かてきょーリリカルREBORN   作:BREAKERZ

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大地と大空と少女

ーシャッハsideー

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

シスター・シャッハは、まるで大蛇に睨まれた小蛙のような気持ちだった。

目の前にいるのは捕獲しようとしていた少女を抱きかかえる自分より年下の少年。しかし、今自分はその少年に威圧されて動けなくなっている。さらに、今その少年の、おそらく『レアスキル』であろう能力によって、自分は地べたに這いつくばらされている。

こんな異常とも言える事態に、屈辱感を感じる気持ちすら起きず困惑する。そんなシスター・シャッハに少年、エンマはゆっくりと言葉を続ける。

 

「もう一度聴きます。何をしようてしたんですか? シスター・シャッハ?」

 

今自分の身体を押し潰そうとする重力を弱め、声が出し安くなったが、それよりも、とてつもなく重い重圧‹プレッシャー›を放つエンマに、シスター・シャッハは冷や汗が止まらず流れるが、それをグッと堪えて声を発する。

 

「この子は『人造魔導師素体』・・・・危険な存在なんですよ!?」

 

「こんなに怯えて、泣いていた女の子が危険と?」

 

「そうです! ですからこの子は“この場で処分を”・・・・っ!!?」

 

シャッハがそれ以上を言葉を発することは出来なかった。

先ほどよりめさらに膨れ上がったエンマの重圧に当てられ、強制的に黙らされたのだ。

 

「(人造魔導師、つまり、フェイトと同じって訳か)ーーーー例え造られた命であろうと、この子はこうして生きているんだ。ーーーーそれを奪う権利はあなたにない!!」

 

「っ・・・・何も知らない者がーーーー口を慎みなさい!!」

 

そう言って、魔法で肉体を強化し、重力を何とか脱出し、トンファーを構えてエンマに襲い掛かるシャッハ。

がーーーー次の瞬間。

 

ーーーーバシンっ! ボコォォンンッ!!

 

「ハブンッ!」

 

エンマは片手で少女を抱き抱えて、もう片方の空いた手でシスター・シャッハを平手打ちで叩くと、一瞬で地面に叩きつけた。シスター・シャッハが叩きつけられた地面が小さく陥没し、小さくひび割れまでしてしまった。

 

「(ピクピク・・・・ピクピク・・・・ピクピク・・・・)」

 

地面に叩きつけられたシスター・シャッハは、まるで体操のしゃちほこのようなポーズで倒れ、武器のトンファーも粉々になり、下半身がピクピクと痙攣していた。

 

「・・・・あぁ、古里殿。リボーン殿・・・・」

 

と、ソコで、シグナムが半眼で苦笑しながらやってきた。

 

「おうシグナム。一体どうしちまった?」

 

「っ・・・・き、騎士、シグナム・・・・」

 

意識を取り戻したシスター・シャッハが痛む身体に鞭を打って、ヨロヨロになりながら立ち上がる。

 

「ーーーーシスター・シャッハ。今回は貴女に非がある」

 

「し、しかし・・・・!」

 

「それに、この御仁は貴女どころか、私が敵う相手ではありません。何しろ、私だけでなく、高町やテスタロッサ、六課の隊長陣が全員、リミッター解除した状態でも全く敵わなず完敗しているのですから」

 

「・・・・は?」

 

シグナムの言葉に、シスター・シャッハは間の抜けた顔を晒した。なのはにしろフェイトにしろ、管理局でも指折りの実力者。しかもフェイトとも面識はあり、その実力はシスター・シャッハも知っている。その強者達が、リミッター解除した状態でも全く敵わない相手だと言うのだ。

 

「しかも、つい先日に漸く三分は戦えるようになったのです。どうかご理解を・・・・」

 

「・・・・分かりました」

 

シグナムに諭され、シスター・シャッハはBJを解除する。

 

 

 

 

 

ーエンマsideー

 

それを見たエンマは戦闘形態を解除すると、自分の胸元に顔を埋めていたヴィヴィオに話しかける。

 

「もう大丈夫だよ?」

 

