中世の犠牲者   作:雨の日

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接触 騎兵との出会い

 サーヴァント同士の本格的な戦闘から一夜明けてもキャスターはいつも通りの行動を続けていた。アサシンが陣地内に入ればすぐに影で捕縛して吸収する。そして暇さえあれば陣地の拡大にいそしむ。普通なら倒れてしまうような活動量なのだがキャスターは全く苦にしていなかった。

 

 キャスターのマスターの少年は引きこもりになっておりほとんど自室から動かない。キャスターが作成した魔導人形が持ってくる食事に手をつけているので躁鬱病になったとか死にたくなったとか無気力状態であるとかではない。

 

「今日はどうしましょう?」

 

 キャスターは買い物袋を持って夕食の買い物のために歩きながら夕食の献立を考える。少年は成長期なため栄養バランスの良いものがいいが、キャスターが生きた時代に作られていた料理はそんなことはあまり考えられていなかった。とりあえず食べられるものをといった感じだったためキャスターは召喚当初かなり困ったものだ。今は少年の母親が残したとみられる料理本を参考にして作ることができるくらいにはなっているが。

 

「・・・・・・あれは」

 

 キャスターは前方に見たことがあるものがいることに気づいた。赤い髪にがっしりとした肉体。男らしい声。胸のあたりに何か書かれたシャツとズボンを穿いている大男。セイバーとランサーのたたかいに戦車で割りこんだライダーである。

 

 そのライダーに文句をいってはデコピンされている少年はライダーのマスターであろう。しっかりとしたスーツを着ている。プライドが高いというよりはまだ少年の青臭さが抜けきっていないような感じがする。

 

 ライダーたちを見てキャスターは悟った。昨日の夜の占いが当たったのだと。なら今自分はすべきことはと考えながら歩を進め、ライダーたちにあやしまれないように徐々に人がいなくなる人払いの魔術を行った。

 

「よろしいですか?」

 

「ん?」

 

「えっ?」

 

 キャスターはライダーたちに近づき声をかけた。それに反応して2人はキャスターの方に意識を向ける。キャスターの服装はシスター服でありこの場にはかなり場違いのように見えるしライダーのマスターはマスターとしての能力からキャスターがサーヴァントであると見抜くことができた。

 

「貴方はライダーのサーヴァントで間違いないでしょうか?」

 

「うむ。確かに余は此度の聖杯戦争ではライダーのクラスで顕現した。余の名はイスカンダルである。お主は?」

 

「私は、私たちは此度の聖杯戦争ではキャスターのクラスで顕現したもの。名乗られたので名乗り返したいのですが私に、私たちに固有の名はありませんので」

 

「どういう意味だよ?」

 

 2人がお互いに名乗りを上げている間に周囲に誰もいなくなっていることにライダーのマスタは気づき、内心驚きながら顔に出さないようにしながらキャスターに質問した。

 

「私は、私たちはとあることに関する関係者が寄り集まったものであるのです」

 

「とあること?」

 

「魔女狩りというものを知っていますか?」

 

「ああ」

 

「その被害者には何の罪のないものも含まれるということも知っていますか?」

 

「えーと・・・・・・知っているけど」

 

 ライダーのマスターはキャスターの質問に答えながら頭をフル回転させる。どうしてそんな質問をしてくるのか。それが何か関係があるのか。あるとしてどんなふうに関係するのか。浮かんでくる疑問を口に出さないようにしながら律儀に答えていく。

 

「私はその被害者の1人なのですが、他の犠牲者の技能なども使うことができるので先ほどのような答えになるのです」

 

「はぁ!?」

 

 ライダーのマスターは驚く。魔女狩りで何人亡くなったかを正確に知っている人はいない。だが、相当な数にのぼることは知っていた。その全員分の技能が使える。キャスターの答えが正しいならそういうことになる。それは脅威だ。

 

「ほう、それが本当ならすごいのう」

 

「すごいどころじゃない。もう失われた魔術や技術がキャスターには使えるってことだろ」

 

「ふむ・・・・・・キャスターよ。我が軍門に降る気はないか?」

 

「・・・・・・お言葉は嬉しいのですがそれには従えません」

 

「待遇は要相談じゃが?」

 

「いえ、待遇がどうとかいう話ではないのです」

 

 キャスターはライダーからライダーのマスターの方に視線を向ける。ライダーのマスターもキャスターの視線に気づきキャスターを睨みつける。そのライダーのマスターの態度に微笑ましいものを感じながらキャスターは口を開いた。

 

「私は今日消滅します。ですのでそれを受けることはできないのです」

 

「どういう意味じゃ?」

 

「まさか・・・・・・未来が見れるってわけじゃないよな?」

 

「いえ、これは昨日決まったことです。昨日、あの場にいることができたのであれば避けることができたのですが・・・・・・」

 

「あの場?」

 

「サーヴァントの皆さんが集まっていたところです」

 

 キャスターは後悔しているのか目に複雑な感情を乗せながら断言する。あの場に行くことができれば延命する芽もあったのだと。ライダー主従は意味が分からず困惑顔をしている。

 

「・・・・・・今日が終わるまでは生きていられるんじゃろ?」

 

「ええ」

 

「なら余にいい考えがある。ついてまいれ」

 

 ライダーは何かを思いついたのか豪快な笑みを浮かべてどこかに向かっていく。それをキャスターとライダーのマスターが追っていく。キャスターとしてはついていく義理はないのだがついていかないと嫌なことが起きると何かが囁いているため素直に従うことにした。

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