『並行世界』へと赴く   作:舞茸の都市

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雄英高校序章編
第1話


 

甘野操司の朝は早い。

4時にセットしていた目覚ましの5分前に起き、アラームが鳴る前に止める。顔を洗いジャージ姿に着替えるといつものランニング20kmコースの走り込みに入る。調子に乗って40〜50km走ることもあるが、そんな時に限って遅刻をするため、最近は余分に走ることはやめた。ランニングが終わるとシャワーを浴び、すっきりした状態で勉学にうつる。所謂朝学習というやつである。

ここまでの流れは中学2年になってから崩したことがない。操司はこの一連の流れを「流一」と呼んでいる。彼のネーミングセンスは独特なのである。

 

この日もそうだった。雄英高校の入学試験日である。優姫と珱九郎との待ち合わせ場所へと急ぐ。

 

「操司!」

 

操司が出発しようとしたところで愛衣が呼びかける。

 

「ん?どうしたの?母さん」

 

「………母さんはまだ操司がヒーロー科に進むことがいいことだとは思ってない。でも、これは操司が考えた上でやりたいと思ったことなんだよね」

 

真面目な顔で問いかける愛衣に対して、操司は首を縦にふる。

 

「なら、母さんは応援する。今そう決めたから。……いつも通り頑張ってきなさい」

 

「……ふふ、ありがとう母さん。行ってくる」

 

愛衣らしい応援に微笑みで返す操司。そのまま操司は試験へと向かった。

パタリと閉まるドア。愛衣はまだそこに操司がいるかのように見つめている。すると、和眞が降りてきた。

 

「よく頑張ったね、愛衣」

 

「……私は操司が後悔しないように動いて欲しいと思っていますから」

 

「愛衣らしいね。でも、後悔ってさ、誰もがするもんだよ。後悔を経験したことのない人は大抵自分で物事を考えられていない人ばかりだ。

だからさ、愛衣。僕は操司が後悔をしても構わないって思ってる。ただ、未練はないほうがいいけどね」

 

「それは貴方らしい励ましですよね」

 

「ふふ、違いない。さて、ご飯はできてるかい?お腹がすいたよ」

 

そう言って甘野家は日常へと戻る。2人とも、思考のプロセスは違えど息子を大切に思う気持ちは本物である。それをお互いに尊重しあえるようになった。それは一家としての方針を固めたおかげがあるのかもしれない。

 

 

 

 

 

操司が2人との待ち合わせ場所へと到着すると、そこには既に2人がいた。

 

「あ、遅いよ、操司くん」

 

「ごめんごめん。ちょっと気合い抜けてて」

 

「普通逆だろ」

 

「よし、んじゃ行こっか」

 

そうして3人は歩き出した。目的地は雄英高校。歩き出すと、後ろからエンジン音がし、3人の脇で止まった。

 

「ほら、3人とも、電車で行こうとしてんのか?満員だぞ、乗ってけよ」

 

中から顔を出したのは育田であった。

 

「あ、師匠、ありがとうございます」

 

3人は車に乗り込み、雄英高校へと向かう。

 

 

 

 

途中で飯田のことも載せていこうとしたが、飯田の両親が既に車で送っていることを確認したため結局乗せていくことはなかったのはまた別の話だ。

 

 

 

****************

 

 

 

 

雄英高校内で飯田とも合流し、そのまま筆記試験に移った。しかし、私立聡明中学校でトップを誇る操司と優姫にベストテンに入る飯田、珱九郎の4人だ。筆記に関しては問題はない。

筆記が終わり、4人で答え合わせをしていると実技試験に向けての説明のため、大ホールのような場所に連れて行かれた。

 

「わぁ、プレゼントマイクだ」

 

「流石雄英高校ヒーロー科。プロヒーローもいるんだね」

 

「2人とも、説明は静かに聞くんだ」

 

「はぁい」

 

そう話しつつプレゼントマイクによる説明を聞いていた。

要するに、今から行く演習場内に1〜3ポイントのロボがいるからそれに勝てば良い。評価は倒したロボのヴィランポイントで決まる。ただし、0ポイントのロボもいるから上手く掻い潜ってポイントを稼げ、ということらしい。

 

『俺からは以上だ!最後にリスナーへ我が校の"校訓"をプレゼントしよう‼︎

かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った。

「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者だ」と。

 

"plus ultra"!

