ーーーー〈聖王教会〉。
ベルカ自治領内に本部を持つ、次元世界で最大規模の宗教組織。
数多くの偉業を成し遂げたと伝えられる古代ベルカの英雄『聖王』と、その血族や周辺の記事を崇拝している。
他の宗教と比較すると、禁忌や制約が少ないため、信徒数も多く、各方面の影響力も大きい。 古代魔法文明の遺産『ロストロギア』の管理を使命としており、〈時空管理局〉との関係も深く、『教会騎士団』という独自の戦力を持っており、シスター・シャハはここに所属している。
ーツナsideー
「ーーーーそれで・・・・ザフィーラ、リイン。何でシスター・シャッハは、地面にめり込んでいるの?」
「ああ・・・・その・・・・我々は一足先に着いて、シスター・シャッハが出迎えに来たのですが、雲雀様の無愛想に気を悪くしたシスター・シャッハがつっかかり、雲雀様が【弱い犬ほどよく吠える】、と言いまして、それで頭に血管を浮かべたシスターがデバイスを起動させ勝負を挑んだのですが、雲雀様は全くの無視の態度で、遂にキレたシスターが飛び掛かりーーーー」
「雲雀さんのトンファーで一発殴られて、あっという間も無いくらい負けて、こんなにちゃったですぅ!」
『あぁ、成る程・・・・』
ソコまで説明され、全員が納得した。
「リボーンさん。あのシスターって女、どんだけの実力っすか?」
「ーーーー贔屓目に見ても、『もう一つの未来』での本気のγ‹ガンマ›とほぼ互角と言った所だろう」
と、話しているとシャッハが目を覚まし、またも雲雀に挑もうとするが、はやて達に抑えられたのは割愛する。
そしてシャッハに連れられた一同は、とある一室に招かれた。そして扉をノックして中に入ると、そこには金色の長髪にカチューシャを付け、シャッハと同じ修道女の服をした二十代くらいの女性がいた。
「高町なのは一等空尉であります」
「フェイト・T・ハラオウン執務官です」
ビシッと敬礼をして自己紹介をするなのはとフェイト。
「はじめまして。〈聖王教会〉、『教会騎士団の騎士』、『カリム・グラシア』と申します」
カリムと呼ばれた女性は二人に自己紹介をすると、なのは達の後ろに居るツナ達に歩み寄る。
「貴方がたが、はやての言っていたボンゴレファミリーとシモンファミリーのボスですね?」
「は、はい! オレは沢田綱吉です!」
「沢田綱吉の家庭教師、リボーンだぞ」
「十代目の右腕、獄寺隼人だ」
「どもっす! 山本武っす!」
「俺は笹川了平だ!」
「クローム・髑髏です・・・・」
「ランボさんだもんね!」
「・・・・・・・・」
「こちらは雲雀恭弥様です」
我関せずな雲雀の紹介はザフィーラが行う。
「シモンファミリーの古里炎真です。よろしく」
「はい。こちらこそ。ではどうぞこちらへ・・・・」
自己紹介を終えると。全員を部屋の奥の窓辺のテーブルへと招きいれた。
そして既にその場に居た見覚えのある黒髪の青年がいた。
『(ーーーー何処かで見た事あるような・・・・)』
その青年を見て、ツナ達を眉根を寄せると。なのは達は苦笑し、青年がニコッと笑って声を発した。
「久しぶりだな。綱吉。エンマ。リボーン。隼人。武。了平。クローム。ランボ。雲雀。僕だよ。ーーーー『クロノ・ハラオウン』だ」
『・・・・えっ・・・・?』
リボーンとランボと雲雀以外が目を丸くし、記憶の中にいる少年が、目の前の青年とピッタリ重なり。
『ーーーーなぁああああああああああああ!!?? く、クロノ(くん)ーーーーーーーーっっ!!!???』
フェイトの義兄『クロノ・ハラオウン』であった。
「く、クロノくん!? えっ!? ホントにクロノくん!?」
「いや、その、り、立派になったね・・・・!」
「テメェ! あのチンチクリンボディはどうした!?」
「牛乳いっぱい飲んだのなぁ!」
「極限に驚きの急成長ではないか!」
「大きくなったね、クロノくん」
「クロノが大きいもんねー!」
「ふーん・・・・」
「昔の鼻タレがちったぁマシになったか?」
