かてきょーリリカルREBORN   作:BREAKERZ

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見えてない物と過去の姿

ーリボーンsideー

 

シグナム達が意識を取り戻したその翌日。

会議室にてツナ達とはやて達機動六課は、クロームとランボから、この時代のミッドチルダに来た経緯と、『新型ガジェット』についての話し合いを始めていた(ランボは床に寝そべりお絵かきをしていたが)。

 

「えっ? 『天道さん』が送ってくれたの?」

 

「うん。ボス達がいなくなったって聞いて、ランボくんと一緒にシモンの島に行こうとしたら突然に」

 

「あのツナさん、『天道さん』って誰なんですか?」

 

話を聞いていると、どうやらその人物が、クロームとランボの二人を連れてきたらしい。

が、ツナ達は苦笑するが、獄寺は心底気に入らない言わんばかりに顔を苦々しく歪めながら口を開く。

 

「雲雀の野郎ばりの、唯我独尊で自分勝手で自分はこの世で一番偉い人間だと豪語する俺様野郎だ」

 

『うっわ・・・・』

 

雲雀と同類の人間と言われ、なのは達はゲンナリとした顔になり(はやてとザフィーラとリィンは苦笑い)、それ以上は言わなかった。話を戻そうと、ツナが口を開く。

 

「ーーーークローム。雲雀さんと骸はどうしたの?」

 

「雲の人、関係無いって言って風紀委員の仕事をしているの。骸様は、最近〈黒の菩提樹〉って組織を調べているみたい」

 

「〈黒の菩提樹〉? あの『沢芽市』を中心に勢力を拡げているカルト集団か?」

 

『沢芽市』とは、なのは達の住む海鳴市から電車で七駅ほど離れた、土地開発がされた街であり、〈ユグドラシル・コーポレーション〉の『ユグドラシルタワー』がシンボルとなっている街である。

だが、八年前に大きなテロ事件が起きて街に甚大な被害が出た、と当時から管理局の仕事をしており地球にほとんど居ず、アリサとすずかから聞いていたの事を思い出すなのは達はーーーー否、アリサ達すらも知らなかっただろう。

その街でまさかーーーー“地球と人類の存亡の危機が訪れていた”、だなんて・・・・。

 

「ふむ。あの天道がわざわざそんな事をするのは考えられねぇな。それに、『デンライナー』の事もな」

 

「リボーン殿、その『デンライナー』と言うのは、山本達をこっちに連れてきた空飛ぶ電車の事か?」

 

リボーンの言葉に、シグナムが問いかけた。

 

「ああ。チケットさえあれば過去現在未来に行く事ができる、『電車のタイムマシン』とでも考えてくれ」

 

『で、電車のタイムマシン・・・・?』

 

「ちなみに天道ってヤツはある装置を使って、単独でタイムワープができるヤツだ」

 

『た、タイムワープ・・・・』

 

『ロストロギア』級の代物ばかりで、最早ツッコミが追い付かないなのは達は、これ以上聞くのをやめ、ホテル・アグスタでの事を話し始めた。

山本と了平が遭遇した虫のような怪人、その怪人を援護するように現れた『新型ガジェット』。そして獄寺がコンタクトディスプレイで映していた『新型ガジェット』。これらのガジェット達にはーーーー『死ぬ気の炎』が使われていた。

「このガジェットが使っている炎って、ツナ兄ぃ達が使っている炎と似てますよね?」

 

「これって、魔力とかじゃないですよね?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

FW陣達が首を傾げながら聞いてくると、はやては一瞬リボーンを一瞥する。

『死ぬ気の炎』についての情報を教える事は、裏社会の掟『沈黙の掟<オメルタ>』に引っ掛かる行為だ。もしもこれを破れば、『復讐者<ヴィンディチェ>』達がやって来る可能性があるのだ。その後にどうなってしまうのか想像もしたくない。

が、リボーンは事前に、【教えられる範囲は伝えておけ】と言っていたので、はやては口を開く。

 

「これはな、ツナさん達が使うのと同じ炎や。この炎の事は詳しく教える事はできへんけど、魔力とは違ったエネルギーやと思うて」

 

「魔力とは違うエネルギー?」

 

「大気中の魔力を体内に取り込んで蓄積し、外部に放出する機関であるリンカーコアから生まれるのが魔力。そして『死ぬ気の炎』ってのは、誰しもが持っている生命エネルギーの波動が炎の形になった物だ」

 

「どう違うの?」

 

