ールーテシアsideー
ルーテシアは現在、スカリエッティのラボにて、自分の母親『メガーヌ・アルピーノ』が入っている生体ポッドを見上げていると、何人かのナンバーズがやって来た。
「ああルーお嬢様、ここにいたっスか」
ナンバーズの1人、ウェンディが声を掛けてきた。 その後ろにはノーヴェ、ルーテシアの護衛であるオットーも先日の襲撃で負傷した身体に包帯を巻いて痛々しい姿を晒し、その身体を押して来た。
もう1人のディードも、オットーと同じく身体に包帯を巻いて左側で休んでいる。 クアットロから、自分が『聖王の器』の少女を確保する際に負傷したとの事である。
その両隣にはルーテシアの母親が眠るポットの隣で、先日の戦いで大きなダメージを受けたチンクの眠るポットに、『妹』であるノーヴェとウェンディが近付く。体型も背丈もノーヴェとウェンディが上だが、チンクが『姉』である。
「チンク姉のダメージ、次の戦いまでに治らないんッスよね?」
いつもは天真爛漫で能天気なウェンディが、険しい表情にして後ろにいるノーヴェに聞く。
「ああ、内部の駆動部とかフレームとかも滅茶苦茶になってて全部取り替えなきゃなんないってクアットロ‹クア姉›が言ってた。・・・・〈CEDEF‹チェデフ›〉のバジル、だったな。見つけたら必ずぶっ飛ばしてやる!」
ノーヴェは右の拳で左の掌を殴り怒りを示す。 ソレだけで姉のチンクを慕っているのかが分かる。
「で、ルーお嬢様はコレからどうするッスか? ドクターがお母さんを目覚めさせる目処が立ったから、もうアタシらに協力しなくて良いって言ってたッスよ? ドクターの方で、〈時空管理局〉も知られていなくて、お嬢様達が安心して暮らせる『平和な次元世界』も探してくれているみたいッスけど?」
おもむろにウェンディが小さな空中ディスプレイを展開し、スカリエッティが候補として出した『次元世界』の映像を出した。『MAIJOR LAND』、『TRUMP KINGDOM』、『HOPE KINGDOM』、『MAGICAL WORLD』と記されていた。
「ソレに・・・・ゼスト様を消したヤツを仲間にしているアタシらに、これ以上無理につき合う義理はないですよ?」
ノーヴェが顔を少し俯かせてそう言う。ゼストが幻騎士に始末された事は聞かされ、ソレを思い出す度に心にモヤッとしたものが込み上がって来るのをルーテシアは感じていた。
確かにそんな危険なヤツがいる場所に長居する理由はないだろうが、ルーテシアは首を横に振ってから、「それでも、協力する」と伝えた。
「・・・・そうッスか。ま、いざとなったらお母さんを連れてトンズラしても良いってドクターも言ってたッスから、無茶はしないで下さいッス!」
ルーテシアはウェンディの言葉に無言で頷いて母、メガーヌの眠るポットを見上げる。 そして見ている内に、自分にも父親がいたらとつい思ってしまった。
ーーーーゼストか、あの『聖王の器』の父親となった『ネオボンゴレボス‹沢田綱吉›』のような人だったらどんなに良いだろうな。
「ルーお嬢様、ゼスト様は分かりますけど、何でネオボンゴレボスが出てくるんです?」
オットーが訝しげに聞いてくる。あの襲撃でネオボンゴレの守護者と何かあったのか、妙に気にしているようである。
「・・・・自分でも分からない。ただ、あの娘を拐う時に私も瓦礫の中から脱出した時に見たの。あの娘を案じて小指を立てて、『助けに行く』って笑顔で言った時、今にも泣きそうだったあの器の娘がーーーー笑顔を見せた。まるで、心からその言葉を信じているかのように。ソレを見てから、何故かそう思うようになった・・・・」
