そして迎えた運命の12月24日のクリスマス・イヴ。
時刻はまだ5時を廻っていないが、冬は陽が落ちるのが早く、海鳴市は街路樹に付けられたイルミネーションが光輝き、ビルの明かりや車のライトが光り、街を彩っていた。
ーはやてsideー
海鳴総合病院の個室の病室にて、ベッドの傍らの机の上に置かれた小さなクリスマスツリーを眺めていたはやては、コンコンっと、ノックの音が聞こえた。
「は~い」
「はやてちゃん、こんばんは」
病室の扉が開くと、先日友人となったすずかと、すずかの友達のアリサとなのはとフェイト、そしてなのは達の友人のツナと炎真、山本の肩に乗ったリボーン、獄寺と山本と了平が入ってきた。
「「「こんばんは!」」」
『(ペコッ)』
「あぁ、いらっしゃ~い!」
なのは達が元気に挨拶し、ツナ達もはやてに笑顔で会釈すると、はやてはパァッと笑顔を浮かべた。
「具合どう?」
「うう・・・・。退屈で別の病気になりそうや」
はやての言葉になのは達は笑みを浮かべる。
「あっ、紹介するね」
「高町なのはです」
「フェイト・テスタロッサです」
「沢田綱吉、ツナって呼んで良いよ」
「ちゃおっす。俺はリボーンだぞ」
「古里炎真だよ」
「獄寺隼人だ」
「俺は山本武、よろしくな!」
「俺は笹川了平! 座右の銘は!」
『病院では静かに!』
叫び声をあげそうになる了平にはやてを除いた全員が止めた。はやてはそんな一同をおかしそうに笑みを浮かべた。
「八神はやてです。よろしくな~」
「あっ、これお見舞いのお花と・・・・」
「クリスマスプレゼント!」
「わぁー・・・・!」
アリサとすずかが渡した小さな花束とプレゼントに、はやては嬉しそうに笑みを浮かべた。
それから皆で談笑しているうちにツナ達が雲雀が風紀委員長を務める並森中学の学生であると聞かされたはやては。
「あっ、綱吉さん達って並森中学って事は、雲雀さんの事知ってはるんですか?」
「う、うん。雲雀さんは俺達の学校の風紀委員長だからね・・・・」
はやてがツナ達が雲雀の事を知っているのかと思い聞いてみたら、ツナと炎真と山本は苦笑いを浮かべ、獄寺と了平は不満気な顔になった。
「えっと、どないしたんですか?」
「ふん。お前はあの野郎の風紀委員としての活動を知らねぇようだな!」
獄寺が不機嫌そうに吐き捨てる。
「どういう事ですん?」
はやてが聞くと、獄寺と了平が雲雀の風紀活動と言う名の暴挙の数々を教えた。
「あの野郎はな! 俺がちょっと学校に遅刻しただけで鋼鉄トンファーでタコ殴りにしやがる野郎だ!」
「と言っても、獄寺君が登校時間を一時間も過ぎて遅刻しちゃってさ。しかも悪びれ無しで欠伸かいて来るのを毎日のようにしていたからね。それで雲雀さんも怒って制裁をしたんだ・・・・」
「俺など、ちょっと廊下で極限にボクシングの鍛練をしていたら、トンファーで半殺しにされたりしたぞ!」
「それ、笹川先輩が加減抜きで暴れて、紅葉と殺意を持って野良試合やって壁に穴を開けたり、窓をブチ破ったり、ドアを破壊したりしたからなんじゃ・・・・」
「俺の場合は、野球の練習試合で並森の名を轟かせてやるぜって言ったら、雲雀が部員達を特別メニューで鍛えると言って、全員のしちまった事があったなぁ~」
「あの時は中々楽しかったぞ」
獄寺と了平の言い分にツナと炎真が白目でやんわりとツッコミを入れた。山本は呑気に思い出話をするように話し、リボーンもニヤリと笑みを浮かべた。
「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」
はやてもなのは達も、あまりの話の内容に何とも言えない顔となっていた。
「半殺しはやりすぎだと思うけど、ようはアンタが一時間も遅刻を連日でやったからでしょう? 自業自得じゃない」
「なんだとこのチンクシャ!」
「誰がチンクシャよ!」
「ア、アリサちゃん・・・・」
「了平。紅葉と一緒に学校を壊しちゃダメだと思うよ・・・・」
「極限に何を言うフェイト! 俺達は本気でぶつかり合っただけだ! それなのにドアや壁や窓が大げさに壊れただけだぞ!」
「山本さん。そんな事が起こったのに試合は大丈夫だったんですか?」
「おう! 何とか勝てたぜ!」
