ーエリオsideー
「ーーーーフェイトさん?」
フリードに座ったまま、エリオは不安げに背後を振り返る。だが、フェイトの姿は闇にまぎれてもう見えない。嫌な予感が胸中に蟠るが、今は六課へ急ぐ事にした。
前方の空が赤く染まっている。六課隊舎が炎に包まれているのだ。
そして、黒煙が立ち昇る隊舎前では、人型のガジェットらしいモノが数体倒れ、ヨロヨロになっている戦闘機人らしい2人を前に悠然と佇み欠伸をしている、『ネオボンゴレファミリーの雲の守護者』にして、『ネオボンゴレファミリー最強の守護者』、雲雀恭弥であった。
近くに、眠っているランボを背負っているザフィーラの姿もあった。
見た瞬間安心した。きっと雲雀が襲撃者達を返り討ちにしたのだと確信し、エリオもキャロも小さく笑みを浮かべそうになった。
しかしその瞬間ーーーー。
ーーーーガシャァアアアアアアアアアアアアアアンン!!
「「っっ!!??」」
『!?!?』
突如として、燃え盛っていた六課隊舎から巨大なタコとイカの足が飛び出してきて、隊舎を粉々に破壊して行った。
「ハレルヤ、ハレルヤ、ハレェェェェルヤァァァァーッ!!」
そして巨大なイカの足の一本に乗っているのは、以前遭遇したグロ・キシニアであった。グロ・キシニアは耳障りな甲高い声を上げながら出てきて、更にその小脇に抱えている少女を見て、エリオとキャロ、そして地上にいるザフィーラも目を見開いた。
ツナとエンマをパパと呼んで慕い、なのはとフェイトをママと呼んで慕う少女ーーーーヴィヴィオだ。
「ーーーーっっ!!」
その瞬間、エリオの顔から血の気が引いていき、過去の記憶が過った。
エリオは死んだ息子の代わりに違法に生み出された『クローン』だった。保護と言う名目の元、親元から無理やり引き離された過去と、今のヴィヴィオの姿が重なる。
「うわぁあああああああーっ!!」
エリオのストラーダを『フォルムツヴァイ』に変化する。魔力をロケットのように噴射し、エリオはグロ・キシニア目掛けて一直線に突撃する。
「んん〜〜??」
グロ・キシニアがエリオを一瞥すると、乗っているイカと隣にいるタコ、『雨巨大イカ』と『大雨タコ』の足が動き、大雨タコの足に巻き付かれ、気絶しているクロームとシャマルを盾にするように自分の目の前に持ってきた。
「クロームさん!? シャマルせん(ドスンッ!)ゔあああぁっ!?」
一瞬、動きが止まったエリオの横腹に、雨巨大イカの『雨の死ぬ気の炎』を螺旋回転しながら纏った足が叩き込まれ、エリオは回転しながら、地面を派手に転がる。
「っ・・・・」
雲雀が向かおうとするが、オットーとディードが大嵐マンモスと嵐バッファローを再び呼び出して、雲雀の行く手を遮るのを薄れ行く視界で捉えたエリオの意識は、闇へと沈んだ。
ーキャロsideー
「エリオ君!!」
キャロに指示され、フリードが『ブラストレイ』を放つが、大雨タコの残りの六本の足が『雨の死ぬ気の炎』を放出し、その炎を防ぐ壁のように絡まると、『ブラストレイ』は鎮火されてしまった。
「はん! くだらん、くだらん、くぅだらぁぁぁぁん!!」
そして、雨巨大イカの残りの足が、フリードの腹部に叩き込まれる。
『ーーーー!!』
「きゃぁああああっ!!」
フリードは悲鳴をあげて地面に墜落し、キャロも地面に叩きつけられそうになるが、『雲ハリネズミのロール』が、トゲを収めた球針体で受け止めた。
「無駄だ、無駄だ、無・駄・だぁぁぁぁ! 所詮貴様ら有象無象の魔導師共に、この私を止める事など不可能なのだぁ!」
グロ・キシニアが歪んだ笑みを浮かべて、見下しきった目でキャロ達を見据えると、ディードがグロ・キシニアに話しかけた。
