ーアースラブリッジー
時の庭園に転送された管理局の魔導師達はプレシア・テスタロッサの確保の為に行動していた。その光景をアースラで見ていたリンディがいるブリッジに誰かが入ってきた。
簡素な服に両手に手錠を付けたフェイトと炎真、ツナとなのはとリボーン、ユーノとアルフ、獄寺・山本・了平、シモンの守護者一同。
「・・・・・・」
顔を俯かせ沈んだ顔色のフェイトは、自分の手に握った傷だらけになった金色の逆三角形のペンダント、待機状態の己のデバイスであるバルディッシュを見つめた。
ー時の庭園・玉座の間ー
時の庭園に突入した魔導師達は玉座にたどり着いた。そこには気だるそうにプレシア・テスタロッサが玉座に座っていた。
「プレシア・テスタロッサ、“時空管理法違反”により、貴女を拘束します!」
魔導師達は杖型のデバイスの切っ先をプレシアに向ける。
「!」
何人かの魔導師が玉座の奥へ向かうのを眺めプレシアは目を見開き睨む。
ーアースラ・ブリッジー
玉座の奥の部屋が開き、その奥へ向かう映像はアースラにも配信された。炎真達とツナ達だけはその奥にいる“モノ”が何であるか知っている。
「(良いのか炎真?下手するとフェイトの心が壊れるぞ・・・)」
「(・・・・・・)」
ジュリーの耳打ちに炎真は顔を俯かせる。
「(リボーン・・・)」
「(情けねぇツラすんな、この状況じゃ遅かれ早かれだ・・・)」
ツナも炎真と同じ気持ちなのか、やりきれないと言わんばかりにモニターを見つめた。
そして、“それ”が姿を現す。カプセルに入った“フェイトそっくりの少女”、“アリシア・テスタロッサ”が眠っていた。
「えっ!?」
「・・・!」
「(あの子が・・・!)」
「(“アリシア・テスタロッサ”・・・フェイトの“オリジナル”か・・・!)」
アリシアの姿になのはとフェイトは驚愕を浮かべる。ある程度覚悟していたツナ達やアーデル達もやはり苦々しく顔色になった。
ー時の庭園・アリシアのいる区画ー
「これは・・・!?」
「私のアリシアに、近寄らないでっ!!」
驚愕する魔導師達の後ろから玉座にいた魔導師達の蹴散らしたプレシアが鬼の形相で襲いかかった。魔導師の一人な頭を掴み後ろに投げ飛ばす。残りの魔導師がデバイスを向けるが後ずさる。
「・・・・・・!!」
プレシアは手をかざすと紫色の雷電が区画を覆った!
ーアースラ・ブリッジー
次の瞬間、フェイト達の目に映ったのは、魔導師達の身体から黒い煙を上げながら倒れていた光景だった。
「・・・アリ、シア・・・?」
驚きと戸惑いが混じり呆然とするフェイト。プレシアは眠っているアリシアのカプセルにすがり付く。
「《たった9個のジュエルシードでは、辿り着けるか分からないけど・・・もう良いわ、終わりにする・・・この子を亡くしてからの時間も、この子の“身代わりの人形”を娘扱いするのも・・・!》」
『(ピクン!)』
プレシアの言葉に炎真達シモンファミリーが憤然とした態度になる。ツナ達も炎真達程ではないが驚愕と怒りが混ざった顔になる。そしてフェイトは。
「ッ!!??」
驚愕するフェイトの耳にプレシアの声が入った。
「《聴いていて?貴女の事よフェイト・・・折角アリシアの“記憶”を上げたのに、そっくりなのは見た目だけ、役立たずでちっとも使えない、私のお人形・・・!》」
その光景を管制室で聞いていたクロノは憤然とし、エイミィは顔を俯かせながら、アリシアについて話す。
「・・・最初の事故の時にね、プレシアは実の娘アリシア・テスタロッサを亡くしているの。安全管理企業で起きた“魔導炉の暴走事故”・・・アリシアはそれに巻き込まれて、その後プレシアが行っていた研究は、使い魔を越えた“人造生命の生成“」
