ーティアナsideー
「・・・・はぁっ!!」
各々が訓練を始め、ティアナはかつて『もう1つの未来』でクロームが取り組んだ『マーモンの幻術訓練プログラム』を行っている。訓練はクロームが見てくれている。
『ーーーー幻術使いとしてはそれなりのレベルだね。並の上って所かな?』
「くっ・・・・ふっ!」
黒いローブに全身を包んだ赤ん坊、『霧のアルコバレーノ・バイパーことマーモン』の立体映像から指摘され、『霧の死ぬ気の炎』の『構築』と自分の幻術を複合させる『有幻覚』を得ようとしており、クロームはそのアドバイザーである。
勿論、銃を使った近距離格闘戦の鍛錬も入れているがーーーー。
『また格闘戦かい? 格闘ができる術師なんて邪道だよ。こんな金にもならない修行に付き合わされているだけでも業腹なのに、邪道なやり方をする術師のお守りなんて最悪だ』
立体映像なのだが、相手が格闘戦を使った時の事を考えて予め用意していた台詞を吐く映像のマーモン。
「(最悪なのはアンタの方よ! この可愛げの欠片もない、銭ゲバ守銭奴赤ちゃん!)」
立体映像にこんな事を言っても仕方ないので、ティアナは内心で悪態を吐いた。
と、その時、
ーーーーにゃぁああああああああああああああああ!!
ーーーーいやぁああああああああああああああああ!!
ーーーーぎゃぁああああああああああああああああ!!
「(あっ・・・・なのはさん達の悲鳴だ。もうすぐお昼かな?)」
ここ数日、朝と昼近くと夜に聞こえるようになった隊長3人の悲鳴に、ティアナはそろそろ訓練を一区切りにしようと考えていた。
ースバルsideー
「ハァァァァ!!」
「極げーん!!」
そしてティアナとは別の訓練室にて、スバルは了平を相手に組手(本格)をしながら、『晴れの死ぬ気の炎』を全身に纏って戦う訓練をしていた。『晴れの死ぬ気の炎』の特性は『活性』を身に纏う事で、身体を活性化させる事でまるでフェイトの『ソニックムーブ』級のスピードを得る事ができる。
しかし、身体の急な活性化は普段が大きく、昔の了平は『3分』しか保たなかったが、『戦闘機人』であるスバルは『10分』は耐えられるのだ。
「・・・・う~ん。何か決め手に欠けると思うなぁ・・・・」
「ウム。確かに身体能力も技術も上がっているが、どうにもスバルの決め手に欠けるな。なのはの『ディバインバスター』を使えるが、コレからの相手はソレだけでどうにもできん」
『決め手』、つまり『必殺技』に欠ける事をスバル自身も自覚していた。今まで通り、なのはの砲撃魔法を腕から使うにしても、本家なのはよりも劣る威力で、ギンガを病院送りにし、なのは達隊長陣と互角以上のスカリエッティ陣営と渡り合えるとは思えなかった。
そしてふと、スバルは了平に向けて尋ねる。
「ねえ了平さん。了平さんの必殺技の『マキシマムキャノン』って、私にも使えるかな?」
「う~む。あの技は俺にしかできない技だと言っていたが、他の者にもできるのだろうか・・・・」
「う~〜〜〜〜〜〜〜んん・・・・!!」
と、元々頭脳労働が苦手な2人が悩み、耳から煙を出しながら悩んでいると、
ーーーーにゃぁああああああああああああああああ!!
ーーーーいやぁああああああああああああああああ!!
ーーーーぎゃぁああああああああああああああああ!!
