『D<デイモン>・スペード』。
ツナの先祖である『ボンゴレ初代<プリーモ>・ジョット』を守護する『霧の守護者』。
元々はイタリア貴族でそれなりの地位を持った人物だったが、生まれや家柄を自慢し、自分の地位や権力だけしか興味が無く、安い自尊心しか持っていない堕落した貴族社会に嫌気を指していたが、『とある公爵令嬢』と出逢い恋に落ち、その令嬢の紹介でプリーモと出会った。
貧しい家で生まれながらも、生まれ育った町やそこに住む人々を心から愛していたプリーモは、幼なじみであり後の『初代嵐の守護者・G』と共に、自警団を設立しようとしていた。
出自に捕らわれず、人々を守ろうとするプリーモの清廉な人柄と意気投合したD・スペードも、プリーモの守護者となった。
しかし、突如としてD・スペードはプリーモを裏切り、炎真達の先祖・『シモン・コザァート』を謀殺しようとし、プリーモをボンゴレから排除しようとした。
その目論見が潰えるが、プリーモは自分のせいで争いが起こるなら、潔くボンゴレボスの座から降り、日本へと渡り『沢田家康』と言う名前となり、その血筋は沢田綱吉へと受け継がれた。
だが、D・スペードはプリーモを追放した後、2代目のボンゴレボスの霧の守護者として残り、それからボンゴレは自警団から、世界最強最悪のマフィアとして君臨した。
「とまぁ、これがD・スペードと言う裏切り者の守護者のプロフィールだな」
『・・・・・・・・・・・・・・・・』
リボーンがD・スペードの事を説明するが、なのはも、フェイトも、はやても、ユーノも、アルフも、クロノも、マトモに返答出来ず、恐怖か畏怖か、突如現れたD・スペードの迫力に、その場から倒れないように踏ん張るだけで精一杯だった。
そしてどうにか、はやてが重い口を開く。
「で、でもリボーンくん、初代って事は、D・スペードさんって、もうかなりのおじいちゃんって事やろ? あの人、見るからに20代くらいやし、それに、なんでナハトヴァールから現れたんや・・・・?」
「・・・・ヤツのボンゴレにかける執念は生半可じゃねえ、それこそ『術者としての禁忌』に触れる程にな」
「『術者としての禁忌』?」
「ああ。奴は、『肉体を捨て、魂だけとなって、他人の身体に乗り移ると言う術』を会得したんだ」
『っ!!』
「ば、馬鹿な! 肉体を捨てて魂だけの状態となり、他者の身体に乗り移るだなんて、そんな魔法、管理局にも存在しないぞ!」
クロノが恐怖に震える身体にムチを打つように、声高に叫ぶが仕方ない。
魂の状態になるだなんて、いくら人間の身体からフェレットに変身するミッドチルダの魔法でも見たことも聞いたこともない。それが管理外世界に存在していたとは、思いもしなかったからだ。
「だが、実際にヤツはそうして歴代のボンゴレボス達を影から常に監視し、遂にツナの代になって、炎真達シモンファミリーを利用し、ツナ達ボンゴレ十代目ファミリーを殲滅しようとしたんだぞ」
「炎真達が?」
「そう。ヤツは僕達シモンファミリーの初代ボス、『シモン・コザァート』を謀殺しようとし、僕達シモンファミリーをマフィア界で迫害を受けるように仕向け、シモン・コザァートは初代ボンゴレに裏切られて死んだと言う嘘を僕達に吹き込み、僕達にボンゴレファミリーへの憎しみを抱かせた。そして僕の両親と妹を惨殺し、それを行ったのは、“ツナ君のお父さんだと言って僕を騙し、ツナ君を憎むように仕向けたんだ”・・・・! 」
「っ!!」
『っ!!』
炎真の言葉にフェイトが、いや、フェイトだけでなくなのは達も、目の前にいるD・スペードに怒りの視線を向ける。
炎真達の先祖を謀殺し、炎真達シモンファミリーが迫害されるようにし、さらに炎真の家族を殺し、ツナの父親にその罪をなすり付け、ツナ達と戦うように仕向けた。
「なんで・・・・!」
なのはが怒りで恐怖を振り払って、スペードを睨ち、呼吸を深くし・・・・。
「なんでそんな事をしたの!? ツナさんのご先祖様や仲間達を裏切って! 炎真さんのご先祖様を殺そうとして! 炎真さん達に辛い思いをさせて! 炎真さんの家族まで殺して! ツナさん達と戦わせて、なんでそんな事をしたの!? なんで!!」
怒りを全てを吐き出すように叫ぶなのは。
