今回は六課隊舎から別の方に移り、オリジナル匣兵器が登場します。そして遂に、あの連中が・・・・。
ースバルsideー
「ギン、姉・・・・?」
なのはがツナとエンマの元に、フェイトはエリオとキャロとフリードと共に六課隊舎に向かって飛び、スバルはティアナと一緒にギンガとバジルがいる戦闘地点に向かっていたが、ソコで見た物はーーーー血で汚れているバジルと、血だらけになった姉を背負っているアルフィンを発見し、虫の息状態で気を失っている姉を見つけ、顔どころか全身から血の気が一気に失せていくのを感じていた。
「ギン姉ぇ!!!」
スバルがギンガに駆け寄ろうとするが、ティアナが抑えつけた。
「このバカスバル! 落ち着きなさい!」
「だって! だってギン姉ぇが!」
涙で顔をクシャクシャにしたスバルが、ギンガに近づこうとするが、今のギンガの状態から、下手に動かしたりするのは逆に危険であると判断した。回復魔法が使えるシャマルか、もしくはーーーー。
「ーーーーガリュー!!」
『ガァァァァァ!!』
突如、五月蝿いくらいに大きな声と共に、目映い黄色い炎の塊が飛んできて、地面に下りると、カンガルーへとなった。了平の『匣‹ボックス›アニマル・漢我流』だ。
「ガリュー!?」
『ガァァァァ!!』
ティアナが名を呼ぶと、『任せて』と言わんばかりに、ガリューは口から『晴れの死ぬ気の炎』を放射し、ギンガに浴びせると、少しずつではあるがギンガの傷が癒されていく。
「了平さん・・・・!!」
「獄寺!」
そして、ノーヴェとウェンディを退散させた獄寺と了平がやって来た。
「極限に重傷ではないか! 出血と傷を癒す事はできるが、本格的に医者に見せなければならんぞ!」
「バジル。何が起こった?」
「・・・・その前に一言、言わせて貰います」
自分の不甲斐なさに歯噛みしているようなバジルがスバルに向かって頭を下げた。
「スバル殿。あなたの大切な姉君のギンガ殿をこのような目に合わせてしまい、誠に申し訳ありません」
「バジルくん・・・・」
バジルが頭を下げるの見て漸く落ち着いたのか、スバルは一拍深呼吸をしてから口を開いた。
「・・・・一体、何が起こったの?」
「拙者とギンガ殿は、ガジェットを撃破し、『ナンバーズ』のチンク』と言う少女と戦いました」
「お前の方でも、『ナンバーズ』の者が現れたのか!?」
「はい。その者との戦い自体は問題無かったのですが・・・・その後すぐに現れた敵に、やられてしまいました」
「ソイツは一体?」
「・・・・・・・・」
獄寺の問いかけに、バジルは一拍置いて呼吸をしてから声を発した。
「〈ヴァリアー〉のベルフェゴールの兄、『ラジエル』です」
ー???sideー
そしてその頃。
地上本部の指揮管制室は、無様な程の混乱に陥っていた。
「何故だ!? 何故、ガジェットを抑えられん!?」
指揮官の男性が腹立ち紛れに机を叩く。モニターに表示されているのは、人型ガジェットに蹂躙され、夥しい数の倒された武装局員達の姿が映し出される。たった一体のガジェットでもその戦闘力は凄まじく、一体一体が『機動六課』の高ランク魔導師の小娘達に匹敵し、武装局員達はまるで牛に集るハエの如く簡単に叩きのめされ、その身体が地上へと堕ちていく。このままでは全滅も時間の問題である。
「システムの復旧はどうした!?」
「もう少し時間がかかります!」
人型のガジェットの襲撃とほぼ同時に、本部のシステムがクラッキングを受けていた。
建物内では隔壁が勝手に締まり、人々を中に閉じ込めている。エレベーターも使用不能の状態となってしまった。
〈時空管理局〉の設立されておよそ100年以上。その間、このような大規模のテロ活動が行われた事が無かった故に、指揮官は冷静さを失い声を荒げながら指示を飛ばす。
「兎に角、残っている部隊の再編成を急げ! 賊を絶対に中に入れるな!」
「それがとっくに入ってるんだな♪」
場違いに明るい少女の声が耳元で囁きが聞こえ、指揮官は凍りついたように動きを止めた。
「ーーーードクター曰く、【〈時空管理局〉は自分達の魔法と組織力に胡座をかいて、攻撃は得意だが防御はてんでダメな組織だ】、ってさ」
「・・・・ぁ・・・・」
指揮官が漸く振り向くとソコにはーーーー床から出てきた少女、『ナンバーズのセイン』であった。
「んじゃ、バイバイ♪ 『雨ハシビロコウ‹ベッコロッソ・ラ・ピオッジャ›』!」