ツナ達(雲雀を除く)が、クロノを囲んでワチャワチャしだした。
「いや、皆、はやて達から聞いてはいたが、昔のままと言うか、本当に昔の姿なんだな、何か妙に懐かしい感じがするよ」
「そういえば聞いたぞクロノ。エイミィと結婚したそうじゃあねえか」
「えっ!? そうだったの!?」
「あぁ。今は子供の姿になったアルフがエイミィの側にいてくれてるさ」
「アルフの事はフェイトちゃんから聞いてはいたけど、子供の姿になってるんだぁ。会いたいなぁ」
エンマにとって、アルフも大事なファミリーの一員である。会いたいと思うのは当然だろう。
「あぁ、アルフもエンマに会いたがっていたからその内にーーーーっていった! 隼人! ランボ! ドサクサに紛れて蹴るな!!」
久しぶりの再会を喜ぶツナ達とクロノに、なのは達もカリムとシャッハも笑みを浮かべた。
「さて・・・・昨日の動きについてのまとめと、改めて機動六課の設立の裏表について。それからーーーー今後の話や」
はやてがそう言うと、カリムは部屋の明かりを全て消し、カーテンを閉めた。
「六課設立の”表向きの理由“は、ロストロギア『レリック』の対策と独立性の高い少数部隊の実験例」
クロノがそう言うと、近くにいくつもの空間モニターが出現する。
「知っての通り、六課の後見人は僕と騎士カリム。それで僕とフェイトのもう一人の母親で上官、リンディ・ハラオウンだ」
「リンディさんも絡んでんのな」
「ま、リンディが黙っている訳ねえからな」
山本と獄寺の脳裏に、リンディが嬉々として手伝っている姿が容易に想像できた。そしてリボーンが口を開く。
「んで、“表向きの理由”って事は、“本当の理由があるんだな”?」
「ええ。ーーーーそれに加えて非公式であるが、かの三提督も設立を認め、協力の約束をしてくれている」
「その理由は私の能力と関係があります」
そう言いながらカリムは席を立ち、古いお札のような紙束を全員に見えるように前に出す。そして縛っていた紙の紐をゆっくりと解くと、札は光を放ちながらカリムを中心に円を描き始めた。
「私の能力、『預言者の著書‹プロフェーティン・シュリフテン›』と言います。これは最短で半年、最長で数年先の未来。それを詩文形式で書きだした予言書の作成を行う事が出来ます。二つの月の魔力がうまく揃わないと発動できませんから、ページの作成は年に一度しか出来ません」
カリムが説明している途中に数枚の札がなのはとフェイト、そしてツナ達の前に飛んでくる。
「これは?」
「何か書いてありますけど、読めませんね・・・・」
その札には何か文字が書かれていたが、全員解読出来ず、首を傾げる。
「予言の中身も古代ベルカ語で、解釈によって意味が変わる事もある難解な文章。世界に起こる事件をランダムに書き出すだけで、解釈ミスも含めれば的中率や活用性はーーーー割と良く当たる占い程度。つまりは、あまり便利な能力ではないんですが・・・・」
「〈聖王教会〉はもちろん、次元航行部隊のトップもこの予言には目を通す。信用するかどうかは別として、有力者による予想情報の一つとしてな」
「ちなみに、地上部隊はこの予言がお嫌いや。実質のトップがこの手の『レアスキル』とか嫌いやからな」
「レジアス・ゲイズ中将、だね」
「あぁ・・・・あの男か」
リボーンは以前ニュースで見たレジアス中将を思い出していた。
「そんな騎士カリムの予言能力に数年前から少しずつ、ある事件が書き出されている」
クロノの視線にカリムは頷くと、彼女の前に予言が書かれた一枚の札が浮かび上がり、それを読み上げる。
「『古い結晶と無限の欲望が集い交わる地。死せる王の元、聖地より彼の翼が蘇る。死者達が踊り、なおかつ大地の法の塔は虚しく焼け落ち、それを先駆けに数多の海を守る法の船も砕け落ちる』」
「それって・・・・!」
「まさか・・・・!」
なのはとフェイトは予言の意図がわかり、顔色を驚愕に染める。