しかし、D・スペードはなのはの怒りなど何処吹く風と言わんばかりに悠然と特徴的な含み笑いを上げて口を開く。
「ヌフフフフ・・・・決まってますよ。シモン・コザァートの存在は何かと目障りになりつつありましたからね。大空の七属性の亜種とも呼べる大地の七属性を有するシモンファミリーは、もしも最強最悪のマフィア、ボンゴレファミリーにとっての不穏分子、沢田綱吉達のような存在が現れた時のカウンターとして、存在して貰ったんですよ。古里炎真の家族に関しては・・・・“私の知った事ではありませんね”」
「っ、ふざけ・・・・!」
「フェイト」
「炎真・・・・!」
D・スペードに叫ぼうとするが、炎真が肩を掴んで押さえる。
「あれは、“D・スペードだけど、D・スペードじゃない”」
「えっ?」
「D・スペードは、“ツナ君に倒されたんだ”」
炎真の一言に、全員が驚いたように顔をする。
「な、何言ってんだよ炎真。ツナが倒したって、現にアイツは・・・・」
アルフが震える声でD・スペードを指差すが、野生の本能か、D・スペードの威圧感にしっぽを脚の間に巻き込み、小刻みに震えながらユーノの背中に隠れていた。
「ヌフフフフフフフフフフフフ」
D・スペードが特徴的な笑い声を上げる。
「なるほど。“私の本体”は倒されたのですか、なんとも、不穏分子に倒されるとは、“本体”なのに情けない限りですね」
「“本体”・・・・?」
「ええそうですよ。八神はやてさん、ですね。私はD・スペードであって、D・スペードではありません」
「どういう、事なの?」
D・スペードは笑みを浮かべながら淡々と話した。
「『術者としての禁術』によって、私の“本体”は『魂の状態となる禁術』の他に、『自分の魂の一部を切り離す禁術』も会得したのですよ」
『っ!』
D・スペードの言った言葉に、今度はなのは達だけでなく、ツナ達も驚いたように身体を震わせる。
『魂を切り離す禁術』。そんな人道に反した術が存在する事に驚愕したのだ。
そんな一同(通信越しで聞いていたリンディ達も含む)の中で、リボーンだけが冷静にD・スペードを見据えて口を開く。
「なるほどな。その禁術を用いて、お前の本体は『闇の書』、いや、『夜天の魔導書』に自分の魂を潜ませていたと言う訳か?」
「ええ。そうですよアルコバレーノ、いいえ、“元”アルコバレーノですかね」
「で、でも、何で『夜天の魔導書』にアンタの魂が入ってたんや!」
震える声ではやてが聞くと。
「ヌフフフフ・・・・。簡単ですよ。ねえ? 守護騎士ども?」
「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」
D・スペードが守護騎士達に目を向けると、四人は愕然とした面持ちでD・スペードを見ていた。
「オヤオヤ。久しぶりに会ったと言うのに、話になりませんねぇ」
「み、みんな、どないしたん?」
「わ、わかり、ません・・・・」
「だ、だけど・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
シグナムもヴィータもシャマルもザフィーラも、D・スペードを見て、震えていた。
『私が話します。主』
「っ! リインフォース?」
はやての身体から、リインフォースが現れる。
D・スペードはリインフォースを見て目を細め、リインフォースは悲しい眼差しでD・スペードを見る。
「お久しぶりですね」
「まさか、このような禁術を用いて、『夜天の魔導書』に潜んでいたとはな・・・・」
「リインフォース、一体どういう事なん?」
「・・・・・・・・かつて、我々『夜天の魔導書』は、初代ボンゴレファミリーと繋がりがあったのです」
「なんやて・・・・!」
「主はやての前、クライド・ハラオウンの前、『闇の書』の主となった者・・・・その名は、『アラウディ』。“初代ボンゴレファミリー、『雲の守護者』だったお方です”!」
『っっ!!?』
リインフォースが告げた名前に、なのは達は驚愕した。
D・スペードは笑みを浮かべたまま、掌から『金時計』を取り出すと、『金時計』が光輝く。
「では、少しお見せしましょうか。守護騎士どもに封印されし、ボンゴレとの記憶を・・・・!」
『金時計』から幾つもの光が伸び、ツナ達や炎真達、なのは達の額に当たると、一同の脳裏に『過去の記録』が浮かび上がった。