『並行世界』へと赴く   作:舞茸の都市

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2話連続投稿です。前のを読んでない方はぜひ前のから読んでいただけると嬉しい。


第4話

第1種目・50m走

 

操司の番となる。操司は自身を並行世界と干渉させ、スタートの合図とともにゴールへと移動する。傍から見れば瞬間移動だ。記録は

 

〈0秒07〉

 

数秒遅れて並走していた生徒もゴールする。

 

「お疲れ、梅雨ちゃん」

 

「お疲れ様、甘野ちゃん。凄いわね、瞬間移動が個性かしら?」

 

蛙吹梅雨は操司の個性を分析するが、操司は笑って否定する。

 

「んー、違うな。僕の個性はもう少し複雑なんだ」

 

「どんな風に?」

 

「んじゃ、個性の名称だけ教えるよ。僕の個性は【強制干渉】ていうんだ」

 

個性の名称を教えられてもいまいちピンときていない様子の蛙吹。

 

「まずはここから避けよっか。次の人も来るし」

 

「そうね」

 

操司達が皆の元へ戻ると、赤髪を斜め前に立たせた男としょうゆ顏の男が近づいてきた。

 

「お前、すげぇなぁ。あれってどんな個性なんだ?」

 

「ふふ、なんだと思う?ちなみに瞬間移動ではないよ」

 

「はぁ、嘘だろ」

 

「ほんと」

 

「あ、そうだ。俺、切島鋭児郎」

 

「俺は瀬呂範太。よろしくな」

 

「僕は甘野操司。よろしくね切島くんに瀬呂くん」

 

とここで優姫が走り終わった。記録は

 

〈3秒91〉

 

「すいませーん、誰かこの氷溶かせる人いませんか?」

 

などと話している声が聞こえた。どうやら地面を凍らせて滑っていったのだろう。

 

「いやぁ、優姫さんもやるなぁ」

 

「そういえば2人とあと、珱九郎?の3人で登校してたよな。仲良いのか?」

 

「うん。僕らと飯田くんの4人は同じ中学だからね」

 

「…てことは聡明⁉︎」

 

「あ、今似合わないって思ったでしょ。一応学年トップ2は僕と優姫さんだからね」

 

「はぁ?まじか。エリートかよ」

 

 

操司は切島と瀬呂と仲良くなった。

 

 

珱九郎の記録は変わらなかったことを記しておく。

 

 

 

 

第2種目・握力

 

〈90kg〉

 

操司の記録だ。測定器に干渉を起こしてもっと記録をあげることもできたが、それは不正とみなされないか不安になり、自分自身に個性を使うことにした。

 

「んー、もう少し欲しかったな」

 

「普通よりは十分取れてるぞ」

 

「まぁ、そうなんだけどね」

 

「優姫ちゃんすっごーい!」

 

「へへへ、そう?」

 

盛り上がっているところを見ると、優姫が〈850kg〉という結果を叩き出していた。

 

「ああいうのがいるからさ」

 

切島と瀬呂は苦笑いを浮かべる。

 

「いいか、あれを人は『人外』と呼ぶんだ」

 

「いや、あれは『チート』だな」

 

「やっぱ2人もそう思うよね」

 

 

怒らせないようにしようと誓った3人であった。

 

 

 

一方珱九郎は、

 

「ふん!」

 

〈70kg〉

 

「やっぱ素だとこんなもんか。おい、障子。どうだ?」

 

「今からやる」

 

障子目蔵という腕が6本ある男と一緒に行動していた。

障子の結果は

〈540kg〉

周りから歓声が起こる。

 

「凄い便利だな、その個性。でもそれって右手とか左手とかあるのか?」

 

「…考えたこともなかった」

 

 

ここでは優姫が一歩リードである。

 

 

 

 

第3種目・立ち幅跳び

 

 

「先生」

 

「何だ烏丸」

 

「これは跳ぶのしか認められませんか?飛ぶのはダメでしょうか」

 

珱九郎の問いに相澤は若干思案すると

 

「ダメだ。空飛べる奴ばかりが有利になりすぎる。」

 

「わかりました」

 

操司はここでは個性を使わずに跳んだ。終了後に切島と瀬呂が操司に尋ねる。

 

「何で個性使わなかったんだ?」

 

「あ、僕の個性は糖分が必要でさ。足りなくなると頭痛で動けなくなるんだ。あと5種目あるからこれは普通にしようかなって思って」

 

「はぁ、なるほどな。一応制限もあるのか」

 

 

珱九郎も普通に跳んでいたようだ。優姫は跳んだ後息を後方に吹きかけて遠くまで風に流されることで距離を稼いでいた。

 