「グロ・キシニア。施設の破壊と『聖王の器』を確保したならば長居は無用でしょう。すぐに撤収を」
「・・・・させない」
『聖王の器』、恐らくヴィヴィオの事を指していると考え、逃さないと決めたキャロの足元に、巨大な魔法陣が展開された。
「『ヴォルテール』!」
『ーーーーーーーー!!!!!』
魔法陣から、天まで届くような巨大をした黒い竜人が召喚される。キャロの最強の召喚魔法である『ヴォルテール』である。
「これは・・・・!?」
意表を突かれたオットーとディード、大嵐マンモスと嵐バッファロー、更にG4部隊がヴォルテールの巨大な尾でなぎ払われ、建物の外壁に叩きつけられる。雲雀は球針体に乗って空に離脱した。
『ーーーー!!!』
「くっ!」
ヴォルテールが咆哮し、最強技『ギオ・エルガ』を放つ。
「フゥンッ!!」
グロ・キシニアは、クロームとシャマルを捨て、雨巨大イカと大雨タコの炎を最大出力にし、巨大な『水の竜巻』、否、『雨の死ぬ気の炎』を放出し、『ギオ・エルガ』にぶつける。
一瞬だけ拮抗すると、『鎮静』の効果か、徐々に『ギオ・エルガ』が押され、遂にはヴォルテールの全身に、『雨の死ぬ気の炎』を浴びてしまった。
『っ!!?・・・・・・・・』
「ヴォルテール!!」
純度の高い鎮静効果のある死ぬ気の炎を浴びて、ヴォルテールはヨロヨロになって片膝をついてしまう。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・何をしている鉄製の木偶坊共! さっさと始末しろゲホッゲホッ!!」
流石のグロ・キシニアも、アレだけの『死ぬ気の炎』を使うとスタミナをかなり削られたのか、息も絶え絶え状態で声を荒らげた。
『・・・・・・・・!!』
G4部隊の内、1体だけが立ち上がると、頭上に魔法陣が展開され、その中からーーーー『武器』が転送されてきた。
四つのミサイルが搭載された、〈時空管理局〉がご法度にしている『質量兵器』。
『G4型強化体携行用多目的巡航4連ミサイルランチャー ギガント』。
G4は右肩に『ギガント』を担ぐと、本体後部からケーブルを伸ばしベルトの右側に接続し、ベルト左側のダイヤルを回すと、ロックが解除された。
「っっ!!!」
G4は『ギガント』のミサイルを発射した。
キャロはすぐにヴォルテールに逃げるように指示を出すが、『雨の死ぬ気の炎』を浴びてしまったヴォルテールは身体がマトモに動けずそして・・・・。
ーーーードドドドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンッッ!!!!
『ーーーーーーーー!!!!!』
「ヴォルテール!」
四つのミサイルを身体に受けて、悲痛な咆哮と共に満身創痍となった巨体が轟音を立てて大地に沈む。
「戻って!」
これ以上の戦闘は命に関わる。キャロが慌ててヴォルテールを送還する。
「竜を失った竜召喚士とは哀れですね」
「・・・・!!」
ディードの言葉を聞いて、キャロの戦意がまだ消えていないのを示すように『ケリュケイオン』を構えた。
すると、球針体から飛び降りた雲雀が、キャロの前に立ち、ミサイルを失った『ギガント』を捨て、『GXー05 ケルベロス』の銃口を向けてきたG4を見据える。
と、その時ーーーー。
「ーーーーいつまでやっている?」
突如として、上空からそんな声が響いて、その場にいた一同が上を見上げると、先程フェイトが交戦しようとしていた、トーレとセッテが現れた。しかも無傷で。
「っ!? そ、そんな、フェイトさんが・・・・!?」
此処にトーレとセッテが現れたと言う事は、フェイトを振り切ったかもしくは、撃破してきたと言う事である。
「セッテ。先程は譲って貰ったからな。次はお前がやると良い」
