『並行世界』へと赴く   作:舞茸の都市

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舞茸の都市です。きのことたけのこによる戦争を終わらせるために来ました。

今回もご愛読頂き有難うございます。まだまだ原作には絡みそうもありません。気長にお待ち下さい。


第2話

 

 

 

 

 

操司はこの世界の状況を知るために母からインターネットを借り調べていた。

 

(おいおい、これを人間と呼んでいいのか…)

 

発光、硬化、獣人化……インターネットから拾った情報は元の世界ではありえない事だらけだった。それを可能にしているのが『個性』の存在。操司はこの『個性』のメカニズムに興味を持っていた。

(炎を吐く程度なら大道芸でもあるくらいだから出来なくもない。でも身に纏うとか考えられんわ。皮膚は一体どんな成分で構成されてるんだよ)

 

様々なことを調べていくうちに行き着いたのは、No. 1ヒーロー、オールマイトの存在だった。

絶対的な平和の象徴。彼がその名を世間に知らしめるようになってからは犯罪件数が急激に減少している。

それもそうだ。犯罪というのは2つのファクターによって減少させることができる。1つは規律の整った、それでいて論理の破綻していない管理システムの構築と施行。これは操司が元の世界で実行されていたことだ。警察と政治による法整備と取り締まり。これにはそしてもう1つは絶対的な力、抑止力の存在。この世界では後者が用いられることで社会を整えている。

両者にはそれぞれデメリットがある。前者は非常に真面目に整えない限り社会全体に停滞感が生まれる。停滞感は即座に社会への不満へと変容し、結果として社会の解体へと繋がりかねない。後者は絶対的なもの、そのものに依存してしまうため、それが崩れれば社会の乱れが一気に暴発してしまう。

つまり、どっちも一長一短なのである。

オールマイトの存在は操司にとって不安を抱かせた。

(この人がいなくなった後の社会が大変だ。彼がいなくなれば敵の数は倍増し、社会は乱れる。そうならないためには、新しいシステムの構築をしなければ)

 

 

「あら、いきなりパソコン貸してとか言うから何考えてるのかと思えば、オールマイトの事調べてたのね」

 

 

操司が考え事をしていると母、甘野愛衣がやって来た。母はおっとりした風貌の割に180前後は有るのではないかという程の長身だった。朝食のヨーグルトに砂糖と間違えて化学調味料を入れたあたり、中々独創的な天然だと言える。

 

「あ、お母…おかあさん。そーなんだ!オールマイトってかっこいいよね‼︎」

 

操司は見た目のことも考えて話し方を子供っぽく変えていたが、まだ慣れないようだ。

(気になるのは僕自身の個性だな。でも自分の個性を尋ねると怪しまれる可能性もなくはない)

 

「ねぇねぇ、おかあさんのこせいってなぁに?」

 

操司は母の個性について尋ねることにした。というのも、個性というものは遺伝的なものであると先ほどの情報にあったからだ。

 

「お母さんの個性はね、「愛情」って言ってね。お母さんの持ってる幸せな気持ちを周りに分けてあげられるの。」

 

(なるほど、心情操作ってところか。)

 

「だからね、ほら!」

 

途端操司の心の中に何か暖かいものが湧き上がってくる。まるで陽だまりにそっと手を置いたかのような温もり。操司は思わず笑みを浮かべる。

 

「ね、お母さんは今とーっても幸せだから、操司にも分けてあげるね」

 

「うん!ありがとう、おかあさん!」

 

(僕はこの世界では幸せな家庭に生まれてきたな)

操司のこうした感情は母の個性のせいなのか、それとも自然と湧き上がってくるものなのか、それは操司にさえも分からなかった。

 

 

 

 

これが、甘野操司、齢4歳と3ヶ月の頃である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

******************

 

 

 

 

丁度5歳になる一週間前、操司が折り紙をしていると、机に置いてあった操司の折った鶴が急に浮いた。操司の個性が遂に現れた瞬間だった。

その個性の名は『物質操作』自身の肌に触れたものを動かせる個性である。

操司は平静を努めていたが内心ではとても喜んでいた。

(身体を動かすことは嫌いではないが、頭を使う方が得意だ。これなら頭脳戦を主にして戦える。しかも、動かす、という行為自身は極めて物理的だ。これならいける)

 

医師の説明を聞きながらそのようなことを考えていた。その際、操司の横顔を母の愛衣が若干心配そうに見ていた事を操司は知らない。

 

 

 

 

 

******************

 

 

 

 

操司の個性が判明した日の夜、操司が寝静まる頃。愛衣は夫に操司の個性について話していた。

 

