白猫×仮面ライダー 夢幻泡影ダークネス   作:城戸薫

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scene1 赤が訪れ、武者は黒を目指す

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

赤い空に極光が浮かぶ――

 

 

 

 

[やつは世界の破壊者だ!]

 

[この世界も破壊されてしまう……]

 

[もしお前が出会ったならば……]

 

 

 

 

[――――殺せ!悪魔を!!]

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「……んあ」

 

 

目覚めているかも怪しい言葉を吐くと、そいつはベッドから起き上がった。

 

そいつの背後にはビームでも出しそうなビットがフワフワと浮き、紫のラインが走った黒いボディは幾何学的さの中にどこか野生味を感じさせる。

 

布団をかけずベッドに横たわっていたそいつは、本来なら身体を休めていただけのはずだった。

 

否、とろうと思えば睡眠はとれるし、夢を見る機能も備えてはいるのだが――その夢は異質だった。

 

 

「……なんだあの夢は」

 

 

眉間にシワを寄せながら、ついさっきまで見ていた夢について考える彼はシャナオウ、人造人間(アンドロイド)である若武者だ。

 

とある島で長年戦争をしている勢力、その一方の総大将の弟機である彼は戦争を止めるべく、各地で従者となる者を探しながら、また従者に加えながら戦地へ向かっている。

 

のだが、今は一旦足を止め拠点へ戻って来ていた。

 

 

シャナオウを造った設計局からは不定期にバージョンチェンジの知らせが来る。内容は出力の微調整から装備の変更までさまざまだが、今回は戦闘スタイルそのものを変えるほど大きな変更だ。

 

そのバージョンチェンジをするモノの受け取り日時が今日であり、受け取り場所がここ飛行島なのだ。

 

 

「……赤い夢、」

 

 

しかし今の彼の頭の中には夢のことしかなかった。

 

赤い空と極光、どこかで見たようなはずだが思い出せなかった――。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

そいつは木陰に座り込んでいた。シャナオウが休んでいる部屋を心配そうに見つめながら。

 

 

「シャナオウさん、大丈夫かなあ……」

 

 

彼はゼロキス。自称恋愛マスターでありながら、自分を召喚した魔女や運命の巫女、はたまた猫にすら恋してしまう恋多きインキュバスである。

 

シャナオウと鍛練をしてる最中にシャナオウが突然倒れてしまい、部屋へ運んだはいいが心配でこうしてずっと座り込んでいるのだ。

 

 

「いい加減立ちやがれ。心配すれば大将が目ぇ覚ますのかよ?」

 

ゼロキスに声をかけるはベンケイ。ある瞬間、木の股にいた自分に気づいたという常軌を逸した存在だ。

 

「そうは言っても……心配なものは心配なんだよ」

「無駄だなあ……まったく無駄だ。大将があの程度の鍛練で死ぬわけでもねえだろうよ」

「……心配するのがそんなにいけないことかよ」

「いけねえとは言ってねえ。ただ、無駄だ」

 

 

二人の空気が次第に悪くなる。そんな雰囲気を切り裂くように、

 

「おう、お前ら!どうしたんだよ、こんなとこで」

 

チャラそうなチョビヒゲが話しかける。彼はオズマ。『闇』に対抗する黒の飛行艇の実質的なリーダーであり、『かの国』の法王でもある。

 

 

「へっ。法王サマには関係ねえよ」

「連れねえなあ〜。男を誘わないこの俺が、話しかけてやってんだぜ?少しはありがたく思いやがれってんだ」

「……なんですか?その箱」

 

手に持った箱を見てゼロキスが聞く。

 

「おう、これか?お前らの大将に渡すようナツミちゃんに頼まれちゃってな。モテる男は辛いぜ〜」

「いや雑用に使われてるだけだろ」

「それはそうと大将さんはどこだ?お前らと一緒にいるもんかと思ってたんだが」

「実はですね……」

 

ゼロキスがシャナオウは部屋で休んでいる旨を伝える。

 

「ほおう……」

 

顎を擦りながら考え込むオズマ。

 

「ま、まだ寝てるかの様子見も兼ねて行ってくるわ。寝てたら寝てたで置いてくればいいしな」

「もう起きてるが」

「「「!?」」」

 

いた。一瞬前には何もいなかった場所に。シャナオウはいた。

 

 

「おま……いつからいたんだよ」

「オズマ殿が来た時からいたぞ。反応はなかったが」

「まるで蜃気楼(ミラージュ)だな……」

蜃気楼(ミラージュ)?」

「いや、ああまあ、いいんだ。それより、ほれ」

 

オズマが箱を差し出す。

 

「聞いてたなら知ってるだろうが、お前さん宛のお届け物だ」

「かたじけない。確かに受け取った」

 

シャナオウに箱を渡すとオズマは背を向ける。

 

「ほんじゃま、またなお前ら。達者でやれよ」

「あ、はい。ありがとうございました……」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「つーかその代物よぉ、法王サマが届けにくるなんざ、よほどヤベエやつなんじゃねえか?」

 

シャナオウが包装紙を外す様子を見ながら呟く。

 

「でもナツミさんに頼まれたって言ってたじゃないか」

「それが真実とは限らねえ」

「……疑り深いなあ」

「大体よお、一介の受付嬢がお偉いさんに雑用を押し付けるか?もしかしたら法王サマ直々に大将を殺すための爆弾でも贈られたのかもなあ」

「やめろよ!」

「開いたぞ」

 

ゼロキスとベンケイの口論を他所に、シャナオウは言い放つ。

 

「ベルトのバックルか?」

「……にしてはやけに大きいですね」

 

バックル全体は光沢のある黒、中心には何かを填めるような窪みがあり、右側にはオモチャのようなブレードがついている。

 

「バージョンチェンジの機材が来るとは聞いていたが……こんなタイプは初めてだな」

「ベルトのバックルなら……腰に付けるんですかね?」

「まあそうだろうな」

 

ゼロキスの言葉通りに、シャナオウは自身の腰に充てがう。

するとバックルからベルトが伸びてシャナオウに装着される。

さらに、

 

 

\戦極、ドライバー!/

 

 

起動音が鳴った。

 

いや、

(ベルトがしゃべった……)

というのが率直な感想だった。

 

 

「なに……せんごく?」

「恐らく戦極ドライバーというのがこのベルトの名前なんだろう。開発者とは気が合いそうだ」

「おい、箱の底にまだなんかあるぜ」

 

ベンケイの言うとおり、箱の底にはドライバーの下に隠れていたのだろう書類とオレンジ色の錠前があった。

 

「設計局への召集及び戦極ドライバーの取扱説明、と……K.L.S.-01?」

「ふむ……」

 

シャナオウは書類を一気に読み解く。

 

「バージョンチェンジの調整をするから設計局の島へ来いということらしい。こいつも持ってな」

 

言いながらロックシードをホルダーに取り付けるシャナオウ。

 

 

「設計局がある島……ですか」

「かつて瘴気に冒されながら、瘴気によって突然変異した植物が瘴気を喰い尽くしたという、アレか」

「ああ。白の王国の時代にはエデン……瘴気の島エデンと双対をなしたという」

 

 

 

「瘴気の島、エノク」




ゼロキスとベンケイの言い争いは『彼らの問題』と認識しているのでシャナオウは基本参加しません。
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