 

 

 

第4種目・反復横跳び

 

これは小さめの男子が活躍していた。おそらく彼の個性なのだろう、頭の球体を大量にもぎ、線の両端に設置していた。

(あの球にぶつかることで跳ね返ってるのか。面白い個性だな。あの男の子がぶつかっても崩れないってことはある程度の粘着性もある。使い方次第では強力にもなるか)

 

「何考えてんだ?」

 

「ん?どうやって瀬呂くんを弄ろうかなって」

 

「いや被害者俺かよ!」

 

「いいツッコミだね。いよっ、係長!」

 

「せめて社長とかにしてもらえないか!」

 

 

 

 

結局優姫、操司、珱九郎は個性を使わなかった。

 

 

 

 

第5種目・ボール投げ

 

 

操司はボール自体に個性を使った。常に加速度が正になるよう。

結果は〈∞〉

 

「無限⁉︎」

 

「すっげー」

 

賞賛の声が聞こえまんざらでもない操司。上機嫌で話していると

 

 

「また無限きたー!」

 

「どうなってんだこのクラス!」

 

麗日がちょうど投げたところだった。自分と同じ結果を出した麗日に興味を持った操司は麗日と話をしようと近づく。

 

「ねぇ、凄いね。ボール投げ」

 

「ありがと。てか君も記録一緒じゃん!」

 

ははは、と2人は談笑する。

 

「そうだ。僕は甘野操司。よろしくね」

 

「私、麗日お茶子!よろしく!」

 

ボール投げは坦々と行われていた。珱九郎は〈85m〉、優姫は〈70m〉だった。

優姫の測定が終わると麗日が明らかに緊張した顔つきへと変化する。

 

「どうしたの?」

 

「うん。あのね、次に投げる人、私の知り合いなんだけど」

 

そう聞いて操司は次の測定の準備をしている人を見る。緑のモサモサ頭の少年だ。名を緑谷出久という。飯田に試験会場で注意されていた人か、と操司は1人得心する。

 

「そういえば、まだあの人すごい記録出した、って聞かないね。大丈夫かな」

 

「そうなんよ。心配だ、わたし」

 

そんな話をしつつも緑谷の第1投目が行われた。記録は

 

〈46m〉

 

 

 

緑谷は驚いたような顔をしている。隣では相澤が髪を逆立てつつ緑谷に何か話をしていた。

その様子を見て飯田が呟く。

 

「何の話をしているのか」

 

「けっ、どうせ除籍宣告かなんかだろ。無個性の雑魚だぞ」

 

吊り目の男、爆豪勝己が吐き捨てるように答えると、飯田は驚いたように反論する。

 

「なっ、彼が入試時に何をしたのか知らんのか⁉︎」

 

「は?」

 

操司はその会話を聞いており、飯田に話しかける。

 

「ねえ、天ちゃん。彼が緑谷くん?君の言ってた」

 

「あぁ、そうだ。なぜ個性を使わないのかは分からないが」

 

「それは腕壊れるからでしょ」

 

ふと緑谷の方に顔を向ける。彼はボールを見つめながら何か思案していた。

 

(恐らく彼が言われたことは腕が壊れることの代償だろう。1発を敵に避けられたらそれだけで死ぬ可能性だってある。合理的な事が好きそうな相澤先生ならそんな不合理を認めるはずがない。

てかそもそも何であんなボロボロになるんだろ。個性発動したばかりではあるまいし。調整出来てないのか。ん?調整?)

 

操司がそう考えていると、緑谷の2投目が行われた。ボールは緑谷の前方を高く飛んでいき、雲を散らす勢いで進む。相澤が結果を見ると

 

〈705.3m〉

 

同時に歓声が起こる。

 

「やっとヒーローらしい記録が出たよー」

 

「指が壊れている。やはり不思議な個性だ」

 

そんな中操司はまだ思案を続けていた。

 

(威力は充分。だと身体がついていけてないのか。やはり調整不足。0か100しかでないとしたら大変だな。でももしあれが調整可能なんだったら、相当強力な個性だぞ。シンプルな増強っていいなぁ。やれること多いし派手だし)

 

 

 

などと考えていると、隣にいた爆豪が、

 

「どーいうことだコラわけを言えデクテメェ!!!!」

 

叫びながら走り出していた。

 

(あの馬鹿、そんな威嚇で教えてくれるはずないだろ。…止めるか)

 

即決した操司は地面に手を触れる。すると、走っていた爆豪の足元に小さな凸ができ、爆豪はそれに足を引っ掛けてしまう。その時操司は既に走り出しており、爆豪を抑え込む。

 