それでは皆、いい受難を!!』

 

受験生は一斉に動き出す。おそらく仲間同士の協力回避のためなのだろう、4人の会場はすべて異なっていた。

 

「ねぇ、最後の言葉、なんか怪しくない?」

 

「あぁ、含みをもたせてた言い方だったな。良い受難、か。まるで今回の試験は何か裏があるかのような…」

 

「うん、おそらくあるだろうね。確か、0ポイントロボは逃げる事をお勧めされたよね。思いつくのは0ポイントが強敵だったりとか?」

 

「もしかしたら入ると0ポイントしか居なかったりして」

 

「それはきついぞ」

 

3人は深読みをしつつ移動していたが、唯一飯田のみが話についていけてなかった。

 

「ん?ポイント制ではないのか?」

 

「ははは、天ちゃんは真面目で素直だね。でも、あの雄英がそんな単純なポイント制だけにするはずないじゃん」

 

「それもそうか…」

 

と、4人が考えているところで、係員から移動用シャトルバスに乗るよう指示された。

 

「んじゃ、あとは個人戦だね」

 

「ポイントは50も取れれば十分だろう」

 

「うん、皆で合格するよう頑張ろう!」

 

「師匠も言ってたけど天哉は考えすぎないようにな」

 

「あぁ、留意する」

 

「んじゃ、ヴィランポイント最下位は帰りに皆に肉まん驕ろうか」

 

『のった(分かった)』

 

その約束をして4人は分かれていった。

 

 

****************

 

飯田が演習場A、優姫が演習場B、操司が演習場C、珱九郎が演習場Dであった。

(さて、80ポイントとっとけばビリにはならないよな。うーん、武器は持ってきたけど、特にいらないかも)

操司は考えつつ準備をしていると、

 

「はいスタート」

 

(よし、行くか)

操司はプレゼントマイクが続けて何か言っているのを無視して個性を使う。使っている物は制服の裏に隠していた薄い合金板(3cm×8cmで師匠の知り合いが作ってくれた物)50枚ほどだ。

操司は真上に飛び上がり、その合金のうち2枚に足を乗せる。そのままホバークラフトのように猛スピードで飛んでいった。

と、ここで1ポイントロボに出会う。

(まず1点)

合金をものすごい速さでロボにぶつけると、ロボの胴体に穴が空いた。操司の思っていたよりも案外固くないようだ。

(よし、あのチートどもには勝ちたいし、やりますか)

目の当たりにした受験生の驚きを他所に、50枚の合金は四方八方に散らばった。操司の無双はここからスタートする。

 

 

 

****************

 

一方、優姫のいるB会場では1人の目かつり上がった男がロボを次々と爆破させていた。

(これ、私やばいかも?少しペース上げないと)

そう思いつつ優姫は手をくるりと回す。すると、雪ん子が30体ほど現れた。皆大体5cm程度の大きさだった。優姫はこれまでの鍛錬で大きさをある程度まで自由にできるようになっていたのだった。

 

「君らはロボにやられそうな人たちを助けてあげて」

 

『はーい‼︎』

 

返事と共に走っていく。

(周りを助けることもヒーローとして必要だよね、多分)

優姫の現在持っているヴィランポイントは36。まだまだ足りないと思いロボを倒しに行こうとした時、先ほどの男の方をちらりと見ると、ちょうど背後にいたロボが襲いかかるところだった。

 

(危ない!)

 

優姫は男とロボの間に立ち、ロボを破壊する。男がこちらを見てきた。いや、睨んできた、といったほうが正しいだろう。

 

「ふぅ、きみ大丈夫かい?」

 

「ああ⁉︎てめぇなに俺の獲物とってんだよ!すっこんでろ‼︎」

 

男の言い方にカチンときた優姫。

 

「なによ、背後のロボに気づかなかったくせに偉っそうに。君あのままだとやられてたよ?」

 

「うっせぇ、クソモブ女!黙って俺に敵を寄越せや!!」

 

