ラナークエスト 作:テンパランス
#001
時は世界征服を企む悪の魔導王が活躍する時代。
世界の危機に真っ向から反逆するかのように冒険者達は平和を謳歌していた。
無理して強大な敵を倒すのは割りに合わない。それが彼らの言い分だった。
国同士の戦争も魔法一発で収束するくらい滑稽なのだから仕方がない。
そんな人々が諦めた世界に一組の勇気ある冒険者達が立ち上がろうとしていた。
† ● †
リ・エスティーゼ王国の王都リ・エスティーゼにある冒険者組合の待合室にて顔合わせを
全部戦士職では何かと不都合だ。
それぞれの
「初めまして。私はラナー。
本来は『難度』で強さを測るものだが、モンスター相手だと大雑把になり、正確な値が出て来ない。なのでレベルという形で表現している。
強さは変動するので数値に根拠が無い場合がある。
「はっ? 王女のクラスは武器とか使えるの?」
「たぶん」
金髪碧眼の王女はにこやかに答えた。
大勢の冒険者が
「私は漆黒聖典の元第九席次『疾風走破』のクレマンティーヌ。クラスは
ふっくらした短めに切りそろえられた金髪で横に大きく裂けたような邪悪な笑み。
軽装の装備品だが引き締まった肉体を持ち、背後には短刀と思われる武器を複数納めていた。
全てのクラスを教えないのも隠し玉を持つ者の特権であり、それは別段悪い事ではない。
「私はナーベラル・ガンマ。
前面部は白銀だが多くは黒を基調とする防具はメイド服を想像させるものだった。
膨れたスカートも鋼鉄以上の硬度を持つと言われている。
黒髪をポニーテールにまとめた東洋風の顔立ちの女性だ。
「『重爆』レイナース・ロックブルズ。
引き締まった肉体を覆う黒を基調とする
顔の右半分を金髪で隠しているが、それは魔物との戦いで受けた呪いによる後遺症で膿んでいるためだ。そんな彼女はバハルス帝国の最強の四騎士の紅一点でもある。
「
黒いボールガウンに室内だというのに日傘をさしている色白の不健康そうな肌に白銀の髪の毛。赤い瞳の
背丈は子供並みだが様々な能力を保有している女性だ。
「帰れ」
「カンストに用は無い。失せろ」
「あっ!? せっかく仲間になってやろうとしたのに!」
「私は
褐色肌で黒髪。豊満な胸に鍛え上げた筋肉を覆う黒い軽装鎧。
彼女の最大の特徴であるニメートルを超える赤き槍『魔槍ゲイ・ボルグ』がそばにあった。この槍で受けたダメージはしばらく治り難いものとなる。
「消えろ、クソババァ」
異常にステータスが高い者への罵倒は日常茶飯事である。
それは羨望か、嫉妬か。
とにかく、女性陣は怒りの炎を吹き上げるので話しかける時は注意が必要だ。
冒険者は多くて十人まで登録できる。ただし、多ければいいというものではない。
平均は四人。
ソロで活動する者も居るけれど戦士二人に信仰系、魔力系を一人ずつ配置するのが理想的だ。
ラナーこと王国の第三王女『ラナー・ティエール・シャルドロン・ライル・ヴァイセルフ』はモンスター退治に興味を持ち、冒険者組合にたびたび顔を出していた。
王宮に居ても行事以外は基本的に暇だったからだ。
武具とアイテムは豊富なので足りないのは仲間くらいだ。
パーティを組む上で大事なのは同性であること。これは仲間内で恋愛に発展したり、仲違いを防ぐ意味合いがある。
禁止事項には無いが、パーティ間の争いはご法度である。
命のやり取りをするので金で買収することは意外と出来ない。
「では、レイナースさん。ナーベラルさん。クルシュさん。アルシェさんの五人でパーティを組みたいと思います」
「攻撃力が意外と少ないパーティになってしまったな」
ナーベラルは異形種。クルシュは亜人種。
アルシェ・イーブ・リイル・フルトは魔力系
バハルス帝国出身の人間種の女性で金髪碧眼の年若い女性だが苦労人でもある。二人の妹を養う為に冒険者となった。
クルシュ・ルールーは