ーアースラ・ブリッジー
通信でエイミィの話を聞いた一同は驚く。それは“神の領域”と言っても良い禁忌。
「《そして、“死者蘇生の技術”・・・》」
「《“記憶転写型特殊クローン技術”、“プロジェクトF<フェイト>・・・!》」
エイミィとクロノの言葉を肯定するかのようにプレシアは語り出す。
「《そうよ・・・その通り、でも失った物の代わりにはならなかった・・・作り物の命は、所詮作り物》」
見えているのかプレシアはフェイトに視線を向ける。
「《アリシアはもっと優しく笑ってくれたわ。我が儘も言ったけど、私の言う事をとても良く聞いてくれた、アリシアはいつでも私に優しかった・・・!》」
慈しむようにガラス越しのアリシアを撫でたプレシアは絶望するフェイトに侮蔑の視線を送る。
「《フェイト、貴女は私の娘じゃない。ただの“失敗作”。だから、貴女はもう要らないわ・・・何処へなりとも消えなさい!!》」
「ッ!?」
「(ギリッ)」
母親からの完全な拒絶、それは幼いフェイトにとってどれ程の絶望か。炎真は人知れず血が滴る程に拳をきつく握った。だがプレシアの瞳に一瞬侮蔑とは違う“別の光”が浮かんだが、約二名以外気づかなかった。
「《良いことを教えたあげるわフェイト、貴女を作り出してからずっとね・・・私は貴女が、“大嫌い”だったのよ・・・!》」
「ッ!!・・・」
フェイトの掌から力が抜けてデバイス状態のバルディッシュが静かに落ちて砕けた。それはまるでフェイトの“心”を現すかのように。
「ッ!フェイトちゃん・・・」
「フェイト・・・」
「フェイトちゃん・・・!」
『フェイト・・・・・!』
なのはとユーノ、炎真達シモンファミリーがフェイトに集まる。
『・・・・・・!』
獄寺と了平、普段は暢気な山本ですらプレシアに怒りを燃やすかのように睨む。だがリボーンとツナはプレシアの瞳に一瞬浮かんだ“違和感”を感じていた。すると突然管制室からエイミィから通信を送られる。
「《ちょっ、大変!見てください!屋敷内に魔力反応多数!》」
玉座の間に大量の魔方陣が展開され、その中から重厚な鎧騎士が大量に現れた。オペレーターが現れた騎士達の魔力反応を報告する。
「魔力反応、いずれもAクラス!総数60、は80まだ増えます!」
報告を聞いてリンディはプレシアに鋭い目線を送り。
「プレシア・テスタロッサ!一体何をするつもり!?」
「《私達は旅立つ、永遠の都“アルハザード”へ!!》」
プレシアが宣言するとアリシアのカプセルが外れ、二人は玉座の間に行く。プレシアはフェイトが今まで集めた9個のジュエルシードを眼前に浮かべ。
「《この力で旅立って、取り戻すのよ!全てを!!》」
プレシアの魔方陣を中心にジュエルシードが回り煌めく。すると次元空間に歪み生まれ、アースラは揺れ、警報がけたたましく鳴る。
「うわッ、次元進展数!」
「浸透防御!!」
「ジュエルシード発動!更に強くなります!」
「波動係数拡大!このままだと次元断層が!」
慌てるブリッジを見ながらなのはは瞳から光を失ったフェイトをソッと抱き締めた。
「(リボーン・・・!)」
「(あぁ、白蘭の情報通りならこのままではプレシア・テスタロッサとアリシア・テスタロッサは“虚数空間”に消えて、フェイトの心に拭いきれない“傷”を残すと言っていた)」
「(させないよ・・・!)」
「(炎真・・・)」
「(このままフェイトの心に一生食い込む“傷”なんて残さない、残してたまるものか!)」
その時の炎真の瞳には強い“覚悟”が炎のように燃え上がっていた。