今年もクリスマスが、いや、クルシミマスがやって来た。
街はクリスマスムード一色、蔓延るリア充、呪詛の言葉を呟き、デッドプールは街へと繰り出す。
C4と手榴弾などの爆発物を手に携え。背負っているバッグの中には夥しいほどの量の爆発物が。
「芸術は、爆発だ!」
それを合言葉にデッドプールは手榴弾を投げる、そして爆発、爆音が響き、爆風が走る。そして楽しい雰囲気に包まれたこの街は今、この瞬間地獄へと変わる。
咽び泣くもの悲鳴を上げるもの、それぞれが、それぞれの音を奏でる中、デッドプールは一人、愉しそうに嗤う、嗤う、嗤う。
「HAHAHAHAHAHA!」
狂気が狂喜が狂危が、愉しそうに笑った。
今日はクルシミマス、非リアどもの祭りじゃぁぁぁぁぁあ!
的なことを夢で見た気がする。
おのれ、リア充どもめ羨ましい、もとい、怨めしい!
魔理沙はそーっとベッドから起き上がり、ドアへと向かう。ドアをゆっくりと開けると抜き足、差し足で廊下を歩き、階段を降りた。そして階段を降りた魔理沙の目に浮かぶのは警戒、この数週間自らを困らせた、という表現では及ばないほどに迷惑を掛けられた、あの赤い悪魔への警戒。魔理沙はそのまま物音一つ立てず、息を殺し、玄関の扉のドアノブへと手をかける。
「BAN!好きありだ。」
「分かった、私が悪かった。だから、本当に今日だけは来ないでくれ。」
「おいおい、俺ちゃんにそれを聞くなんてナンセンスだな、全くもってなっちゃいない。」
「…………それで、どっちなんだよ。」
赤い悪魔は魔理沙の質問には答えず、親指を立てて、サムズアップ。きっと、マスクの裏には最高の笑顔が浮かんでいるのだろう。それを容易に想像できた魔理沙はこめかみに青筋を浮かべる。
そして、ダッシュ。
脱兎の如く玄関の外に駆け、玄関の外、その側に立て掛けてあった箒を手に取り慣れた動作で跨がる。その間約二秒。そして空へと飛翔した。
魔理沙は安堵していた。この数週間、何度迷惑を掛けられても耐えてきた魔理沙であるが、今回ばかりは駄目なのだ。曲がりなりにも教鞭を振るわれている立場の分際であの悪魔をつれていったらどうなるか、それは想像に難くない。
ゆえに魔理沙は計画を立てた。毎夜奴に一服盛り、どれ程の分量ならどれ程眠りに付き、味の変化が無いのか、それを事細かに確かめ、そして今日、決行したのだ。
しかし、その計画も水泡と帰した。容易く見破られていたのだ。まぁ、突破したが。
だが、そこでふと、魔理沙は違和感を感じた。
少しだけ
バッ、と後ろを振り返るが、後ろには誰も立っていない。例え、三点倒立をしていようと驚かないように覚悟を決めた魔理沙だが、何だか肩透かしを食らったようだった。
しかし、見過ごせない事があった。後ろに立っているようなことは無かった、立ってはいなかったが、箒を掴んではいた。箒に捕まって浮いていた。
「O☆RI☆RO」
「あ?何だって?風がうるさくて、聞こえねぇよ!」
魔理沙が飛んでいるのは空高く、速いスピードである。空気を突き進んでいるのだ。強い風が吹き付けているようにも感じるだろう。
まぁ、本当に聞こえていないかは知らないが。
「なら、落ちろ。」
「ちょ、痛いって。」
【畜生、これがドロワじゃなかったら、パンチラがワンチャン】
『ないです』
魔理沙は迷案を思い付いた。
八卦炉を取り出し。
それを箒の後ろにセットして。
《おい、まさか、やめろよ?》
振りですね、ワカリマス
「彗星、ブレイジングスター!」
「おほぉぉお、速いのぉぉぉぉお!」
「行っけぇぇぇ!」
双方、ノリノリである。
結論から言おう、奴は落ちた。いとも簡単に、単純に風圧に耐えられなくなって。結果を見れば魔理沙の勝ちだろう。落ちた結果だけを見れば、の話だが。
何より、落ちた場所が悪かった。そこは魔理沙の目指していた場所、紅魔館の目と鼻の先、というか紅魔館の門である。
「曲者!」
「そうだな、スリットは良し、深々と切り込まれたそのスリットがむちっ、としていながらも鍛えられている美脚を露出させているのは良い、だが、それ以外が圧倒的に足りていない!」
【脚は良い、スタイルも服の上から分かるくらいには良い、残念なのはカラーだな】
『あとデザイン』
そういう間に、紅魔館の門番は踏み込む。空いていた距離を詰め、手を猫のように握り、相手の胸へと打ち込んだ。
完璧に入った、それは確信していた。しかし、攻撃が入ったはずの相手が飛ばない。常人ならば数メートルは吹き飛ぶはずの攻撃。けれども忘れることなかれ、門番の目の前にいる相手は常人ではない。
そう
デッドプールをその場に踏みとどめたのは門番の攻撃、その瞬間、揺れたのだ、胸が。デッドプールはこの事からあることを思った。それはつまり
あれ?こいつノーブラじゃね?