「モブってなによ!その文脈なら動詞⁉︎直訳したら〈うん○が女の元へ群れをなす〉よ!ふざけてない⁉︎」

 

「何勝手にモブを動詞にしてんだてめぇ!名詞の〈一般大衆・烏合の衆〉のモブに決まってんだろ、クソモブ女!」

 

「それでも〈う○こ大衆girl〉てなんなのよ!意味わかんないし!しかも、モブには他に〈暴徒〉て意味もありますからー!君いつかは暴徒たちに殺されるよ⁉︎」

 

「うっせぇ、クソモブ女!モブはモブらしくすっこんでろ‼︎』

 

「……」

 

「……」

 

『(こいつにだけは負けない‼︎)』

 

案外仲良くなれるのかもしれない。ただ、それを見ていた周りが引いていたことは確かである。

 

****************

 

 

演習場Dでは珱九郎の独壇場だった。

 

ロボが5体同時に珱九郎に襲いかかる。珱九郎の手にあるのは一本の日本刀。珱九郎は1度息を大きく吐き、五体のうち一体に向かって突進する。

 

「3ポイント」

 

それに刀を差しそのまま横に薙ぎ払う。ロボのうち2体が拳を振るうが珱九郎はそれを飛んで回避する。そのまま珱九郎は1体に剣を投げつけ、それに飛びつく。

 

「2足す1で3ポイント」

 

剣を掴み荒々しく引き抜くとそのままもう1体も破壊する。

 

「3足す2で5ポイント」

 

珱九郎は地面に落ちてた石を拾い2体に向かって投げつける。石は2体の顔に当たり、そのまま爆発した。

 

(さて、今俺は何ポイントなんだ?くそ、ちゃんと数えておけばよかった)

珱九郎は舌打ちしつつ神足通でロボのいる場所に向かう。

 

 

数えていないらしいが、現在珱九郎は81ポイント。圧倒的である。

裏ではその会場に配備されたロボが底をつきかけており、担当者が急いで他の演習場からロボを配置しているところであった。

 

 

 

 

****************

 

 

 

 

飯田天哉のいる演習場Aはまさしく混戦であった。

 

「48ポイント!」

 

飯田の個性は【エンジン】ふくらはぎにエンジンのような器官が備わっており、この器官によって爆速を生み出すことができる。

(現在48ポイント。甘野くん達に比べると一歩劣っている可能性は十分ある。エンジンはまだ大丈夫だろうから、少しペースを上げるか)

そう考えた飯田が師匠との特訓で得た新技を使おうとしたその時、

 

 

 

轟音が響き渡り、地面が大きく揺れた。

何かと上を見上げると、数km四方に及ぶ会場を暗くする大きな影。それはたった1体のロボの影であった。

 

「ぜ、0ポイントヴィランだ!」

 

「逃げろ!」

 

誰かが叫ぶ声を皮切りに皆が走り逃げる。

(これが0ポイントか。相当な大きさだが、ヴィランは倒したほうがいいのか?いや、でも0ポイントだからこそ逃げるという手もある。ふむ……いったい何が正しいんだ)

飯田は思案しつつも他の受験生と歩みを同じくする。

 

 

とそこで目に入ったのは、この流れに逆行する少年。緑のモサモサ頭にそばかすが特徴的なあの少年だった。飯田は彼のことを2度注意している。そのため彼のことを少しは知っていた。

 

 

(彼はあの女子のことを見てから走り出していた。助けるのか?いや、違う。女子を助けるために0ポイントヴィランと戦う気か!)

 

「きみ!逃げろ!」

 

飯田の言葉を無視して走っていくモサモサ頭の男。彼は0ポイントヴィランに向かって思いっきり飛び上がり、

 

 

 

 

 

 

 

「スマァァァァァァァァァッシュ!」

 

 

 

一撃で0ポイントヴィランを吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで、雄英高校序章編、第1話でした。
原作キャラの口調が難しいですね。実は筆者漫画を持っておらず、アニメでヒロアカを知ったので原作キャラについては苦戦中です。友達に借りて一度は読みました。単行本欲しいな。でもお金が…
まぁ、頑張りますので楽しく読んでいただければ嬉しいです。


ということで次回もお楽しみに〜



感想、評価の方も是非宜しくお願いします。
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