インフィニット/ストラトス 《GOLDBURN》   作:ビブロス

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友達が出来ました、私は元気です。ー愛と欲望の柴犬マスクマンー

セシリア・オルコットはイギリス名門貴族の生まれだ。貴賓と優雅をそのまま人にしたかのような人間である。その黄金のような髪は母親ゆずりだ。母親は名門貴族の長女で家を継いだ、未だ男尊女卑の時代にだ、多くの貴族達が『今さら女貴族など酔狂だ』等と揶揄した。しかし彼女はそれでも貴族としての役割を果たし、その身でノブリス・オブリージュを体現していた。

 

そんな彼女が伴侶に選んだのが父親だった。普通のしがないサラリーマンだった彼だが、何故か母親と面識があり貴族の仲間入りをしたのである。作ってくれる料理はまぁまぁおいし‥‥いやおいし‥‥‥、いや、まぁとても美味しかった思い出がある。なぜあんなに父親が料理作るのが上手いのに私は上手くないのだろう遺伝はしないのか?まぁ、良い、どうせ上手くなる、私の眼は父親に似てるのだから、その眼を通して″それっぽい見た目″にすれば上手くいくのだ、いくはず、多分。

 

彼は普通の″そういう″ところは上手かったが、貴族達との″仕事″は上手くはなかった。どんどんと彼は卑屈になっていた、そんな彼を私は嫌いだった。

 

だから、意思の強く、強引な一面のある男が良かった。多分、そうなんだと思う。でも、見た目だけで判断して女を好きになるような″変態野郎″は絶対に勘弁してほしいところだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ん‥‥‥‥っ?」

 

「やぁ、マドモアゼル、遅い寝起きだ、まさしく眠り姫だ」

 

眼を開けると目の前にはいつも使ってる天蓋付きベッドでの寝起きの光景が入りこんで来る。そして声のする方向を向いたのだ、それを後悔することになった。

 

柴犬を模したラバーマスクを被った″全裸″の男が優雅に椅子に座ってワインを飲んでいた。全裸、全裸!全裸!!!

 

「ぎゃあああああ!!!!」

 

「落ち着きたまげぼわろろろろろろらろ!!!!」

 

「ぎゃあ!!なんで吐きますの!?!意味わかりませんわ!全然わかりませんわ!!!」

 

「クソぅ、下戸なのにワイン三本もあけるからか、死ぬほど頭いたい、テンション上がり過ぎた」

 

柴犬マスクからビシャビシャと紫色の吐瀉物を噴き出す全裸男はさも何もなかったかのようにこちらに″見たくない物を″ぶらせげながら私を見据えた。

 

「うぶらばぁ!!!」

 

「吐き過ぎぃ!」

 

「ふははは、さてセシリア、昨日君は俺に負けた、そのことは覚えているね?」

 

「ぐっ、お、覚えてますわ、屈辱的ですけど‥‥‥」

 

「よし、じゃあ話が早いこれにサインと印鑑お願いしますね」

 

するりと柴犬マスクは私に書類を差し出して来た。婚姻届、と書かれていた。ビリリとすぐに破いた。

 

「うわ!頑張って書いたのに!なんてことするんだ!」

 

「貴方がなんてことしますのこの変態!なんで貴方の伴侶になんて超罰ゲームしなきゃならないんですの!?馬鹿ですの?!」

 

「だってセシリア、あ、セッシーって呼ぶことにするよ、セッシー負けたじゃん」

 

「ぐっ!?で、でもそれが何で婚姻になりますの?!ていうか私まだ15ですわよ!このロリコン!!!」

 

「IS学園は日本国内に存在しているが完全独立自治区、婚姻に関する条文はされていない、故にそこら辺は超グレーゾーンなんですよ、OK?」

 

確かにIS学園はその教科の性質上、他国の思惑が多々交錯していく、その影響を受けない為に学園は完全独立自治区になっている。ISの強力な力故の措置である。

 

「そこまで知ってらしたのね!このロリコン!」

 

