それでも僕は銃を握る   作:EVIL

4 / 7
Episode03

ホテルに戻った俺はアサシンの衣装に着替えて、装備を整える

 

今回はあくまで様子見にするつもりなので近・中距離と簡単な罠をいくつか持っていく

 

「そういえば、どこで事が起こるか詳しい場所知らなかったな…」

 

自分の持つ情報がガバガバなのに今気付きつつも、ターゲットを探して街を歩く。もちろん恰好が恰好なだけに見つからぬように

 

「ん?これは…」

 

しばらくうろついていると、ひし形の宝石のような物を拾った

 

「もしかして…っ!」

 

後ろから何やら気配と迫る音が聞こえたので、急いで前へ飛ぶ

 

すると先程まで自分がいた場所に雷撃が当たる

 

「かわされた?」

 

そこには金髪のツインテール少女がいた

 

この子がフェイトか…どうするか

 

ということは、やっぱりこれはジュエルシードか…

 

「フェイト、手っ取り早く気絶でもさせて奪おう」

 

あっちの犬耳の女性はアルフか…

 

少し魔術が使えるだけで、後はただの人間の俺にはきつい

 

しかたない、ここは大人しく渡した方がいいな

 

「ほら、これでいいんだろ?」

 

フェイトにジュエルシードを投げ渡す

 

「ありがとうございます」

 

あらやだ、この子礼儀正しいわ

 

「…一つ忠告しておこう、それに頼ったところで願いは叶わないぞ」

 

「え?それはどういう…」

 

捨て台詞を言うのと同時に、催涙ガスを爆破させる

 

「ミャーッ! め、目が!」

 

「くそっ、待ちやがれ」

 

急いでその場から離脱する

 

うろ覚えな知識をもとに、探しているとようやく見つけられた

 

というか遠くからでもドンパチやってるのが分かるくらい激しい戦闘しているのが見えた

 

急いで高い所へ移動し、昼に購入した双眼鏡で観察する

 

どうやら転生者の特典はメールにあったように英雄王の力を持つ奴と、オリジナルのデバイスを持つ奴だ

 

っていうか、あの二人翠屋にいた二人か。喧嘩してばっかりだな…

 

決着はつかず、二人は別れる。きっと帰るのだろう

 

見た所、デバイスの方はともかく英雄王もどきの方は戦い慣れしていない

 

奴なら今仕留められる

 

俺は英雄王もどきに背後から近づく

 

「たっくどいつもこいつも…どうして俺の思うとおりにいかないんだ」

 

どうやらこちらに気付いていないようだ

 

俺はサイレンサー付きのハンドガンを構えて、足に一発、体に三発撃つ

 

「がっ…はっ…」

 

撃たれて崩れ落ちる転生者

 

俺は確実に息の根を止めるために頭に照準を定める

 

「や…めろ…雑種…ごとき…が…」

 

俺は一切の躊躇なく引き金を引く

 

英雄王もどきの転生者は完全に死んだ

 

「お、お前…なにしてんだ!」

 

どうやら見られたらしい

 

一般人か?いや、子供が一人で夜遅くに出歩くなんてありえない。なら、こいつは転生者だな、それもリスト外の…。口封じのために殺すべきか…

 

「どうしてそいつを殺したんだ!」

 

「君に答える義務はないように思うが?」

 

「だって!確かにそいつはひどい奴だけど、殺すことはないだろう!」

 

「…君は、望んでその力を手にしたのか?」

 

「なに、どういうことだ!?」

 

「答えてほしければまず、こちらの質問に答えてもらおうか。君は神に会って転生したのだろう?ならば、君は自ら望んでその力をてにしたのか?」

 

「…そうだ。神様に貰ったんだ」

 

「なぜだ、なぜその力を選んだ?」

 

「なぜって、なのはやフェイトを守るためだ」

 

「…ふっ」

 

「な、なにがおかしい!」

 

「下手な嘘はよせ。他人を言い訳に本当の望みを隠すな」

 

この転生者、俺が思った通り善人ではなく偽善者だ

 

