中世の犠牲者   作:雨の日

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酒宴 死の原因

 ライダーの戦車に乗りアインツベルンの城近くに到着した一行はキャスターの指示の下、森を歩いていた。最初は戦車で結界をぶち破りながら城を目指すつもりだったのだがキャスターがそれを何とか阻止した。ここの結界を破るのは目立ちすぎるし魔力の無駄使いだと。

 

「キャスター、こっちで合っているのか?」

 

「はい、迷路のようになっていますがこのくらいなら簡単に突破できます。近代武器については知識しかありませんが私には、私たちには問題ないものばかりです」

 

「坊主には問題があると思うのだが」

 

「私が、私たちが渡したそれがあれば大丈夫なはずです」

 

 キャスターは森に入る前にライダーのマスターにとあるものを渡していた。それは一見ただの雨傘のようにしか見えないものだった。ただ、性能は現代の魔術師が作るものより遥かに上のものだった。

 

 地雷を踏んだりした場合すぐに結界を展開して所有者を護るその魔道具はライダーのマスターの命を幾度も護った。ただ、罠を発動させているのはキャスターだったが。キャスターの幸運は最低ランクのEランクなためなのかこういうものに引っかかりやすいらしい。

 

「キャスター、お主流石に罠に引っかかりすぎやしないか?」

 

「私は、私たちはこの程度の罠では傷1つつかないので無視していたのですが・・・・・・」

 

「ん? てことは罠を回避することもやろうと思えばできたってことか?」

 

「いいえ。これは純粋に私の、私たちの察知能力不足です。発動する直前に気づいても遅いでしょう」

 

「確かにのう」

 

「やっぱ戦車でつっきったほうがよかったんじゃないか」

 

「いいえ。突然の訪問なのですから一応最低限の礼儀はわきまえたほうがいいかと」

 

「そういうものかのう」

 

 ライダーたちとキャスターは話をしながら罠をかいくぐり魔術を無効化し時に意図的に発動させて壊し徐々に城に近づいていく。門が見える開けた場所に着いたとき門前には鎧を身につけた騎士、セイバーと白髪赤目の女性が立っていた。おそらく遠見の術でも使ってライダーたちの侵入を見ていたのだろう。

 

「よう、セイバー。」

 

「ライダー、此度は何の用だ? 討ち入りという感じではないようだが」

 

「おう。此度はこれで競おうと思うてのう。ちょうどいい場所はあるか?」

 

「これで?」

 

 セイバーはライダーの担いでいる樽を見てすぐに酒であると気がついた。そして道中の罠をあんなに発動させておいてよく壊れなかったと内心で感心していた。まあキャスターがライダーに頼まれて魔術で防御していただけなのだが。

 

「キリツグ」

 

 セイバーの近くにいる女性はどこかにいる人に何かを伝えている。その様子を観察しながら静かにキャスターはセイバーに近づいていく。

 

「御身はセイバーのサーヴァントで間違いないですか?」

 

「あっああ。そういう貴女は・・・・・・」

 

「私はキャスターのサーヴァント。今夜限りでしょうがよろしく」

 

「今夜限り?」

 

 キャスターの言にセイバーは困惑を隠せない。そんな様子を見てキャスターはセイバーに右腕を袖をめくってみせる。そこには呪詛のようなものが刻まれていた。

 

「これのせいで私は、私たちは今日命を落とすのですよ」

 

「なっ!」

 

「訊かれるでしょうから事前に答えますがこれを解呪することはできませんでした」

 

 キャスターのサーヴァントになった者にも解呪できない呪い。そんなものが存在することにセイバーは驚きを隠せなかった。

 

「今日死ぬってそういうことかよ!」

 

「うーむ。余の配下にはそういうものの専門家はおらんなあ」

 

「ええ。ですので今日の催しは私に、私たちにとって良いものなのです」

 

「どういう意味だよ?」

 

「それは後で話します」

 

「・・・・・・わかったわ。それじゃあイスカンダル王とそのマスターさん。それとキャスターさん。案内するわ」

 

 ライダーたちとの話に一区切りついたころに誰かと連絡を取っていた女性が戻ってきて先導役を務めるべく声をかけた。ライダーたちは女性の先導に従い移動する。キャスターは周囲に気を配りながらも遅れないように歩を進めた。ここは敵地であり何があるのかわからないためだ。

 

 何事もなくアインツベルンの城の中庭に到着した一行は車座に座った。ライダーは豪快に樽を置き拳を振り下ろして樽を開けた。樽の中身は葡萄酒のようでなかなかの品質のものであるとキャスターは看破した。

 

「それでは始めるとするかのう」

 

 ライダーは樽の中の葡萄酒を柄杓で掬う。キャスターは聖杯から得た知識からそれは間違った飲みかたではと思ったが口には出さなかった。

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