「ロストロギアをきっかけに始まる管理局地上本部の壊滅と。そして管理局システムの崩壊・・・・」
『っ!?』
カリムがそこまで言うと、ようやく意図が理解出来たツナ達(了平は理解できたか怪しく、ランボは寝ており、雲雀は我関せず)は驚愕する。しかし、カリムの話はまだ続いていた。
「そしてこれが、最近現れた新たな予言です」
そう言うと、カリムの前にもう二枚の札が浮かび上がりその内の一枚を読む。
「『無限の欲望、黒き翼と交わりし時、千の花に集いし兵‹ツワモノ›達集め、修羅の力、欲望の力、星の力、絶望の力、果実の力、悪魔の力を用いて、世界に災いを振り撒かん。聖王の器、星の蛇に取り込まれ星光を討ち。無限の欲望、雷雲を以て雷光を討ち。ゆりかごは欲望の魔獣へと変貌する』」
「・・・・・・・・どういう事だろう?」
「『無限の欲望』、『アンリミテッド・デザイア』とは、ジェイル・スカリエッティの通り名だ。黒き翼と千の花と言うのは分からんが」
「千の花、イタリア語でそれはーーーー『ミルフィオーレ』の事だ」
『っ!』
クロノが首を傾げた単語をリボーンが解説すると、その言葉を知る者達は肩を揺らした。
「リボーン。まさか・・・・!」
「恐らく予言にある『千の花に集いし兵達』と言うのは、幻騎士とグロ・キシニア達の事だろう。そしてーーーー『欲望の力』、『星の力』、『絶望の力』。コレが何を意味するのか、少し分かったぞ」
「それって・・・・」
ツナとエンマの問いに、リボーンは坦々と答える。
「ツナとエンマ、そして俺がこの時代に来たのは『レリック』によるもの。だが、獄寺達は連れてこられた、『アイツら』にな」
『っ!!』
それを聴いて、ツナ達は察した。
世界の裏側で、人類の自由と尊厳を守る為に命の続く限り戦う、あの『仮面の戦士』達の事を。
「ツナ。『アイツら』、とは?」
「ーーーーこの事は、『沈黙の掟‹オメルタ›』に引っ掛かるから言えない。けど、一つだけ確かなのは、ジェイル・スカリエッティは、〈時空管理局〉を壊滅できる戦力を持っているって事だ」
『なっ!』
今度はなのは達が驚愕に目を見開く。そしてリボーンがカリムに問うた。
「それでカリム。最後の一枚の予言には何と書いてあるんだ?」
「え、ええ。ーーーー『聖王の器。天空に抱かれ涙を流し、呪縛から解き放たれん。天空の炎皇と大地の炎帝、天空の守護者達、黒き翼と対峙する。彼らが敗れし時、法の塔と法の番人達は死滅し、世界は暗黒の闇に包まれん。しかし、勝利した時、新たな未来の道が開かれる』ーーーーと、記されています」
「えっと・・・・つまり・・・・」
「俺達がジェイル・スカリエッティと戦う事が、『歴史の分岐点』になるって事だな」
「勝って未来を勝ち取るか。敗けて全てを失うか・・・・」
「ーーーー全ては、俺達に委ねられている・・・・!」
◇
話を終え、聖王教会から隊舎に戻る(雲雀はザフィーラとリインを連れて会社に戻った)と、隊舎の庭でナッツ達ボックスアニマル達に囲まれてスヤスヤとお昼寝しているヴィヴィオを見つけた。
「ーーーーヴィヴィオ。ここで寝ていると風邪をひいちゃうよ」
「ーーーーむゅ?」
珍妙な寝言を言いながら、目を擦ると。
「・・・・んぅ」
ツナに抱っこを求める様に両手を突き出した。ツナは仕方ないなぁと、言わんばかりに溜め息混じりに笑みを浮かべると、ヴィヴィオを両手で抱きかかえた。
「うぅ?ーーーーあっ」
抱えられたヴィヴィオは、エンマの姿を確認すると、手を伸ばす。
「ーーーーフフ」
エンマもその意図を察して近づくと、ヴィヴィオの頭を撫でた。
「んんん〜〜〜〜♪」
ヴィヴィオが幸せそうに、気持ち良さそうな笑みを浮かべた。
「「ヴィヴィオに甘い・・・・」」
なのはとフェイトはヴィヴィオに甘いツナとエンマに半眼でジト目になっていた。
「なのはちゃん、フェイトちゃん。年下のヴィヴィオにヤキモチ焼いてどないすんねん」
その様を、他のメンバーは呆れたり苦笑したりしていた。