セインが右手中指に嵌めた指輪から『青い炎』を生み出し、小さな『匣』に押し込めると『匣』が開き、その中から、『青い炎を纏ったハシビロコウ』が立っていると、ハシビロコウが翼を広げ、ソコから管制室を埋め尽くす程の青い炎が放出され、指揮官もオペレーター達も呑み込まれてしまった。
炎が消えると、指揮官やオペレーター達はその場で意識を失い、深い眠りについてしまっていた。
「さぁ〜てと、アタシの仕事は終了〜。帰るよ」
セインは雨ハシビロコウを匣‹ボックス›に戻すと、『ディープダイバー』で床に潜り、そのまま立ち去った。
ー???sideー
『ーーーー何故だ・・・・?』
最低限の明かりに照らされた暗所。
人の気配はまるでなく、用途もしれない部屋の中に三つのガラス管が安置されており、それぞれのガラス管に浮かび上がるのは、正体不明の液体に浸されたーーーー『人間の脳髄』が、生きたまま入っていた。
“生きたまま”とは語弊があるが、その脳髄は人間としての『人格』や『意識』を持って思考する『部品』のようであった。もはや見る人が見れば異形にしか見えない三つの脳髄が個別の人格を有している彼らこそ、『次元世界』を束ねる〈時空管理局〉の創設者である『最高評議会』の真の姿。百五十年以上前より生き、人としての姿さえ捨てて次元世界を掌握せんとする老人達であった。
『なんなのだこれは!? ジェイル・スカリエッティが何故これ程の戦力を、『死ぬ気の炎』の力を持っている!?』
ガラス管を震動させる事で歪な声が、荒々しく発せられた。
『・・・・ま、まさか奴は、接触したと言うのか・・・・あの、『禁断のロストロギア』・・・・『トゥリニセッテ』に関する者達に・・・・!?』
その声に込められている感情は『戦慄』とーーーー『恐怖』であった。
百年以上近く昔の事、自分達の『魔法』こそ『最強』であると信じて疑っていなかった、まだ人間の身体を持っていた頃の『最高評議会』は、全次元世界の『心臓』とも言える『究極のロストロギア・トゥリニセッテ』が『第97管理外世界・地球』にある事を知った当時の『最高評議会』は自分の弟子達に回収に向かわせたが、帰ってきたのは・・・・惨たらしい亡骸となった弟子達であった。
〈最高評議会〉は地球の『ロスト・ロギア』の回収を中断し、八年前の高町なのはの撃墜事件にて、彼女達が『トゥリニセッテ』の一角を所持する組織『ボンゴレファミリー』と接触している事を知り、高ランク魔導師達を失いたくなかったので、彼女達に『ボンゴレならびにそれに関する組織との接触を禁じる』事を命じた。
そして調べてみると、今地球では数多くの『ロストロギア級のアイテム』の存在が確認され、それと同時に〈時空管理局〉を、否、『管理局の魔法』をも凌駕する『仮面の戦士』や『伝説の戦士の少女達』と言った存在まで確認された。
そんな奴等の蔓延る次元世界に再び回収に乗り出せば、ここまで築き上げてきた〈時空管理局〉という組織は傾きかねない。
彼らの存在を次元犯罪者や犯罪組織に知られるのは以ての外である。
『・・・・・覚悟を、決めねばなるまい。我らには無限に等しい時間がある。管理局が多少弱体化しても、『トゥリニセッテ』や『地球のロスト・ロギア』を全て手にすれば、覇権を取り戻す事は可能だ』
『その通りだ。我らが先ず為すべきは、ジェイル・スカリエッティを御して、奴の戦力の全てを我らの物にする』
『そして『アルカンシェル』を用いて、あの『忌々しい組織‹ボンゴレ›』を壊滅させ、『トゥリニセッテ』を手にするのだ』
スカリエッティに『新しい肉体』を造らせ、それを器にし、この次元世界の『心臓』とも言える『トゥリニセッテ』を手にすれば、コソコソと裏から次元世界を操らず、表の世界にて堂々と君臨する事ができると、心なしか笑いを含んだ声を発する。
『では最高評議会の意見を纏めよう』
内心ではいざとなれば地球を滅ぼしても構わないと冷酷な考えを隠し、表向きの同行を決定する。
たった三人、否、最早『人』と言うカテゴリーに入れて良いのか疑問が残る『脳髄』達の話し合いにて、〈時空管理局〉の全ての行動が決まってしまう。
ソレは創設以来、ずっと行なわれてきた行為でもあった。ソレが『最高評議会』。そして〈時空管理局〉その物。細部にまで彼らの意見は浸透している訳ではないが、大局は全て彼等だけが決めてきた。そしてこれからも、彼らは次元世界を束ねるまでになった管理局を操っていく。
これまでと変わらずに、〈時空管理局〉の行く道を一つ定めるその時ーーーー暗所となっていた部屋の扉が、突如外より開け放たれた。
『何事だ、入室を許した覚えはないぞ。答えろ、『ドゥーエ』』