「…なるほど。操司はきちんと個性を持って生まれてきたか。ひとまず良かった」

 

 

操司の父の名は甘野和眞。彼は現代社会に約2割しかいない無個性である。現在はヒーロー事務所で経理をしている。

彼自身が子供の時はまだ無個性が3〜4割いたため、(若干の不平等さは感じられたが)爪弾きにされることはなかった。しかし、操司の生きている現代は違う。自分の影響で息子が無個性となり、それが虐めに発展してしまう事を恐れていた。そのため、妻から神妙な顔で話を切り出された時は緊張していたのだった。

 

「そんな事はどうでもいいんです。私は、あの子が自分の力を過信してヒーローになるとか言いださないかを心配しているんです」

 

操司の個性は決して強力なものではない。ただ物を動かせるだけだ。しかし、昼間の操司の嬉しそうな顔、そして以前急にPCを借りてオールマイトについて調べているところを見てしまっていた愛衣は、操司がオールマイトのようになりたいのではないか、ということに不安を抱いていた。

確かにここ最近聞くヒーローには、目立つから、や、かっこいいから、などといった曖昧な感情で就いているものもいないとは言い切れない。そのため、個性としてヒーローに向かない者でさえもヒーローになろうとしている風潮がある。それに操司ものってしまうのではないか、という不安は尤もなことだった。

それに対して和眞は何も気にしていないかのように答える。

 

「自分が何になりたいかなんて自分に決めさせればいいんじゃないかな?

僕だってヒーローになりたくて必死に鍛錬したわけだしさ」

 

和眞は高校入学までヒーローになりたかった。しかし彼は無個性。そこで彼が考えた事は、ありとあらゆる武術を自分のものにすることだった。今では、空手や柔道を始めとする日本武術、カンフーを始めとする中国拳法からボクシングなどの西洋武術まで多岐にわたる武術に造詣が深い。

 

「でも、あの子をそんな危険な場所に晒すのはどうかと思いますし、あなたと私の子なら絶対に向きませんよ」

 

「愛衣はただ息子が愛おしいだけなんだよ。その気持ちは素晴らしいけど、彼の考えにも寄り添ってあげないと、愛情はただのエゴイズムに成り下がってしまう。そこは堪えることも必要なんじゃないかな」

 

愛情というのは子供の成長の上で大切なことだ。しかし、押しつけがあまりにも激しくなってしまうと、それはただのエゴイズムに成り下がる。愛情をどの程度見えるように与え、どの程度隠すのか。このバランスをとることがとても大切なこととなる。

 

そこで和眞がふとある事を思いつく。

 

「うん。決めたよ」

 

「?何をですか?」

 

「次の僕の休みから操司に武術を少しずつ教え始めよう。きっと操司にとっていい経験になるさ」

 

 

愛衣は机をバン!と叩く。

 

 

「それはあの子がヒーローになる事を押し付けてる事にはなりませんか⁉︎

貴方は自分の断念した想いをあの子に押し付けるつもりなのですか!」

 

「やだなぁ、愛衣。そんなことはないよ。僕は息子がこれからどんな危機にさらされようとも生き延びる糧を与えようとするだけだよ」

 

「でも!」

 

「愛衣は操司をどうしたいんだい?弱くしたいの?それとも強くしたいの?」

 

「あの子は私たちの玩具ではありません!それはあの子が決めることであって「そう、それ!」」

 

 

 

和眞の突然の大声に愛衣はキョトンとする。

 

「操司が何になりたいかなんて操司にしかわからない。僕たちのできることは操司がやりたいと言ったことを成し遂げられるようにサポートしてあげれば、それでいいんじゃないかな」

 

愛衣は黙ったままゆっくりと頷いた。

 

「なぁに、操司ならきっと大丈夫。だって僕達の息子なんだから」

 

 

和眞は操司のことを信頼している。それは、操司が絶対に自身に嘘をつかない、そして立派な姿で成長してくれることに対しての信頼である。だからこそ和眞は操司に対して客観的になれる。これが甘野一家が良いバランスを保っていられる秘訣である。

 

 

 

こうして、操司の、そして甘野家のある種の運命を決める夜は過ぎていった。

 

 

 

 

 




主人公一家の名前、読み方を書いていませんでしたので、ここで紹介します。

甘野操司(あまのそうじ)
…元は天野総司(あまのそうじ)として物理学者をしていたが、実験のミスでヒロアカの世界に。
甘野愛衣(あまのあい)
…操司の母。
甘野和眞(あまのかずま)
…操司の父。

ここから先、私の設定上だとオリキャラが20人ほど必要なのですが、難航中です。ペースは多分1ヶ月に一回出せたら良い方になるかも(希望的感想)?
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