アリサが獄寺に呆れてそう言うと、獄寺とバチバチと火花が散るほどの睨み合いをはじめ、すずかが慌てて宥めようとし、フェイトがやんわり諌めようとするが了平は聞き入れず、なのはは野球部員の身を案じていた。
「アハハ。雲雀さん、結構大変なんやね」
「うん、まぁ、ね・・・・」
はやてはあまり風紀委員の活動のを聞いていないはやてにとって、新鮮なのか、楽しそうに聞いていた。
確かに雲雀自身、横暴な所は多々あるが、基本強い者や風紀を乱す者、学校や地元に害となるもの者以外には興味を示さないし、改めて聞いてみると、獄寺と了平の場合は完全に自業自得と言っても良い。
「(よく考えてみれば、雲雀さんが俺達を制裁するのも仕方ないかも、ある意味問題児集団だもんな俺達って・・・・)」
勉強も運動もダメダメな落第生徒、沢田綱吉と古里炎真。
勉学はできるが素行最悪の不良、獄寺隼人。
力加減なんて知った事じゃないと言わんばかりの生粋のボクシングバカ、笹川了平。
勉学以外は運動神経抜群で人徳もあるし、性格も明朗活発であるから問題無いように見えるが、前にクラスメートと遊びで野球をやって加減無しでボールを投げて窓をブチ破った事があった山本武。
リボーンが始めたドタバタやヴァリアーとのリング争奪戦で何度も校舎を破壊したり、並森の風紀を乱しまくっているから、町の裏の支配者とも言える雲雀率いる風紀委員から目をつけられるのも仕方ないと思った。
「(まあ雲雀さんも結構やりたい放題やってるけど・・・・)」
ツナが遠い目になっていたが、はやての枕元に置いてある『闇の書』と、病室の外からこちらに向かってくる複数の足音が聞こえ気持ちを切り替える。
『・・・・・・・・(コクン)』
炎真と守護者の皆を見ると、皆も分かっていると言わんばかりに頷いた。
コンコン・・・・。
「あっ、皆来たかな? どうぞ!」
病室のドアをノックする音を聞いて、はやてがそう言うと、扉が開かれ、彼女達が現れた。
「失礼します」
「「こんばんは~」」
入室してきたのは、シグナムとヴィータとシャマル。はやての守護騎士達だった。
「あぁ、すずかちゃん、アリサちゃん、こんばん・・・・っ!!」
「「っ!!」」
「「あぁ・・・・!」」
『・・・・・・・・・・・・』
守護騎士達はツナ達を見て驚愕し、なのはとフェイトも驚いたように固まるが、事前に知っていたツナ達は冷静に守護騎士達を見据えていた。
「っ!」
ヴィータはすぐさま、はやてのベッドに向かい、はやてを守るように手を広げ、威嚇するように唸る。
「うぅ~!」
『・・・・・・・・・・・・』
なのは達はヴィータの様子に唖然となるが、ツナ達は冷静だった。獄寺と山本はコッソリと、バックルに手をおき、肩にかけていた竹刀袋の紐を緩める。
「うぅーッ!!」
「こ~ら、ヴィータ!」
「あう!」
はやては丸めた雑誌でヴィータの頭を軽く叩いた。
「お見舞いに来てくれた皆にどういう対応や」
「はやて! でも・・・・!」
なのはがおずおずと前に出る。
「ええっと、あの・・・・はじめまして、ヴィータちゃん?」
「私達、なにもしてないよ、大丈夫・・・・ですよね?」
フェイトがシグナムとシャマルの方を見る。
「ええ」
「ああー皆、コートを預かるわ。ゆっくりしていってね」
「「は~い!」」
再び談笑を始めるなのは達だが、フェイトはコッソリクロノ達に念話で通信しようとするが。
「念話が使えない? 通信妨害を?」
「シャマルはバックアップが要だ。この距離なら造作ない」
ヒソヒソと会話をするフェイトたシグナム。
「うぅ~~っ!!」
「あの、そんなに睨まないで・・・・」
「睨んでぇです!」
敵意剥き出しのヴィータに、なのはは困ったような笑みを浮かべていた。
「もうヴィータ! 悪い子はあかんよ!」
「んんー」
はやてに鼻を摘ままれ引っ張られ、唸り声を上げるヴィータ。
「あっ、あの~、その・・・・そんな・・・・」
ヴィータの唸り声を聞きながらフェイトがコッソリとシグナムに話しかれる。
「ここに来たのは本当に偶然で・・・・お見舞い、続けても?」
「・・・・ああ。どのみち、ここでやり合う訳にはいかんからな。それに・・・・」
「それに?」
「本気で勝負を着けたい相手もいるのでな・・・・」
シグナムはチラッと横目で、山本を見据えると、談笑していた山本もその視線に気付き、静かに、そして力強い瞳で見据えていた。
今年でA'sを終わらせたいです。