ー山本sideー
山本と了平は『影』と向き合い、一触即発の雰囲気がその場を支配する。すると突然、『影』の周りに紫色の魔法陣が出現した。
「おっ?」
「何だぁ?」
山本と了平が首を傾げていると、魔法陣からガジェットの大群が出現した。
「ガジェット!? って事は」
「貴様! 『スカルエース』のものかっ!?」
「先輩。『スカイエイチ』っすよ」
スカリエッティである。が、『影』はそんなボケコンビにツッコミを入れず、ガジェットに後は任せたと云わんばかりに、その場から去ろうとした。
「おっと!」
「極限に逃がさん! 『マキシマムキャノン』!!」
ーーーードゴォォォォォォォォォォォォォォォン!
『っ!?』
『影』は身体を硬直させた。了平が『晴れの死ぬ気の炎』を纏ったグローブで一体のガジェットを殴り飛ばすと、その拳の威力が凄まじかったのか、一直線に吹き飛ぶガジェットが、周りのガジェットも巻き込んで破壊されていき。
「『時雨蒼燕流 功式八の型 篠の突く雨』」
山本が時雨金時を取り出して、『雨の死ぬ気の炎』を纏わせ、ガジェットの間をすり抜けるように駆け抜け、ガジェット達を通り抜ける。
ーーーーシュピ・・・・ズガァァァァァァァンン!
その瞬間、ガジェット達に青い線が幾つも走り、その機械の身体が三つか五つに切り裂かれ、爆散した。
『っ!?』
『影』は驚愕したように身体を硬直させた。あれほどの大量のガジェットが行く手を阻んだにも関わらず、目の前の二人の少年は、一撃で、一瞬で全滅させたのだ。
「数がいてもそれほど驚異ではないな」
「ッスね」
『・・・・っ!』
しかも、その少年達は息一つ乱れていなかった。
『影』は構える。目の前の少年達をこの場で確実に仕留めておかねば、自身の『主』たる少女の強大な敵となると判断したからだ。
「んじゃ次は・・・・」
「アイツだな」
『ーーーー!!』
『影』はこちらを見る山本と了平に一瞬で近づくと、拳を振ろうとしたーーーーが。
「遅い」
「大人しくしろ」
ーーーーバキッ! 斬!
『ーーーーッッ!!』
了平がその拳を『晴れグローブ』で弾き、山本が『影』を斬った。勢い良く斬られた『影』は、天井に叩きつけられると、重力に従い地面に落下した。
「やったのか?」
「浅く斬ったッス。それに、手応えが分かったッスけど、コイツーーーー人間じゃないッスね」
『ーーーー!!』
『影』はガバッも起き上がると、後方にバク転し、距離をとった。斬られた傷は浅いが、目の前の二人との力の差を理解したのか、攻めてこようとしなかった。
「「・・・・・・・・」」
山本と了平が構え、『影』はどうやって離脱しようかと考えていると、紫色の魔法陣が展開され、ソコから二体のガジェットが現れた。
ザフィーラと同じ位の大きさに、ボールのような胴体に、センサーのようなカメラアイが付いており、二本の脚で立ち、頭の上に二門の砲台が乗っていた。
「これは・・・・!」
「増援って事ッスね」
二人がそう話していると、突然現れた新たなガジェットの脚から、驚く事が起こった。
『『・・・・!!』』
何と、二体のガジェットの脚に『オレンジ色の炎』が噴射され、凄まじいスピードで山本と了平の横に移動した。
「「なっ!?」」
驚く二人に向かって、ガジェット達は砲身に『緑色の雷』と、『赤い炎』が放たれたーーーー。
ースカリエッティsideー
空中モニタでホテル・アグスタの戦況を見ていたジェイル・スカリエッティは、自分のガジェット達が押されている状況であるにも関わらず、何処か達観としたような視線で眺めていた。
「さて、守護騎士達と遊んでいるガジェット達には、退場して貰おう」
そう呟いたスカリエッティが、指をパチン! と鳴らすと、モニタに映し出されていた、シグナムとザフィーラが相手していたガジェット達が突如ーーーー自爆したのだ。
「では、出番だ。精々派手に暴れてこい」
スカリエッティが呟くと、モニタに映された、FW陣の元に飛んでいるヴィータに異変が起こったーーーー。
ーティアナsideー
その頃、ホテルの前でガジェットを迎撃していたティアナはガジェットに向かって魔力弾を放つが、ガジェットはそれを軽々と避ける。
「くっ・・・・!」
ティアナが悔しそうに毒づいていると、奥のガジェットがティアナに向かって小型ミサイルを発射する。ティアナは冷静にそれを魔力弾で相殺する。
「ティアナさん!!」
