ースカリエッティsideー
雲雀が『未来のミッドチルダ』に来て、Fガジェットを殲滅したのをモニタ越しに見ていたスカリエッティと黒髪の男。
「う~ん、やっぱり雲雀くんの遊び相手にもならなかった、か・・・・」
黒髪の男がそう言うと、スカリエッティはやれやれと肩を落としながら応じる。
「まぁ、仕方ありませんね。本気ではないとは言え、『雲の守護者』の戦闘データが入っただけでも良しとしましょう。所でーーーー“彼らは来ましたか”?」
スカリエッティがチラッと目配せすると、黒髪の男はフフンと楽しそうに鼻を鳴らした。
「うん☆ 中にはちょっと渋ってた子もいたけど、快く来てくれたよ。今は君の『娘さん達』と交流を深めていっている所さ♪」
「フフフ・・・・血生臭い交流になっていそうですね」
スカリエッティがコンソールを操作して、アジトの訓練場をモニタに表示させるとーーーーボロボロにされている『娘達』と、その子達を無傷で見下ろす“数人の男女”がいた。
ーツナsideー
雲雀が合流し、なのはの謹慎処分が解除された日。
ツナ達ボンゴレとエンマ、六課隊長陣にFW陣は、この時代の雲雀が設立した和雑貨企業『HUHKI』に来ていた。
突然『HUHKI』から送迎車が何台も六課にやって来て、ツナ達はそれぞれ車に乗り込むと、首都『クラナガン』で堂々と聳え立つ『HUHKI』のビルに圧巻されながら入っていき、エレベーターで一番高いフロアに到着すると。
『うわぁぁぁぁぁぁ・・・・!』
その内装に驚いた。
フロアは和風になっており、まるで故郷の日本に帰って来たかと錯覚するような、見事な屋敷であった。玄関で圧巻されている一同に、黒スーツをキッチリと着こんだザフィーラが出迎えにやって来た。
「いらっしゃいませ皆様。お手数ではありますが、こちらのお召し物をご着用して下さい」
ザフィーラが手で示すと、左右から扉が開き、左の扉には男性の和服がズラリと並べられ、右の扉には女性着物がズラリと並べられていた。
「ザフィーラ、着替えなくちゃアカンの?」
「申し訳ありませんが主はやて。『郷に入れば郷に従え』と言う言葉があります。ここは雲雀様の居城。雲雀のルールにはある程度は従って貰います」
「ザフィーラ。時々、いや、毎回思うのだが・・・・」
「お前ってはやての守護獣なのか? 雲雀の従者なのか?」
「深く突っ込まないように」
シグナムとヴィータが訝しそうに眼を半眼にするが、ザフィーラは何処吹く風と言わんばかりに流した。
仕方ないので男性陣と女性陣に別れて着替える。
「よっと、わわわ・・・・!」
「き、着づらい・・・・!」
「ちゃっちゃと着替えろヘボコンビ」
「あの、武兄さん、帯の結び方ってこうですか?」
「ああ。でもちょっと上にいってんな」
「やはり日本人はこの衣服が極限にしっくりくるぞ!」
「たくっ、雲雀の野郎。こんな大会社をミッドチルダの拠点にしてやがったとは!」
「ぐぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃ!」
「うるせーぞアホ牛!」
ツナとエンマは和服に着替えるのに手間取りリボーンに怒られ、エリオは山本に手を借りながら初めて着る和服に戸惑い、了平は和服を着崩しをし、獄寺はボスのツナに黙ってミッドチルダに拠点を作った雲雀に不満を漏らしながら、騒ぐランボに怒鳴っていた。
ーなのはsideー
「さぁさぁ皆! 私とシャマルとリインがデザインした着物や! 着替えてや! 髪型もセットしたるわ!」
「あ、皆、和装下着もあるからそっちにも着替えてね! ティアナちゃんにスバルちゃんにキャロちゃんに似合うのは」
「はやてちゃんとシャマルさん、イキイキしてるの・・・・」
「ちょっと、恐い感じがするね・・・・」
「前から主はお前達にも和服を着てほしそうだったからな・・・・」
「私達なんて毎度のようにモデル役をされたぞ・・・・」
「おかげで着替えるのが手慣れちまった・・・・」
なのはとフェイトははやてやシャマルから渡された着物を着ようとするが、慣れない着物に手間取り、アインスとシグナムが手伝っていた。
そして遂に、おっぱいソムリエであるはやての魔の手が、クロームとFW陣の二人に伸びた。
「うわぉっ! クロームさん、ええサイズに実ったなぁ!」
「は、はやてちゃん・・・・!//////」
「おおっ! ティアナは中々のサイズやなぁ! ウェストが細いから余計に大きく見えるわぁ!」
「ちょっ! はやて部隊長!//////」
「スバルも凄いわぁ! 15歳やのにもう私となのはちゃんの中間サイズやん!」
「や、やめて下さい~!//////」
「あわわ・・・・//////」
「キャロ。あんま見んじゃねえ」
キャロがセクハラを見て顔を赤らめるが、着替え終えたヴィータが眼を塞いだ。
「はやて。キャロにはセクハラしないでよ・・・・」
「何言うとんねんフェイトちゃん。子供のキャロにそないな事やったら、私完全に犯罪者やん」
『私達にしても犯罪だからね(ですからね)っ!!』
はやてが憮然とした顔で言うが、キャロとヴィータ以外の女性陣が血管浮かばせて怒鳴った。
ーツナsideー
ツナ達がそれぞれの炎の色(エリオは魔力光)の着物を着て待っていると、女性陣が着物姿で現れた。