「簡単に言うとだな。魔導師の魔力は水道水で、ツナ達の『死ぬ気の炎』は天然水だとでも思えばいい」

 

「う~ん、分かったような分からないような・・・・」

 

スバルはリボーンの解説に少し首を傾げながらと、納得した。

 

「問題は、ガジェットがこの『死ぬ気の炎』を使っていたって事だ」

 

「シャーリー。あのガジェットが射出したバッテリーのような物は?」

 

「あ、はい。リボーンくんやツナくん達に協力して貰いながら解析してみると、ツナくん達が使う『死ぬ気の炎』、と同じエネルギー反応がありました」

 

「だが、ツナ達と比べると質の悪い炎だったがな」

 

つまり、このガジェットに使われていたのは、“純度の低い『死ぬ気の炎』”だったと言う訳だと、ツナ達は理解した。

 

「いずれにしてもや。スカリエッティがどうやってこの炎を手にしたかをここで推察しても始まらん。このガジェットは今まで確認されたガジェット達とは性能も戦闘力も桁違いや。皆気をつけててな」

 

『はい!』

 

はやての言葉で会議を終えた。

そして、皆が会議室を出る中。

 

「おい、はやて」

 

「ん、何や?」

 

リボーンはティアナや他の皆が出るのを確認してから、口を開く。

 

「ーーーーティアナの事だが、ホテル・アグスタでの戦闘で、アイツらしくない戦い方をしたが、何かあったのか?」

 

それを聞いた獄寺とエンマも口を開いた。

 

「そいつはオレも気になっていた。普段のアイツなら、あんな凡ミスはしねぇからな」

 

「ティアナ、何かあったの?」

 

「・・・・・・・・」

 

少しの間の沈黙すると、はやては空間モニターで一人の男性の画像を出す。

 

「彼はティアナの兄、『ティーダ・ランスター』。当時の階級は一等空尉で執務官志望の魔導師。所属は首都航空隊で・・・・享年21歳」

 

「享年ってことは・・・・死んだの?」

 

ツナの言葉にはやては頷きながら話す。

 

「ティーダ一等空尉は逃走中の違法魔導師に手傷を負わせたんやけど、取り逃がしてもうたんや。任務自体は地上の陸士部隊に協力を仰いだおかげで解決したんやけど・・・・その件について、心無い上司が最低なコメントをして、一時期問題になったんや」

 

「コメント?」

 

山本の疑問の言葉の後、はやてはゆっくりと口を開いた。

 

「【犯人を追いつめておきながら取り逃がすなんて首都航空隊の魔導師としてあるまじき失態だ。たとえ死んでも取り押さえられるべきだった】とか・・・・さらに直球に【任務を失敗する役立たずは・・・・】とかな」

 

それを聞いたツナ達は怒りを露にする。

 

「酷い・・・・!」

 

「極限に許せんっ!!!」

 

「何でそんな事が言えるんだ・・・・!」

 

「必死で仕事をこなそうとした部下に、労いの言葉も無いなんてな・・・・!」

 

ツナと了平とエンマが怒り、普段は温厚な山本ですら不快感を露にした。

 

「・・・・なるほどな。ティアナは亡くなった兄の汚名を晴らす為に戦っていたのか」

 

「だから、テメェに似合わない戦法を使ってでも、手柄を立てようとしたって訳か・・・・」

 

「多分な・・・・」

 

リボーンと獄寺の指摘に、はやては肯定した。獄寺は何か気になった点があったのか、はやてにさらに話し出す。

 

「それで、そのティアナの兄貴を侮辱した奴らはどうした?」

 

「それがな、ティアナのお兄さんが亡くなってから、その上司やその部下の部隊、まるで運に見放されたように任務を失敗したり、問題行動を起こしたりで評価がダダ下がってな、遂には『ティーダ・ランスターがいなくなって無能になった部隊』と管理局内で後ろ指を指されながら笑われるようになったんや。・・・・噂では、ティーダ一等空尉の葬儀の時に、一般人で未成年のチンピラに半殺しにされたって話もあるで」

 

「何だ、極限にざまぁみろではないか!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

了平がそう言うが、獄寺は何か思い当たったように沈黙する。

 

「しかし、今のままじゃ、ティアナは間違ったやり方をで強くなろうとするな」

 

「せやな。ソコが心配やねん。なのはちゃんにそれとなく気にかけとってって言うたけど・・・・」

 

【大丈夫だよはやてちゃん。ティアナは頭の良い子だから、ちゃんと分かっているよ】

 

