ラナークエスト   作:テンパランス

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#148

 act 86 

 

 長考が必要なら待ってもいいと思っている。

 変身少女たちに無理に答えを出させる気は無い。

 風鳴と雪音は言い難そうな難しい顔になっていたが立花は今のところ微笑を崩していない。それは度胸があるというものか。

 

「私に渡せるものは何もありません。金銭もまだ全然溜まっていないので」

「……いや、あるんだ、立花」

「えっ?」

 

 物品は命も含まれる。それはつまり身体もセットだ。

 裸にしてやましい事をする、という意味ではない。

 おっぱいを揉むのは趣味として、それ以外だ。

 

「……ひぃ」

「聞き覚えのある声がたくさん居るようですね」

「ああ、あのクーベルっていうリス人間にソックリだ」

 

 正直、声はどうでもいい。だが、少し面白いので興味はある。

 喉を引き千切るような真似はしないけれど、やはり声もコレクションをするべきか。でも、結構無駄に色んな人間を殺してきたような気がする。

 生かさず殺さずに集めるのは意外と大変だな、と今更な事を感慨深げに思う。

 

「その……おっぱい揉みはセットなのか?」

「まさか。品物だけで結構ですよ。専用アイテムを貰っても仕方がありません。私は使えるアイテムが好きな方です」

 

 使えないアイテムもあるにはあるけれど。

 なかなか有効利用できないのがもどかしい。

 

「……それとも腕を何度も切り取る方法がいい? 見た目に不評なのだが……」

「それはちょっと……」

「新しい概念を逃がす気は無い。けれども強引な手を取りたくない。であれば……、どういう選択が正しいと言える?」

 

 この問答において多く選ばれるのは口先三寸で言いくるめて逃げ出す、だ。

 相手に何も与えずに要件を済ませる。

 対価を払わない方法はオメガデルタにとって口惜しいことでもある。

 

 本当にそんな選択を選べば容赦をする理由がなくなるので何も困らない。

 

 拷問じみた事を避ける為に身体に出来るだけ負担にならない方法を確立させてきた。

 そうでなければ世界はもっと混乱している。

 そして、七の宝物庫(ケレース)は結果だ。

 

          

 

 静かな脅迫に取られるが欲しい物が目の前にあるので仕方が無い。

 なにせ、オメガデルタはとても欲深いのだから。

 

「武器を渡すと仮定して……、様子を見せてもらえるものですか?」

「君が良ければ……。精神が耐えられるまで見せてあげてもいい。騒ぐと放り出すって意味で」

 

 裸にする場合もあるから基本的に部外者には退場願いたいところだ。とても騒がしくなる筈なので。

 イビルアイとて嫌がる行為だ。

 生粋の研究者以外はオススメしない。

 

「変身ならばこの場でもいい。色々と見せてあげよう。君の武器にもよるけど……。ということで君達も変身してくれるとありがたい」

「……奏の槍を手に入れた手法……。見せてもらえるのであれば」

(まと)があれば銃弾を撃ちまくるぜ。……外じゃねーとミサイルとか……」

「爆発系は却下で」

「おう」

 

 さすがに大型爆弾は勘弁願いたい。

 宇宙船の推進力には役立つかもしれないが、今は保留にしたい案件だ。

 では早速と言いたい所だが屠殺場は使用中。下の階は解体作業中。

 今日は無理という結論に至る。

 

「……ここで出来そうな事からやってみますか」

 

 見知らぬ土地に来て、自分達の能力を見せろ、はいどうぞ、という展開は本来はおかしい。

 では、それをどうして可能に出来るのか。

 洗脳したわけでも魅了したわけでもない。

 少女の見た目かな、と。それ以外では意外と教えてくれる事にオメガデルタ自身驚きを感じる。

 話しやすい雰囲気作りを演出しているからともいえる。

 

「……それとも異世界だから平然としているのか」

 

 敵が居ない事も一因だと思う。

 そんな事を考えつつ用意を整えようとする風鳴達に残りのメンバーを連れてこなくていいのか、尋ねてみた。

 全員で引き起こせる合体技とかあるのか気になったので。

 


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