かてきょーリリカルREBORN   作:BREAKERZ

57 / 128
闇の書、起動

ーザフィーラsideー

 

ヴィータとシグナムが、獄寺と山本に倒されたと同時に、他の次元世界で魔力蒐集していたザフィーラが帰還し、海鳴市上空を飛行し、海鳴総合病院へと向かっていた。

 

「(誰にも通信が通らん。一体何があった・・・・!)」

 

 

ーシャマルsideー

 

「っ・・・・シグナム・・・・!ヴィータちゃん・・・・!」

 

シャマルは戦慄したように呟いた。シグナムにしろ、ヴィータにしろ、守護騎士の中では戦闘に特化した二人。共に数多の戦場を駆け抜けた歴戦の戦友達。

その二人が、はやての少し年上の少年達に敗北したことが、信じらなかった。

 

「おい、そこのレディ」

 

「っ!」

 

リボーンがシャマルに話しかけ、シャマルも正気に戻った。

 

「俺達の話を聞け。なのはとフェイトは兎も角、俺達は管理局の人間じゃねぇ。雲雀もこの件に詳細を知っている」

 

「・・・・・・・・」

 

状況は不利。今からザフィーラやって来ても勝てるか分からない。シャマルはどうするべきか決めあぐねていると、視界の端、ちょうどヴィータが倒れた場所が紫色の光が見えた。

 

「っ、ヴィータちゃん??」

 

『っ・・・・!』

 

シャマルの呟きと視線から、一同はヴィータを見ると、ヴィータの周りが紫色の球体に包まれ、ヴィータの頭上に黒く光る本が現れた。

 

「っ・・・・うぅ・・・・っ」

 

ボロボロの状態、バリアジャケットの帽子も吹き飛んでしまい、朦朧とする意識をしゃっきりさせようとかぶりを降ったヴィータは、頭上の光を見て呟く。

 

「『闇の、書』・・・・?」

 

ヴィータが呟いたその瞬間、『闇の書』に異変が起こった。

光り輝く『闇の書』から無数の黒い大蛇が現れて、『闇の書』を包み込み、大蛇が絡み巻き付いた玉のようになった。

 

「っ!」

 

「あれは・・・・!」

 

『っっ・・・・!』

 

ヴィータは『闇の書』の異常に驚き、シャマルになのはとフェイトも同様の様相を浮かべ、ツナ達は、始まったと言わんばかりに見据え、リボーンは“作戦開始”と、ここにはいない各員にメールで伝達する。

 

 

ー雲雀sideー

 

「うっ・・・・くっ・・・・ああ・・・・!」

 

はやての病室に来ていた雲雀は、窓から差し込む光よりも、ベッドの上で苦しそうに汗を浮かべ、胸を抑えているはやての側にいた。

 

「恭さん、始まりました」

 

「・・・・・・・・」

 

静かに病室に入ってきた草壁の言葉に、雲雀は目を鋭くする。

 

 

 

ーツナsideー

 

ツナ達が見つめる中、『闇の書』は巻き付いた蛇がウネウネと動く。

 

「〈ナハトヴァール〉・・・・なぜ・・・・!?」

 

「まさか!」

 

意識が戻ったシグナムとシャマルも驚愕の様相を浮かべる。

 

[自動防衛運用システム〈ナハトヴァール〉起動]

 

「待て! 今は違う! 我らまだ、戦える・・・・!」

 

〈ナハトヴァール〉の声を聞いて、シグナムは重い身体を無理矢理起こして、止めようと呼び掛けるが、ヴィータは〈ナハトヴァール〉を呆然と見据え、目を鋭くする。

 

「コイツ・・・・そうだ・・・・コイツがいたから」

 

目の前に現れたこのシステムが、大好きなはやてを苦しめている元凶だと悟ったからだ。

 

[守護騎士システムの維持を破棄。闇の書〈ストレージ〉の完成を最優先。守護騎士システムは消去]

 

『っっ!?』

 

ベルガ語の意味を知るなのはとフェイト、白蘭から情報を聞いていたツナ達も、〈ナハトヴァール〉の言葉の意味を理解した。

つまり、〈ナハトヴァール〉は、守護騎士達を殺すつもりだと・・・・。

 

「ふざけんな・・・・ふざけんなーーーー!!」

 

ヴィータは悲鳴を上げる身体を無理矢理動かして、アイゼンを振りかぶるが、〈ナハトヴァール〉の大蛇の一匹が襲い掛かり、ヴィータは大蛇の身体をアイゼンで叩くが、アイゼンは呆気なく破壊され、ヴィータは吹き飛ぶ。

 

「ヴィータちゃん!」

 

「あ、なのは!」

 

なのはとフェイトはセットアップして、ヴィータの元へ向かった。

 

[敵対勢力排除、蒐集対象より、コアの蒐集]

 

『うぁっ!!』

 

〈ナハトヴァール〉の大蛇の口から黒い光が出ると、なのはとフェイト、守護騎士達の身体が黒いバインドに拘束され、〈ナハトヴァール〉の前に連れられ、大蛇の一匹の口の光を近づける。

 

[開始]

 

〈ナハトヴァール〉が告げると、シャマルの胸元から緑色の光のリンカーコアが、シグナムの胸元から紫色の光のリンカーコアが、ヴィータの胸元から赤い光のリンカーコアが出てきた。

 

「まずい! 炎真!!」

 

「うん!!」

 

[更なる敵対勢力を確認。排除行動に移る]

 

ツナと炎真は超モードになってなのは達の元へ向かおうとするが、〈ナハトヴァール〉の大蛇達が阻もうとするがーーーー。

 

