ラナークエスト 作:テンパランス
風鳴達も武器を並べる作業に加わった後で宿舎に居る
どの道、同じような展開になるものだと判断した。改めて面倒な説明や展開を省く為に。
天羽が武器を五十本ほど並べたところで上から新たな装者達が降りてきた。
「おおっ! 武器がいっぱいデス」
「何事?」
歌いながらの作業は多少の疲労を感じさせるようなので天羽には休んでもらう事にした。
槍以外の変形は出来ないようだ。
「加工できなかったら無駄な行為だよな」
「それはやってみないことには……」
本人たちにしか扱えない武器の弱点ともいうべき問題だ。
他人が扱おうとするとボロボロに崩壊する。そういう危惧はもちろん感じている。
武器だけあってもオメガデルタが扱えなければゴミの量産にしかならない。
「……こうやって見ると異様だな……」
「キャロルちゃんはこの武器からアームドギアを作れたりするのかな?」
一応、聖遺物から生成されたギアだ。理論的には作れないことはない、とキャロルは思う。だが、思うだけであって専用の機材とか道具が無ければ本当に作れるのかは分からない。
「……道具と時間と文献などが必要になるな。歌をキーとして……」
と、言いつつ武器を手にとって調べ始める。
他人が触れても爆発しない事を確かめる頃に暁達が階段を降りきった。
天羽が変身しているので暁がまず聖詠を唱え始める。それに対して
「ゼイオ~ス、イガリマ、ライゼン、トロ~ン」
閃光の後で大鎌を携えたシンフォギアが姿を現す。
暁は大型の
見た目は可愛い道化師の雰囲気を醸し出している。
「デスデスデ~ス」
「……キリちゃんったら」
「……その場のノリで結局全員が変身する事になっちまいそうだな」
それはあながち嘘にならないようで風鳴達は冷や汗をかく。
天羽は突然現われたメイドに治癒魔法をかけられる。体力を回復するだけの低位の魔法だが、それでも元気を取り戻すのに充分であった。
一応、無理しないようにとオメガデルタは忠告する。
「敵対行動を取らないだけであたしらは気を許して変身していくってわけか……」
「……それはそれでこちらとしては手間が省ける」
新たなメイドを呼びつけてオメガデルタは小声で命令を与える。
瞬間移動するメイドに立花達は驚きつつ魔法はすごい、と手を叩きつつ感心していく。
† ● †
暁達に今までの説明をするのだが、省略した方がいいのか、それとも一から事細かに説明すべきなのか尋ねてみた。
本来ならば一気に時間が進む展開である。
「……省略でいいと思います」
「説明を省くと理解したつもりになって、後々おかしな事になるかもよ」
「同じセリフにならない限りにおいて……」
と、意見は様々だった。
その間に変身が解けないように暁は歌い続ける。これが結構大変だと本人は述べた。
戦闘行動に入らないシンフォギア装者ははた目には歌い続けるだけで何も出来ない邪魔者であり、武器を持って騒音を撒き散らす存在にも見える。
これが専用の会場で歌う歌手であればいいのだが、存在自体が秘匿されているので人前でのお披露目は殆ど出来ない。
「……うるさいから壁際で歌っててって、いつか言われるんでしょうね……」
「物悲しい存在になるだろ」
ミサイルをぶっ放す
「……爆発物を大量に持っているテロリストと一緒よね」
「……否定できないところが悔しいな……」
「それよりも床に武器を並べて何してたんデスか?」
難しい事から目を背けつつ
槍以外に装者がまとう防具も無数に散乱していた。
「大量生産」
「……そんなようなものだ。無限に湧くのかの実験でもある」
敵が現われた時に使うアームドギアだが、自分たちで調査した事は殆どない。だからこそ、興味があった。
武器の使用には慣れているが、その後にどうなるのか。それは持ち主として知っておいた方がいいと思った。
使い終わると大抵は光りの粒子となって消滅する。それが今回は魔法という未知の概念で保存出来た。
この保存されたものがどうなるのかが分からない。