御坂「その手のひらに浮かんでいる数字、正直気味が悪いけど興味深いものではあるわ」
白井「そのようですの。わたくし学園都市に来て今までいろいろな出来事に驚かされてまいりましたが、未来人に会えるとは全く想像しておりませんでしたの」
「何よ黒子? もうこの人の話信じちゃってるの? 人をあまり疑い過ぎるのも良くないけど、信じすぎるのも良くないことよ。脱ぎ女の時だってそうだったじゃない!」
「あれは… 元々は佐天さんが言い出したことですの」
そう言いつつ御坂と白井は、再び自身を未来人と称する長谷川の手のひらを見つめている。確かにそこにはマジックなどで書いたとは到底思えない数字が浮かんであった。それはまるで彼の血管によって書かれたのではないかと思えるほど、人間の血の色に似た色をしていた。
長谷川「まあ、本当は誰にも俺の正体を明かしたくはなかったんだが… 巻き込んでしまったからには仕方がないよな」
「あんたの話が本当か嘘かはともかく、何者かに襲われてるってことから考えて、かなりやばい状況下にあるってことだけは分かったわ」
「ああ、今はそのぐらいの認識でいいさ。こればかりは時間をかけてゆっくりと信じていってもらうしかないからな」
「とりあえずせっかくこうやって知り合ったんだし、どこか一緒にご飯でも行かない?」
「… いいのか? こんな俺なんかと一緒に飯なんて?」
「勘違いしないで下さいまし。お姉様はその性格上誰にでも優しく接しますの。別にあなたに気があるというわけではありませんの」
「アハハ… そうだよな。分かってはいたが、いざそう言われると心にくるものがあるな」
「ちょっと、そんな言い方しなくてもいいじゃない! 本当アンタは私が親しくなろうとする人に対して、いつでも冷たいわね」
「当然ですの、お姉様にまとわりつく虫は、すべてこの白井黒子が一匹ずつ排除させて頂きますの。あー、愛しきお姉さまー」抱きつこうとする
「ヤメんか、ボケ!」電撃
「ああ!」
「お前らって、そういう関係だったのか…」
「ち、違うわよ。あたしにそういう趣味はないわ。黒子が一方的にあたしに求愛しているだけだから」
「もう! お姉様ったら『求愛』などとおっしゃって、わたくしはサルや鳥などのような野生動物ではありませんの」
「アンタのその行き過ぎた愛情は、動物の求愛行動と大して変わりないわ」
「…」
「まあ、あれだ。せっかく連れていってもらえるんだったら、今回は俺が二人の飯代おごってやるよ!」
その場の空気が少々悪くなったのを見かねた長谷川は、この悪い空気を絶ち切るために心にもないことを言ってしまった。
「いいの? 助かるわ。今月お金がピンチだったのよね」
「ありがとうございますの、それではお言葉に甘えて」
「(ああ、本当はおごりたくはなかったんだがな。言うんじゃなかった…)」
そうして3人は学園都市内にあるファミレスであるジョセフにやってきた。もちろん長谷川のおごりで…
「さあさあ、どんどん食べて下さいまし」
「オイ! それはお前が言っていいセリフじゃないだろ」
「… わたくしなりにボケてみましたの。ところで、いい加減名前で呼んでもらいたいですの」
「ああ、そう言えばまだ名前で呼んでなかったな。なら…」
「白黒テレビでいいか?」
「… 笑えませんの。何です? そのおかしなあだ名は。わたくしパンダだのオセロだのと言われたことはありますが、白黒テレビなどと言われたことはこれが初めてですわ」
「悪い悪い、冗談だ冗談。ならシンプルに黒子でいいか?」
「それなら構いませんの」
「じゃあ、そっちは… 御坂でいいか?」
「何であたしは名字呼びなのよ! 」
「お前は… 見ていて何だか怖かったからな。正直少し距離を置いておきたい」
「…」
「ハハ、距離を置きたいってのは冗談だ。御坂は何か下の名前で呼ぶ気がしないんだ」
「ふーん、それならいいわ」
「じゃあ、あたし達はアンタのこと何って呼べばいいの?」
「そうだな、シンプルに海でいいよ」
「分かったわ」
「了解しましたの」
お互いを名前で呼び合うようになった3人が、打ち解け合うのにそう時間はかからなかった。彼らは自分の生まれた町のこと、趣味、学校でのことを話し盛り上がっていった。
「こう見えてお姉様にはお子様趣味なところがありまして、お気付きかと思いますが、先程も中学生にもなってお子様ランチを注文しているという」
「う、うるさいわね! あたしも好きでお子様ランチなんか頼んでるわけじゃないわよ!昨日からここではお子様ランチを頼むと、もれなくゲコ太ストラップがもらえるキャンペーン期間中なのよ」
「それに、アンタだって人には言えない趣味の一つや二つぐらいあるでしょ」
「はて? わたくしの趣味と言えばお姉様の写真集め、お姉様の制服、お姉様の下着、お姉様の靴下、お姉様の…」
「ダメだわ、こりゃ」
「黒子はいつもこんなんなのか?」
「いいえ、ジャッジメントの仕事とか学業はきっちりこなしてるわ。こないだも優秀ジャッジメントか何か知らないけど、学園都市本部から表彰も受けてたし」
「へえ、黒子って意外と頑張り屋さんなんだな」
「意外とは失礼ですの。まああとはお姉様さえわたくしの物になれば、この黒子、もう思い残すことはありませんの」
「望み薄だけどね」
「(この二人とは何だかんだで上手くやっていけそうだ。この時代で知り合いや友達を作るつもりはあまりなかったが、この二人とは友達として付き合っていきたい)」
長谷川は御坂と白井の魅力に取り込まれていった。しかし彼が御坂や白井と仲良くしていくあまり、御坂と白井もいずれ時空をまたいだ戦いに巻き込まれ、未来と過去の狭間で苦しみ、そして悲しむことになっていく…