脳内のことを文字にするってやはり難しいですね。この間授業で小論文を書いたのですが、「言葉の言い回しが単調」と言われました。読み返すとこの小説も例に漏れてないんですよね…反省しつつ上手くなっていきたいと思います。
てなわけで、START‼︎
時はほんの2、3分前まで遡る。優姫と珱九郎が作戦を練っていると、目の前に四つ折りにされた紙が落ちてきた。いや、降りてきた、と言ったほうが正しいだろう。それほどその紙の動きには指向性があった。その紙を手に取った2人が中を見ると、其処には
『僕は大丈夫。中は任せて2人はヒーローを呼んで』
と書かれていた。
「操司の字だな」
「操司君のばか。これ見たら助けに行かないと気が済まないじゃん」
「ああ、全くだ」
2人は顔を見合わせ作戦を即座に決めた。
「裏口から一点突破。速やかに敵の捕獲。異論は?」
「俺にはない」
「なら行こうか」
そうして2人は裏口に向かって走り出したのであった。
******************
そうして場所は銀行ホール内に至る。
「2人とも、ハァ、あの、リーダー格の、男の個性は【崩し】見た無機物を、崩す個性、らしい、から、ハァ、ハァ、気をつけて」
息も絶え絶えに敵の情報を伝える操司。
珱九郎はそんな操司を一瞥し、すぐに敵の方を向く。
優姫は操司に話しかける。
「操司君。2つ目の指示通りインゲニウムには連絡したからあと2、3分で来る。ただ、1つ目の指示には逆らったよ」
「……」
操司は死にたくなかった。しかし、それよりも操司は2人に死んでほしくなかった。2人と両親だけは命に代えても守りたかった。その思いがあの一枚の紙に詰め込まれていたのであろう。
そして2人はそれを読み取った。それは、2人が操司の友達だから。親友であるから。操司が2人のことを大切に思っているのと同様に、2人も操司のことを大切にしていたのである。その事が2人を動かしたと言えよう。
操司は心配そうな表情で2人を見つめている。優姫はそのことに気づき、ふふふ、と笑いつつ操司にそっと語りかける。
「……大丈夫。私たちは何があっても死なないから。だからさ、操司君も生きててね。応急処置とか出来ないから助けを待つしかないけど、きっと助かるから、ね」
操司は優姫の説得に軽く頷き、力が抜けたのか、その場にぽてんと座り込んだ。
さて、と優姫も敵の方を向き直す。
「今あいつらは何してる?」
「男が他の奴を解放してるとこだ」
崩土は操司に捕まっていた4人の拘束を崩して解いていた。また、照久の方も立ち上がり、5人と合流する。6vs2。しかも、戦闘を経験している6人と中学生2人。傍から見れば勝ち目はなかった。
「さて、よくも邪魔してくれたね、お二人さん。君らも死ぬ気かい?」
崩土の問いに珱九郎が答える。
「生憎勝てない戦いは挑まないもんでな。死ぬ気も傍観する気もないさ。しかも見る限り誰も死んでないのに君らもっておかしくないか?」
「…ガキが!」
「え、そっちにもガキはいるじゃない?」
優姫は単純な疑問を口にする。崩土はその疑問に答えることなく、話を進めた。
「ふん。まぁ、君らを殺した後にあいつも殺すつもりでいるから、精々頑張ってくれ給え」
「私無視されるの⁉︎」
と、ここで敵の雰囲気が変わる。何かするつもりのようだ。2人が横並びになって構えていると、
「土田、やれ」
2人の間に巨大な壁が生まれた。優姫の方には、先ほど壁を作った土田と呼ばれていた男、腕が8本の男、そして、長い針を持った男の3人が、一方で珱九郎の方には、崩土、照久、巨漢の男が構えていた。
戦いの火蓋は切って落とされる。
******************
珱九郎の方では、いきなり巨漢の男が攻めてきた。
(思ってたより速いな。でも、まだ遅い)
珱九郎は男の攻撃を軽々とかわしながら、崩土に話しかける。
「そっちは来ないのか?」
「生憎俺らは遠距離攻撃が得意なもんでな。苦手な所にわざわざ飛び込む必要はない」
「あっそ」
「てめえ、俺が相手だろうがよ‼︎」
そう叫んだ巨漢の男は左拳の大振りで珱九郎に攻撃を当てようとする。
「甘い」
攻撃を軽々と避けた珱九郎はその手を掴み、相手の懐へと潜り込む。
「良いか、攻撃ってのはこうするんだ‼︎」
珱九郎が相手の襟と左手を掴みそのまま背負い投げをしようとする。
と、そこで珱九郎の右足下の地面が崩れる。
「なっ」
珱九郎は踏ん張れず、相手から手を離してしまった。また距離をとる2人。
「そうか、そっちはそんな戦い方をするのか」
珱九郎は大体要領を得てきた。恐らく直接戦闘は巨漢の男1人だけ。操司に刺さっていたナイフと同じものが子供の手元にあるところを見ると、子供はナイフ投げで応戦。リーダー格の男は目で見たものを崩すため、珱九郎の隙を突こうとするようだ。
(個性、使うか。疲れるんだよな)
そう思いつつ珱九郎は男たちと向かい合う。
「異部器、やれ」
「イエッサー」
異部器(いぶき)と呼ばれた巨漢の男が再び攻めてくる。
