「止めなくて…良いんだな」
キスから少しの間をあけて、光秀は少し低い声でつぶやく。そんな光秀を眺めていると唐突に腕をつかまれ寝室へ移動させられた。
明かりをつけながら寝室に入った光秀は、いつの間にか変色していた紫の目を細めて笑う。その顔にはもう涙の余韻は残っていなかった。
そんな光秀に突き飛ばされた魚住はベッドに座りながら眉をひそめる。
「どうしたんだ? システムエラーか?」
「これはエラーじゃねぇよ。感情プログラムに従ってる」
ベッドの前で膝をついた光秀は平然と魚住のズボンを開かせた。突然のことに驚いた魚住は光秀の手首をつかんで止めさせようとする。しかし光秀は紫色の瞳を上目に向けると口角を横に伸ばして笑った。
「警察官なら怖いなんて言わねぇよな?」
茶化すような口ぶりで言い放った光秀は魚住自身を取りだし口に含んだ。先端を吸われながら手で強く扱かれて魚住は思わず出かかった声を飲み込む。
だが快感の波までは止められずすぐに限界を迎えてしまった。絶句したように息を止めて光秀の頭にしがみつくとすべてを吐き出す。
「……っ」
熱のすべてを吐き出した魚住は脳の隅まで倦怠感に支配されてしまっていた。なぜこうなったのかわからないまま押し倒されてぼんやりと光秀を見上げる。
照明にてらされた寝室で光秀は紫色の瞳を細めて笑っていた。
「ごちそうさん」
楽しげに言われたその言葉の意味も魚住が理解するまで少しの時間がかかった。その間に光秀は魚住の服を緩めていく。
だがそれが果糖の事だと理解した瞬間、魚住の顔が熱を持ったように熱くなる。
「おまえまさか自分で……」
みずから機能を動かした光秀に驚く間も服を剥ぎ取られ戸惑いに思考が追い付かない。しかし両足を持ち上げられればさすがに魚住も制止の声をあげた。
「待ておまえのそれはエラーだ!」
「エラーじゃねぇよ」
ラブドール機能はヒューマノイドの中に果糖成分である精液を入れることを主としている。だとしたら今の体勢はあきらかに機能とは逆の行為だ。にもかかわらず光秀はエラーではないと主張する。
あげく光秀の指が魚住の下肢の奥へ入り込み拡げるように動かされた。
「おまえを守った時からずっとこうしたかった。いや…おまえが俺を拾ってくれた時からか」
再び溢れだした先走りを使って指を増やしながら拡げていく。その間も光秀はまっすぐに魚住を見つめていた。
ぐちゅぐちゅと音を立てて拡げていくと光秀は自分のものをあてがう。
「おまえは俺のモンだ。絶対守ってやる」
「そんなこと、この状況で言えるのかよ」
守ると言いながら犯そうとしているのは誰なのか。責めたい気持ちをそのまま吐露すると光秀はそれは仕方ないと笑った。
「やっとこの感情をおまえに向けられるようになったんだ。大目に見ろよ」
ゆっくりと中に入り込んでくる異物感に魚住は強く顔をしかめる。大目に見ろと光秀は言うが、こんなものは簡単には認められない。
「好きだ、真珠」
しかし眼前でささやかれたその言葉は、魚住の胸に溜まっていたものをたやすく霧散させた。