疑問に思ったのならば解決しよう、そうしよう。そんな考えが浮かんだ。ならば、後は実行するだけである。
そして、好都合な事に向こうから向かってくるではないか。飛んで火に入る夏の虫とはこの事と言うように、デッドプールは相手が来るのを待った。
そして、激突。
鳩尾に入った拳がデッドプールの意識を刈り取ろうとするが、耐えた。衝撃につられ後ろに飛ぼうとする体を、意識が飛びそうになるのを、耐えた。全てはエロのため、その一心で耐えた。
そんな、思惑など露知らず。門番は一撃を打ち込んだ相手を心配していた。打ち込んだ相手は動かない、もしや、死んでしまった?いや、そんなことはない、拳から伝わる心音が、目の前の者が死していない事を意味している。
何より、手加減を誤って殺したなどとそんなことは自らの沽券にかけて許さない。
けれど、心配なものは心配なのだ。根っこの部分で優しい彼女は例え敵であっても心配してしまう。そこには彼女が武を学ぶようになった理由があるのだが、そこは今は割愛しよう。
やがて、衝撃から立ち直ったデッドプールが動く、その敵意の無い行動に門番は反応が遅れた。
ふにゅん、そんな擬音が付きそうなほど柔い乳房。
双方ともに暫しの沈黙、二人の胸中を渦巻いていたのは反応が薄いことへのガッカリ感といきなり胸を揉まれたことによる驚き。
先に動いたのは門番であった。菩薩を思わせるような笑顔をフッと浮かべ、デッドプールの内に浮かんだのは安堵ではなく、恐怖。知っているのだ、次にとる女の行動を、そのろくでもない女性経験から知っていた。
金的か平手打ち、そのどちらか、もしくは両方。それか、もっと違う何か。
この場合、門番が取った行動はもっと違う何か、である。
門番が行ったのは単純明快、、恐ろしい速度での上方向への蹴り上げ、である。適度に力の抜けた脚が鞭と何ら変わらない速度としなやかさを持って、デッドプールの顎を蹴り上げた。
「不埒者は討ちました、よく殺りました、紅 美鈴。」
【歯が折れちゃってらぁ、こりゃ痛いな】
『おまけに脳震盪、か、本当に殺されたかな?』
「俺ちゃん死なんし、何故なら主人公補正があるからな!バーカ、バーカ、チルノ、チルノ!」
顎を蹴られ、うずくまるがすぐ回復したのか、顔を上げ、会話?に加わるデッドプール。美鈴は更なる追い討ちをかけようと、構えるが横やりが入った。
「お客様、門番が失礼を致しました。屋敷へと案内致しますので大人しく着いてきてください。」
「あれ?俺ちゃん脅迫されてる?」
急に二人の間に入った、メイド。いや、間に入った訳では無いのであろうが。その証拠にデッドプールの首筋にナイフを当てている。微笑みながら、拒否権は無いと言うように。
「あの、咲夜さ「美鈴」
美鈴、その一言で静止した門番を横目にメイドはデッドプールへと視線を戻す。首筋に当てていたナイフを離し、いつのまにか開いている門の中へ入って行き、デッドプールもそれに続いた。
後に残されたのは、門番である美鈴だけである。
さて、皆さま、今日はクリスマスですね。いかがお過ごしでしょうか。
家族と過ごしているか、一人で過ごしているかどちらか選べ(強制)
よもや、彼女と過ごしている人なんて居ませんよね?
それにしても、もう、疲れたよ。
幸せそうなリア充を見るのも、クリぼっちで過ごすのも。
もし、サンタさんが居るのなら、願いはクリぼっちからの脱却で、おなしゃす。
…………番外編でクリスマスでも書こうかな?