった。
ースカリエッティsideー
「ーーーーやぁ、幻騎士」
「・・・・・・・」
スカリエッティがアジトの外の森で瞑想している幻騎士に話しかけた。幻騎士は一瞬不快そうにスカリエッティを一瞥してから、再び瞑想に戻る。
「クアットロとディエチを助けてくれてありがとう。二人共暫くは首にコルセットを付けて不自由な生活をする事になるだろうね。ディエチは兎も角、クアットロは屈辱感で打ち震えていたよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
クツクツと笑うスカリエッティだが、幻騎士は無視しているように黙っている。スカリエッティは肩をすくめて見せた。
「やれやれ連れないなぁ。同じ『ミルフィオーレファミリー』の6弔花の同志ではないーーーー」
と、ソコでスカリエッティは言葉を紡げなかった。理由は単純、瞑想していた幻騎士がカッと目を開き、一瞬で剣を抜き、スカリエッティの喉元にその切っ先を突きつけたからだ。
「貴様が欠番であった『雲の6弔花』である事は認めよう。しかし、栄えある白蘭様の6弔花である事を気安くひけらかすな」
「酷いなぁ。私の提供した技術と資材があったからこそ、『匣‹ボックス›兵器の大量生産』や『メローネ基地』や『超炎リング転送システム』が作られたと言うのに」
そう。未来でミルフィオーレファミリーの『メローネ基地』と『超炎リング転送装置』は設計等は入江正一と白蘭がしたが、それを形作る技術と資材がなければ、ただの机上の空論であった。それを現実にできたのはスカリエッティによるものだったのだ。
喉元に(一応)達人の剣が突きつけられていると言うのに、スカリエッティには、微塵も恐怖を抱いていない調子で声を発する。が、幻騎士は冷たく言う。
「貴様はその技術提供の功績で6弔花となった。だが、白蘭様のお役に立つ前にーーーー“時空管理局ごときに敗北した面汚し”が、6弔花を名乗るな」
幻騎士の言葉に、一瞬スカリエッティの視線が鋭くなるが、すぐに元に戻す。
「ーーーー“面汚し”とは言ってくれるね。私が管理局の注意を引きつけていたからこそ、彼等がミルフィオーレとボンゴレの戦いに介入する事も無かったのに」
「ほざけ。時空管理局など、白蘭様にとっては羽虫の群れも同然の組織。“貴様を打ち破った魔道士共”も、羽虫に紛れた大きな蟲に過ぎん。そんなヤツらの相手をし、無様に敗北しておいていい気になるな。敗北者ふぜいが」
そこまで言われ、スカリエッティの目に、静かな怒りが宿る。
「ーーーーおやおや、これはまた手厳しい。しかし、そのボンゴレとの戦いの最前線で二度にも渡って敗北し、『霧の守護者』の座まで失ったのは、何処の惨めな剣士だったかなぁ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
お互いを鋭く見据える両者の間に、静かな、しかし激しい火花が飛び散り、いつの間にか指に嵌めていたリングから、純度の高い『霧の死ぬ気の炎』と『雲の死ぬ気の炎』を放出させる幻騎士とスカリエッティ。
がーーーー。
「・・・・やめよう。こんなくだらない事で揉め事など、ゴメンだね」
スカリエッティが炎を消し、降参を示すように両手を上げる。
「・・・・ふん」
幻騎士も炎を消し、再び瞑想に戻る。スカリエッティはアジトに戻ろうと踵を返すと、背中越しに幻騎士に向けて声を発する。
「君専用の『修羅の匣』を作っている。それを使いこなせれば、“君は認めて貰えるかも知れないよ”」
「ーーーーーーーー」
スカリエッティがそう言い残し去りながら、幻騎士が高揚している気配を背中で感じていた。
ーツナsideー
そして、さらに数日が経過してから、クラナガンの街中の道路を走る一台の車があった。運転しているのはシグナム。助手席になのは。先日保護した少女のいる『聖王医療院』に向かっているのだ。
「すみませんシグナムさん。車まで出してもらっちゃって・・・・」
「なに、車はテスタロッサからの借り物だし、向こうには『シスター・シャッハ』がいらっしゃる。私が仲介した方がいいだろう。それより・・・・」
シグナムがバックミラーで後部座席にチラリと視線を向けると、ツナとエンマとリボーンがいた。
「あはは・・・・」
「お世話になります・・・・」
「ふふん♪」
シグナムの視線に気づき、苦笑するツナとエンマ。リボーンはいつも通りであったが。
「10代目と古里殿は子供に好かれ易いので分かるが。何故リボーン殿が?」
エリオとキャロの年少組とすぐに打ち解け、『ツナ兄ぃ』『エンマ兄さん』と呼ばれる程に慕われ、懐かれている二人は分かるが、リボーンが来るのに疑問を抱いたのだ。
「オレもあの少女には気になる事があってな。幻騎士が助けた二人の少女達。彼女達は明らかにあの少女を狙っていたからな。直接会ってみたいと思ってな」
「成る程。しかし、検査が済んで何かしらの白黒がついたとして、あの子はどうなるのだろうな?」
すると、シグナムは話題を無理矢理変え、先日保護した少女の話をした。
「うん、当面は六課か『教会』で預かるしかないでしょうね。受け入れ先を探すにしても、長期の安全確認を取れてからでないと・・・・」
「・・・・・・・・」
なのはの言葉にシグナムは黙り込む。
すると、突然通信が入り、空間モニターが表示され、ピンク色のショートヘアをしたシグナムと同い年くらいの修道衣を着た女性が表示された。
