『並行世界』へと赴く   作:舞茸の都市

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第6話

第1試合はAコンビvsDコンビ。爆豪と緑谷の2人には一種の因縁があったらしく、激しい試合展開を見せた後にAコンビが勝利した。

 

モニタールームで見ていた人は皆この試合の盛り上がりに喚起され、気合十分で次の試合へと移る。

 

 

 

 

「続いて第2試合!対戦相手はーーー‼︎」

 

そう言いながらオールマイトは2つのボックスからボールを1つずつ取り出す。

 

「ヒーロー側はBコンビ、ヴィラン側はIコンビだ!」

 

 

優姫・葉隠ペアvs轟・飯田ペアの戦いとなった。それぞれ所定の位置について作戦会議を始める。

 

 

 

*****************

 

 

 

轟と飯田は入り口で話し合いをしている。まずはお互いの個性の確認、それから相手の戦力の分析をしている。

 

 

「葉隠の個性は見た目通りだな。透明になる個性か」

 

「冬野くんの個性は【雪女】。吹いた息を凍らせたり吹雪にしたり、使い魔を出せる。あとは怪力でもある」

 

 

「葉隠の方は、どこかに潜伏されたら厄介だな。こっちには察知する術がない。ビルは5階建て。このくらいの大きさなら凍らせることはできる。

一旦ビルごと凍らせて葉隠の動きを止めるか?」

 

「しかし、もし葉隠くんが冬野くんの出した使い魔の上に乗っていたらどうだ?こちらとしては裏をかかれてしまう」

 

「使い魔はどの程度出せるんだ?」

 

「身長1.8m程度ならば20人までは見たことがある。運動神経も悪くなく、1つ1つが意思を持ってる。2vs20で戦っていると考えてもいいくらいだろう」

 

「そうか。なら、凍らせるのは得策ではないか」

 

などと考えていると、急に飯田が告げる。

 

「そうか。轟君。こういった策はどうだろう」

 

 

 

 

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一方優姫・葉隠ペアは核のある部屋で話をしていた。

 

「いやぁ、透ちゃんとかぁ。楽しみだね」

 

「いやいや、相手ってやばいじゃん!推薦組の轟君に入試4位の飯田君だよ!気合入れないと。

私、ブーツと手袋も脱ぐね」

 

「うん。でも、天哉君の弱点はわかってるから、問題は焦凍君だね。初めっから凍らせてくるかな…」

 

「だと私動けなくなっちゃうや」

 

「だからさ。えい」

 

優姫は使い魔たちを大量に出す。全てが2mを超える大男であった。

 

「彼らの肩に乗って行こっか。透ちゃんは1人の肩の上で待機。彼らに確保テープは預けとくからうまく利用して2人を捕らえて」

 

「うん。分かった。優姫ちゃんはどうするの?」

 

「私は……先制攻撃かな?」

 

 

 

 

優姫がニヤリと笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

優姫による悪巧みが着々と進む。

 

 

 

 

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『それでは第2試合、スタート‼︎』

 

 

オールマイトによる開始の合図とともに勢いよく中へと入り込む飯田、とその時、1階が一瞬で凍りつく。これはどうやら優姫によるものだった。すぐさま轟が氷を溶かす。

 

「飯田!進め!」

 

「すまない!」

 

飯田は氷が溶けるとすぐさま個性を使って走り出す。

飯田の最も得意とするのは短期決戦によるスピード勝負。それであれば誰にも負けない、とまでの自信があった。飯田はまず自身が走り回ることで核のある部屋を探索しつつ使い魔たちを倒していくことにした。

 

 

 

 

1階に核はない。そう判断し階段へと向かう飯田。

二階に上がる飯田の目の前には、一面の銀世界とともに、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"20人の優姫が立って構えていた"

 

 

 

 

 

「なっ!」

 

 

 

 

 

飯田の弱点、それは想定外のことが起こった時に判断力が鈍ることだった。自身が想定してもいなかったことを目の前にした時の飯田はただの人間と同じ程度にスピードが落ちる。そこを狙い、