「おっ、なのは達の悲鳴だな」
「あっ、もうお昼なんだ」
「この話はリボーンにも聞いてみるか」
「うん!」
そう言って、2人はお昼ゴハンを食べに向かった。
ーエリオ&キャロsideー
コンビネーションの訓練を一通り終えたエリオとキャロは、お互いに『死ぬ気の炎』を使った戦法の鍛錬に勤しんでいた。
「フゥゥゥゥ・・・・」
エリオはストラーダの刃に破壊力に優れた『分解』の特性を持つ『嵐の死ぬ気の炎』を纏わせ、身体には防御力に優れた『硬化』の特性を持つ『雷の死ぬ気の炎』を纏う。
が、
「ーーーーくぅっ!?」
2つの炎を常時纏う状態はかなりの集中力や炎を消費し、エリオがその状態を解除して片膝を付いた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・(この状態を維持できるのは僅か数十秒。実戦で使うにはまだまだだ・・・・でも!)」
エリオは一旦目を閉じると瞼の裏に浮かんだのは、自分の遙か彼方の『高み』にいる『兄貴分達』の背中であった。
「(今はまだ、全然追いついていない・・・・でもーーーーっ)」
瞼を開けたエリオの視界の端に、『雲の死ぬ気の炎』をかなりの炎を使って自分の能力を強化しようとしていた。
「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「っ! キャロ!」
「っ! きゃっ!!?」
明らかに辛そうな顔をしていたキャロにエリオが呼び掛けると、集中力を欠いた為か炎がパンッ! と破裂し、キャロは後ろに吹き飛ぶがエリオが抱き止めた。
「キャロ。無理しすぎだよ。『死ぬ気の炎』は使い過ぎると命も落としかねないってリボーンさんに言われたでしょう?」
「でも・・・・! ヴォルテールは暫く使えないし、私はサポートしかできないから、少しでも役に立てるようにならないと・・・・!」
そう。キャロの最大の竜魂召喚『ヴォルテール』はG4によって命は落とさなかったが、深いダメージを受けて使用不可能状態になってしまった。
唯でさえ戦闘能力は低く、フリード任せの自分が1番の足手まといになってしまう。そう考え、キャロは多少の無茶でも強くなろうとしているのだ。
「ーーーー大丈夫だよキャロ。力不足なのは僕も同じだから」
「エリオくん・・・・」
「僕達はフリードも入れて三人一組なんだから、キャロ1人で抱え込まないでいいんだよ。一緒に頑張ろう」
『キュルクー』
「フリード・・・・うん!」
ーーーーにゃぁああああああああああああああああ!!
ーーーーいやぁああああああああああああああああ!!
ーーーーぎゃぁああああああああああああああああ!!
と、話し合っていると、なのは達の悲鳴が聴こえた。
「あっ、そろそろお昼だね」
「うん。行こうフリード」
『キュル〜♪』
エリオとキャロとフリードも、一旦休憩に入った。
ー守護騎士sideー
「がはっ!?」
「どわっ!?」
「きゃっ!?」
「ぐぉっ!?」
『ぬぁっ!?』
別の訓練室では、シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、そしてアインスが雲雀に叩きのめされていた。
「ぐっ・・・・5人がかりでも、1発も当てられないとは・・・・!」
「くぅっ・・・・! わ、分かってはいた、つもりだったが・・・・!」
「ここまで、差があんのかよ・・・・!?」
「シャマル、しっかりしろ。この程度で音を上げていると、訓練に付き合って下さっている雲雀様に申し訳ないぞ」
「ざ、ザフィーラは、流石に『この時代の雲雀さん』の相手もしているせいか、かなりタフね・・・・」
全身に『雲の死ぬ気の炎』を纏ったアインスと、『雨の死ぬ気の炎』を纏ったレヴァンティンと『嵐の死ぬ気の炎』を纏ったグラーフ・アイゼンを杖にする様にヨロヨロと立ち上がり、3人が苦々しく顔を歪め、『雷の死ぬ気の炎』を全身に纏っているザフィーラはダメージが少ないが、戦闘系ではないシャマルはリングに『晴れの死ぬ気の炎』を灯しただけで、他の3人よりもダメージが大きそうであった。
「・・・・・・・・ふぁ〜・・・・」
