ラナークエスト 作:テンパランス
すぐに結論は出ないようなので風鳴達には宿舎に戻って検討してもらうことにする。
今日最後に、忘れていた人物が居たそうなので呼んでおく。
レオンミシェリ達の面倒を見ていた『アデライド・グランマニエ』である。
他にも忘れている人物が居ないか、確認した。
せいぜい地下に居るペロロンチーノ達がどうなったかくらいだった。
「様々な人間が来ていると抜けが出るようですね」
苦笑しつつ金髪で瞳に星が入っている大人の女性を椅子に座らせた。
風鳴達と同様に地下施設は使わず、ミルヒオーレ達の世話を焼いていたと話した。
「なにやら物騒な施設だというお話しでしたが……。私はのんびりと過ごさせていただきました」
「折角なのでアイテムをよこせ、とか無茶は言いません」
レオンミシェリ達が獣系だったのに対し、アデライドは完全な人間だ。
何か特殊能力があるのかと期待したが、持っているアイテムの恩恵が大きいらしい。
そうだとするととても面白くない。もちろんオメガデルタにとっては。
「強化に否定的ならば、それはそれで構いません。私ががっかりするだけです」
ただし、ステータスだけは見せてもらいたいと申し出た。断っても強引に事を進めるけれど。
必要なのは確認作業だ。
「め、目が本気なの、です……」
オメガデルタの物凄く真剣な表情で見つめる様がとても怖いと感じた。
断ったら何をするか分からない、そんな気配を発散している。
裸でないのであればステータスくらいは見せても良いかな、と思った。というよりそうしないと
「違う世界の住人を何も置かずに帰すのは勿体ない。例えば元の世界に帰ったら集めたものが全部消えるとかは仕方がないと諦めるけれど」
「相当欲深い人のようですね」
「ありがとうございます」
欲望があるから前に進める。
退屈な日常を無為に過ごしたくないだけだ、と力強くオメガデルタは自説を唱える。
† ● †
戦闘していないアデライドのステータスは意外と質素。それでも唸り声が出そうな
『
いくら2000個近い『
大抵は変わった
先のレーヴァテイルも『
ゲームに実装されていないタイプはそれぞれの世界で生まれたオンリーワンの可能性が高い。
それらを手に入れる事は魅力的だが、当然のことながらリスクも高くなるのが
だからこそシンフォギアは自動的に出てくるアイテムで妥協している。
自分が身に付けるものではなく、情報。
物事に限界があるからこそ今の自分に出来る事を十全に使い切る。それまでは新しい風を無理に取り込む事はしない。
アデライドに出来る事は今の何も無いので一旦帰す。
一通りの確認作業が終わったがまだ地下施設が残っている。
仕事が終わるのは当分先かもしれない。
二日後に個人レッスンを交えて呼び出したのはラナーとネイア。聖王国の一部は本国に戻っもいい許可を出す。長い滞在で危機に陥っては困ると思うので。
何事も基礎は大事だ。
「服は着たままで結構です」
火属性の
「ラナー王女は大丈夫だと思いますが、ネイアさんはモンスター討伐は楽に出来る方ですか?」
「屈強な牛とかはちょっと……。難度の少ないモンスターじゃないとキツイです」
見るからに嫌そうに見えるが目つきが悪いだけだ。
特に上目遣いの時、口を半開きにするのは印象が悪い。それは出来るだけ矯正する様に言いつける。
ネイアのレベルは十未満。それで倒せるモンスターなどたかが知れる。せいぜい
ラナーはレベルが2のままなので少し苦労する。
まず用意したのはレベル10台のモンスター達。それを少しずつ倒してもらう。