戦闘民族は迷宮都市の夢を見るか 作:アリ・ゲーター
魔石灯の淡い光に照らされ、群青の液体が傷口を覆い、癒してゆく。
汚れ、削られ、くすんで見える紫紺の鱗も液体がふりかかると急速に再生を始め、出血も収まった。
なるほど、と感心する。
「おい」
肩を掴みゆさぶる。
閉じていた目がわずかに開き、小さく呻きを漏らした。
朦朧としてはいるが完全に意識を失っている、ってわけでもないらしい。
もう一本の
だいぶ口の端からこぼれたものの、喉が動き、嚥下した事がわかった。
やがてその目が焦点を結ぶと、弱々しげに、諦念した瞳で言った。
「……まダ、弄ぶカ。早く殺セ」
「いや、その気はねえけどな、本当に喋れるんだなあ……」
現状この廃坑の中、意思疎通が可能で、そして息があるのはこの
身も蓋もないが敵対するなら改めて倒せばいいとも考え、とりあえず
そしてやはり
「とりあえず言っておくと、俺はお前を倒すために雇われた──んだが、細かい事情はぜんっぜん聞いてねえ。お前みたいな妙なのが相手だって話もな。俺はラミアってな会ったのも初めてなんだが、人の言葉喋れるもんなのか?」
「……否、ダ」
言葉をかけてみれば、諦めきった様子で逃げる事もこちらを襲うそぶりも見せない。
俺はどうしようかと頭の後ろを掻きつつ、どこに住んでいたのかと聞く。
ラミアはその黄銅にも似た色の瞳で、初めて見たもののように俺を見た。そして言う。
「ダンジョン。お前タチがオラリオと言ウ場所ダ」
「……そりゃまた。よくこんな所まで来れたな」
どんだけ離れているというのか。同じ大陸の北側というのは違いないが。
「フ……ふ、自ラ来たなラ良かっタ」
連れ出したのは
「弱らさレ、閉じ込めらレタ。運ばレ、鎖につながレタ」
そして、と言いかけ、身を震わせる。言葉にならない、と言うように自らの肩を抱いてうつむいた。
嬲る、とか弄ぶ、とかいう言葉が出てくる以上
『怪物趣味』そんな性癖を聞いた事もある、お目にかかった事はなかったが。要するにモンスター愛好家というか、モンスターに欲情するたぐいの人間の事らしい。そんな人にとっては言葉を喋るラミアなんて、それはもう垂涎モノなのだろう。実際どんな事を致していたかなんてのはちょっと想像つかないが。
「それで、逃げ出してきたのか?」
「……そうダ。弱り切っタように見せたら、油断しタ」
ラミアは何かを思い出すように目を閉じ、開け、俺を見た。
「あノ……白い……冷たいモノは、空かラ降っているモノは、何と言ウ?」
「ん? あー、雪の事か?」
「……雪。そう呼ぶノか」
あれは綺麗だった、と微笑みを浮かべる。
ほう、と息を吐くと脱力したかのように腕を垂らし、目を閉じた。
「──満足ダ。もウいい。お前のような
「いや、さすがにもう殺す気はないんだけどな」
見境なしに殺すの大好きってわけでもない。
モンスターとはいえ言葉を喋り、意思疎通ができるのだったら、敵でない限り、倒そうという気分にはなれないようだ。
ラミアは目を大きく開き、おかしなモノを見るように首を傾げる。
「お前ハ私を倒スために雇われタと言っていたガ?」
「そうだなあ、だから依頼は失敗だ」
仕方無い、と面倒ごとを背負い込む事を決める。
ここで見逃すだけだと間違いなく後味が悪い。
それに、そういう事情があったのなら、この場合むしろ敵になり得るのは──
「ちょっと待ってな、依頼者と
どこかぼうっとした様子のラミアを放置し、俺は廃坑の入り口に向かって歩き始めた。
□
「随分時間がかかったな」
入り口から出ると待っていた隊長が開口一番そう言った。
「ああ、中々手強かったからな」
「仕留めたのか!?」
「証拠の魔石は無い。砕いちまった」
「……む、そうか。ディッジ! 確認してこい!」
兵の一人が廃坑の中に入ってゆくのを見、何か考えるかのように隊長は髭を撫でた。
「それで貴様、ナッシュとか言ったか。ご苦労だった。後金を払わねばな」
「確認してからでも良いんじゃねーか?」
「なに、どのみち
そう言い、隊長は懐から皮袋を出し、こちらに投げる。
「金貨は不足していてな、砂金で替えておいてくれ、それと……モンスターは『変わり種』だっただろう。口止め料だ」
そう言い、隊長は懐から
「殺れッ!!」
合図に従い、周囲の兵達が装填していたクロスボウの矢を放ち、さらにトドメと腰構えにした剣、そして槍で突きかかってくる。
「いいねぇ」
至近で放たれたクロスボウの矢を躱し、突きかかってくる武器に手刀で撃ち合い、壊す。
こうして戦う気満々で来てくれた方がやはり単純明快で良い。
「んなッ!