「んー、罵倒が心地よい、てなわけで負けた君は俺と婚姻すべきなのだ、OK?」

 

「勝負事で結婚相手を決めるなんてとんだゲスですのね、どうせあたくしも見た目だけで選んだのでしょう?」

 

「んじゃあセッシーは見た目で選ばないの?」

 

「選びませんわ!!男性はそんなことでしか伴侶を選べませんの??!」

 

「いや、まぁ、俺が結婚したい理由は顔も一因ではあるけど、他にもあるんだけどもさ、んでサインしてよ、ね?」

 

「しっ!まっ!せっ!んっ!わっ!」

 

「セッシーは強情だなぁ、超アナル弱そう」

 

「アナっ!?!ぶっ飛ばしますわよ!?!」

 

「へっへっへっ、そう言って負けたのはセッシーだぜぇ?まあ、後々話し合うということで、んじゃ部屋帰るよ、お腹ごめんねそれしか決め手がなかったんだ、今日は1日痛むから容赦してくれ」

 

そう言いながら柴犬マスク、いや、霧島斎は私の部屋から出ていった。私の部屋に吐瀉物撒き散らしたまま″全裸″で廊下に出たのだ。

 

『おい、霧島、なんだその格好は‥‥‥』

 

『げっ、ちーちゃん!!いやさ、セッシー嫁にすることになったらテンション上がって脱いじゃがぱあああああああっっっ!!!!!』

 

ドグシャアアアッッ!!!とバットで顔面フルスイングしたかのような音と共に霧島の悲鳴が聞こえて来た。どうせ寮長の千冬先生に見つかって制裁を受けたのだろう、ざまぁみろである。

 

とりあえず、私が負けたのは純然たる事実であるが、結婚しろと言う約束など断じて承諾するものではない。全力で拒めばあの変態も引くことだろう。

 

 

 

 

 

 

そして次の日である、霧島はIS格納庫内で自分の専用機″GOB″を見上げていた。後で送られて来たスペックデータを見て、さすがにこれは対応せなならんやろ、ということになったのである。

 

まあ、最初から結論を言ってしまえばGOBのコア内AIが全然稼働していないのである。

 

現存するISはそのどれもがパワードスーツ、人が着込む機械として存在している。故にその挙動は自身が動くことにより操作することになる。同類の物として軍等に配備されているエクソスーツ等の強化外骨格等が挙げられるのだが、如何せんあちらは人間のパワーと継戦能力の向上が目的なのだが、ISはそれに加えて飛行と高度な火器管制システムが組み込まれる、極めつけは唯一仕様(ワンオフアビリティー)と呼ばれる特殊機能だ。

 

唯一仕様についてはAI関係の話としては後にしていて良いものだが、重要なのはAIによる″学習″の件である。ISは″専用機″などと個人に重要な国家財産を割り振られるほどに機体に個々人の癖が顕著に出る。専門家が言うには″挙動の最適化″、端的に言えば″曖昧″な部分の修正。

 

人間特有の″揺らぎ″、血圧、脈拍、アドレナリン、心理状態、様々な要因により人間は同一の挙動を寸分の誤差なく永遠に続けることはできない。それを補完する。加えて搭乗者が認識出来ない、人には存在しないスラスターやカスタムウイング、そしてFCSなどの操作を補完する。

 

加えて経験を積めば積むほどAIは機体の最適な挙動を実現する。長く戦い、多く敵を倒し、機体の損傷を限りなくゼロにすることを目指すのだ。機体の重心移動や、機動制御、はては関節やフレームへのダメージ軽減などをAIはおこなってくれる。

 

まあ、これが全く動かないのが″GOB″なのである。正しくはコアのAIではなく別枠で載せてるAIで挙動させているのだ。多分、他のAIに比べると完全にトップクラスの処理速度やかなりの数の情報を並列処理を出来るのだが、コアに比べれば″全然″だ。なのでこのAIを再調整してもらいたいのだ、整備課に。

 