 

 

「(つーかまえた!)」

 

 

背後から優姫が確保テープを巻きつけにはいる。

20人の優姫は全て優姫が作った雪人形。本物は壁に張り付き機を伺っていたのだった。

 

「(1人目確保!)」

 

優姫がそう考えていたその時、

 

 

 

 

 

 

 

「遅い!」

 

飯田が前方に跳び空中で1回転する。確保テープを振り切った飯田は優姫を目にも留めず走り去った。

 

優姫が考えていたことは概ね正しい。しかし、誤っていたのはそのスピードだった。ロータリーエンジンによって通常のレシプロエンジンの数倍は速くなった飯田を何の固定もせずに捕まえようとすることは愚策である。

 

とはいうものの、ロータリーエンジンは燃料を多量に使う。出来れば後半まで取っておきたい技であることも確かだった。

 

 

 

「(くっ、此処でロータリーを使うとは。おれもまだまだだ)」

 

飯田は反省しつつ雪人形の間を走り抜ける。雪で地面は覆われているが、二階に核らしい大きさのものは見当たらない。飯田は3階へと駆け上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん。そういうことね、焦凍君」

 

 

 

優姫は一人呟き、動き始める。

 

開始から此処までの時間、未だ30秒足らず。

 

 

 

 

 

 

 

*****************

 

 

 

飯田は3階へと駆け上がる。そこには優姫が出したであろう使い魔たちがこれでもかというほどひしめき合い、敵の来訪を待っていた。

 

 

「うぉぉぉぉ!」

 

叫びながら襲いかかる使い魔たち。冷静に走っていく飯田。無駄な消費をする気はないようだ。倒している使い魔も最低限である。

 

 

「(1.2.3.…予想よりも多い。この階が勝負だ!)」

 

飯田は予定を変更し、使い魔を倒すことに専念し始めた。飯田が使い魔を蹴り上げると使い魔は雪となって崩れ去る。飯田にその雪が多少かかるが、飯田はそれを無視して先へと進む。

使い魔たちは決して弱くはない。そこらのゴロツキであれば1人で5人同時に相手しても勝てるだろう。しかし、相手は飯田である。接近戦闘に特化した彼が使い魔に負ける可能性など微塵もなかった。

 

 

その階に配置されていた使い魔も残り5人となる。

 

飯田が1人を蹴り上げる。使い魔が崩れる。1人の攻撃を避け、そのまま蹴る。使い魔が崩れる。1人の攻撃を避け、そのまま蹴りあげる。使い魔が崩れる。

使い魔が残り2人となったその時、

 

「えい!」

 

確保テープが背後からすごい勢いで宙を浮いて飛んでくる。

 

 

 

 

「(葉隠君か!)轟君!」

 

 

飯田が叫んだその途端、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飯田の周りが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"氷の世界へと変わった"

 

 

 

 

同時に4階から轟が現れる。

 

 

「やっと捕らえたか。飯田!上には使い魔はいなかった!この階を越えろ!」

 

 

 

 

これを生み出したのは轟である。

 

 

 

轟は飯田が走って1階を走るのを確認すると、すぐさま外から中の様子を伺っていた。二階で見えなかったはずの優姫の確保を避けられたのは轟が外から見て優姫の姿を察知し、飯田に指示していたから。高速で走り回りながらも全ての部屋をチェックできたのはそもそも飯田が窓側の部屋をチェックせず、それらは轟に任せていたからだった。

中で飯田が搔きまわしつつ外から轟がチェックし、指示をする。彼らの作戦はこれが全てであった。極めて単純で、誰もが少し考えれば思いつく。しかし、能力のある2人がやるだけでその効果は絶大になることを思い知らせた結果だった。

 

「冬野くんはまだ捕らえていない。気をつけろ!」

 

飯田と轟はまず凍らせている葉隠に確保テープを巻きつけ、今度は慎重に部屋を見て回る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらま、もう捕まっちゃったか。でも、まだまだ甘いなぁ、2人とも」

