新たな始まり、来る
ーツナsideー
『闇の書事件』から2年後。
高校生となったツナ達ボンゴレファミリーと炎真達シモンファミリーに、さらなる脅威が現れた。
新たに台頭したマフィア。戦争を裏から操る『死の商人とも呼ばれる財団』。
800年前の錬金術によって生まれ、現代に甦った『欲望の怪物』。
ある学校で起こった『星座の力のスイッチ』の事件。
なのは達、〈時空管理局〉と違った法則の魔法でしか対抗できない『絶望の魔獣』。
ありとあらゆる暗黒街の闇の組織と、『協力者達』と共に戦っていたツナ達の元に、最悪の情報が送られた。
フェイトが執務官試験や、はやてが管理局魔導師として忙しくなり、なのはが皆の分まで頑張ろうとオーバーワークをしていた。
それを見たツナが、「無理をしないで」となのはにアドバイスしたり、なのはと一緒に武装隊の演習である異世界に行ったヴィータに「なのはちゃんが無理しないように見ていて」と助言したが、二人はそれをマトモに受け取ろうとしなかった。そして最悪の報せを受けた。
ーーーーなのはが、撃墜された。
何者かに襲撃された。泣きじゃくるヴィータの証言から、“何者かが伸ばした触手のようなモノが、なのはの身体を貫通したのだ”。
ヴィータはその触手の元を辿ろうとしたが、その先には誰もいなかった。
なのはは重体となり、過酷なリハビリをしても、魔導師として復帰できるか分からないと言われた。
ツナ達ボンゴレファミリーと、炎真達シモンファミリーが、なのはが入院している管理局の世界の病院に駆け込み、泣きじゃくるフェイト達を仲間達に任せ、ツナはなのはの病室に入っていった。
「なのはちゃん・・・・」
「ツナさん・・・・ごめんなさい。ツナさんの言うとおり、私、無理していたかも知れないの・・・・」
「・・・・・・・・」
「で、でも大丈夫だよ! もうこんな無茶なんかしないし! リハビリも頑張れば、また魔導師として復帰できるから! だからツナさんも、心配しないで・・・・」
ーーーーギュッ。
見るからに無理して笑みを浮かべるなのはの小さな身体を、ツナは優しく抱き締めた。
「ツ、ツナ、さん・・・・?」
「なのはちゃん、泣いていいんだ・・・・」
「・・・・!」
「泣いて、良いんだよ・・・・」
ツナはそう言って、なのはの身体をさらに強く抱き締めた。そうされていると、なのはの心は、まるで大空に抱かれているような不思議な安心感と温かさに包まれていった。そしてーーーー。
「うっ、うぅっ、ツナ、さん・・・・!」
「・・・・・・・・」
嗚咽を漏らすなのはが、ツナの身体にしがみつき、涙が止めどなく溢れてくる。
「私、もう飛べないのかな・・・・? もう・・・・っ、皆に・・・・必要と、されなく、なるのかな・・・・? 皆と、一緒に・・・・いられないの、かな・・・・?」
「そんな事無いよ・・・・。魔導師じゃなくなったくらいで、フェイトちゃんが、はやてちゃんが、シグナムが、ヴィータが、シャマルさんが、ザフィーラが、アインスやリィンが、ユーノやアルフや、クロノやリンディさんにエイミィが、なのはちゃんの事を、必要としない筈ないよ。友達をやめる筈なんて、絶対に無いよ」
「うぅっ、うわぁぁぁぁぁんっ!!!」
ツナは優しい声で、なのはの頭を優しく撫でながらそう言うと、なのははさらに泣き出した。
なのははツナにしがみついて離れず泣き続け、ツナも嫌な顔一つしないで、なのはの頭を優しく撫でたり、背中をさすってやったり、優しく抱き締めてあげていた。
ー炎真sideー
なのはの泣き声は、病室の外にまで響き、フェイトが辛そうに顔を俯かせ、隣いた炎真が、フェイトを抱き寄せた。
「・・・・ぐすっ」
「・・・・・・・・」
涙を流すフェイトを、炎真は黙って身体を貸した。
「・・・・士郎。ちょっと来い」
「っ、リボーン? 何だい?」
「良いから来い」
リボーンが、先ほどまで「なのはを管理局にいれるんじゃなかった・・・・」と、泣き言を言っていた士郎に、帽子で目元を隠したまま、有無を言わせないと言わんばかりの迫力で連れ出した。その後を、桃子だけがついていった。
◇
それから数週間程が経ち、ツナは毎日のように管理局の病院に赴き、なのはのメンタルケアをするようになった。
しかしそんなある日に、リンディとクロノから、ある事を聞かされた。
管理局上層部に、なのは達がボンゴレファミリーと懇意な関係にある事が知られてしまったのだ。
唯でさえマフィアであり、管理局が禁忌のロスト・ロギア『トゥリニセッテ ボンゴレリング』を所持するボンゴレファミリーの事を危険視している管理局からすれば、看破できる物ではなかった。
それ故に、ボンゴレとボンゴレに関わる組織との接触を禁止とされた。
フェイトとはやて達八神一家は、管理局では少し肩身の狭い立場であるのに、自分達と関わるとさらに立場を悪くさせてしまう。