「・・・・ふみゅぅ・・・・?」

 

ヴィヴィオはエンマの胸元から顔を上げて目を開くと、眠っていたのか小さな手で目をこすっていた。

 

「(この状況で熟睡していたとは。かなりの大物なのか、ただのバカなのか。それともーーーー余程エンマに対して心を許しきっているのか・・・・)」

 

リボーンはヴィヴィオを興味深そうに眺めていた。

 

「エンマ! リボーン!」

 

「シグナムさん! シスター・シャッハ!」

 

ソコでツナとなのはが小走りでやって来た。

 

「・・・・ぅぅ?」

 

ヴィヴィオは新しく来た人達、と言うよりもその視線はーーーーツナに向いていた。

 

「ツナくん!」

 

「ーーーーエンマ、その子は?」

 

「ヴィヴィオって言うんだ。パパとママがいなくて探していたみたいなんだ」

 

「そうか。はじめまして、俺は沢田綱吉、ツナって呼ばれているよ」

 

「ツ、ナ・・・・?」

 

「うん。こっちのお姉さんは、なのはちゃん」

 

「高町なのはだよ。お名前は?」

 

「ヴィヴィオ・・・・」

 

「うん。可愛い名前だね」

 

「パパとママを探しているの?」

 

「うん・・・・」

 

ツナはヴィヴィオに目線を合わせて問うと、ヴィヴィオは何やらジッとツナの目を見据えていた。

 

「・・・・分かった。じゃあ、俺達も一緒に探すよ」

 

「・・・・ほんとう?」

 

「うん」

 

不安そうに首を傾げるヴィヴィオに、ツナは優しく笑みを浮かべて頷くと、ヴィヴィオはパァッと、表情を明るくした。

するとーーーー。

 

「うぅ・・・・!」

 

ツナに向かって手を伸ばしてきた。

 

「・・・・ツナくん。代わってくれる?」

 

「あ、ああ」

 

どうやらツナに抱きかかえて貰いたいと思ったのか、エンマがヴィヴィオをツナに渡そうとする。

が、しかしーーーー。

 

「うううぅぅっ!」

 

「「えっ・・・・?」」

 

ヴィヴィオは、『違うの!』 と言わんばかりに首を横に振り、エンマの腕から下りて地面に着地すると、持っていたウサギのぬいぐるみを服の首回りに押し込み、空いた片方の手でツナの手を取り、もう片方の手でエンマの手を取って離さなかった。

 

「「あ、あの〜、ヴィヴィオちゃん?」」

 

「ーーーーこれがいい!」

 

ツナとエンマがヴィヴィオの手と繫がると、ヴィヴィオは満足と言わんばかりに笑みを浮かべた。

 

「(会って一分も経たずに懐かれた!?)」

 

「(流石ツナさんとエンマさんなの・・・・)」

 

「(お見事です。10代目。古里殿)」

 

「(はてさて、これからどうなるか)」

 

シスター・シャッハは目を見開き、なのはは苦笑し、シグナムは内心敬服をし、リボーンは楽しげに小さく笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

ー獄寺sideー

 

それから少しして、六課の部隊長室では、はやてとフェイト、さらにリボーンとツナの代理で獄寺が入っていた。

 

「臨時査察?」

 

「機動六課にか?」

 

「うん。地上部隊にそんな動きがあるみたいなんよ」

 

「地上部隊の査察は厳しいって聞くけど・・・・」

 

「うぅ・・・・。六課‹うち›はただでさえツッコミ所満載の部隊やしなぁ」

 

「今の配置やシフトの変更命令が出たりしたら、正直致命的だよ?」

 

「それに、俺達ボンゴレとシモンの事を追求されたら、色々とウザったい事になるぞ?」

 

「う~ん。何とか乗り切らな。スカリエッティ側にかなり厄介そうな連中がいるのに、上から変な茶々を入れられるのは勘弁やなぁ」

 

三人は揃って頭を悩ませる。すると、フェイトが口を開いた。

 