「そりゃまた高ぇもん使ったなあ」
さっき振りかけられた液体だ。やけに毒々しい色をしていると思ったら相当な劇毒だったらしい。
『
おそらく俺も不用意に、何の備えもない状態で触れてしまえば毒に侵される。身体機能も気で高まっている分並より回復が早いだろうが、ダメージを受けるのは間違いない。
もっとも、気を纏って触れる前に弾いてしまったのだが。
「そんなこったろうと思った」
とりあえず全員無力化し縛り上げておく。
弾いた
「後で助けは呼んでやるよ」
そう言い、野営の天幕の中にまとめて放り込む。
さて、と廃坑に入ろうとして、ふと思い出し、さっき受け取った皮袋を開けた。
「……だよなあ」
砂のぎっしりつまった袋を腹いせに天幕に投げこむ。誰かに当たったらしく、ぐうという呻きが聞こえた。
廃坑内で先に入っていったディッジとかいう兵に追いつき、とりあえず首を絞めて落とす。
そいつを肩に担ぎ、奥に向かった。
「よう」
「……仲間割レか?」
ラミアの居た場所まで行くと、逃げもせずに待っていたようだった。訝しげに俺が担いでいる兵と俺を見比べる。
「違えよ。とりあえずここを出るぞ、動けないならお前も担いでやるけど」
「……いヤ、動けル」
なぜか驚いたような顔でこちらを見る。
よく分からないが、問題ないようなので再び廃坑の入り口に向かい歩き出した。行ったり来たりとどうも目まぐるしい。
坑道を歩く音、そして蛇体の動く静かな擦過音。
何も喋らず……ってほど無口でもないので、多分ラミアが疑問に思っているだろう事を道々に説明する。半分は推測も含んでいるが。
ここの領主、あるいはそれより上の立場の者はいわば『怪物趣味』だった。そしてどういう伝手だか知らないが、言葉を喋るラミアを得た。
歓喜するそいつだったが、ある日ラミアが逃げ出す。
元より弱っていたはず、とあなどり養っていた私兵で探し追い詰めるも逆襲され被害を出した。
慌ててラミアを殺す、あるいは消耗させるために渡りの傭兵や冒険者を当たり、雇う。
「口封じも込みでな」
結構な手際で殺しにかかってきた。
実際
「
多分、言葉そのままの意味なのだろう。
俺はそうだな、と頷く以外、上手い返し方を思いつかなかった。
□
いったん町に戻り、酒場の主人に「案の定だった」と報告した。拘束しておいた私兵達の救助、その手配も頼む。
別に慈善事業ってわけでもない、これはこれで酒場の主人が私兵の主に貸しを作れる、あるいはもっと直接的に報酬を要求するかもしれない。
そして俺はそういう『儲け話』を持ち込んだ客だ。酒場の主人もその辺は判っている。何か欲しいモンはあるかと言うので、かなりの量の食料と酒を融通してもらった。
元から持っていた荷物はでかいバックパック一つ分だったが、さすがに食料や酒もあると
いつしか雪は止んでいたが、日も落ちかけている。
そんな時間帯に荷車を牽いて門を出ようとするなど不審も良いところかもしれないが、そこは田舎の良さというかなんと言うか。守衛に酒を一瓶汲ませたらあっさり通してくれる。
雪が積もっているとはいえ……いや、むしろこの時期ならではという事か、ソリを使って物を運んだらしい、街道は綺麗に固められている。結構な重さになった荷車を引いても、車輪が埋まりすぎるという事もない。
しばらく荷車を牽き、薄闇が落ちかけた頃、よっこらせとばかりに荷車を担いで飛び上がった。
ドワーフの廃坑から1
離れる前に作っておいた火はさすがに弱くなっている。荷車を地面に置き、薪を継ぎ足した。
「ぁ、む……?」
物音で気づいたか、焚き火で暖を取りながら眠ってしまっていたらしい
私兵達からかっぱらってきた陣幕で覆い、風は防いでいるのだが、当たり前に寒い。蛇の要素が入ってるモンスターだけに、冬眠とかしたくなってくるのだろうか?
