「………」
私は、あの少女が来るまで絵画の前でふらふらしていた。
あっちへぐるぐる、こっちでふらふら…こんなことは今まで何度もあったはずなのに、暇で暇で仕方なかった。
『イレカワラナイトデラレナイヨ』
あの人形の言ったことが甦る。……誰かを、犠牲に。
でも、あの少女を犠牲になんて出来るはずが……っ!
「誰………?誰なの、こっちに来たのは……」
私たち絵画は、誰かがこちらに入って来たことを察知できるらしく、今ここに誰かが来たのがわかる。
(でも、都合いいや……その人を、犠牲に…殺して、しまえば私は…)
でも、私自身は動くことしかできない。どうしたらいいの?
(そうだ……きっと何か、命の代わりがあるはず)
そういえば、何かを生ける花瓶があった…だから、きっと何かの花を、もっているに違いない。
そう考えた私は近くにあった薔薇を見つめた。黄色い、偽物の花。
「そういや、よく花占いして遊んだっけ…」
「じゃあ、その花さえ無くなってしまえば……!」
そう考えた私は近くで佇んでいた赤い服の女にそれを伝えた後、ハッとした。
「じゃ、じゃあ、あの子が既にいなかったら………ど、どうしよう助けなきゃ!」
私はいてもたってもいられず、この部屋を飛び出した。
数分後―――
私はしばらく走ったままだった。急がないと、そう思って扉を開けた瞬間、
ドンッ
何かとぶつかった。そのまま、私は地面に叩きつけられる。
「痛………」
「大丈夫?」
そうやって手を伸ばしてくれたのはあの少女だ。私はやっと会えた喜びと痛みで顔がひきつってしまう。
「ねえ、貴女……もしかして美術館にいた人じゃないの?」
「え……あ、うん。私も、誰かいないか探してて……」
いきなり声をかけてきたのはボサボサなワカメのような髪形をした大人だ。
「やっぱり!私たちもそうなのよ。どうせだし一緒に行かない?ここ、変な生き物とかいるみたいなのよ」
ピクッ、と私の眉が動いた。変……?変な生き物…?
「う、うん……行く!」
少女のほうの手を握りながら、私は考えた。
変……多分、私たちのことをさしているんだと思う。なんで、なんでそんなこと言うの?
私たちがどれほど寂しかったか、知らないくせして偽善者ぶって。
「アタシはギャリー。で、こっちがイブ」
「よろしく…」
「うん、イブよろしくね!」
小さな声で挨拶をするイブに、私は笑顔で挨拶を返した。
「じゃあ、行きましょうか」
そういって進んで、花瓶に花を活けているところを見るとやはり、薔薇が命と同義らしい。
(ギャリー……絶対、許さないよ)