「っ!!」
キャロの叫びを聞いて振り返ると、数体のガジェットがティアナに向かって熱線を放とうとしていた。がその時。
ティアナとガジェットの間に骨組みの円が飛んできて、ガジェットの熱線を防ぐと、赤い炎の矢が、ガジェット達をまとめて貫通して破壊した。
「周りにもちゃんと目ぇ向けとけ」
声がした方を見ると、そこにはホテル内を警備している筈の獄寺が立っていた。
「隼人さん!? どうして!?」
「リボーンさんから指示が飛んできてな。【敵が馬鹿正直に正面から攻めてきた時は、かなりの数を有しているか、増援を準備しているか、別方向から攻める為の陽動の為だ】って言われてな。案の定、ホテルの裏口に怪しい奴が現れたんだよ。そっちは野球バカとボクシングバカが向かっている。それで俺は、こっちの助っ人に来たんだよ」
「えっ!? 裏口からも敵が!?」
「こんなの戦術の初歩中の初歩なんだよ(・・・・つか、なのは達も『ラル・ミルチ』に教えられていただろうに、何やってんだか・・・・!)」
獄寺は、リボーンからの指示が来るまで、呑気にパーティー会場の警備をしていたなのはとフェイトとはやてに呆れていたが、会場はツナと炎真がいればどうにかなる。
獄寺は少しため息を吐いてから、SISTEMA.C.A.Iの砲台を構えた。
「ま、つー訳で来てやったんだ! とっとと終わらせっぞ!」
そう言うと、獄寺は『フレイムアロー』を放ち、周りのガジェットを破壊し始める。
すると、ティアナ達FWメンバーにシャマルからの念話が入る。
《防衛ライン! もう少し持ちこたえてね! ヴィータ副隊長がすぐに戻ってくるから!》
その念話を聞いて、ティアナの表情が険しくなる。
「守ってばっかじゃ行き詰まります! ちゃんと全部倒します!」
《ちょっと・・・・ティアナ大丈夫? 無茶はしないで!》
「大丈夫です! 毎日朝晩、練習してきてんですから!」
そう言いながら、クロスミラージュを構え、エリオとキャロに顔を向けた。
「エリオ、キャロ! センターに下がって! 私とスバルのツートップでいく!」
「「は、はい!」」
言われた通り、エリオとキャロは下がった。
「スバル! 『クロスシフトA』、いくわよ!」
「おお!」
スバルは自分の魔力でできた道、『ウイングロード』を使って、ガジェットの注意を引き付ける。その隙にティアナは、カートリッジを四発もロードした。
「(証明するんだ。特別な才能や凄い魔力がなくたって・・・・どんなに危険な戦いだって・・・・)」
ティアナの周りに、複数のオレンジ色の魔力弾が展開される。
「私は・・・・ランスターの弾丸は、ちゃんと敵を撃ち抜けるんだって!」
ティアナは、クロスミラージュを構える。
「・・・・・・・・」
獄寺は、ティアナの姿に、『リング争奪戦』が始まる前の自分と重なって見えた。
《ティアナ! 四発ロードなんて無茶よ! それじゃティアナもクロスミラージュも・・・・!》
「撃てます!!」
[Yes]
ティアナとクロスミラージュはそう答えた。
《あぁもう! ヴィータちゃん! 急いでーーーーヴィータちゃん!? どうしたの!?》
シャマルが、何やら焦ったような狼狽の声を上げるが、ティアナは構う事なく、クロスミラージュの引き金を引いた。
「クロスファイヤー・・・・シュート!!」
オレンジ色の魔力弾が、一斉にガジェット達に迫る。次々とガジェット達に魔力弾が当たり倒していった。
だが・・・・。
「え? あっ・・・・!」
何と、その魔力弾の一発が逸れて、スバルに迫っていた。
「っ!!」
それを見たスバルは大きく目を見開く、ティアナの放った魔力弾が、スバルに当たるかと思われたその時・・・・。
ーーーードシュゥゥゥゥゥゥゥゥン!!
「・・・・え?」
気がつくと、魔力弾は真っ赤な炎に撃ち抜かれて消滅していた。
「今のって・・・・?」
「隼人さん!!」
戸惑うティアナとスバルの耳に、エリオの声が響くと、髑髏の砲身を構えた獄寺がいた。
「何似合わねえ戦い方してんだ? 中距離射撃の渋さを知らねぇのかテメェは?」
「くっ・・・・!」
魔法陣を展開させたままのティアナは、悔しそうに歯噛みした。
「あの、獄寺、今のは、その・・・・コンビネーションの内で・・・・」
「直撃コースだったろうが。たくっ、エリオ。ヴィータのドチビにコイツを任せるとーーーー」
ーーーーグシャァァァァァァァァンン!!
