ラナークエスト   作:テンパランス

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#145

 act 83 

 

 相手の職業(クラス)構成を欲する理由は壮大な計画に必要だからだ。

 必要な時に使えるものがあった方が何事も(はかど)る。

 例え失敗が待ち受けようと。

 

「……報酬の議論は後にするが……。それで他の客人はどこに居る?」

 

 翼を一枚くらいはぶった切ろうかな、と思ったけれどメイド達には軽くあしらう程度に留めた。

 

「馬車でこっちに向かってる。いてーなこのっ!

 

 適度に相手をするように命令しているので、本当に適度に痛めつけていた。

 見ている分にはとても面白い光景だ。

 美人メイド達に袋叩きに遭う至高のメンバー。

 

「獣の顔だと嫌がっているのか、喜んでいるのか分からないな」

「……今以上に酷かったら反撃するところだ」

 

 つまり嬉しいと。

 少し強く蹴るように命令してみた。すると本当に容赦なく膝蹴りを繰り出すメイド達。

 それでもレベル的にはるし★ふぁーが優位だ。殺しきるには決定打が足りない。

 本当に殺す気は無いけれど。

 

「そろそろやめなさい」

 

 命令一つで素直に何ごともなかったかのように佇むメイド達。

 一人だけ最後に蹴るように指示するのは忘れなかった。

 

「そっちの一般メイドには絶対できない命令だ。ああ、報酬が楽しみだ」

「……恐ろしいやつだな。こっちが無抵抗なのをいい事に」

 

 実際に本気の戦闘ではまた違った展開になる。

 メイド達十人がかりでもるし★ふぁーを止める事は出来ない。それだけの実力の差が実際に開いているのは確かだ。

 『清潔(クリーン)』のスクロールを使ってるし★ふぁーを綺麗にする。ただ、残念ながらこの魔法は彼の心まで綺麗にする事は出来ない。

 

          

 

 下らない茶番劇の後で本題となる客人たちの姿が見えてきた。というか馬車だが。

 何台か連なっており、複数人居る事は確実。

 出来れば『マグヌム・オプス』を戦場にしたくないので、開けた土地に専用の舞台を仮で用意させるように指示しておく。

 本来はメインキャラクターであるラナーが対応するのが筋なのだがオメガデルタがすっかり代理人と化してしまった。

 彼女は率先してやる気を出さないので仕方が無い。それでも主人公か、と憤慨しても暖簾(のれん)に腕押しだ。

 ラナーは見かけによらず世渡りがとても上手い。

 オメガテルタは更に予備体の支度も指示した。今の身体では色々と制限があって満足に動く事が出来ないので。

 それらの用意が整うまでは()()()()客対応に勤めよう。

 

「……で、お前は残るの? それとも帰るの?」

 

 現場にまだ居たるし★ふぁーに尋ねてみた。

 

「帰るよ。地下から戻っても良いよな?」

「……どうしようかな。翼をもぎ取っていいなら考えようかな~」

 

 ゲーム時代でも実はあまり好きな相手ではないるし★ふぁー。タブラの次に嫌いな人間だ。

 実験に付き合うのは良いが調子に乗りすぎるところがある。まだぷにっと萌えの方がマシだ。

 そういえば死獣天朱雀にも会っていないな、と呟く。

 

「気が変わらないうちに失せろ。……ここは危険なフラグを立てる場所じゃないぞ」

「へいへい。それは悪うござんしたね」

 

 大規模に破壊されるとイビルアインフィーレアが号泣してしまう。

 彼らの為に残しているのだから壊されるのは面白くない。それとメイド達の仕事もいきなり無くなってしまう。

 アインズの場合は流石に仕事の種を無くす事には否定的の筈だが、自分が寝ている間に何が起きたのかちゃんと調査する必要があるようだと感じた。

 

          

 

 るし★ふぁーが去った後、入れ替わりに姿を見せたのは褐色肌で修道女(シスター)の格好をした女性だ。

 赤い髪の毛を左右に三つ網にした金色の瞳を持つ。いつもは巨大な聖印を(かたど)った武器を背負っているのだが、今は何も持っていないようだった。

 

「……るし★ふぁー様をリンチにかけるとは……、相変わらず鬼っすね」

「メイド達との楽しい触れ合いだよ。大してケガなんかしてないさ。……それでルプーは何しに来た?」

「……るし★ふぁー様が()()()()ナザリックに戻れるか見守りに……」

 

 普通はメイド達が身体を張って主を守るものだ。

 戦闘メイドたるルプスレギナ・ベータは正にそういう役目を担っている筈なのだが、職務放棄したようだ。

 彼女よりレベルの高いメイドの集団に突っ込めるほどの勇気は早々湧かないか、と思って無理に追求する事をしない事にした。

 

シズちゃんの姿でも迫力はやはり……、違うっすね。新しい特殊技術(スキル)っすか?」

「機嫌が悪いだけだよ。それで新しい客人達だが……、私が討伐しなければならない相手ということはあるのか?」

「……出来るものなら。その辺りは聞いてないっす。周りの監視は仰せつかっているので、しばらく彼らの相手をお願いします」

 

 うちはいつから託児所になったのか。それともたまたまそう感じるだけで普段から色々と騒動が起きていたのかもしれない。

 今のところ世界の危機に関連していないようだが、関与させるからには覚悟が出来ている筈だ、世界よ。

 オメガデルタはただ働きはしない主義だ。だから何らかの報酬は絶対に貰い受ける。

 

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