「嘘じゃない!俺は本当になのは達を守るために」

 

「なら、なぜ神に平和な世界を望まなかった?高町なのはの親は決して死にかけることなく、家族はなのはにかまい、アリシア・テスタロッサが死なず、ユーノ・スクライアの任務が失敗せず、平和に回る世界をなぜ望まなかった?」

 

「な…それ、は…」

 

奴は思いもしなかったと目を見開き、言いよどむ

 

「そ、そんなの…できるはず」

 

「では聞いたのか?神ができないと言ったのか?」

 

「…………」

 

「正直になれ、転生者よ。お前はなのは達を言い訳に、ただただ魔法という不可思議な力を使いたかっただけなんだ、と」

 

「…う」

 

「ん?なんだって?」

 

「違う…俺は…そんな…」

 

『マスター、惑わされないで!』

 

この声は奴のデバイスか?無駄なことを…

 

「じゃあなぜ望まなかった?本当になのは達のことを思うなら真っ先に出てくる考えだぞ?」

 

「…お、お前だって、そうじゃないか!俺は知ってるぞ、それはFateのアサシンだろ!?お前だってそういう力を望んだんだろ!?」

 

「なるほど、君は勘違いをしているようだね」

 

「なにをだ!?」

 

「まず、俺…いや、僕は確かに転生者だが、ただの転生者とは違う」

 

「なに!?」

 

「僕は神との契約者、神罰の代行人、死神。そういった類の者だ」

 

「け、契約者?代行人?知ってるか?」

 

『い、いいえ。そのような情報は…』

 

「ならば教えてやる。神は決して現世に直接的介入はできない。できるのは間接的な介入だけ。その中で最も早いのが僕のような存在だ」

 

「お前のような存在?」

 

「そうだ、僕は死んで神に会い、神と契約を交わした。転生者の中でも、他人の人生を大きく歪める可能性のある転生者を殺せ、とな」

 

「う、ウソだ!そんなはず」

 

『ダメです、マスター!そいつの言葉を聞いちゃダメです!』

 

「…………」

 

『マスター、きっとそいつはウソをついてマスターを惑わす気なんです!』

 

「そ、そうか!お前はウソを付いているんだな!俺は騙されないぞ!」

 

転生者は剣の形をしたデバイスを構え、俺に斬りにかかる

 

魔法も何も使っていないので、俺はかわして足を引っかける

 

「うっ……」

 

「無様だな。真実から目をそらし、真実を認めたくないがために僕を殺そうとするなど」

 

「違う!俺は」

 

「何も違わないさ。お前の行動が証明している」

 

「……俺は……」

 

『マスター、しっかり!』

 

「お前は対象外だ。よっぽど馬鹿なことをしない限り、この世界で生きていけるだろう。だから好きになのは達を守ればいい」

 

「…………のかよ」

 

「ん?」

 

「お前はなんとも思わないのかよ?なのはが、フェイトが苦しんでいるのに、なにも思わないのかよ?」

 

「なら、プレシアはどうなんだ?」

 

「プレシア?あいつは」

 

「もとはと言えば、あいつも被害者だ。上の連中が馬鹿なことをしなければ、今頃アリシアと平和に暮らしていただろうな」

 

「な、なんのことだよ?上の連中?」

 

「結局のところ、お前は都合のいい奴だけ助けて、英雄扱いされたいだけの子供なんだよ。よろこべ少年、お前の願いは叶うぞ」

 

完全に戦意を喪失した転生者をそのままに、俺はその場から離れだす

 

「待てよ…」

 

俺は振り返らずに立ち止まる

 

「お前は神様と契約して、何を望んだんだよ」

 

「……世界に優しさを…とだけ言っておこう」

 

具体的な答えを言わず、俺は再び歩き出す

 

「……ちきしょう……」

 

『マスター……』

 

言い過ぎたかもしれないが、俺は正義の味方じゃない。あいつの味方をするつもりもないし、あいつの助けになることをしてやる気もない

 

俺には銃を握り、引き金を引くことしかできないのだから

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。