『並行世界』へと赴く   作:舞茸の都市

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第12話

 

 

操司達の日常に平和が戻り、いつの間にか約2年という時が過ぎていった。

2年に入ってのクラス替えで3人は違うクラスになってしまったが、三年間一緒に登校し、一緒に帰ることだけは欠かさなかった(たまに珱九郎がこっそりと1人で帰ることもあったが)。また、操司は飯田天哉と同じクラスとなり、そのまま仲良くなってもいた。1年の頃は珱九郎が引き受けていた操司のツッコミ役を今度は飯田がやっているらしい。

そして現在3年生となった操司達は受験に向けて勉学、鍛錬を重ねている。

 

 

なぜこの話になっているのかというと、

 

 

 

 

 

「なぁ、甘野。お前はいったい進路をどこにするんだ」

 

「んー、どうしましょうねぇ」

 

現在担任との進路相談を(強制的に)受けているからだ。操司は大まかな方向性を担任に教えてはいるが、人生設計を細かくは伝えていない。よって担任も心配になったらしい。

彼は今進路を迷っていた。

1つは操司の夢に最も近い『政治家』になるべく勉学のエリート校を受験すること。確かにこれならばすぐに政治家になることは出来る。しかし、これにした場合、果たして将来自身の考える政策を施行出来る立場まで上り詰めることが出来るのであろうか。また、それが出来たとして、ヒーローを否定するような法律に皆が賛同するのだろうか。可能性は低い。

そして、もう1つは、『ヒーロー』になること。先ずはヒーローとして人々からの人気を得る。その後一般市民に対して現在の政治の在り方を説き、支持を得る。その後政治の世界に携わる、といったルートを通る。これには先ず根本として、オールマイトほどの人気を得なければいけないという前提がある。ここを乗り越えられなければ自身の夢には近づくことすら出来ないだろう。

どちらにもメリット・デメリットがあるため、操司は悩んでいたのだった。ちなみにこのことを話したら優姫からはヒーローになることを勧められ、珱九郎からは政治家になることを勧められた。

 

「………よし、決めました」

 

操司の言葉に先生の顔がパッと明るくなる。

 

「おお、どうする」

 

「はい、僕は雄英高校ヒーロー科に行きます」

 

「政治は良いのか?」

 

「はい。ヒーローになるという子供の頃の夢を叶えようと思います」

 

「…よし、よく言った!頑張れよ、先生も応援してるからなー‼︎」

 

「ありがとうございます。では、失礼します」

 

そう言って操司は教室を出た。

 

「…はぁ、よくも子供の頃の夢とかぬけぬけと言えたな」

 

ドアの外には珱九郎と優姫、そして飯田の3人が立っていた。

 

「ははは、ばれた?」

 

「バレバレだよ。操司くん、嘘つく時声のトーン少し変わるじゃん」

 

「え、まじか。直さないとな」

 

3人のさらっと言った会話に飯田が驚愕する。

 

「なっ、甘野くんはヒーローになりたいわけではないのか⁉︎嘘はいけないぞ!甘野くん!」

 

「まぁ、嘘では無きにしもあらずってとこかな?

ヒーロー自体はすきだよ。でも、それに依存しっぱなしっていうのが嫌いなだけだから」

 

「まぁ、4人で雄英に入れたらきっと楽しいし。私は嬉しいよ!」

 

すでに操司を除く3人は雄英高校ヒーロー科を志望していたため、残るは操司だけであったようだ。

そのままの流れで4人で一緒に帰ることとなった。

優姫が話を切り出す。

 

「さて、誰か推薦受ける?」

 

「この中で成績順なら操司だな」

 

「僕やだ。面接嫌いだし。優姫さんやったら?」

 

「私はいいや。雄英の試験楽しそうだからさ。それ受けたい。天哉君は?」

 

「俺はそこまでの実力を持っていない。それよりも俺は烏丸君がいいと思うのだが」

 

「俺は操司と同じだ。面接は勘弁だな」

 

「見た目がヤンキーか敵だもんね」

 

「操司、お前覚えてろよ」

 

誰も推薦を受けるつもりはないようだ。

 

 

 

和やかに時間は過ぎていく。

とここで操司が思い立ったかのように話しかける。

 

 

「あ、そうだ珱ちゃん」

 

「なんだ?」

 

「あのさ、僕にも師匠のレッスン、受けさせてもらえないかな?」

 

「……お前、死ぬ気か?」

 

珱九郎はこめかみを抑えるような仕草をしつつ返答する。優姫も慌てて止める。

 

「いや、やめたほうがいいって。死んじゃうよ⁉︎」

 