「あっ?」
「っ!?」
「何?」
「はっ!」
「えっ?」
ヴィータに連絡させようとした獄寺が言い終わる前に、一同の近くで何かが落下したような音が響くと、『赤い塊』が、地面を派手に転がりながら近づいてきて、失速して止まるとその『赤い塊』の正体が露になった。
「「「「ヴ、ヴィータ副隊長っ!?」」」」
「・・・・・・・・・・・・」
それは、BJも所々が焼け焦げ、転がった最中に帽子も外れたヴィータが、声も上げず、力無く倒れていた。
「っ! 上だっ!」
獄寺が叫ぶと同時に、離れた地点に落ちていたヴィータの帽子のすぐ近くに、一体のガジェットが降り立った。
ザフィーラと同じ位の巨体でボールのような身体にセンサーのようなカメラアイ、その身体を支えるように二本の脚、ボールの上の部分に二門の砲台、ボールの下の部分にガトリング砲を二門も付けた、今まで確認された事のない新型のガジェットだった。
「コイツは・・・・」
「獄寺!」
「皆無事かっ!?」
と、ソコでシグナムとザフィーラも降りてきた。
「シグナム副隊長!」
「ザフィーラ・・・・!」
「い、一体何が・・・・!?」
「ヴィータ副隊長がっ!」
焦るFW陣に、シグナムとザフィーラが、新型ガジェットから目を離さず声を発する。
「あぁ。突然他のガジェットが自爆をしてな」
「シャマルからヴィータの異常を聞いて駆けつけたのだが・・・・!」
二人が新型ガジェットを睨むが、そのガジェットを何も言わなかった。
が、足元にあったヴィータの帽子をーーーー踏み潰した。
「っ! 貴様ぁっ!」
「許さん!」
ヴィータにとっての宝物を無情に踏み潰した新型ガジェットに、怒りを露にしたシグナムとザフィーラは、ダッと駆け出し、新型ガジェットに肉薄する。
シグナムはカートリッジを二発ロードし、ザフィーラも魔力を込めた拳を叩きつける。
「『紫電一閃』!!」
「はぁあっ!!」
二人の攻撃が新型ガジェットのボディを破壊したーーーーかに見えたが。
ーーーーガキンッ!
新型ガジェットのボディは傷一つついておらず、そのボディに触れたまま、シグナムのデバイス、レヴァンティンの刀身に纏った炎が消え、ザフィーラの拳の魔力も消えていた。
「なっ! これはまさか・・・・!」
「『AMF』っ!?」
『AMF』。『アンチマギリングフィールド』。魔法における魔力結合を解除して魔法を無効化する性質を持ったフィールド系魔法であり、これを使われると高ランク魔導師であるシグナム達も魔法の弱体化されてしまうのだ。
『ーーーー』
唖然とするシグナムのザフィーラに向けて、新型ガジェットは砲身を向けた。
「「はっ!」」
気づき、防御魔法を展開しようとするが一瞬遅く、『緑色の雷』が二人に放たれた。
ーーーーバシュウウウウウウウウウウ!!
「お前らっ!」
「「「「シグナム副隊長! ザフィーラ!」」」」
放電の光が辺りに広がり、獄寺もFW陣を目を守る。そして光が収まると、ヴィータと同じくボロボロになったシグナムとザフィーラが、白目を剥いて力無く倒れた。
「う、嘘だ・・・・!」
「高ランク魔導師が、こんなあっさりと・・・・!」
スバルとティアナは、いくらリミット付きとは言えシグナム達を一瞬で圧倒した新型ガジェットに、戦慄したように呟く。
『ーーーー』
新型ガジェットは倒した二人に興味ないと言わんばかりに、倒れた二人を踏みながら歩み、その砲身をーーーー獄寺へと向けた。
「・・・・どうやら、狙いは俺か」
獄寺がFW陣から離れながら、新型ガジェットと向き合う。
「隼人さん! 僕達も!」
「馬鹿言うな! お前らより格上のシグナム<騎士女>とザフィーラ<狼野郎>とヴィータ<桜エビ>がこの有り様だ! お前らじゃ死にに行くようなもんだろうが!」
「でも・・・・!」
「AMFがある以上、お前ら魔導師じゃ相性が悪すぎる! ここはーーーー俺がやる」
「「「「っ!」」」」
獄寺のその目を見た瞬間、FW陣は息を呑んだ。確固たる覚悟を秘めた、その目に。
「おいランスター」
「えっ?」
魔法陣を消したティアナが声を発する。
「良く見とけ」
そう言うと、獄寺は砲身を新型ガジェットに向け、新型ガジェットも、獄寺に全ての武装の照準を向けた。
「『フレイムアロー』!!」
『ーーーー!!』
獄寺の赤い炎と、新型ガジェットの赤い炎と緑色の雷と黄色い光の弾丸が放たれた。
次回、獄寺と新型ガジェットの激戦!