「動きが単調すぎるんだよ」
再び相手の懐へと入ろうとすると、
「お前もな」
足元を崩される。
「おわっ」
異部器が左手を振りかざす。今度は仕留めた、と異部器が思ったその時、
珱九郎の姿が消えた。
「は?」
異部器の拳は宙を切った。
「こっちだ」
珱九郎の声は崩土と照久の後ろから聞こえる。と同時に2人は襟首を掴まれる。
「なっ⁉︎」
2人は驚きのあまり動きが鈍る。
「ほらよ」
珱九郎は2人の頭を思いっきり衝突させ、異部器の方に思いっきり投げつける。異部器がそれに気付き2人を受け止めようとする。
「今度はこっちだ」
珱九郎の声は先程までいた筈の場所からは聞こえず、今度は異部器の後ろから聞こえる。
珱九郎はそのまま異部器を前に蹴り飛ばし、3人をぶつける。
倒れる3人を前に、珱九郎は警戒を続ける。
「お前ら、師匠に比べりゃ死ぬほど遅い」
突然だが皆さんは鴉天狗(からすてんぐ)をご存知だろうか。
天狗といえば鼻が高く顔の赤いものを想像する人は多いとは思うが、あれは近世以降に急激に流布したものであり、もともとは鴉天狗が正しい姿だとされている。
鴉天狗とは鴉の嘴をしており、自在に飛翔することが可能だとされる伝説上の生き物である。剣術に秀でており、牛若丸に剣術を教えたのは鴉天狗だともされている。また、鴉天狗には神通力が使える、とも言われている。
神通力として知られているのは、仏道における六神通。天狗達は元々僧侶だったもの達だと言われているため、神通力とは六神通のことを指すと思われる。
一つ目は神足通。自分の行きたいところに、自由自在に出現する能力だ。
二つ目は天眼通。未来を予知する能力だ。
三つ目は天耳通。なんでも聞いてしまう能力だ。
四つ目は他心通。他人の心の中を察知する能力だ。
五つ目は宿命通。自分や他人の過去の世について知る能力だ。
六つ目は漏尽通。真理を悟る能力だ。
珱九郎の個性は【鴉天狗】異形型かと思われるが、実は発動型の個性である。鴉天狗の出来ることは大体全て出来る、とされてはいるが、実際にはまだ神足通と天眼通しか十分に扱えておらず、剣術も他よりは多少出来るレベルである。
今回は天眼通で崩土がどう動いているのかを先読みし、神足通で崩土達の背後に回り込む。2人を投げ飛ばしたらすぐに天眼通で異部器の動きを読み、神足通で異部器の背後に移り蹴り飛ばした、という動きであった。
一瞬チートかと思われる個性であるが、弱点はある。まず、扱うにはまだ珱九郎自身の力が足りないため、連続で使えるのは最長で47秒程度だ。同様の理由で、珱九郎には神足通と天眼通しか使えない。また、発動型の個性であり、使用しすぎるとその後個性が発動しなくなる期間が、オーバー時間1秒ごとに1ヶ月ずつ増えていく。極め付けは、神通力の残り4つだ。珱九郎はこれらを発動させることができるのだが、一旦発動してしまうと自分の力で止めることができず、暴走してしまう。暴走状態の珱九郎を止められるのはオールマイトか珱九郎の師匠のみであろう。使い方を誤れば危険な個性なのだ。
「くそ、てめぇの個性はなんだ。瞬間移動か」
崩土が先に立ち上がる。
「へぇ、回復速いな。結構強くやったと思うんだけどな」
実際やられていた照久の方は立ち上がれないようであることからも、珱九郎は手加減しなかったようだ。
「黙れ。てめえは殺す」
そう言って崩土は遅れて立ち上がった異部器に命令を下す。
「異部器!お前、あっちのやつらを連れてこい。あっちの女は武闘家ではなさそうだからすぐに終わっただろう。こいつを6人で殺すぞ」
「イ、イエッサー」
2人の会話を聞いていた珱九郎は
「…ぷっ、はははははは」
噴き出すように笑い始めた。機嫌の悪い崩土は不愉快そうに叫ぶ。
「何がおかしい!」
「はははは。はぁ、はぁ、いや、すまん。ついおかしくてな」
崩土は不愉快そうに睨み続けると、
"ドォン"
急に隣の壁に穴が開き、砂埃が立ち込める。
と、ここで珱九郎が続ける。
「だってよ。俺よりあいつの方が何倍も強いし、えげつないぞ」
すると、血塗れの土田と針を持った男が転がるように勢いよく飛んでくる。そして砂埃の晴れた先にはボロボロになった腕が8本の男の顔を左手で掴む優姫の姿があった。
「バカな、小娘1人に…」
崩土の唖然とした呟きを聞いていたのかいなかったのか、優姫は崩土の方に顔を向け、ニヤリと笑いつつこう続ける。
「ねぇ、知ってる?恋する乙女って誰よりも強いのよ」
運命の時まで残り1分を切る。
てなわけで、第8話、珱九郎くんの活躍回でした。珱九郎君の個性を最初は主人公にしようとしましたが、諸事情により諦めました。てか、優姫さん、強いですね。さすが恋する乙女……
次回は戦いもラストスパート。白熱する戦闘を筆者は伝えられるのか⁉︎頑張ります‼︎
てことで、次回もお楽しみに
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