「「ッ!」」

 

ツナと炎真は大空と大地の推進力で大蛇の動きを巧みに回避するが、大蛇達は襲い掛かる。

 

「うわぁーーっ!!」

 

「ああ・・・・!」

 

「シャマル! シグナム! ああーーー!!」

 

三人のリンカーコアが粒子状となって、〈ナハトヴァール〉に吸収される。

 

「うおぉーーーっ!!」

 

駆けつけたザフィーラが魔力を込めた拳を〈ナハトヴァール〉に叩きつけるが、〈ナハトヴァール〉の障壁に阻まれ、その拳から血飛沫が迸った。

 

「うぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

[残存システム確認]

 

それでも拳を引かないザフィーラからも〈ナハトヴァール〉はリンカーコアを蒐集を開始した。

ザフィーラの胸元から、青いリンカーコアが出てくる。

 

「ぐっ・・・・うあっ!」

 

弾き飛ばされたザフィーラはそれでも〈ナハトヴァール〉に拳を向けた。

が。

 

「(雲雀様・・・・主を、どうか・・・・!!)」

 

[蒐集]

 

〈ナハトヴァール〉の大蛇の一匹が口から黒い光を出し、障壁でザフィーラの拳を防ぐ。

激しいスパークが迸り、光が辺りを覆った。

 

 

 

ー雲雀sideー

 

「っ!」

 

「なっ!?」

 

雲雀は目を見開き、草壁も驚愕した。

たった今、はやての身体の下に魔法陣が出現し、はやてが病室から消えたのだから、当然とも言える。

 

「恭さん・・・・嬢ちゃんは・・・・!」

 

「・・・・」

 

雲雀は病室を飛び出ると、屋上へと向かった。

 

 

ーはやてsideー

 

「・・・・・・・・ぁ」

 

屋上に転移されたはやては弱々しく身体を起こして、顔を上げた瞬間、その絶望的な状況に目を見開いた。

だって、目の前にはーーー。

 

「ぁ・・・・・・・・!」

 

シグナムが、シャマルが、ヴィータが、狼形態になったザフィーラが、上空に幾重にも伸びた植物の蔦のような物に絡まれ、ピクリとも動かなくなっていた。

 

「はやて・・・・!」

 

「はやてちゃん・・・・!」

 

「クソ・・・・!」

 

「来ちまったか・・・・!」

 

「・・・・・・・・」

 

ツナと炎真は絡まった蔦を焼き切り、同じように絡まったリボーンと獄寺と山本を救出させると、リボーン達をはやての元へ行かせた。

ツナと炎真は、蔦の先にどす黒い球体となり、周りの建物にまるで根を張ったように佇む繭のような球体へ向かった。

その球体に飲み込まれた、なのはとフェイトを救出する為だ。

 

「なのはっ!」

 

「フェイトっ!」

 

二人が球体の中をこじ開けようとするが、球体のびくともせず、はやての眼前に〈ナハトヴァール〉が近づき、獄寺がダイナマイトを、山本が二刀を構え、リボーンもレオンを拳銃に変態させて、銃口を向ける。

 

[守護騎士システムよりコアを還元]

 

〈ナハトヴァール〉は『闇の書』を排出すると、『闇の書』が開き、ページが独りでに捲れる。

 

[頁蒐集完成]

 

「何や? それ・・・・あんた、誰?」

 

[覚醒の時です。我が主]

 

聞いた事もない言語なのに、その意味が分かるが、はやては呆然と呟き、〈ナハトヴァール〉は静かに告げる。

 

「はやて! 耳を傾けんな!!」

 

「果てろ!」

 

リボーンと獄寺が攻撃するが、〈ナハトヴァール〉は大蛇の二匹を向かわせ、山本が二本を交差させて防ぐが、勢いに押され、後ろにいた獄寺ごと吹き飛んだ。

 

「「ぐあっ!!」」

 

「獄寺さん! 山本さん!」

 

[覚醒の時です。我が主]

 

「そんなんええねん! シグナム達になにした! みんなを下ろして! 返して!!」

 

[・・・・・・・・]

 

はやてが訴えると、〈ナハトヴァール〉は一瞬黙るが、上昇しながら再び声を響かせる。

 

[・・・・了解・・・・守護騎士システムを完全抹消。コアモードで主に還元します]

 

「なっ・・・・あかん、ちゃう、そんなんちゃう!!」

 

その言葉を聞いて、はやては止めようと声を張り上げようとするが、幾重にもある蔦から、四本の蔦が伸びて、その先端を守護騎士達に向けた。

 

「あかん、やめて、やめて、やめてぇ~!!」

 

「っ・・・・!」

 

[抹消]

 

はやてが叫び声を上げ、雲雀が屋上の扉を蹴破って来たが、蔦の先端は、守護騎士達の身体を無情に貫いたーーー。

 

「やっ・・・・」

 

「っ!」

 

その瞬間、守護騎士達はそれぞれの魔力色のなって消滅し、残されたのは、シグナム達が纏っていた衣服だけだったーーーー。

 

「・・・・・・・やっ・・・・・」

 

[覚醒の時です]

 

絶句するはやての足元に、黒い三角形の魔法陣が展開され、ドクン、ドクン、と、鼓動のような音が響く。

 

「あっ・・・・あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!!!!」

 

「っ・・・・はやてっ!!」

 

雲雀が慟哭を上げるはやての元へ走ると同時に、黒い魔力光が、天へと高く昇ったーーーー。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。