クロームは藍色に蓮の花の柄の着物。なのはは桃色の着物に桜の柄。フェイトは黒い着物に白い桔梗。はやては白い着物に朝顔。シグナムは紫の着物に鶴。シャマルは若草色の着物に扇子面。アインスははやてと同じ白に雪の結晶。ヴィータは赤い着物に松竹梅。ティアナは橙色の着物に蝶。スバルは青い着物に藤の花。キャロはなのはと同じ桃色の着物に鞠。
何処かの日本華族の令嬢と言われても納得する程の美しい姿であった。管理局の彼女達のファンならば、泣いて喜ぶ程だろう。
「み、皆、綺麗です・・・・/////」
顔を赤くするエリオだが、ツナ達はにこやかに笑っていた。
「うん。なのはちゃん達、良く似合ってるね」
「綺麗だよ」
「お姫様の集団だな!」
「極限に馬子にも衣装ではないか!」
「このボクシングバカ! それは褒め言葉じゃねえんだよ!」
『あ、あれ・・・・?』
何故か、ツナ達の反応はまるでーーーー“晴れ着を着た妹を見るような視線だった”。エリオのような可愛い反応を期待していたなのは達が首を傾げていると、黒い着物を着たリボーンが近づき、なのは達だけに聞こえるように呟く。
「ーーーーこの間の一件からツナ達はお前らの事を、“身体が大きくなっただけで中身は子供の頃のままの『妹分達』”、と言う印象が付いちまったようだな。もう『女』として見られなくなったかもな」
『ぐはぁっ!!』
なのは達はリボーンの言葉に吐血したように息を吐くと、そのまま胸を押さえて蹲っていた。
「どうしたの?」とツナ達が近づこうとするが、リボーンとヴィータが、「気にするな」と言って、ザフィーラに案内をされ、なのは達はトボトボと足取り重く付いていった。部屋を幾つか通りすぎると、紫色の雲が描かれた襖の前でザフィーラが正座すると、声を発した。
「雲雀様。皆様をお連れしました」
「ーーーー入って良い」
「はっ」
まるで任侠映画のワンシーンのようなやり取りをすると、ザフィーラが襖を開るとソコには大広間が広がっており、
「・・・・・・・・」
「雲雀さ~ん♪」
その奥で黒の着物を着て本を読んでいる雲雀の膝に座りながら、アインスと同じ着物を着たリインが甘えていた。
「・・・・ホントに雲雀の野郎はリインには甘いっすよね」
半ば呆れて呟く獄寺に、全員が苦笑した。
そして改めて、全員が大広間に座り、ザフィーラはリインを雲雀から離れさせると、雲雀の後方に控えるように座る。
「それでな雲雀さん、私ら六課に協力「イヤだ」ーーーーと言うと思っとったわ」
協力をして欲しいと言う前に、即座に断った雲雀にため息を吐いた。
まぁはやて自身、馴れ合い大っ嫌いな雲雀が協力してくれるなんて欠片も期待していなかったようだ。
「僕は死んでも君達と群れたり、一緒に戦ったりするつもりはないーーーー強いからね」
雲雀がそれだけ言うと、これ以上話す事はないと言わんばかりに黙った。
「なんか、『強いから』の一言だけなのに、あの人が言うと不思議と納得できるわね・・・・」
「謎に説得力があるよね・・・・」
初対面のティアナとスバルですら雲雀の言葉にそう感じ、ヒソヒソとそう話していると、雲雀はザフィーラに目配せをした。
「ーーーーザフィーラ」
「はっ」
「『アレ』を」
「承知しました」
雲雀の後方に控えていたザフィーラが中座して部屋から出て、少ししてから戻ってくると、その両手に大きな装置を持っていた。
「雲雀さん、これは?」
「設置型の転送装置。この基地にあるから、君達の隊舎の方に設置しておくように」
「これがアレば、雲雀様はいつでも六課隊舎に行けるので」
それを聞いて、ツナ達(リボーン以外)は。
『(雲雀(さん)・・・・! 群れる気はないって言ってたけど、やっぱり皆の事を心配して・・・・)』
「小動物達を噛み殺したくなったり、ハンバーグが食べたくなったらソッチに行くから設置しておいてよ」
『(ガクッ!)』
「それでこその雲雀だな」
雲雀の言葉に、リボーンとザフィーラとリイン以外がズッコケた。
ー黒い男sideー
「ふぅ~ん。やっと会えたねぇ」
黒い男はスカリエッティから、『その存在』のいる部屋に入る事を許可され、ソコに入るとーーーー“最早スカリエッティから見放されたも同然”の『存在』を見つけて話しかける。
「もうスカリエッティくんは君に興味がないからねぇ。このまま『もう一つの未来の世界』のように君が動くのも、少し味気ないなぁ」
バイオ液に満たされた大きなカプセルに体育座りで眠っているように浮遊している『存在』に、男は話を続ける。
『その存在』が男の言葉が聞こえているかは兎も角、男はコンソールを操作すると、カプセルの中の『存在』に、ある情報を刷り込ませる。
「見えるかい? その男の子がーーーー“君のパパになってくれかもよ”?」
『ーーーー』
男がそう言うと、『その存在』は、口を動かして男の言葉を復唱したようであった。
そうーーーー沢田綱吉の映像を見て。
「フフフ・・・・これから、面白くなるかもねぇ」
黒い男は、片手の手の平に乗せた“二枚のメダル”を弄び、もう片方の手を懐に入れてから、“赤いスイッチ”を取り出した。
「さぁ。もうすぐ君も出会えるよ。“ママ達”とーーーー“パパ”達とね・・・・『聖王』ちゃん♪」
カプセルの中にいる『存在』ーーーー否、『少女』が、口から小さく気泡をポコリと吹いた。
遂に次回で第二部が始まります! 私の『夢』が一つ叶います。