「はいストップ爆豪くん。訳は後で聞きましょうね」

 

「おいコラ離せや!」

 

「まず一旦落ち着いて、深呼吸しよう。はい、てーんてーんててーてれてっててーんてーててーー」

 

「なめてんのかゴラァ!」

 

そう言って操司はラジオ○操第一を歌い出す。それが爆豪をさらに怒らせることになっているのだが、操司は全くそのことに気づいていない。

 

 

 

 

「甘野、手を離せ」

 

相澤が操司に手を離すよう指示した。操司はそれに従う。

 

「爆豪、それ以上暴れるとどうなっても知らんぞ」

 

相澤の注意(というよりもむしろ脅迫に近い言葉)に爆豪も大人しくなる。

緑谷はその間に麗日と飯田の所に戻っていた。

 

 

 

 

操司も戻ろうと歩いていると、

 

「何であの時お前が止めたんだ?」

 

珱九郎が声をかけた。

 

「ん?緑谷くんが危ないかなって思って」

 

「相澤先生が動こうとしてたことにお前が気づかないわけないよな。だから聞いてるんだ」

 

 

 

 

「…ふぅ、珱ちゃんには嘘つけないね」

 

一度息を吐いた操司は話を続ける。

 

「彼が優姫さんと同じグループにいた人だろ。どのくらい強いのかなーって思ってさ。仕掛けてみたけど、案外あっけなかったね」

 

「そりゃそうだ。人間怒り狂ってる時は周りが見えなくなる。当然のことだろう」

 

「ま、1番は珱ちゃんだろうからさ。僕は君に勝つよ」

 

そう言って操司は切島達の元へと歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのまま特に事故もなく上体起こし、長座体前屈、1500m走が終わり、生徒達は一箇所に集められた。

 

「では結果を発表する。口頭で説明すんのは時間の無駄なんで、一括開示する」

 

そう言って相澤は結果を出した。

1位は不動の珱九郎。1500m走では時速200kmで飛ぶという業を見せた。走ってないのだが有りかという操司の抗議は却下されていた。2位は操司。3位は優姫、かと思いきや、八百万という女子だった。4位が優姫、5位が飯田である。そして、除籍されるということで注目されていた最下位は緑谷であった。

誰もが緑谷に同情したその時

 

 

 

 

 

 

 

「あ、除籍は嘘な」

 

 

 

場の空気が凍る。

 

 

 

「きみらの個性を最大限引き出す合理的虚偽」

 

してやったりといった顔をする相澤。そんな彼にワンテンポ遅れて

 

『はぁぁぁぁぁぁ‼︎』

 

 

緑谷達の絶叫が響いた。信じていたものは多かったのだろう。特に緑谷はまるでモノクロのムンクの叫びのようになったまま固まっている。そんな彼らを尻目に相当な量の髪をポニーテールに括った女子、八百万百は

 

「あんなの嘘に決まってるじゃない。少し考えれば分かりますわ」

 

と呆れた口調で言う。

 

 

多種多様な反応をする生徒達を尻目に先生は先に校舎へと戻ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?これって片付けは僕らでやれってこと?」

 

そんなどうでもいいようなことに疑問を抱く操司であった。

 

 

 

 

 

 




という訳で第4話、体力テストでした。
少しずつ原作から変えていきます。3人の介入でいろいろ変わりそうだなと思うので。

ここで、1-Aの生徒達を出席番号順に紹介しておきます。

1年A組名簿・出席番号順

1.青山 優雅(あおやま ゆうが)
2.芦戸 三奈(あしど みな)
3.蛙吹 梅雨(あすい つゆ)
4.甘野 操司
5.飯田 天哉(いいだ てんや)
6.麗日 お茶子(うららか おちゃこ)
7.尾白 猿夫(おじろ ましらお)
8.上鳴 電気(かみなり でんき)
9.烏丸 珱九郎
10.切島 鋭児郎(きりしま えいじろう)
11.口田 甲司(こうだ こうじ)
12.砂糖 力道(さとう りきどう)
13.障子 目蔵(しょうじ めぞう)
14.耳郎 響香(じろう きょうか)
15.瀬呂 範太(せろ はんた)
16.常闇 踏陰(とこやみ ふみかげ)
17.轟 焦凍(とどろき しょうと)
18.葉隠 透(はがくれ とおる)
19.爆豪 勝己(ばくごう かつき)
20.冬野 優姫
21.緑谷 出久(みどりや いずく)
22.峰田 実(みねた みのる)
23.八百万 百(やおよろず もも)



ということで、次回もお楽しみに〜


感想、評価の方も、是非宜しくお願いします。
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