「ねぇ・・・・これ、査察対策にも関係して来るんだけど・・・・六課設立の本当の理由、そろそろ聞いてもいいかな?」

 

「あん? お前ら設立理由とか聞かねえでいたのかよ?」

 

「・・・・そやね。まぁ、ええタイミングかな。これから〈聖王教会本部〉、『カリム』の所に報告に行くんよ。クロノ君も来る」

 

「クロノも?」

 

「なのはちゃんと一緒について来てくれるかな? そこでまとめて話すから」

 

「うん」

 

フェイトが頷くのを見た後、はやては獄寺に視線を向ける。

 

「隼人さん、ツナさんとエンマさん、リボーンくんにも付いて来てくれますか?」  

 

「俺達も?」

 

「うん。雲雀さんにも来て貰えるように、今リインとザフィーラに説得してもろうてるんや」

 

「・・・・十代目が行くと言うなら、俺は構わねえ」

 

「なのは達、もう戻ってると思うけど・・・・」

 

そう言ってフェイトは空間モニターを操作してなのはに回線を繋げると、丁度六課の食堂に戻っていたなのはと繋がると、先日の事件で保護した女の子が、ツナとエンマと手を繋いでいるのに首を傾げるが。

 

《ーーーーあっ、フェイトちゃん》

 

「なのは。帰ってたんだ。その子は?」

 

《ヴィヴィオって言うの。何か、ツナさんとエンマさんに凄く懐いちゃって・・・・》

 

「「「(流石のお二人さん・・・・)」」」

 

それを聞いて、三人は半眼で苦笑する。

と、山本に了平、ランボにクロームにヴィータにFW陣が女の子に自己紹介をしていると、フェイトが話しかけた。

 

「なのは。これから〈聖王教会本部〉に行くんだけど、ツナにエンマ、リボーンも来て欲しいんだ」

 

《うん。ツナさん、エンマさん、リボーンくん、お仕事だよ》

 

《あぁ分かった》

 

《じゃぁヴィヴィオ。僕達ちょっといなくなるけど、良い子で待っててね?》

 

《えっ? 行っちゃうの・・・・》

 

ツナとエンマが手を離そうとするが、ヴィヴィオは綺麗なオッドアイに涙を浮かべてーーーー。

 

《ーーーーうわぁああああああああああああああああああああああああああんん!!》

 

盛大に泣き出してしまった。

 

《 《ヴィ、ヴィヴィオ!?》 》

 

《やだぁぁぁぁっ!! 行っちゃやぁだぁあああああああ!!》

 

ヴィヴィオは離そうとした二人の手をギュッと握って、グイッと引き寄せてしがみついた。

 

《おぉ、大号泣だな》

 

《おいおい、ヴィヴィオ!》

 

《極限に落ち着かんか!》

 

《ヴィヴィオちゃん、泣かないで・・・・》

 

《ぐぴゃぴゃぴゃ! ヴィヴィオ泣き虫だもんね!「ガン!×2」ぐぴゃっ!》

 

《この馬鹿牛!》

 

《余計な事言わないの!》

 

《ヴィヴィオちゃん! ほぅら、面白い顔だよ!》

 

《スバルさん、それ逆効果かもです》

 

《(オロオロオロオロ)》

 

《キュルク〜!》

 

ヴィヴィオが泣き出してしまい、全員が何とか宥めようとしていた。ランボにはヴィータとティアナが鉄拳制裁をしていたが。

 

「ありゃ、大変やな」

 

「10代目、すぐにソチラに行きます!」

 

「エンマ。私達が行くまで何とか抑えておいて」

 

《わ、分かった! ヴィヴィオ! ほら落ち着いて!》

 

「なのは。後でね」

 

《う、うん!》

 

なのはも弱冠狼狽えながらヴィヴィオを宥めるのであった。

通信を切ると、急いで食堂へと向かった。




さて、ひと目でヴィヴィオに気に入られたツナとエンマはこれからどうなるのか?


エンマにのされたシャッハの姿は、鬼滅の刃にて、岩柱にのされた伊之助を連想すればイメージし易いです(笑)。
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