そして、死ぬ気の炎も灯っていない鋼鉄トンファーを持った雲雀は、退屈そうに欠伸をしている。
「・・・・君達、いつまで『草食動物の戦い方』をしているつもり?」
「?・・・・草食動物の、戦い方?」
「どう言うこったよ?」
シグナムとヴィータが聞くと、雲雀は面倒そうだが説明した。
「初めて僕と戦った時、君達は僕を危険と感じて本気で殺る気で掛かってきた。『相手を殺る覚悟』が、攻撃の1つ1つに感じ取れた、ソレなりに有意義な時間だったよ。・・・・だけど今の君達は、“自分を抑えつけているように見えるね”」
『!!?』
雲雀の言葉に、守護騎士達は思い当たるものがあるのか、身体をビクッと震わせる。
リボーンに指摘された通り、守護騎士達は『実戦経験の数と質』はツナ達をも上回っている。しかし、はやてと言う心優しい主を得て、穏やかな生活を続けていく内に自分達の『心』にもリミッターを付けていたのだ。なのはやフェイトとの『模擬戦』も、『本気で叩きのめす気』はあったが、『本気で殺る気』は全く無かった。
「君達は『肉食動物の自分』を無意識に抑えつけている。ソレが君達の強さを『草食動物』っぽくさせているんだよ」
「し、しかし・・・・我らにとって、ソレは・・・・!」
アインスが顔を渋面にさせる。『肉食動物の自分』、つまりソレは、『人殺しをした事がある自分』だ。またソレに戻ってしまうのが恐いのだと、遠回しに伝える。
が、雲雀は目を細めて、吐き捨てる様に言う。
「君達は昔より弱くなった。今のままではーーーー“八神はやてが主になったから弱くなった”、って事になるね」
「「「「「・・・・・・・・は??」」」」」
雲雀の言葉を聴いて、守護騎士全員から静かな怒りが込められた声が発せられ雲雀は内心、してやったりと笑みを浮かべて言葉を続ける。
「八神はやてのような『草食動物』が主になったせいで、守護騎士達が脆弱な腑抜けに成り果てた・・・・君達を知る『初代ファミリー』とかが今の君達の事を見たら、そう思われるんじゃないのかーーーー」
ーーーードシュンッ!!
雲雀が言い終わる前に何と、はやてと同じくらいに雲雀に対して忠実なザフィーラが、雲雀の顔面に向かって本気の拳を突き出してきたのだ。
勿論雲雀は回避し、すぐに魔力弾や鉄球やクラールヴィントが飛んで来たがソレも回避し、最後に上からシグナムが飛んできて袈裟斬りに剣を振り下ろすが、雲雀はコレも回避する。
「・・・・・・・・雲雀様。いくらアナタ様でも、その言葉は許せません・・・・!」
「我らが弱くなった事は言い訳もしない・・・・!」
「主アラウディにも、ボス達にも申し訳ないとすら思っている・・・・!」
「情けない事は間違いないと分かっています・・・・でも、それでも!!」
「『はやてのせいで弱くなった』、だなんて!ーーーーソレだけは死んでも、認める訳にはいかねえっっ!!」
ーーーーボウゥッ!!
ザフィーラ、シグナム、アインス、シャマル、ヴィータが再び武器を構えるとリングから、先程と大きさは同じだが比べ物にならない『純度の高い死ぬ気の炎』を灯し、雲雀もニヤリと笑みを浮かべ、訓練を再開した。
ーーーーにゃぁああああああああああああああああ!!
ーーーーいやぁああああああああああああああああ!!
ーーーーぎゃぁああああああああああああああああ!!
なのは達の悲鳴が聞こえても、彼らの訓練は続いた・・・・。
ーツナsideー
そして別の訓練室で修行を行なっていたツナ達は、なのは達の悲鳴が聞こえたので迎えに行くとーーーー。
「ソレでは休憩だ。仕事を終えたら夜にも来るように」
「「「・・・・・・・・・・・・」」」
真っ黒に燃え尽きて死屍累々と倒れているなのはとフェイトとはやてであった。ラル・ミルチの声すら反応していない様子であったが、
「ーーーー返事をしろ!! クソ馬鹿トリオっ!!!」
「「「っっっ!!!ーーーーイエス・マム!!!」」」
ラル・ミルチに一喝され、一瞬で3人は仲良く立ち上がって敬礼をした。
ーーーー最後の戦いは、刻一刻と迫っていた・・・・。
次回、スカリエッティと黒い白蘭が遂にツナ達となのは達の前に現れ、最終決戦への秒読みが始まる