とりあえず先程買って荷車に積んだ古着を出し、ラミアに着せた。上半身は人の女の姿で、かつ裸なのだ。欲情するって事もないが目のやり場には困る。
「……慣レないが、暖かイな」
何となく落ち着かなさそうにウールの
蛇体の部分は動くのに必要らしく、着衣はしたくないらしい。
見た目の上でも、毛糸のセーターに無理矢理蛇の体を押し込んだラミアとか、シュールにもほどがある。俺も無理にとは言わなかった。
さて、と呟き、俺は火の上に鍋をかけた。周囲に積もっている雪をかき集め、鍋に入れて溶かす。いろいろ話さなくてはいけない事もあるが、まずは腹ごしらえだ。
ベーコンの固まりをザクザクと乱雑に切り、ポロネギやジャガイモ、赤カブや赤キャベツもザクザクと切り、鍋に投入。
薪を追加、火を強め、煮立たせる。煤がでるので鍋でないと出来ない。
火が通り、カブが煮溶けてきたら男料理のボルシチもどきの完成だ。真っ赤な色、浮いた脂、こってりと絡みつきそうな香り。もっとも、多分見た目しか再現できてないが。
木の椀によそいスプーンを入れ、ラミアにも渡す。
そういえばモンスターってこういうのを食べられるのか、とか食べ方判るのかとか一瞬思ったのだが、一瞬ためらった後、普通にスプーンを使って食べ始めた。
「……旨イな」
あっという間に空にし、脱力したようなため息を吐いた。
「そいつぁ良かった。というか何食ってたんだ?」
「……ダンジョンでは
「そうか……パンも食うか?」
頷くラミアにお代わりをよそい、硬いが腹持ちの良いパンを渡す。
「こレがパン……」
「初めてだったか?」
「話ニ聞いた事はアった」
そのまま食べてもいいがと、俺は一つパンを取ってちぎり、スープに浸して食べる。
この辺りのパンは原料がライ麦だ、重くてどっしりしている。食べ方も薄切りにして具を挟むとか、スープでふやかして食べる方がうまい。
しばらく二人とも無言で食べ続ける。
ラミアはよほど空腹だったのだろうし、俺は俺でだいぶ腹を空かしていた。
やがて大鍋一杯に作ったボルシチもどきも無くなると、ラミアは満足気な吐息を吐き、言った。
「旨カった……」
「そりゃ良かった。
「……そ、そレはなんダ、ホ、本当か」
食いついた。フィッシュ。蛇なのにフィッシュ。目の輝きが違う。食い気キャラなのだろうか。
「本当だよ、ただ作れる奴が遠い場所に居るんでな」
「ソうか……」
がっくりと首を落とす。ちなみに
腹ごしらえをし終え、弱くなった火勢を補うために薪を一つ放り込む。
それで、と話を切り出した。
「お前はこれからどうする?」
「……これかラか、考えタ事も無かった」
置かれた環境を考えればそうかもしれない。未来を望む事は出来なかったのだろう。
ラミアは星を見上げるように顔を上げ、目を細める。誰かの名前のような単語を小さく呟いた。
やがて困ったように俺を見て、首を振る。
「どウしよう?」
「と、言われてもなあ……何かやりたい事とか欲しいものとかねえのか?」
人生相談じみてきた。ラミアはどこかぼうっとした様子でそういえば、と問題の答え合わせをする生徒のようにこちらを見て言った。
「子供がホしい」
「……なんだそりゃ」
酒を吹きそうになってしまった。
母性溢れすぎてるのかもしれないし、もしかしたら食料的な意味で欲しいのかもしれない。
後者だったら困る。
「フェルズが言うニは、憧憬。私モ……何度も思イ出す、親と子。あんナ風に静かニ暮らせレばと」
