垣根帝督は暗部「スクール」のリーダーだ。学園都市の7人しかいない超能力者の第2位でもある。能力名は「未元物質」、この世に存在しない素粒子を生み出し、操作する能力だ。
そんな彼に、最近妙なツレが出来た。
「おう、なんかいいカップ麺あった?」
佐倉円理である。
現在、ブックオフ。漫画を読んでたら声を掛けられた。
「いや、最近は特になんもねーな。夏前だし」
「俺もだ。冬とかは良くあるんだけどな。何読んでんの?」
「亜人」
「ああ。あれか。面白い?」
「中々。全巻買う」
「金あんなーお前」
「まぁ、レベル5だし」
「ふーん」
「つーかお前、風紀委員はいいのかよ」
「今日はサボる」
「お、おう。思い切りがいいな」
佐倉の腕には風紀委員の腕章が付いていた。おそらく、パトロール中ということにするためだろう。
「世の中、思い切りの良さが大事なんだよ。あ、ゲーセン行こうぜ」
「何、なんか面白いゲームあったん?」
「や、UFOキャッチャーの景品で携帯の充電器あってさ。取ってくんない。金は出すから」
「はぁ?自分で取れよ」
「無理無理無理。垣根パイセンのお力が必要なんスよ」
「………わーったよ」
そう言って垣根は、後輩を連れてゲーセンに向かった。
*
充電器を取り、二人はそのまま三階のメダルゲームコーナーへ。
「そういえば垣根さ」
「何」
「あのドレスの女の子ってお前の彼女?」
「ぶふっ!な、なんだよ急に」
「いや、ふと思って」
「なわけけーだろ」
「ふーん、なーんだ」
「お前も彼女とかいねーの?」
「いねーよ。いたらいいんだけどね」
「いやいや、お前イケメンだし、作ろうと思えば作れるだろ」
「無理無理無理。こっちからガッつくのは好きじゃない」
「うわっ、流石草食」
「うるせー」
「つーか、風紀委員に女の子いるんじゃねーの?」
「ダメガネと花瓶とパンダがなんだって?」
「お、おう……人がいねーのな」
「それに、最近は事件が多発しててそれどころじゃねーんだよ」
「事件?」
「ああ。虚空爆破事件って知ってるか?」
「知ってる知ってる。ニュースで見たわ。なんかアルミを爆弾に変えてるって奴だろ?」
「へぇ、そうだったんだ」
「なんで風紀委員が事件を把握してねーんだよ」
「俺、人の話聞くの苦手なんだよね」
「それで良く風紀委員が務まるな」
「あ、ジャックポット」
「キタアアアアアアアアア‼︎」
「ふおおおおおお!メダルが、メダルが大変な事に!」
そんな事をしてると、後ろからパサッという音が聞こえた。佐倉が振り返ると、ぬいぐるみが落ちている。辺りを見回すと、ぬいぐるみの先に男が階段を降りて行くのが見えた。
「おい!なによそ見してんだ!」
「いや、ちょっと落とし物が」
「んなもんほっとけ!」
「お、おう。それ風紀委員の俺に言うか?」
そんな話をした直後、ぬいぐるみの中央に黒い次元の穴のようなものが出来た。
「ッ!」
慌てて佐倉はぬいぐるみを掴んだ。
「おい!」
「垣根、逃げろ!」
「あ?」
ぬいぐるみを持ったまま、メダルゲームの椅子を投げて窓をぶち割り、そこから自分の身を投げ出した。
「バカヤロッ……‼︎」
垣根も窓から飛び出した。
直後、大爆発。空中で爆破したため、被害は最小限に済んだ。全員が爆破の方を見る中、垣根と佐倉はゲーセンの屋上に降りた。垣根の背中には翼が生えている。
「ふぅ……間一髪。てかテメェ、爆弾処理ならもう少し考えてやれ。死ぬとこだったぞ」
「悪い悪い。つーかお前のその能力何?」
「教えられねぇ。悪いな」
「いや。似合わねーなぁって」
「安心しろ、自覚はある」
言いながら佐倉は降ろしてもらった。「さて、」と二人は続けた。
「………俺たちのジャックポットを邪魔した借り」
「今すぐにでも返させてもらおうか……!」
マジギレしてる二人だった。