その事に悩んだツナと炎真とリボーンはーーーーシモンファミリーの聖地で暮らしている、『シモンファミリー チーフメカニック(予定)』のプレシア・テスタロッサに相談してみた。
「確かに、管理局の対応は当然ね。過去の遺恨がある以上、今後フェイト達とはあまり関わらない方が良いのかも知れないわ」
「やっぱり、そうですね・・・・」
「・・・・・・・・」
二人は顔を俯かせる。まだなのはの心は完全にケアもできていないし、執務管試験を控えているフェイトのサポート、これから後ろ指を刺されていくはやて達のフォロー、問題が山積みなのに、その途中で投げ出さねばならない状況に、渋面を作っていたのだ。
そんな中、アリシアとリニスが屋敷に戻ってきた。
「ただいま~! あっ、炎真にツナにリボーン!」
「アリシア。炎真様にはちゃんとボスと呼ばないといけませんよ」
「気にしなくて良いよリニス」
「炎真様。もう少しボスとしての上下関係はキチンとしておかないと・・・・」
リニスの小言が始まる前に、アリシアが手に持っていた宝石を皆に見せた。
「ママ。これさっきお屋敷の前で見つけたの」
「っ! これって、『レリック』・・・・!?」
「プレシア。『レリック』と言えば・・・・」
「ええ。ジュエルシードのようなロスト・ロギアよ。何故こんな物がーーーー」
と、ソコで突然、『レリック』が目映い光を放つ。
「「「っ!!」」」
「危ない!」
「くっ!」
「・・・・」
ツナがアリシアから『レリック』を取りアリシアを下がらせ、炎真がプレシアを、リボーンがリニスを引っ張って後ろに下がらせると、光はさらに強まり、その部屋を覆うように広がった。
「「「ーーーー!」」」
漸く光が収まり、プレシアとアリシアとリニスが目を開けると、ツナが、炎真が、リボーンが・・・・その姿を消していた。
◇
「・・・・ん、んん・・・・?」
ツナが目を覚ますと、いつの間にか自分が地面に横たわっていた。
「こ、ここは・・・・? っ、リボーン! 炎真! プレシアさん! アリシア! リニス!」
ツナが周りを見渡すと森のような場所であった。近くに炎真が倒れており、リボーンやプレシア達の姿はなかった。
「炎真! 炎真!」
「・・・・っ、つ、ツナくん?」
炎真も起き上がると、周りを見渡し、首をかしげた。
「ここは・・・・一体?」
「分からない・・・・でも、ここは地球じゃない気がする・・・・」
ツナの超直感が、この場所は地球ではないと感じていた。
「「・・・・・・・・っ!」」
ツナと炎真は周りから妙な感覚を感じ、背中合わせに周りを見ると、森林の中から、赤い点が幾つも光っていた。
「・・・・これって」
「人間の気配がしない・・・・恐らく、『モスカ』のような無人機だと思う」
二人がそう言うと、赤い点から、放射線上の熱光線ーーーーレーザーが発射された。
「「っ!!」」
ドォオオオオオオオンン!!
二人がいた地点に爆発が起き、土煙が舞い上がる。
森林の中から、人間位の大きさをしたカプセル状のロボットが大軍で現れる。
ロボットは内部からアームケーブルを出し、ウネウネと動きながらツナと炎真のいた地点に向かおうとしたその時ーーーー。
ーーーーピピッ!
ロボット達のセンサーが何かを感知したように動きを止めると、土煙の中から、橙色と真紅の炎が燃え上がる。
「「ーーーー!!」」
「ガゥ!」
ハイパーモードのツナと戦闘形態となった炎真が無傷で佇み、ツナの肩にはナッツがいた。
「行くぞ。炎真」
「うん」
いきなり攻撃してきたロボット達を敵と判断した二人は一瞬で動くと、ロボットの大軍の半分を破壊した。
ー???sideー
「どうだい?」
ソコは薄暗い研究所のような部屋で、1人の青年が、空中ディスプレイに映されるロボット軍団とツナ達の戦いを眺めていた白衣の男性に話しかける。
「・・・・一応『ガジェットⅠ型』を1000機ほど向かわせましたが、やはりと言うか、僅か1分でもう半分以上が破壊されていますね。“私の知る未来の彼より強くなっています”」
「君の“娘さん達”を向かせなくて良かったでしょう?」
「ええ。間違いなく全員でかかっても、全滅していたでしょうね」
「うん♪ でも、だからこそ、面白くなりそうじゃない? 『スカリエッティくん』?」
「・・・・まぁ、そうですねーーーー管理局の魔導師、彼女達二人が向かっていますが、到着する頃には、『ガジェット』達は壊滅していますね」
「そうだねぇ、残念だね彼女達も。上層部の横やりが無ければ、あのまま彼らと共にいて、“僕や君の知る彼女達よりも強くなっていた筈なのに”」
「ええ。多分ですが、“デイジーかトリカブトくらい”はなれたと思いますがね。強くなれる機会を失うとは、彼女達も不運ですねぇ」
「ふふふっ♪」
二人の男性は、ツナ達の元へ向かう魔導師達に、嘲弄の笑みを浮かべながら、映像を眺めのであった。
STS編は少し短編風に書いていくと思います。