何かを思い出しているのか、ラミアは目を細め、穏やかな微笑みを浮かべた。
フェルズとか憧憬とか、どうも分からないが、とりあえず物騒な意味での『子供が欲しい』ではないらしい。
「子供なあ……地上だとラミア自体ほとんど話を聞かないし、どこかには居るんだろうけど、難しそうだな」
「そウか……」
そもそも
俺はぼんやりと考えていた事を思い出し、言った。
「子供はともかく静かな暮らしならちょっと当てがある。聞くか?」
□
ユーラル山脈、その南方には中央を抜ける街道と内海を挟み、さらに東西に走る山脈がある。
領土としてはラキアの端っこ、辺境と言ってもいいかもしれない。
険しい山々が連なり、住んでいる動物は崖をものともしない山羊やカモシカくらいなものだ。ふもとの森林地帯には多様なモンスターが居ついている。人の集落はなく、それどころか踏み入れた形跡もない。未だ人跡未踏と言って良いような土地だった。
山々に囲まれたすり鉢状の盆地がある。三つほどの川の流れが合流し、朝夕には霧が多い。
空気が滞留しやすいためか、湿度がほどよくあるためか、標高の割には暖かいようで、その盆地だけふもとと同じような木々が見えた。
「ほっ」
と気の抜けたかけ声と共に手刀で薪を割る。
綺麗に割るには気を薄く硬く循環させ刃のようにする。地味だがコントロールの修行には良い。
積み上げた薪はすでに俺の身長を超えている。もちろん薪割したからといってすぐ使えるわけでもない、来年の秋頃には何とか使えるかといった所だ。今は集めた枯れ木を燃料にして何とかしているが、やはり時間がかかる。
「白石はスりつぶシたが……?」
声をかけられ振り向くと、不思議そうな顔で鉢を抱える
お疲れさんと声をかけ、鶏小屋に入り、飼料箱を開け粉状になった石灰岩を入れ混ぜる。
「貝殻でもいいらしいんだがこれを混ぜておかないと卵がうまく出来ねーらしい。そんなに一杯混ぜなくてもいいみたいだけどな、一週間に一回くらい今の要領で餌に混ぜるくらいで良いんじゃねえか?」
「分かっタ、やっテくる」
そう言い、椀に飼料を盛って、鶏の給餌箱に餌を入れに行く。
さて、と言い 俺は家の外壁に立てかけた鍬を持って畑に行った。
でっかい木を根ごとひっこ抜き、その木でもって慣らした土地だ、広さはどのくらいだろう、まだとりあえず試してみたって感じでもあり、それほど広くはない。
ざっくざくと端から鍬を入れていく。柔らかくするだけならもっと簡単な方法もあるが、これは土をひっくり返す作業だ。大ざっぱに殴って完成とかそういうもんじゃない。寒い時期にやっておくとカチコチに固まっていた下の方の土に霜が入り、溶けたりすることでほどよくほぐれる……らしい。他にも何か理由があったと思ったが、畑いじりをやっていたのも農場にいた一年だ、さすがに細かい事は覚えていない。
「……そのうちロイにでも聞きに行くか」
農場に居たときの友人を思い出した。
畑の土起こしはしたものの、この後どうしたものだったかと。
何か蒔いていたような気もしたが、種を蒔く時期より少し前で良かったような気もする。
はて、と首をひねりつつ、とりあえずはもうやる事も無し、土から出てきた石を担ぎ上げて家に戻る。割れば漬け物石にちょうど良さそうだ。