「てな」

 

「・・・・ツナ」

 

「う、うん」

 

リボーンが呆れたように肩をすくめ、ツナに目配せすると、ツナは頷いた。

そして、獄寺が部屋を出ようとする。

 

「獄寺くん・・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

「お願いできる?」

 

「お任せください」

 

ツナにそう応えて、獄寺は部屋を去った。

 

「あれ、隼人さん?」

 

「ティアナの方は獄寺に任せておけ。お前らよりも理解できるのは獄寺だ」

 

はやてに向けて、リボーンがそう言った。

 

 

 

 

 

ー獄寺sideー

 

 

そして獄寺が向かったのは、訓練場だった。

ソコでは他のFW陣と同じく、休息をしている筈のティアナが、その場から動かずに周囲に展開した光るマーカーに銃口を向ける自主練に励んでいた。

 

「ーーーー精が出るじゃねぇか」

 

「っ、獄寺・・・・」

 

「だがよ。そのやり方はテメェに向いていねぇな」

 

「・・・・何ですって?」

 

目をきつくするティアナ、いつもなら喧嘩腰になる獄寺だが冷静に語る。

 

「まぁ聞け。そんなガムシャラなやり方で強くなるのは、テメェの脳筋なスバル<相方>くらいだ。テメェには合ってねぇって話だ」

 

「・・・・・・・・」

 

「ま、合った訓練を見つけても、今のテメェじゃ強くなれねぇがな」

 

「っ! どういう事よ?」

 

ティアナが聞き返すと、獄寺は短く答えた。

 

「昔ある所にな。テメェのように強くなりたくてチンピラに喧嘩を売って、少し傷を負いながらも勝ったガキがいた。そのガキは師匠の男に勝った事を自慢気に話し出したが、それ以降その師匠は、そのガキに教えるのを止めたんだ」

 

「・・・・どうしてよ?」

 

「“見えてねぇからだよ”」

 

「えっ?」

 

「そのガキも、今のテメェと同じように、“見えてなかった”。だから教えて貰えなくなっちまった」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「はやてにテメェの兄貴の事を聞いた。兄貴の汚名を晴らしたいってのは、ご立派な理由だ。だがな、それでテメェがボロボロになっちまったら、元も子もねぇだろ」

 

「アンタに何が分かるのよ!?」

 

思わず怒鳴り声をあげるティアナ。

 

「上官は皆エース処か“ストライカー”の魔導師! 周りの仲間は才能に恵まれている奴ら! そんな中、一人だけ凡人の私が強くなるにはこれしかーーーー」

 

「俺も、“頭が良いだけの凡人”だよ」

 

「えっ?」

 

ティアナに臆する事なく、獄寺は声を発した。

 

「俺には野球バカのような抜群過ぎる運動神経や剣の才能がねぇ。ボクシングバカのような耐久力も突進力も希有な細胞もムードメーカーな所もねぇ。クロームのような特殊な能力もなけりゃ、アホ牛のような才能もねぇ。他の奴らのような圧倒的な戦闘力がある訳でもねぇ。俺はただ、頭が良いだけの凡人なんだよ」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

何やら実感を込めて言う獄寺の言葉が、ティアナに刺さる。

 

「だがな、んな凡人の俺でも、十代目の力になりたいから、学んで、鍛えて、背伸びして、一人前の右腕になろうって、今でも努力してんだよ。お前が努力しているのは、短い付き合いだが分かってるつもりだ。だがな、お前は努力のやり方を間違ってンだよ」

 

「それでも・・・・それでも私は・・・・」

 

口ごもるティアナに、獄寺はソッと呟いた。

 

「“負けんなよ、強くなれ”」

 

「っ!?」

 

【“負けんなよ、強くなれ”】

 

その言葉は、兄の葬儀で兄を侮辱した人達を叩きのめしてくれた人の言葉だった。

 

「じゃあな」

 

「ご、獄寺・・・・っ!」

 

ティアナは去り行く獄寺の背中が、その人に瓜二つだった事に戸惑うのだった。

 

 

 

 

 

ーツナsideー

 

「な、なのはちゃん! また徹夜したの!?」

 

なのはに会いに行ったツナは、通路でなのはを見つけ、声をかけようとしたが、なのはがフラついているのを見て支えた。

 

「だ、大丈夫だよツナさん。ちょっと頭がボゥってなっちゃったから・・・・」

 

「この所ほとんど寝ていないのが祟ったんだよ!」

 