最高評議会の秘書兼メンテナンス担当としてスカリエッティから送られたナンバーズの一人、『ドゥーエ』の名を呼ぶが、部屋に入ってきたのはーーーー見知らぬ青年であった。
闇のように漆黒の髪、黒に近い褐色の肌、服装も身体に合わせて黒い服。そして何よりも・・・・黒い翼を背中から生やした二十代中盤くらいの青年であった。
『な、何者だ・・・・!? ここを何処だと思っている!?』
『いや、それよりも、『ドゥーエ』はどうしたのだ!?』
騒ぎ出す『最高評議会』に向けて、その青年は氷よりも冷たい視線と、深く低く底冷えするような冷酷な声を発する。
「ーーーーここに入るなんて簡単だよ。それにしても、“どの平行世界でも、君達は本当に生き汚い存在だね”。人間の身体を捨て、醜い脳ミソの化け物のような姿になってまで浅ましくも『生』にしがみつく醜悪さ。〈時空管理局〉を裏から操ってきた卑劣さ。『自分達こそが次元世界の守護者』だと言わんばかりの傲慢さ。その為ならば、如何なる犠牲や非人道的な行いも正当化させる身勝手さ。そしてあらゆる次元世界を自分達の管理下に置き、『ロスト・ロギア』を管理と言う名の独占をする欲深さ。本当に救いようのないね。ーーーーまぁだからこそ・・・・“躊躇なく消す事ができるんだけどね”♪」
最後は明るい声で言う予想外の闖入者。『最高評議会』の居場所はほんの一握りの人間しか知らない筈なのに、この男はここに来た。そして、『最高評議会』の脳髄達は察した。
ーーーーこの男は、自分達の命を奪いに来たのだと・・・・。
『ーーーー『ドゥーエ』! 何をしている!? 助けにこい『ドゥーエ』!!』
「『ドゥーエ』ちゃんなら、もうとっくにスカリエッティくんの所に帰ったよ☆」
『馬鹿な・・・・!? 奴が、『無限の欲望』が何故我らを・・・・!? 我らの協力がなければ戦闘機人の製作など・・・・」
「つくづくおめでたいよねぇ。“十年前”から既に、スカリエッティくんは君達の事を完全に見限っていたんだよ。利用価値があったから、従順なフリをしていただけ。“本来の歴史では、『ドゥーエ』ちゃんに君達は始末されるけど、ここは僕にやらせてもらおうと思ってね”☆」
そう言って、黒い青年の背後からーーーー『黒い龍』が現れた。その身に、『虹色の炎』を纏った。
『ま、待てっ! 血迷った事をするな! 我々『最高評議会』が無くなれば、誰が管理局の道標となる!? 全ての次元世界の平和が保てなくなるのだぞっ!?』
「あぁ、その辺の事は心配しなくても何の問題も無いよ♪ 星の数程ある『平行世界』の中で、“君達が生きていたせいで管理局や世界が滅んだのは、数えるのも面倒になるくらいあるけど”。ーーーー“君達が死んだ事で管理局と世界が滅んだのは、ただの一つもないから”☆」
『ど、どういう、事だ・・・・?』
その黒い青年の、顔は笑みを浮かべているが、目に宿る言いようのない重圧に押しつぶされながら、『最高評議会』は恐怖に震えて声を上げる。
が、青年はこれ以上話す理由も無いと言わんばかりに、冷淡に告げた。
「ーーーーもういい加減に地獄に落ちろって事だよ、脳ミソだけの生き恥晒しな老害共」
『ま、待て! 待ってくれ!! 望みは何だ!? 地位か!? 権力か!? 金か!? 何でも好きな物を与えよう! だから、やめてくれぇぇ!!』
『〈時空管理局〉の管理する次元の世界の全てを差し出す! いえ! 差し出します! 何なら、管理局の全権もお譲ります! だから慈悲を! どうか慈悲をををを!!』
『い、嫌だああああぁぁぁぁっ!! せっかくここまで生き延びてきたのに! 我らは永遠の時間を生きる筈なのに! こんな所で死ぬなんて、嫌だぁああああっ!!!』
『ーーーーキシャァァァァァァァァァ!!』
『『『あ、ああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーっっ!!!』』』
青年がそう言った瞬間、脳髄達は見苦しい程に命乞いをするが、当然聞き入れてもらえず、『黒い龍』が咆哮を上げた瞬間、長年に渡って〈時空管理局〉を裏で操ってきた『最高評議会』は悲鳴を上げーーーー“石となると同時に、黒い青年の掌から放たれた衝撃波によって、跡形も無く粉々に砕け散った”・・・・。
「ーーーーこれからの『この世界』に、君達は無用の存在なんだよ」
黒い青年は何の感慨もなくそう言うと、小さな小石しかなくなった真っ暗闇の部屋から立ち去っていった。
脳ミソお化け達の最後です。