気が付いたらそこにいた。
そこは真っ白な空間で、寝ているのか、立っているのか、浮いているのか分からない不思議な空間だった。
「気が付いたようじゃな」
いつの間にか目の前に爺さんがいた。
「突然で悪いのじゃが、お主はまだ生きるはずじゃったが、儂の部下がミスをしてのう」
うわぁ…これって神様転生のテンプレだぁ…と、どこか他人事のように考えている自分がいる
「ぬ?意外と冷静じゃのう、お主は」
逆に問うが、喚き散らしたり、あんたを罵ったりしたら何かが変わるのか?
「変わらんよ。ま、話が早くて助かりはするがね。で、転生するかい?」
ちなみにあれか、特典とかもらえたりすんのかい?
「もちろん、こっちのミスが原因じゃからのう」
だが断らせてもらう
「ほう、どうしてじゃ?」
例え部下のミスだとしても、必然であれ偶然であれ俺が死んだのであればそれこそが俺の運命だ。なら、俺はそれを受け入れよう。
「なら、転生の輪へ行くのか?」
それこそが人の摂理だろう
「お主まだまだ若いのに悟ったようなことを考えるのう」
ほっとけ、さっさと終わらせろ
「まあ待て、せっかくじゃし儂と契約を交わさぬか?」
契約だと?
「そうじゃ。お主のような賢い者はこっちとしても都合がよいのでな」
ちなみに内容は?
「うむ、実は故意に人を死なせて転生させる神が増えていてのう」
あんたはどうなんだよ?
「儂は故意ではないわい。さっきも言ったが部下のミスじゃ」
ふーん。で?
「その転生者たちはこちらの都合で死なせてしまったから別にいいんじゃが、中には好き勝手に行動する迷惑な転生者がおってのう」
自称オリ主や踏み台のことか?
「そうじゃ、そいつらを野放しにするわけにはいかん。下手をすれば調子に乗って神殺しをしようとしかねん。そこで、そいつらをお主に始末してほしい」
……人殺しが最も忌むべき行為だと思う俺に、人殺しをやれと?
「そのための契約じゃ。代償として好きな力をやろう。どうじゃ?」
殺し屋に依頼料だと言ってナイフは渡さないだろう?戦うための力と依頼料は分けるべきだと思うが
「それだとこちらが損をするとは思わぬのか?」
人が人を殺すんだ。これくらい当然だろう
「まぁ、よい。では、なんの力を望む?」
先に聞きたいが、力と道具は別か?
「物によるのう」
なら力は固有時制御。贅沢を言っていいなら切嗣の起源弾も欲しい
「ほう。それでよいのか。無限の剣製や王の宝物庫など色々あるのに」
転生者を殺すなら馬鹿正直に正面から戦うのではなく、暗殺の方がいい。だから道具にはナイフや爆弾、銃火器といった現代兵器が欲しい。
「お主は衛宮切嗣になりたいのかのう」
馬鹿を言え。俺は俺だ。俺は切嗣にはなれない。だが奴ほど暗殺向きの力はないだろう。
「なら切嗣になりたいと言えばよかろうに」
俺は俺だ。真似することはできても、根っこの部分で切嗣になれない。それは切嗣に似た別の何かだ。
「ほう、そう考えるか」
ああ、だから銃やナイフの使い方は自分で見つけていく
「そうか。では」
あ、でも服装だけは切嗣の格好にしてくれたら嬉しいな。地味にロングコートとか着たかったし。あと、エミヤアサシンの時の格好も。
「ロングコートはまだしも、あの恰好もか?」
エミヤアサシンの格好だと顔が隠せるから暗殺する時はちょうどいいだろ?けど、あの格好だとなんらかの理由で人前に出る時悪目立ちする。だからロングコートの方もあった方がいい
「まあ、服装くらいおまけでつけてやろう。では、報酬というか対価にお主は何を望む?」
なんでもいいのか?
「何回でも叶えてほしいみたいな、無茶な願い事でなければな」
なら――――
「うーむ……それはなかなか難しいのう……」
できないのか?
「完全にすることはできん」
なら――――
「むぅ……それならばなんとか」
なら頼む
「だが、本当にそれでよいのか?その願いは」
構わん
「……分かった。では早速行ってもらうぞ」
神がそう言うと、後ろに扉が現れた
「その扉をくぐれば、ある部屋に着く。そこに望むものは置いてある。そこに携帯も置いているからそこに連絡や依頼が来るものだと思ってくれ」
分かった。じゃあな
そうして俺は扉をくぐった