「2人とも、少し僕のことバカにしてない?」

 

少し操司がふてくされるが、すぐ話を元に戻す。

 

「あの銀行襲撃の時から今まで僕は一応鍛錬はしてきたんだ。でも、やり方が正しいのかすらわかんない。だから、師匠が欲しいんだよね」

 

「なら、他の人でも「いや、2人と同じがいい」…」

 

「2人と同じなら出来る気がする。僕はまだ弱いけど、2人に追いつかないと。その為なら何だってするよ」

 

操司の言葉を優姫は不安そうな目をしながら聞いていた。黙って聞いていた珱九郎が口を開く。

 

「…わかった。伝えておく」

 

「ほんと!やったー」

 

操司が喜んでいると

 

「2人の強さにもやはり秘密があったのか。なぁ2人とも。俺も一緒に鍛錬をさせてはもらえないだろうか」

 

「天哉君まで?」

 

「はぁ、分かった。2人とも覚悟しとけよ」

 

「恩にきる!」

 

どうやら飯田も共に鍛錬をすることになったようだ。

 

「いやぁ、楽しみだなぁ」

 

 

こうして操司の進路を決める日は過ぎていった。

 

 

 

 

*****************

 

 

 

その次の日曜日。飯田と操司の初めての鍛錬の日だった。

 

「育田道場、か。」

 

育田道場と書かれた看板があるその建物は、さながら空手の道場かと思うような外観だった。しかし、不思議に思うことは、壁のほぼ全てが修繕された後の残っていることだ。

 

「緊張するなぁ」

 

「甘野君でも緊張することはあるのか」

 

「そりゃああるさ。意外?」

 

「正直少しだけ」

 

などと話していると

 

「あ、操司君に天哉君!」

 

優姫が外から走ってきた。

 

「あ、優姫さん。珱ちゃんは?」

 

「ん?今は多分師匠と組手。先ず中入んなよ」

 

と言ったところで、

 

 

 

ドォン

 

 

 

中から壁を突き抜けて人が飛び出してきた。2人が驚いている中、優姫は

 

「いやー、やってるねぇ」

 

と呆れ笑っていた。

 

 

「反応が遅い!お前五回は死んでるぞ!」

 

「すいません!もう一度行きます!」

 

「烏丸君⁉︎」

 

飛び出してきたのは珱九郎であった。

 

「何だ?クロ。知り合いか?」

 

中から先ほど怒鳴っていた声の主が現れる。身長は170cmない程度。女性にしては高い方で、黒の長髪をたなびかせながら近づいてくる。操司と飯田は挨拶することにした。

 

「今日からお世話になります、甘野操司です!」

 

「おなじく、飯田天哉です!よろしくお願いします‼︎」

 

「おぅ、あたしは育田 天宮(いくた てんこう)だ。先ずは中入ってこい」

 

育田は快活に笑った。

 

 

 

 

 

*****************

 

 

 

 

 

 

 

一行は中で話をする。

 

「と言っても、君らの事は2人から聞いている。ヒーロー志望らしいな」

 

「はい」

 

「ならばある程度急いで基礎は作らないとな。格闘歴は?」

 

「ありません」

 

「僕もないです」

 

その後さまざまなことを聞かれた。個性のこと、体力、知力について、家族について…etc

やがて、育田による質問が終わる。

 

「よし、分かった。

んじゃあ、先ずここですることについて話しておこう」

 

そう言うと育田は姿勢を整える。

 

「ここは道場だが、特に流派というのはない。様々な武術を学ぶことで身体を強くする。あとは個性も鍛える」

 

「個性もですか?」

 

飯田の問いに育田は即座に頷く。

 

「ヒーローになるなら個性の制御も必要だろう。主には、甘野は暴走しないよう制御する訓練を、飯田はその個性を実践でどう使うかを学んでもらう。これは死ぬほど辛いから覚悟しておけ」

 

育田のニヤリとした笑みに2人はぞっとする。まるで獲物を見つけた蛇のような目つきだった。

 

「さて、早速始めるか」

 

『よろしくお願いします‼︎』

 

こうして、雄英高校入学試験に向けて4人は鍛錬を重ねた。

 

 




てな訳で、第12話でした。飯田君も強化フラグ建てておきましたが、回収するかどうかは分かりません(こら)
まぁ、こいつ文才ないから、とかで笑って見逃してください。

次回からやっと原作に入ります。キャラ崩壊してそうですね…何とか頑張ります。


ということで、次回もお楽しみに〜


感想、評価の方も是非宜しくお願いします。
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