魔法少女リリカルなのは 異能の武器を使う者(更新停止) 作:文房具
悠斗SIDE
あの後は特に何も起こることなく、俺たちは床に就いた――――はずだったんだけど。
「ユウ君起きて」
なのはが俺を起こしてる?
「めずらしいな、なのは。俺よりも早く起きるなんて」
出来ればこの早起きを、家に帰っても続けていただきたいところである。
「えっと、そうじゃなくてね、ジュエルシードが発動したの」
またか。
なんでこんな遠い所で発動するんだよ。
「分かった。じゃあ、早く行こう」
俺達は気付かれないように(特に士郎さんに)部屋を出た。
俺たちがいくと、もうフェイトが封印し終わっていた。
その近くには、昼に会った犬耳お姉さんがいる。
「ジュエルシードをどうするつもりなんだ! とても危険なものなんだぞ!」
「まったく。子供はいい子で、って言わなかった?」
こちらの問いかけに答えずに、相手はあきれたような声を出す。
確かに言われたな。
ついでに、いい子にしないとガブッといくよ、とも。
「うわ………」
俺が声を出したのは犬耳お姉さんがでっかい犬に変身したからだ。
あの人ホントに何者なんだ?
あれも魔法の一種なのかな。
「よし。なのは、ユーノ、俺があのお犬様を相手にするから、2人はあの金髪の女の子を………」
「危ない!」
ユーノは声を張り上げて前に出る。
その瞬間ユーノのプロテクションと犬耳お姉さんが変身した犬がぶつかり合う。
「この人は僕が抑えるから、悠斗はなのはを!」
「はぁ~、分かったよ。前に言った通りに、だな」
なのはの方を見て、それでいいのかと確認を取る。
なのははコクンとうなずく。
了解、しっかりと役目は果たすさ。
「できるとでも!」
さらにアルフが力をこめて結界を破壊しようとする。
「できるさ!」
その瞬間、ユーノとアルフが消失した。
「転移魔法………良い使い魔を持ってるね」
「ユーノ君は使い魔じゃないよ。私とユウ君の大事なお友達」
意思をこめてにらみ合う二人。
「で、どうするの?」
「話し合いがしたい」
「無理だよ。私はあなた達の敵だから」
「でも、話し合いで何とか出来る事ってあるよ」
なのはの言っていることも一理あるが、どちらもジュエルシードは譲れないんだから、それは難しいな。
「話し合うだけじゃ、言葉なんてものじゃ何も変わらない、伝わらない!」
2人の少女の、戦いが、始まった。
フェイトにあった次の日に俺たちは今後について話し合いをした。
そこでなのはは、あの女の子は私に任せてほしいと言ってきたのである。
最初はもちろん渋ったが、一度言い出したら聞かないのがこの子である。
結局俺とユーノが折れて、なのはにあの少女を任せ、犬耳の人を俺かユーノが相手をするという事になった。
で、結果的にユーノが犬耳の人を相手することになったのは、俺の方が戦闘力が高く、なのはにもしもの事があった時に、対処しやすいからだ。
この作戦が今回初めて試される。
戦闘が始まってすぐ、フェイトが後ろに回り込んだ。
なのはが避けて、空に飛びあがる。
「私とお話したいなら、互いのジュエルシードを一つずつ賭けて。フォトンランサー」
小さい魔力弾が10個できる。
「レイジングハート、ディバインシューター」
なのはの周りにも8個できる。
2人とも自分の魔力弾で相手の魔力弾を相殺するが、総数が多いぶん、フェイトの魔力弾がなのはに襲いかかる。
〔protection〕
それをプロテクションで楽々防ぐなのは。
あきらかに動きが向上している。
あいつ、この短い期間に、よくもまあここまで訓練したもんだ。
と言っても、まだあの子に勝てるほどではない。
いや、それにしても、あの子は速いな。
なのはもよくついていってるよ。
時々危なっかしい所はあるが、堅い守りで何とかやり過ごしている。
「サンダースマッシャー!」
あの子は、なかなか倒れないなのはにしびれを切らしたのか、強力な魔法を打ってきた。
だが、それはなのはには悪手だ。
「ディバインバスター!」
なのはも対抗してビームを撃つ。
拮抗した時間は約5秒。
ディバインバスターの威力が上回り、あの子の魔法を飲み込む。
自分の魔法が競り勝ったことに安堵して油断したなのはに、フェイトが上から襲いかかる。
もう勝負はついたな。
「
俺は駆け寄りながら
「………ユウ君」
「………勝負ありだよ、ほら、レイジングハート」
〔Yes〕
レイジングハートは赤い宝石の部分から、ジュエルシードを1個出す。
「帰ろう、アルフ」
「さっすが」
そうか、あの人はアルフって名前なのか。
「待って!」
なのはがフェイトを呼び止める。
「もう私たちに関わらないで」
これ以上痛い目を見たくなかったら、か?
「名前を教えて」
「………フェイト、フェイト・テスタロッサ」
「わ、私は………」
なのはも名前を言おうとするが、その前に去っていった。
あの子の名前はフェイト、運命か。
これで、フェイトには2連敗だな。
ま、年季も違いすぎたし、しょうがないよな。
「今回も………ダメだったね」
ポツリとなのはがもらした。
「しょうがないさ、あれは経験の差だよ。逆に、よくこの短い期間でここまで強くなったよ」
俺は今回思ったことをそのまま返す。
「あの子、話し合うだけじゃ変わらないって言ってた」
「うん」
「言葉だけじゃ伝わらないって言ってた」
「うん」
「ダメなのかな、私じゃダメなのかな」
俺はふぅと息を漏らして語りかける。
「なのははどうしたいんだ? それで諦めちゃうのか?」
「嫌だよ! あの子とお話したいよ………でも………でも………私じゃ………」
「なのはが諦めたら終わりだよ、でも諦めなければいつかチャンスはくるよ」
重要なことはそれ、別にフェイトが嫌がろうが関係ない。
この世に不可能なんてない。
なのはになら、いつかはフェイトもちゃんと向きあってくれるだろう。
「そっか………そうだよね、ごめんね変なこと言って、私おかしかったよね」
「いいって、さあ、早く帰ろう」
俺達は、無言のまま、宿への道を歩き始めた。
宝具紹介
勝利すべき黄金の剣
ランク:A
種別:対人宝具
レンジ:1~4
最大捕捉:1
アーサー王が王となった選定の剣。
これを引き抜いた時点で彼女は老化と成長が止まった。
約束された勝利の剣と比べ、より権力の象徴的で装飾もより華美。
その分、武器としての精度は劣る。