ラナークエスト 作:テンパランス
一時間かけて討伐していく予定だが、自分がどんな風に強くなりたいかを強く意識させる。それにより新しい
倒し方については問わない。自分なりに見つけていくのが大事だ。
「……それにしても見慣れないモンスターがやたらと増えていたが……。この辺りに居たかな?」
しかも部屋の片隅に雑然と積み上げられているという有様。
イビルアイに聞けば
滅多に出会えないレアモンスターだが、そもそもこの世界に存在しているとは。
通常の召喚では呼び出せないし、そこらに徘徊する野良でもない。
イベントボスタイプに分類される。
天使というか神クラスだが。
「……
金太郎で有名な『
どちらを採用するかはゲーム会社の裁量だが、それがこの世界にどれだけ影響を及ぼしているのか、とても疑問だ。
やはりモンスターごと転移して根付いたと考えるのが自然か。
もし考古学が発達すればモンスター達の化石が存在しない事を気づくかもしれない。それとも化石が存在し、
「……どう考えてもおかしいんだがな……」
武将みたいなモンスターが居るわけないだろ、と。
「……
イビルアイが持ってきたとは思えないし、ナザリックの面々でもメイドが行き交う場所に投げ捨てたりしない筈だから、何者かの介在かな、と。
それでもくれるものは貰う。
† ● †
新しいモンスターは使ってやらなければ勿体ない。
使用方法が殺戮というのが問題だが。
五大精霊のような感じになった。
『
極端に強いモンスターではないけれど苦戦は必至。
自分が寝ていた間にまた種類が増えているのは嬉しいものだ。
ラナーは地道に討伐してもらうとして、ネイアにはひたすらに弓を使い続けている。
「押し潰すような事にはならないのでただひたすらに武器を使って下さい」
「はい」
「なかなか大きなモンスターというのは丈夫で大変ですわ」
元々の筋力の値が低いせいもある。
普通の人間に多くのモンスターを討伐する力など無くて当たり前だ。特にラナーは戦闘用ではない。
それを戦闘用に鍛えるのだから。
二人が頑張っている間、新たなモンスターを用意する。それとついでにイビルアイの様子も見ておく。
「金貨はどうなったかな」
「既に止まっている」
書類を書いていたイビルアイが答えた。
多くの客人は既に地上に引き上げていて、広い空間に居るのはイビルアイとオメガデルタ。それとペロロンチーノと付き添いのメイドが二人のみ。
「……ラキュースの声がルカさんと一緒だとは……」
今更な事を呟きつつイビルアイを抱き締める。
海外では抱擁は挨拶と一緒。尻とか触らなければ気にされる事は無い。
「随分と苦労をかけたね」
「久しぶりの忙しさだったがな。精神的には疲れたよ」
二言三言言葉を交わした後でペロロンチーノの下に向かう。
「私を呼びつけたのはイビルアイの助っ人だけか?」
「んっ? そうじゃないか。こっちは不可解な転移者が多く来たから、まあ意見でも聞こうという感じ」
興味なさそうにペロロンチーノは答える。
それよりもネイアたちの訓練に参加させろ、という無言の圧力を感じた。
参加は自由だが獲得経験値が激減するから勧めたくない。
† ● †
事情を話せば唸る鳥人間。
頭では分かっていても強者の
「……で、仕事が終わったら
「そうなるな。ここで私に出来る事は殆ど無いよ。向こうでも命令しかできないけど……」
目下のところオメガデルタに出来ることなど今の段階では何も無いに等しい。
大型建造物はとても時間がかかる代物だ。それを数週間で仕上げることなど普通に考えて不可能だ。
場面転化を使えば楽そうだが、実際はそんなバカな現象は起こってはいけない。
「王都の大型猛獣だが……。確かにあんな巨大な生き物は見た事が無いな」
『マグヌム・オプス』からでも見えるほど。
実際に現場に行く予定はまだ無いが近くで観察してみたいと思った。
自分の知識にあるモンスターの一覧にも当然、無いものだ。
「……で、転移者はまだ居るんだろ?」
「……おう……」
王都にあんな生物が居るくらいだ。シンフォギア装者だけで事が終わっているとは思えない。
それを指摘すればペロロンチーノが唸った。
「面倒ごとなら引き受けても良いが……。この施設を破壊するレベルは勘弁してくれよ」
「……ありがとう、我が弟子……」
ペロロンチーノが知るオメガデルタという存在は自分が育てた自負は少しあるけれど、素直で優しい
性格はこの世界で変質したと思いたいので言及は避けるが、と鳥人間は一人で納得していく。
「月やその近辺では何も起きてなかったのに……。まだあと数十年は余裕があると思ってた」
「こっちの事情などお構いなしさ。一まとめで面倒を見てくれるなら大助かりだ。やはり、この施設をきちんと運営できるのはお前だけだよ」
「何の為にマニュアルを用意したのか……。全くもう」
ナザリックの面々でも運営できるように
それを使いこなせていないのは仕事を放棄したからか、それともたまたま
深く追求しても意味が無い気がしたので、小言は避けた。