ヒューマノイドと警察官 二章   作:とましの

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20話

若者の存在に気付いた光秀は笑顔をかき消して魚住の後ろに隠れようとする。その反応も珍しいと思いながら魚住は外国人にしか見えない若者を眺めた。

「警視庁に用か? それなら向こうの受付に…」

「僕をよく見なよ。どこをどう見てもここの警察官じゃないか」

白いスーツの若者はにこやかな顔でくるりとターンして見せる。陽気で明るい男を真顔で眺めていた魚住は腕を組み真剣に考え込み始めた。

 

捜査一課長をしている魚住は、一課以外の警察官まで把握できていない。それでもこんな金髪の警察官がいれば嫌でも目に入ると思えるのだ。それでも覚えがないのなら、彼は今まで魚住の前に立ったことがないということになる。

 

そんな事を考えていると若者が青褐色の瞳を細めて笑顔を強めた。

「僕は先に一課へ行くよ。課長は3号君としっぽり楽しんで」

完全に茶化してきた若者にさすがの魚住も苛立ちを隠せなかった。若者をにらみ一歩前へ出ようとしたが、背後にいる光秀に腕をつかまれそれを阻まれる。

そのため振り向くと光秀は顔をうつむかせたまま首を横へ振っていた。

「どうした?」

「……俺の魚住に何かしたら、テメェでもぶっ壊すぞ」

唐突にいつもより低い声を発した光秀はわずかに頭をもたげる。そうして若者をにらむ目は紫色に変わっていた。

魚住を見ることなくまっすぐに若者をにらみつける。そんな光秀の変化に驚きながらも、魚住は若者に目を向けた。すると若者は少しせつなげな顔の後に微苦笑を見せる。

「僕が一課長に何かすると思う? これから一課長の下で捜査に加わる予定なのに」

「その気になりゃ一瞬だろ」

「それは否定しないけど、でも僕たちは守る側だよね?」

若者がそう問いかけると光秀はにらむことだけはやめた。ばつの悪そうな顔で魚住を見上げるが何も言わず視線を落とす。

「俺はそうだけど……」

「僕もそうだよ。3号君」

ゆっくりと若者は自分の胸に手を当てた。

「Mシリーズは人を守り助けるために開発されている。君がそうやって、感情よりも一課長を守ることを優先させてしまうようにね」

若者が穏やかな声で告げれば、光秀も目の色を元の鋼色に戻した。

 

RーM001は警視庁警備部に所属するSPだと聞いている。しかしその外見は完全に日本人離れしていた。そんなことで職務がまっとうできるのかと疑念が生まれるが、彼はできると返す。

捜査一課に来ても笑顔を絶やさない彼は捜査員たちの前でレオーネと名乗った。とたんに捜査員から名前まで外国人かと声が漏れる。

もちろん魚住も同じ事を考えていたが、それを表に出すことはなかった。

「ヒューマノイドを捕まえる時は僕に任せてよ。役に立ってみせるからね」

どこまでも能天気で明るいヒューマノイドの自己紹介と捜査の進展報告。それだけでその日の捜査会議は終了した。

しかしヒューマノイド専門家とヒューマノイド自身が捜査に参加する。それは捜査一課にとって喜ばしいことだった。

 

 

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