 

 

 

開始から此処までの時間、約2分。

 

 

 

 

*****************

 

 

 

 

 

 

 

「ない、ない、ない、核がない!」

 

 

飯田と轟は慎重に、そして入念に3階から5階までの全部屋を見て回った。結果として、核はない。

2人は動揺していた。核があると考えていた3〜5階にはなく、だからと言って1、2階のチェックを怠ったわけではない。1、2階にあるとは考え難かったのだ。

 

 

「飯田、1回落ち着け。きっと見逃してただけだ。4階からもう一度見て行こう。冬野に気をつけろ」

 

「分かった」

 

幸い時間はまだ十分にある。2人はもう一度見回ることにした。

 

しかし、時間があるのは優姫も同じであった。

 

 

 

 

 

 

2人は5階から降りようとする。階段にさしかかったその時、

 

 

 

 

 

 

"ドォン"

 

 

 

 

 

 

すさまじい音とともに

 

 

階段が崩れ落ちた。

崩れた階段は4階へ向かうものだけではない。1階まで吹き抜けのようになっている。

 

「(不味い!)飯田!捕まれ!」

 

手を伸ばす轟に飯田が合わせようとすると、

 

 

 

 

 

"フゥッ"

 

 

 

 

 

上から冷たい風が吹き荒れ、飯田は下へと叩きつけられてしまった。

 

轟は空気を凍らせ、何とかその上に立つ。

 

「(くそっ、冬野か。やはりトリッキーなやつだ)」

 

上を見ると優姫が天井に張り付き、笑みを浮かべながら宣言していた。

 

「油断しちゃダメだよ」

 

優姫がパッと手を離し落ちてくる。轟は優姫を凍らせようとするが、

 

 

 

 

 

 

 

轟の脇にある壁を突き破って使い魔が轟を捕らえた。

 

 

「なっ!」

 

驚く轟を無視して、優姫は轟に確保テープを巻きつける。

 

「言ったでしょ。油断するなって」

 

轟は優姫の作った雪の層の上に降ろされた。

そのまま優姫は1階まで降りて行き、飯田に確保テープを巻きつけに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その間飯田が何もしていなかったはずはない。しかし、そこにも 優姫の罠は張られていた。

 

 

 

 

飯田は吹き荒れる風の中どうにか体制を整え、1階へと着地する。そこには優姫が作っていた2mの使い魔が約40人ほど配置されていた。

 

「(これらを相手している暇はない!)」

 

そう考えた飯田がロータリーエンジンで壁を登り轟の元へ向かおうとすると、

 

 

 

 

"ブルン……"

 

エンジンが止まってしまう。

焦ってエンジン部分を確認すると小さな雪の塊が大量に中に入り込み、エンジンをストップさせていた。

 

「(くそっ、これはもう動かない!)」

 

 

 

 

飯田の弱点はもう1つあった。それは飯田の個性は排気口が塞がれると使えなくなる、ということだ。つまり、そこを突かれれば、彼はただの一般人。捕らえることは容易い。

飯田はあっという間に使い魔たちに押さえつけられる。排気口を雪に埋もれさせることは忘れずに。

 

 

「(動けない!)」

 

飯田が脱出を試みていると、優姫が上から現れ、

 

 

「天哉くん。私たちの勝ちだよ」

 

確保テープが巻かれた。

 

 

 

 

『ヴィランチーム、WIIIIIIN!!!』

 

 

開始の合図から此処までわずか5分足らず。

オールマイトの宣言が優姫達の勝利を、そして、飯田達の敗北を告げた。

 

 

 

 

 

 




てな訳で、第6話でした。
葉隠さんが少し可哀想な扱いでした。反省点です。葉隠さん大好きなのに、悔しい…

さて、次回こそ操司達と2-Aとの戦いです。楽しみに待っていて下さい!


ということで、次回もお楽しみに〜



感想、評価の方も是非宜しくお願いします。
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