旅から旅の暮らしは楽だが、稼ぎが増えるにつれ荷物も増える。宝石類に替えても換金場所がそうどこにでもあるわけじゃない。商売の神を主神に抱くファミリアが運営している銀行もあるのだが、実際に【ファミリア】に所属しているわけでもなく、偽名でもって稼いでいる身としてはなかなか利用しづらいものでもあった。
ただ拠点と言っても、俺は俺であちこちに飛び回っていたい。安全に荷物を置いておく事ができ、どうせなら体を動かして鍛錬できるよう、人里から離れた場所が良い。
いっそ空からしか行けないような場所に家を建ててしまえ、と思ったのはある意味自然な考えだったと思う。
二週間かけて、ひとまずここまでは形が出来た。
今まで簡易な小屋くらいしか作った事はなかったが、今回の家は丸太を組み上げたログハウスだ。組み上げた状態で乾燥させるため、切り倒してすぐ使える。力は有り余ってるだけにガワだけはすぐに出来た。
内装はおいおい整えるとして、
周辺の森にはモンスターもいたが強くはない、一番手強そうなのがアルミラージくらいのもので、普通の狼の方が強いかもしれない。一度だけ山に住んでいたらしい
「ミィズ、卵取りすぎじゃね?」
「早イ者勝ちだ」
10個以上の茹で卵を抱え、皮を剥いてはほくほくと食べるラミア。
ミィズという名前があったらしい、これは自分で思いつく事もあれば『
俺は付近で採れた野生の
ミィズにはそれなりに暮らせるよう生活の知識を教えていたが、恐ろしいほど柔軟に飲み込んでいく。
たまに力加減を間違えて井戸からつるべを引き上げようとして勢い余り水を被ったり、野鳥を捕まえようとして、捕まえたはいいが登っていた木から飛び出してしまい川に落ちて水を被ったり。
意外と天然なのかもしれないと最近は思っている。
テーブルなども無く、床板に座っての夕餉を終え、暖房用に石を削って作った火鉢を置いた。そのうち同じ要領で暖炉を作っても良いかもしれない。煙突が面倒臭そうだが、そこは外で調達してくればいい。
寝台なども作ってはいない、現状床にごろ寝だ。毛皮を敷いてあるのでそう寝心地は悪く無い。
寝ようかと思った時、ミィズが声をかけてきた。
「アウル、あリがとう。
「……おう、気にすんな」
まっすぐに礼を言われると中々恥ずかしい。割となりゆきだったし、そう重く取られても、なんというかアレだ。
むずむずしたものを感じて背中を向ける。
「囲い者といウのも悪ク無いのダな」
「ちょっと待て」
すぐに向き直った。
「どこでそういう言葉を覚えてきたかは何となく分かるが、囲い者って意味違うからな」
「……そうナのか?」
「お前が俺の妾にでもなるなら別だが、そういうつもりは無いだろ?」
「ウん、アウルは連れ合いとしテは興味無イ」
それはそれで微妙な気分にならなくもないが……
前聞いたところによるとミィズの好みは
「囲い者ってどっちかというとそういう意味含んでるからな」
なんと、と言いたげに大きく目を開く。
「……その、エっと、すまナい?」
「いーから寝とけ。明日は晴れそうだし狩りを教えてやる。結構コツがあるからな」
そう言い目を閉じた。
自分の感情は理解している。
極東の孤児達と同じだ、付き合った時間は短くとも友達だと思っている。
種族はモンスターであれど、俺の感性ではミィズもまたヒトの範疇でもあるのだ。
それは多分異常に思われるのだろう。
それでもいいと思った。
自分の思いを曲げるとしたら自身でなくてはならない。
世の中などに左右されたくはない。
(堅えなあ)
口の中で自分を笑い、やがて意識は暗く落ちていった。