中世の犠牲者   作:雨の日

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継承 魔術師の死

 キャスターは話し合いが佳境になったことを見計らいライダーのマスターに近づいていく。近づいてくるキャスターから放たれている威圧感にライダーのマスターは動くことができなかった。

 

「ライダーのマスター、名前は?」

 

「ウッウェイバー・ベルベットだ!」

 

「ウェイバー・べルべット」

 

 今聞いた名前を口ずさみながらキャスターはウェイバーの手を取る。そしてキャスターの足元を中心に魔方陣が展開される。

 

「私の、私たちの宝具発動『継承せよ、我が業を』」

 

 キャスターから放出される魔力でウェイバーは気を失いそうになる。だがそれを許さないかのように頭へ痛みが走る。その痛みの中でウェイバーは何かが刷り込まれているかのような感覚を覚えた。

 

「完了しました」

 

「坊主に何をしたんじゃ?」

 

「私の、私たちの後世に残されなかったであろう知識や技術をウェイバーに継承させただけです」

 

「それは・・・・・・」

 

 中世の暗黒時代魔女狩りのなかで失われた知識や技術は数多い。その知識を継承したということを他の魔術師に知られれば命を狙われること請け合いだ。知識をもとに何かをなすことができれば位階を上げることは容易だし派閥のバランスを変えることもできるだろう。それくらい危険なことなのだ。

 

「ちなみにウェイバーを殺すことはほぼできませんよ? たとえサーヴァントでも」

 

「どういうことですか?」

 

「今回のアサシンのサーヴァントは多重人格のサーヴァントだったので人格ごとに違うスキルを所持していました。そのアサシンを私はほぼすべて吸収しました。そしてさっきの宝具発動時にその時得たスキルも全てウェイバーに与えましたから」

 

「はっ?」

 

 その話が本当ならウェイバーは今多量のスキルを持つ人間ということになる。もしかしたらサーヴァントを生身で倒せるかもしれない。気配遮断で気配を消して投擲術で暗殺するなんてこともできるのでマスターにとって最も脅威になる人物になったといえよう。

 

「ウェイバーはライダーの臣下ですからライダー、うまくウェイバーを導いてあげてください。これがこの聖杯問答に勝ったライダーへの私からの、私たちからの褒美です」

 

「それはありがたい。じゃが勝った余自身にも何かもらえないかの?」

 

「そうですね・・・・・・私が臣下になりましょう。他の者は無理ですが」

 

「おおう! それはよき褒美だ。此度の聖杯戦争、絶対に勝って見せよう」

 

「セイバー、貴女にはさっきあげたものが褒美になります。ライダーの我儘に付き合っていただきありがとうございました」

 

「いえ、アイリスフィールが許可したことなので・・・・・・」

 

「ただ貴女は負けたのです。それは認めてもらわないといけません」

 

「・・・・・・そうですね」

 

 セイバーが自らの敗北と認めたと同時にセイバーとキャスターの2人の体が光の粒子に変わっていく。それにキャスター以外の面々は驚く。その現象はサーヴァントの消滅時に起こる現象だからだ。

 

「これが私の最強宝具『死は平等也』です効果は敗北を認めた相手と自分自身を強制的に死亡させるというもの」

 

「なっ!?」

 

「ただ条件が難しいのです。至近距離に相手がいてどんなことだろうと相手に敗北を認めさせる。アーチャーには絶対に効かない宝具なのですよね」

 

「自滅宝具じゃと! いや、それより余への褒美はどうなるんじゃ?」

 

「ライダー、頭の中で自分の宝具を確認してみてくれませんか?」

 

「うむ?」

 

 ライダーは言われた通り自分のステータスを確認すると宝具の欄に新たな宝具が追加されていることに気がついた。おそらく先ほど与えられた褒美はこれなのだろう。

 

「『身を捧げた背信者』? これのことかのう?」

 

「はい、それを使えば私をよぶことができます。上手く使ってください。それではもう時間のようですしこれで」

 

 そういってキャスターは光の粒子となって消えた。それと同時にセイバーも光の粒子となって消えた。ちなみにセイバーはキャスターが喋っている間動くこともしゃべることもできずその場に立っていることしかできなかった。まるで口に猿轡をはめられて体を木に縄か何かで縛られているような感覚で合ったらしい。

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