《騎士シグナム! 〈聖王教会〉の『シャッハ・ヌエラ』です!》
「シスター・シャッハ、どうされました?」
《すみません。こちらの不手際がありまして、検査の合間にあの子が姿を消してしまいました!》
◇
連絡を受けて車を飛ばすこと数分。
一同が『聖王医療院』に到着すると、中からシャッハが飛び出してくる。
「申し訳ありません!」
「状況はどうなってますか?」
「はい・・・・特別病棟とその周辺の封鎖と避難は済んでいます」
なのはの質問にそう答えるシャッハ。ツナはそれに首を傾げる。
「たった一人の女の子を相手にそこまでする必要があるのか?」
「・・・・貴方は?」
「あっ、お、俺、沢田綱吉、こっちは古里炎真とリボーン。六課のーーーー民間協力者です」
彼女も時空管理局の関係者ならば、こちらの素性を明かす訳にはいかないので、口を濁した返事をする。
「そうですか。私は〈聖王協会〉のシスター、『シャッハ・ヌエラ』です。申し訳ありませんが、今は説明している暇はありません。あの子の探索を手伝ってもらえますか?」
「・・・・分かりました」
妙に納得できていないようだが、ここで一悶着を起こす訳にもいかないので、シスター・シャッハは話を区切らせた。
その後、全員で居なくなった少女を探すことになり、ツナはなのはと、シグナムはシスター・シャッハと、エンマはリボーンとで少女を探し始めた。
そして、エンマとリボーンは少女を探して、中庭を歩いていた。
「お、アソコだぞ」
リボーンが指差すと、エンマもその指先の方向に目を向けると・・・・。
ーーーーガサッ・・・・。
音がした方に目を向けると、そこにはウサギのぬいぐるみを大事そうに抱えた金髪にオッドアイの少女が脅えた様子でこちらを見ていた。
「脅えてるなぁ・・・・。リボーン、頼めるかな?」
「ああ。任せておけ」
少女の年齢は目測だが、エリオとキャロよりも年下のようだ。
ならば、自分よりも小さい二歳のリボーンが先に行けば警戒心が弱まると思ったエンマがリボーンに頼むと、リボーンはエンマの考えを察しているように頷きながら少女に近づく。
「・・・・んぅ?」
「ちゃおッス。はじめましてだぞリトルレディ」
エンマの予想通り、少女の警戒が弱冠薄れた。リボーンもそれに気づき、少女に向けて挨拶を交わす。
「う?」
しかし、少女はリボーンの挨拶に首を傾げる。
「コラコラ。挨拶はちゃんとしないと駄目だぞリトルレディ。ちゃおッス」
「・・・・ち、ちゃおッス・・・・」
「うん。もう少し元気良くが理想だが、今はまだそれで良い。さて、オレの名はリボーンだぞ。そして相棒のカメレオンのレオンだぞ」
リボーンが紹介すると、レオンは二本足で立ち、挨拶するようにペコリと上体を倒した。
「おぉ〜・・・・」
少女はレオンを見て、弱冠目を輝かせる。
「さて、リトルレディの名前は何というんだ?」
「・・・・ィオ・・・・」
「うん?」
「・・・・『ヴィヴィオ』・・・・」
「そうか『ヴィヴィオ』か。良い名前だな。アソコにいるのはエンマって言うんだぞ」
紹介されたエンマは少女、ヴィヴィオに近づいて腰を落とし、目線をヴィヴィオに近くにし、笑みを浮かべた。
「初めましてヴィヴィオ。僕は古里炎真。エンマで良いよ」
「エン、マ・・・・」
「うん。こんな所にいたら危ないよ。どうしたの?」
「・・・・ママ、いないの・・・・。パパも、いないの・・・・!」
涙を堪えるように言うヴィヴィオにエンマは、小さく、しかし優しさに満ちた笑みを浮かべて手を差し伸べる。
「ーーーーじゃあ、一緒に探そう。僕も手伝うから、ね?」
「・・・・・・・・」
ヴィヴィオは、恐る恐るエンマの手にソッと触れようとした。
その時・・・・。
ーーーーキィィン!
「「っ!」」
「ひぅ!」
突如、病棟の方からオレンジ色の閃光が飛び出してきてエンマ達の前に降り立った。
「アレはーーーーシスター・シャッハ!?」
そう、その正体はバリアジャケットを身に纏ったシスター・シャッハであった。
そしてシスター・シャッハはトンファーのような武器を構え、少女に襲い掛かろうとする。
「あ・・・・!」
そんな彼女を見て、目に涙を浮かべながらヴィヴィオは怯えていた。
「っ!!」
「んにゅっ!?」
その瞬間、エンマの中で『この子が危ない!』と、警鐘が鳴らされ思わずヴィヴィオを抱きしめそしてーーーー。
ーーーードォォォンン・・・・!
「かっはっ!?」
戦闘モードに変わると、重力操作でシスター・シャッハを地面に叩きつけた。
「なっ!? こ、これは・・・・! 一体・・・・っ!?」
顔だけ何とか少女に向けたシスター・シャッハが思わず戦慄した。
少女を抱きかかえたエンマの視線に、気圧されていたのだ。
「・・・・何のつもりですか? シスター・シャッハ?」
戦闘モードになったエンマは、威圧を交えた視線でシスター・シャッハを見下ろしていた。
「・・・・ふみゅう」
そして、エンマに抱きかかえられたヴィヴィオは、一瞬驚くが、すぐに、何やら心底安心したような気持ちで笑みを浮かべ、エンマの胸元に顔を埋めた。
「ーーーーこれは、面白くなってきたぞ♪」
そんな中、リボーンは意地の悪い笑みを浮かべるのであった。
書いている内に、ヴィヴィオに先にあったのはエンマになってしまいました(笑)。
最近影が薄いと思っていたから丁度良いとも思っていました(大笑)。