グロ・キシニアが、ルーテシアを『霧の守護者‹クローム・髑髏›』と『湖の騎士‹シャマル›』、あと『その他の雑魚‹ヴァイス›』ごと、『雨巨大イカ』と『大雨タコ』で建物を崩したのだ。自分はガリューに助けてもらいながら瓦礫から這い出たその瞬間に見たのだ。
今までに見たことが無かった光景、『父親』というのを知らなかったルーテシアが、『父親』がどういう人を言うのかを少し理解した瞬間だった。
そういう事を知らない、ノーヴェ、ウェンディ、オットー、ディードは首を傾げ、ルーテシアはまたメガーヌの入るポットを見上げる。
「ずっと気になったんスけど、何でルーお嬢様はそのお母さんを復活させたがるんスか?」
「・・・・この人を生き返らせると、私に『心』が出来るってドクターが言ってたから」
「そういうもんスかねえ・・・・」
そう言ってノーヴェに引っ付くウェンディ。 ルーテシアは2人を一瞥してまた見上げると、ふと1人の女の子の事が気になり、『使い魔』を召喚した。
ーアギトsideー
留置場で、1人の女の子が蹲っていた。ゼストの相棒であった『融合騎・アギト』だ。彼女はあの後シグナムに連行され、スカリエッティ側の攻略に協力する事の見返りに、幻騎士への復讐を取り引きしていた。
蹲っていたのは、こうしていれば脳裏にゼストの死に様が鮮明に蘇り、その度に復讐の炎を滾らせているからなのだ。
「・・・・・・・・」
すると、微かな羽音が耳に入り顔を上げると、画鋲に羽が生えたような虫が空を舞っていた。ルーテシアの『召喚虫 インゼクト』だ。
「よお、ルール―。もう知ってると思うけど、旦那が殺されたよ。幻騎士の野郎に・・・・!」
アギトは力なくインゼクトに話しかける。
「私は旦那の敵を討つよ」
『!』
インゼクトが動揺するように揺れた。インゼクトを通して、ルーテシアが動揺したからだ。
「別にルールーに手伝って欲しいなんて言わないよ。私らと違って、アイツら、ナンバーズと仲良かったしな。・・・・ただ邪魔はしないで欲しい。約束するよ。仇を討ったら、絶対にルールーの所に帰る。ルールーのお母さんについても、助けてもらえるよう〈時空管理局〉に交渉するから」
インゼクトは逡巡するように天井を彷徨っていたが、やがて留置場の外へ出て行こうとする。
「ーーーー待った」
ソレをアギトは呼び止めた。
「ルールーのデバイス、『アスクレピオス』も暫く使わないで欲しい。変態医師の作品だからな。どんな仕掛けが施されてるかわかったもんじゃない」
インゼクトは頷くように1度身体を上下すると、留置場から去っていった。後にはまた蹲り、復讐の炎を静かに燃やすアギトが1人が残された。
ー???sideー
「ーーーー漸く着いたな・・・・」
ソコは『ミッドチルダ・首都クラナガン』にある、10年後の雲雀が設立した和雑貨企業『HUHKI』の地下施設。
『地球』の総合体育館並の広さがあるその場所に、1隻の『時空航行船』が現れるとーーーー1人のスーツ姿の女性が航行船から降りてくる。
そして、女性は懐から3枚の写真を手に取り、ソコに写っているーーーー『出来の悪い教え子3人娘』に向けて声を静かに、そして重苦しい声を発する。
「高町ぃ・・・・! テスタロッサァ・・・・! 八神ぃ・・・・! 首を洗って待っていろぉ・・・・!!」
背後に不動明王の幻影を背負い、修羅もかくやな表情で歩み出した。
ー3人娘sideー
「「「(ゾクゥッ!!!!)ーーーーーーーー!!!??!?」」」
そして、隊舎跡地で指示を出しているなのは、検査を受けているフェイト、事後処理に奔走しているはやての3人は、言いようのない悪寒が全身に走っていた。
最後に出てきたのは『彼女』です。
なのはとフェイトとはやて。さぁ、地獄を楽しみな!