最近のなのはは深夜、それも日付も変わる時間帯になっても働いているのを知っていたが、もはやここまでとは。

 

「にゃははははは、FWの皆の訓練メニューを組んだり、皆の陣形のチェックとかしてて・・・・」

 

「それほとんど毎日のようにしているじゃないの! なのはちゃんがFWの教官だからって、無理しちゃ駄目だよ!」

 

「にゃはは・・・・ごめんなさい。でも大丈夫です! まだまだ働けます!」

 

「なのはちゃんが大丈夫って言っても、身体が大丈夫じゃないよ! こんな身体を酷使してたら前のーーーーいや、八年前と同じ事になるよ!」

 

そう言われた瞬間、なのはは一瞬顔を暗くしたが、すぐに笑顔を見せる。

 

「大丈夫ですって! それに今は、毎日が楽しいんです! 大切で優秀な教え子が四人もいて、皆が日に日に成長していくのを見守る毎日・・・・それがとても楽しいんです!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「ツナさん?」

 

「だったら尚更自分の事を大切しなきゃ駄目でしょうっ!?」

 

「にゃっ!!」

 

突然のツッコミになのはは思わず可愛い悲鳴をあげた。

 

「その“大切な”、の中にちゃんと自分を入れないと駄目だよ! 休まなきゃ駄目だよなのはちゃん! 生徒達が大切なら自分の事も大切にしなきゃ!」

 

「・・・・大丈夫ですよ」

 

「いやでも「大丈夫です!!」っ!」

 

ツナが休むように言うが、なのはは声を荒げて言った。

 

「ご、ごめんなさい。ーーーーでも、もう私は子供じゃないんです。もうツナさんに心配されるような事はありませんから」

 

「なのはちゃん・・・・」

 

心配な顔になるツナに、なのはは何処か冷めた声を言う。

 

「私はもう、“ツナさんより強くなったんです”。だから私は、大丈夫ですから」

 

そう言って、なのはは去っていき、ツナはその背中を見送るしかできなかった。

 

「ーーーーすまねえな、ツナ」

 

「ヴィータ? リボーン?」

 

立ち尽くすツナに声をかけたのは、リボーンと並んで歩いてきたヴィータだった。

 

「なのはは良くも悪くも頑固な性格してるからな。それが良い方に動いているなら良いが、ありゃ完全に悪い方に動いてやがるな」

 

「ああなるとなのはの奴、言葉だけじゃ止まらねぇんだよなぁ」

 

リボーンとヴィータがやれやれと肩を落とす。

 

「どうすれば、良いかな?」

 

「ツナの言葉でも聞き耳持たないとなるとよ・・・・もう一発、ガツンとやっちまった方が良いな」

 

「えっ?」

 

ヴィータの言葉に、ツナは目が点になる。

 

「もうなのはも良い歳してんだ。口で言っても聞かない駄々っ子のままなら、千や万の言葉よりも、一発の拳骨の方が効果的だろ? それに、なのはの奴。自分はもう“ツナより上だ”って、思っちまってるからさ。いっぺんお調子に乗ってる鼻っ柱を、根元から思いっきりへし折ってやった方が目を覚ますだろうよ」

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

ヴィータの言葉にツナもリボーンも意外そうな顔で聞いていた。

 

「何だよ?」

 

「いや、何て言うかさ・・・・ヴィータ、ちょっと変わった?」

 

「あん?」

 

「俺もそう思ったぞ。正直ヴィータはフェイトと同じくらいに、なのはの事を盲目的に信奉している所があったからな」

 

二人にそう言われ、ヴィータは後頭部をガシガシ掻いた。

 

「・・・・いつまでも、ガキのままじゃいられねぇからさ。あたしも、なのは達もさ・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

なのは達に比べて背丈は全く成長していないのに、ヴィータの方が、なのはとフェイトよりも大人になったように見えて、ツナは思わず頭を撫でた。

 

「・・・・・・・・」

 

「あ! ご、ごめんヴィータ」

 

「・・・・他の奴らがいる時にやったらぶっ飛ばすからな」

 

と言って、大人しく撫でられるヴィータであった。

 

「アホ牛にもソコまで寛大になれるか?」

 

「そら無理だ。あの馬鹿牛とはいずれ決着を着けてやる」

 

拳を握りながら凄絶な笑みを浮かべるヴィータは、ランボに対してだけは別のようで、ツナは苦笑いを浮かべるのであった。

 




次回、無茶を続ける新米に嵐が、天狗になった不屈に大空が。
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