「了解。『IS・スローターアームズ』」
セッテは固有武装であるガントレットを装備し、その手にブーメランブレードを持ち、一旦地面に突き刺すと、指に嵌めていたリングに『雷の死ぬ気の炎』を灯し、魔法陣を展開して、三つの匣‹ボックス›が重なった匣‹ボックス›を取り出し、炎を灯したリングを押し込むと、中から『雷の炎』を纏った『コーカサスオオカブト』と『ヘラクレスオオカブト』と『ケタロスオオカブト』が大群で現れた。
「『雷コーカサス‹コーカス・フールミネオ›』。『雷ヘラクロス‹エルコレ・デル・トゥオーノ›』。『雷ケタロス‹ケタロス・デル・トゥオーノ›』」
「ぼ、匣‹ボックス›兵器!? しかもあんなにいっぱい!?」
「へぇ・・・・」
セッテの周囲を取り囲む無数とも言える雷コーカサスと雷ヘラクレスと雷ケタロスの群れに、キャロは不安そうな顔になるが、雲雀はニヤリと笑みを浮かべる。
「・・・・排除」
セッテがボソリとそう言った瞬間、無数の匣‹ボックス›兵器達は雲雀とキャロに襲い掛かった。
「雲雀様! ルシエ!」
ランボを背負い、気絶しているクロームとシャマルを救助したザフィーラが声を上げた。
「っっ!!」
雲雀は『雲の死ぬ気の炎』を纏ったトンファーから鎖分銅を射出すると、『増殖』によって長く伸びた鎖分銅を回して、自分とキャロの周囲に鎖の結界のようなものを作った。
『ーーーー!!』
襲い来る『雷の炎』を纏った昆虫達は、まるで徹甲弾のような破壊力があるが、強靭だがしなやかかつ遠心力を付けた鎖分銅の破壊力に阻まれ、全て弾き飛ばされていく。
がーーーー。
「っ!」
ーーーーガキンッ!!
雲雀が鎖分銅を付けたトンファーを振り回していた腕を止めると、飛んできたブーメランブレードを防いだ。
「流石に弾きますか。ですが・・・・」
セッテのガントレットが光ると、弾き飛ばされたブーメランブレードが独りでに回転しながら飛び、雲雀に襲い掛かる。
「・・・・・・・・!!」
雲雀は片手のトンファーでブーメランブレードを弾き、もう片方のトンファーの鎖分銅で、襲い来る雷の昆虫達を弾く。
しかし、先程よりも防御の手数が減った為か、隙間を縫って雷の昆虫達の角が雲雀の身体を小さく引き裂いていく。
「くっ・・・・!!」
「雲雀さん!」
僅かに顔を歪める雲雀に、キャロが大声を上げる。
ートーレsideー
「セッテ。『雲の守護者』の先に始末するのか?」
「『最強の守護者』を今の内に始末すれば、後々の脅威の排除になります。トーレ姉さんは我々の『天敵』と成り得る『雷の守護者』の排除に向かって下さい。盾の守護獣ごとき、今の姉さんならすぐに始末できるでしょう。ソレと、『聖王の器』を回収したグロ・キシニアもついでに拾ってきて下さい」
「・・・・良いだろう」
機械のように合理的な思考をするセッテに、トーレはやれやれと肩を落とすと、背中にランボを背負い、両肩でクロームシャマルを抱えているザフィーラの元へ向かおうとした。
・・・・その瞬間。
ーーーーゴォォォオオオオオオオオオオオオ!!
「「!?」」
突如、雲雀とキャロのいる地点に、橙色の炎の竜巻が巻き起こると、ブーメランブレードも雷の昆虫達は全て薙ぎ払われた。
そして、竜巻が収まるとソコにいたのは・・・・。
ーヴィヴィオsideー
「うにゅっ・・・・うぅっ・・・・あ、ツナパパぁ!」
凄まじい炎の竜巻の灯りによって目を覚ましたヴィヴィオの目に入ってきたのは、足元に気絶しているフェイトを横たわらせた、怖い人達を見据えている父の姿であった。
G4の武装『ギガント』、仮面ライダーJ・ジャンボフォーメーションを粉砕したのだからヴォルテールも撃破できると思いました。