んで格納庫に来ているのだ。が、どうにも柴犬マスクのピッチリ″ISスーツ″着ている俺が魅惑的過ぎるらしく、そうとう遠巻きにされて、一切近寄って来ないのだ。″ヤバイのいる″、″マジヤバイ″、″半端なくISのインナーパツパツじゃん″、″超キモイヤバイ″、等々俺に聞こえるように宣っているのだ、あぁ、バニハーバニハー、ゆーめーだーけはー、である。

 

仕方ないから近付いていこう。

 

「今から俺と鬼ごっこだ!捕まったら入念にハグした後亀甲縛りにしてから俺のISを整備させてやる!いいかぁ!わかったかぁ!↑←↑だ!いいか!亀甲戦記だ!いいかぁ!返事ぃっ!」

 

「「ぎゃあああああああ!!!!!!?!!?!!?!」」

 

「ヒャッハー!女子高生だぁー!40過ぎの童貞の陰毛を寄り合わせたこの縄で縛られるのは誰だぁー!?ハッハー!ハッピーだぁーっ!!食い込むぞぉ!食い込むぞぉ!食い込むぞぉ!ちゃんとISのインナー着ろよ!いいな!わかったな!」

 

「「いやぁあああああああああ!!!!!!!?!?!」」

 

「や‥‥!、やめろよ″霧島″!!」

 

逃げ惑う女子高生達の中から多少びびりながらも勇気を持ってその″男″は現れた。少しばかり高校生の平均よりも高い背丈、″ちーちゃん″と似ている顔立ち、同様にほんのり青みがかった黒髪。俺と同じもう一人のISが操作可能な″男″、織斑一夏である。

 

「やりすぎだろ!みんな嫌がってるだろ!」

 

「おー、イッチーじゃん、どうして此処にいるの?」

 

「はえっ、いや、俺の専用機が来たから調整してもらおうかと思って‥‥‥」

 

「なるほどなぁ、俺も一緒なんだよー、だからさー、一緒手伝って欲しいって頼もうぜぇ」

 

「え、あれって頼んでたのか?本当に?」

 

「だってああでもしないと手伝ってくれないじゃん、ね?」

 

「そりゃあ、そんな格好してたら誰も手伝ってくれないだろ」

 

「それに専用機なんて国家機密に片足突っ込んだ物を整備してくれって頼んでオッケーもらったって、そいつの関係者に『秘密見ただろお前、探ってんのか?』ってつつかれるじゃん、それなら俺が無理矢理やらせましたよー、で良くない?そしたら『無理矢理させられたか、口外するなよ』で済むわけだし」

 

「え、あ、まぁ、確かに理にかなってる気がしなくもないけど、縄で縛るってお前‥‥」

 

「イッチー、それは芝居だよ、無理矢理やらされてるって体面だよ、人間は外側ばっかり見るからね」

 

「なら、もしかして霧島は正しいことをしてる‥‥‥のか?」

 

「そうだよ、それに嫌がってるなんて言っているが、結局彼女達は格納庫内から出てないじゃないか、それはあれだ、あれだよ、″嫌よ嫌よも好きのうち″ってやつさ、ほら、整備って色んな種類のメーカーの触らないと一人前にならないじゃん?」

 

「そうか!そうだったのか!!なら俺も縛らなきゃな!整備のためだからな!」

 

「そうだよイッチー!君は物分かりがいいなぁ!さぁ、縛ろう!整備のために!あと友達になろう!男同士な!」

 

「あぁ!男同士だからな!ヒャッハー!」

 

良い調子で織斑一夏は口車に乗せられて即座に荒縄で女子を縛りあげるのが良いことだと思う変態になった、凄く純粋で良い子なんだろう、あと凄い鈍感。俺が女子達が逃げられないように格納庫のドアのキーロック変更しただなんて全然知らないんだから。

 

でも、男の友達が出来たのはとても嬉しいことだ。

 

と、調子良く女子を捕まえようとしたが、格納庫のキーが変更されたことに気付いたナッシーにメス汁プシャーするレベルで怒られて暴力で鎮圧された。一夏と一緒に。

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